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2戦目用SS+イラスト置き場

1あっちん:2007/12/12(水) 10:12:54
とりあえず自分のSSを・・。

もしスタメンに選ばれても、能力発動する機会はほぼないと思いますが、
余裕がある場合に使ってくれれば嬉しいです。


あっちん用SS

「ククク・・。羅漢の奴らもやるじゃねぇか。希望崎がここまで追い詰められるとは思ってなかったぜ。まさか、こいつの出番が来るとはな・・。」
そう言いながら、あっちんは試験管を取り出す。
「まさかそれは、ずっと研究していた例の殺人ウイルスか?!」
「バ、バカ!止めろ!!効果がデカ過ぎて兵器として使い物にならないって、自分で言ってたじゃないか。」

「そう・・。問題はそこだったんだ。2次感染を含めるとその大陸の生物の99.9%が一瞬で死滅してしまうんだ。兵器として使ったら、もう魔人も人間もそこには住めなくなるからな。」
「だが、関西が滅亡した今、そんなに大きな問題じゃないだろ?被害が関西から本州に拡大するだけだ。」

「・・・それに前もって抗体を渡してあるだろ? それを合図と一緒に注射すれば死ぬことはない。」
「ほら、お前らと話している間に、羅漢の奴らが怖い顔して向かってくるじゃねぇか・・。さっさと行くぞ。タイミングを間違うなよ。」

「3・・・、2・・・、1・・・。」

パリ〜〜〜ンッッ・・。

(ククク・・。もう、恐怖すら与えてあげないよ。エボラウイルスを改良して作った、この兵器。脳を沸騰させて死んじまいな。)

・・・・・。
・・・。

(あ、あれ?もしかして間違えた俺?? こ、これは修学旅行で覗きに使ったヤツじゃん。 あぁ、しまったッ!! ノリで殺人ウイルスを弟にあげちゃったんだった・・。やっべー・・。)

「おい!!あっちん。テメー、まさか・・。」
「ちょっと、どうしてくれるのよ〜!!お気に入りの服だったのよ!」

「ひぃ〜。・・・ごめ〜ん・・なさい。」



とりゐ「あひゃひゃひゃ・・・。」

2あJ:2007/12/12(水) 16:18:23
いいね、いいね〜☆

本当に余裕があったら全裸の魔神どもをバットで撲殺しましょう。とりゐはすぐに男になりますよW

3鳩子:2007/12/12(水) 18:10:15
ttp://file.00006.blog.shinobi.jp/c4b9982d.jpg
あへんとたいま
めでたく生き残ったのでまた描きました。
やべぇ双子描くのすんげー楽しいwwww

ttp://file.00006.blog.shinobi.jp/b406fca1.jpg
とりゐみゆき
狂気を発している感じを前面に出してみたです。
ピトーに見えなくもないw

あと、旧掲示板のほうのSSイラストまとめ貼っときます。
ttp://www2.atchs.jp/test/read.cgi/mukadekowai/7/85-85

4シュガー:2007/12/12(水) 19:58:26
>>3
鳩子さんお疲れ様です。
もし、余力がありましたら奇印くんは書いて下さると助かりまっす!!
とりゐみゆきタンかわええ^^*

5あJ:2007/12/13(木) 11:35:09
自キャラを書いていただいてありがとございます。

可愛くて狂気を発してる感じが想像どおりです。
元ネタというか、本人も可愛いいよねー。かつ、狂喜でW

6ゆめの:2007/12/13(木) 16:30:30
出鯉の能力発動イラストを描いてみました^^
ttp://blog-imgs-11.fc2.com/r/o/n/rondomarch/dash1.jpg

7ENT(あへんとたいま):2007/12/13(木) 16:41:41
>>6
パンツ一丁で吹いたwww
実用度も高いナイスイラストですw

8あっちん:2007/12/13(木) 18:47:42
>>5
久々にGyaOの恋愛中毒見ちゃいました。
これ以外で鳥居みゆき見たことないんだけど。

あの狂い方はいつ見ても凄い・・w

9珪素(聖稜院):2007/12/13(木) 20:25:57
>>6
分身の後ろで棒立ちしている本体がシュールすぎますw
双子のポーズもいいなぁ。

10<削除>:<削除>
<削除>

11シュガー:2007/12/15(土) 03:24:28
やっべ、貼り付けんのミスった。

あへんとたいま 替え玉マラソン以外の為の発動率うpオサレSS 「眩暈」
(※微百合注意※ ENTさんに怒られたら改変します)


世界は滅びる。東の魔境、希望崎学園に所属する二人の予言者コバヤシと城杏奈はそう告げた。
始まりの場所は関西、そして血気盛んな関西の魔人との戦いにおいて希望崎も無事では済まされないだろう、と。
最初はただの笑い話にしか過ぎない。そう思っていた。

感覚が徐々に張り詰めて、麻痺していくのが感じられた。
喉がおかしい。息が苦しくなっていく。胃にはリアルな感触。空はセピアに彩られている。音が聴こえない。
ここは戦場、希望崎学園。



予言は現実となった。



無音だった世界が笑い声で打ち破られる。
鈴を転がすような少女の声、かけがえのない仲間あへんとたいまの声だ。
「あはは、見てたいま。予言はもう叶いつつありますわ。」
「うふふ、ええあへん。世界は玩具のように壊れるのね。」
振り返るとすぐ後ろにあへんとたいまが佇んでいた。

二人の貌は、わからない。 見えない。

「城さんが仰っていましたわ。」
「もう交じることの出来ない哀れな二人の使者、世界を双つに別ち滅ぼさんとす。」
「哀れだなんて・・・私達はあの方の世界を拡げて差し上げただけですのに。」
「自分を一番理解して愛することが可能なのは自分だと何故わからないのかしら。」


どっちだ?浮かんでくるのは純然たる疑問。


どっちが あへん で どっちが たいま


二人は一人?一人は二人?それとも最初から一人しか存在していない?



靄のかかった思考回路を振り切るとあへんとたいまがお互いの頬に手をあて顔を覗き込んでいることに気づく。
確か彼女達の瞳は淡水を湛える湖面ように暗く潤んでいたと記憶している。
きっと、今の二人の瞳には自分の片割れが映っていて・・・ 唇を吸い合っているのだろうか。
ぼんやりと彼女達を眺めながらそんなことを思う。

お互いの存在を確かめ合った彼女達はくるりとこちらを向き、目が合う。
二つの存在と同時に目を合わせることなど不可能だというのに。
二人は同時に手をのばす。すぐ傍に居るのに永遠に届かない気がした。

『貴方もどうか世界を愛してくださいな。もう一人の自分をどうかどうか。』


もう一人の自分。もう一人の**。
灰色の世界で天を仰ぐ。まるで水の中にいるようだ。息が出来ない。


全てのことを悟った瞬間、眩暈がした。

12ENT(あへんとたいま):2007/12/15(土) 08:47:51
ナニィ!?百合だと!
これは・・・



・・・イイネ!

最後の一文が特にいいなー。ステキなSSありがとーですよw

13あっちん:2007/12/15(土) 14:05:12
>>11
鳩子さんの絵を思い浮かべながら読むといいなぁ。

オサレSSが書けない僕には羨ましいです。

14シュガー:2007/12/15(土) 15:28:03
>>12
怒られなくてよかったー。
ありがとうございます^^
今回読み上げ担当さんが参加とのことでちょっと(ホントにちょっと)エロい感じにしてみましたw
これ、替え玉マラソン以外の使用目的で書いたんですけど、よく考えたら別に使っても大丈夫ですねw

>>13
私はギャグがかけるあっちんさんが羨ましいです。
昨日替え玉マラソン用のギャグSSも書いてたんですけど寒くなって消しました・・・
照れが入ってしまいますねー。

15ENT(あへんとたいま):2007/12/15(土) 20:51:53
やっべー、イラストはみんなの分あるんですけど、SSがあへんとあっちんしかないよーんw
これから急遽書くか・・・!?

16シュガー:2007/12/15(土) 20:53:45
>>15
多分、殴り合いになるんで必要ないかなーと思っています。
甘かったですか・・・?

17ENT(あへんとたいま):2007/12/15(土) 20:57:40
素手ゴロでやりあいますかw
ステキイラストはたくさんあるので、実は結構大丈夫!

18あJ:2007/12/15(土) 21:04:34
ってことはc2a2にいれば龍宮の能力の範囲外ってことだよね。西の動きによってはかんがえたほうがいいですね。

19珪素(聖稜院):2007/12/15(土) 21:08:07
出鯉走能力発動率アップSS『走れデコイ』

「ウオオオオオ――――ンッ!! 欽ちゃァァァァァァン! やったぞッ! 俺はやったぞォッ!
 大阪から24時間で俺は帰ってきたぞッッッッ! スッ、ス、スイィ―――ツ!!
 スイィィィィィィィィィィィィツ!!!」

 希望崎と羅漢の戦闘の最中である。その悪夢のような修羅場の中で、一人だけ何も考えていない男が居るとしたら、この出鯉だろう。当然、関西人達がそのただ暑苦しいだけの男の到着に気づく事もなかったが。

「おおお俺だ! 俺だァ―――ッ! みんなァッ! 俺を見てくれェェェェッ!
 青春の感動を俺に与えてくれッ!
 帰ってきたぞ! 俺は! 大阪から帰ってきたァ―――ッ! スイィィィィィィィィィィッツ!!」

 しかし、そのゴールの瞬間――関西人達に異変が生じ。

「さあ殴れ! 俺を殴ってくれ! フォォォォ殴りあいだぁぁっ! 青春しようぜぇッ!
 感動だぁぁぁぁっ!! だっ、だっ、太宰治だァ―――ッ!!」

 関西人達が俄かにどよめきはじめた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。

「羅漢のみんなァ―――ッ!
 君達も感動しただろぉぉぉぉぉぉ! さあ! さあ俺を殴ってくれ!! さあ早く!」

 言うまでもない事だが――出鯉は今、ゴールの感動と足腰の極限の疲労による錯乱状態にあった。いや、あるいはそれは元々、彼の内に秘められた欲求であったのか―――

 傍に居た関西人が、すべてを察した様子で首肯き、関東一杯に鳴り響くほど音高く出鯉の右頬を殴った。殴ってから優しく微笑み、

「デコイッ! 俺を殴れッ! 同じくらい音高く俺の頬を殴ってくれッ!
 お前の走りで俺は目が覚めたッ! 関東人も同じ人類ッ! すなわち友情なんだッ!
 そしてお前が俺を殴ってくれなければァァッ! 俺はお前と抱擁できないッ!!
 スイ――――ツ!!」

 そう。極限にまで達した出鯉の感情は、精神感応により関西人全員へと波及していたのだ。これが出鯉の能力、『栄光のゴールテープ』である。

 出鯉は腕に唸りをつけて関西人の頬を殴った。

「クァァァ! 友情だァァァァァッ!! 我が! 心の! 友よ! 
 スゥゥゥゥイィィィ―――ツ!!」

 二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。 関西人の中からも、歔欷の声が聞えた。暴君ネクロマンスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。

「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、私の心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、私をも仲間に入れてくれまいか。どうか、私の願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい」

 どっと関西人達の間に、歓声が起った。

「万歳! 万歳! ネクロマンス・ダンス、ばんざあああああああああい!!!」

 ひとりの少女が、緋のマントを出鯉に捧げた。出鯉は、まごついた。ネクロは、気をきかせて教えてやった。

「デコイ、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、デコイの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」

 勇者は、ひどく赤面した。

20シュガー:2007/12/15(土) 21:09:53
>>19
乙です!!
私の没にしたSSとネタがもろかぶりにしてるーwww

21珪素(聖稜院):2007/12/15(土) 21:10:32
>>20
やっぱりマラソン+感動だと連想しちゃいますよねーw

22ロケット商会@イズミ:2007/12/16(日) 01:28:10
きっと誰も書かないであろうし、使い道すらないであろう
・・・そう、戦慄のイズミSSです。ウオオー


心臓の鼓動がやけに激しかった。
龍宮爪児は、希望崎の大地を駆けながら興奮を抑えきれない。
(希望崎学園・・・戦闘破壊学園ダンゲロス? これが?)
あまりにも脆い、と思う。
邪魔をするものは、すべて自分のこの爪で引き裂き、なぎ払った。
なぜこんな連中に自分の学園はあれだけの打撃を受けたのか、その疑問だけがある。

(俺は、普通の魔人とは違う)
龍宮のその誇りは、己の出自に由来している。
龍とは、世界最強の幻獣である。
龍宮にはその確信がある。空を翔ける翼、強靭な牙、そして鋭い爪。
その血を引く自分たち龍宮一族こそ、最強の魔人に違いない。
(希望崎の連中を、この爪ですべて引き裂く)
雄たけびをあげる龍宮の目に、次の獲物の姿が映った。

薄汚れた男だ――ひどくたよりない、揺れるような足取りで歩いている。
異様な雰囲気に、龍宮は一瞬だけ戸惑ったが、すぐに本来の思考をとりもどす。
(敵だ)
いまの自分の爪に、引き裂けない者などいない。こいつも同じだ。
龍の血が沸き立ち、目の前の獲物を殺せと本能が命令する。だが――
「・・・うああ?」
攻撃の一瞬、龍宮はうめくような声を耳元に聞き、そして意識を途切れさせた。
「え?」
龍宮は最後まで何をされたのか理解できなかった。


「ああ・・・」
しばらくふらふらと歩いていた薄汚れた男は、龍宮の死体を踏み越えて、おもむろに携帯電話を取り出した。震えているので、すぐに通話ボタンを押す。
「あのう・・・土田くん?」
『なにやってんだよ、このクソ忙しいときに! お前はいつまで修学旅行いってんだ!』
「いや、道に迷っちゃって・・・」
『新幹線乗ってて道に迷うやつなんて聞いたことねーよ! はやく帰れよ! こっちはたいへんなことに――』
「学校、どっち? 右のほう? 左のほう?」
『・・・』
数秒間の沈黙があったのち、携帯電話の向こう側から、ひどく冷たい声が聞こえた。
『お前も一回地獄落ちた方がいい』

23鳩子:2007/12/16(日) 20:01:30
一応あへんとたいま描いておきました。
分裂分裂ゥ!
ttp://file.00006.blog.shinobi.jp/5882d000.jpg

24ENT(あへんとたいま):2007/12/16(日) 20:03:49
>>23
イヤッホゥゥゥ!
全身像ステキです!

25ENT(あへんとたいま):2007/12/16(日) 20:24:07
『鏡』

「あら、それ、どうしましたの? 」
「俺の技って剣の方が耐えられなくてさ、1回使うと大抵こうなるんだ」
10cmほどの折れた剣先を、くっつけたり離したりしながら、白金はぼやいた
「よろしければそれ、私にくださらない? 」
「別にいいけど・・・なんに使うの?」
「お守りですわ」
あへんは笑う
「ずるいわお姉様、それ私も欲しいのに」
拗ねるようにたいまが言う
早い者勝ちですわと、言って駆け出すあへん。
追いかけっこを始めるふたりを、白金はただ見送った。

26シュガー:2007/12/16(日) 20:25:56
>>22
龍宮「さぁこいイズミィィィィ!!俺は普通に死ぬぞォォォォ!!」

私も一応発動率うpSSを書きました。
オサレはウケが悪いと知りつつもギャグ考えてる余裕がなかった・・・


あへんとたいま用SS 「終末」

あへんとたいまはとってもなかよしなふたごのしまいです。
ちいさなときからいっしょのふたりはおたがいがとてもたいせつでおたがいがすべてでした。
てをつないだりだきあったりまた、ときどききすもしました。

あるときふたりはひみつのあそびをしました。
ひとりのしょうねんをふたりにしてしまったのです。
しょうねんはとてもかなしみました。
つらくてつらくてしにそうでした。


だから、あへんとたいまをころすことにきめました。


ふたりになったしょうねんはいくどもてんせいをくりかえすオオツキせんせいというひとにちからをもらうことにしました。
しょうねんたちはまじんのちからとおぞましいすがた、そしてぐりとぐらというなまえをてにいれたのです。

すこしだけおおきくなったあへんとたいまはとあるがっこうにしんがくすることになりました。
これもまたうんめいでしょうか。
かのじょたちのがっこうにはオオツキせんせいがいたのです。
すべてのことにははじまりがあり、いつかおわってしまう。


ぐりとぐらのすきなこと。
おりょうりすることたべること。
ふたりはすべてをこわします。
かんとうとかんさい。 きぼうざきとらかん。 あへんとたいま。

あへんとたいまのすきなひと。
あへんはたいま、たいまはあへん。

あへんとたいまはきっとあなたにもしあわせをわけてくれます。
もうすぐふたりめのあなたがうまれます。
たのしみにしててくださいね、**。

27シュガー:2007/12/16(日) 20:26:40
うお!!かぶってしまった!!
ENTさんごめんなさい!!

28ENT(あへんとたいま):2007/12/16(日) 20:30:56
>>27
童話風でイイネ!
自分も決着SS書いてたんですが、長いし暗いし、シュガーさんも書いてくれたし、もう書き上げないでそのままにしようかと思ってますw

29シュガー:2007/12/16(日) 20:33:14
>>28
個人的には見たいです!
お暇ができたらぜひ拝見させてくださいv

30ENT(あへんとたいま):2007/12/16(日) 20:57:45
推敲してる暇がなかった・・・。

転校生決着SS
『ふたり』その1

ぼろぼろに壊れた教室。
少女はその細い両手首を掴まれ、壁に押し付けられる形で半ば宙吊りにされていた。
同じ顔をしたもう一人の少女は、やや離れたところで冷たくなっていた。

「女性はもっと優しく扱うものですわよ?」

あへんは笑顔でそう言った。
ねずみの顔をした異形の男は、無言であへんの腹に拳を埋めた。
苦痛のうめき声とともに、血と胃液の混じったものが吐き出された。
同時に両手は開放され、床の上に崩れ落ちた。

「無様に這いつくばるんだ。そして泣きわめいて許しを請うといいよ」
「もちろんそんなことでお前たちの罪は償われない。ただぼくたちの気分が晴れるだけさ」

瞳孔が大きく開き、とても人間のものとは思えない無感情な目が4つ、少女の眼前に突きつけられた。

「うふふ」
苦痛にゆがむ顔で無理やり笑うあへん。
「何がおかしいの」
「狂ったの?お前の片割れはもっと耐えたよ」

「あなたたちが可哀想で、おかしくて」

この後、少女の体は少しずつ目減りしていくだろう。妹のたいまがそうであったように。
でも、体だけではなく心も潰したいねずみたちは、あへんの次の言葉を待った。
後悔か、あるいは侮蔑の言葉が出るだろう。
どちらにしろ苦しむ様が見られるはずだ。

しかし、少女の口からは出た言葉は、そのどちらでもなかった。

「あなたたちは、もとから双子でしたのよ」

笑う。校舎中に響き渡る声で、心の底から楽しそうに。

31ENT(あへんとたいま):2007/12/16(日) 20:59:04
転校生決着SS『ふたり』 その2

「愚羅、やっぱり狂ったみたいだ」
「残念だね。もっともっと苦しめたかったのに」
「先に片方を壊しちゃったのがいけなかったのかな」
「うれしくて抑えられなかったからね」

やれやれといった風に、二人のネズミは顔を見合わせた。

「そもそも、もとから双子なら、何の問題もないじゃないか」
「だいたい、もとから双子なら、何でぼくたちはお前を憎んでるんだい?」


『あるところに』

ネズミなどまるで目に入らぬように、あへんは静かに語りだした

あるところに双子の兄弟がいました。
ある日、ふたりは魚を釣りに湖へと向かいました。
ふたりで楽しく釣りをしていると、たいへん、弟が足を滑らせて水に落ちてしまいました。
たすけて兄さん たすけて兄さん

「そして、あなたは私たちのところに来たんですわ。助けて、と。」

32ENT(あへんとたいま):2007/12/16(日) 20:59:49
転校生決着SS『ふたり』その3

「じゃあ何?ここにいる愚羅は、お前たちに作られた分裂体じゃなくて、溺れたところを助けられたぼくの実の弟というわけ?」
「だいたい、もしぼくが溺れたんなら、どれだけ早く駆けつけても助かるはずないじゃないか」
「お前たちの能力は溺れた人を救えるものだったっけ?」
「馬鹿馬鹿しいなあ」
「もう飽きてきたよ。愚羅、そろそろ『おりょうり』はじめようよ」
「そうだね愚李。それじゃまずはどこから切ろうか」

お話は終わり。何故なら聞き手が聞き手では無くなったから。
すぐにでも、あへんを切り刻むつもりだから。

血とあざで、見る影もなくなった少女の顔は、それでも楽しそうに笑っていた。

「お話には続きがありますのよ」

そしてぼろぼろになったスカートのポケットから、白く輝く金属片を取り出した。

鉄片?鏡?
それは

白金の剣の欠片だった

33ENT(あへんとたいま):2007/12/16(日) 21:00:26
転校生決着SS『ふたり』 その4

小さな鏡は真実を映す。
最悪の悪夢を、思い出させる。

-----------------------------------------------------------

弟は、水に落ちてしまいました。
助けて兄さん、助けて兄さん
足がすくんでしまった兄は、それをただ見ているだけでした。
やがて弟は水の底に沈み、それきり浮かんで来ませんでした。

そして

兄は湖から駆け出し、双子の少女たちのところにやってきました。
「助けて!」と。泣きながら。

助けて
>誰から?
助けて
>何から?

"あいつが死んだせいでお父さんとお母さんに怒られちゃう!"

ぼくを助けて

-----------------------------------------------------------

その醜い姿は自らの心のせい
私たちを憎むのは、偽りの記憶を思い出さないように

「あなたは自分の保身のためだけに、分裂体で弟をつくったのですわ」

34ENT(あへんとたいま):2007/12/16(日) 21:01:06
転校生決着SS『ふたり』 その5

遠くで勝鬨(かちどき)が聞こえる。
学園のどこかで、またひとつ戦いが決着したのだろう。

この薄暗い地下室にも、終わりのときが来ていた。

転校生、愚李と愚羅。
鏡を見た後、彼らは無言で相手を見つめ
そして、お互いの心臓に鋭い爪を手首までの埋めた
相手の方に倒れこんだその姿は、抱き合っているようにも見えた。


「たいま、私も今そっちに行くわ」

自分と同じ顔の少女の遺体に、這って近づくあへん。
もう足も動かない。
医者でなくともあへんの命が尽きかけていることはすぐに分かった。

「こんなに汚れて」
だめじゃない。女の子はきれいにしてなきゃ。
ふふ、いつも言われるのは私のほうなのにね。

制服の袖でたいまの顔にこびりついた血をぬぐう。

そして、優しく唇を重ねた。



(END)

35珪素(聖稜院):2007/12/16(日) 21:04:56
多分もう使う事はなさそうですが、折角なので貼ります。

奇印太郎能力発動用未使用SS『キグルイ』


「羅漢……」

服部の忍としての本能が
前方から迫る魔人達の気配を捕らえた

熟練の魔人のほとんどが羅漢への攻め手に回っている今
奇印を守護する希望崎の布陣は
年端の行かぬ服部を含めて わずか3人に過ぎない

関西滅亡を生き延びた手練である羅漢の魔人と立ち会えば
こちらが不利である事は明白である

「奇印どの!」

「……」

かつてダンゲロス無双と謳われた
希望崎の2人の長の一角である奇印だが
服部の呼びかけに対して 未だ曖昧な状態にあり

「希望崎学園番長 奇印どのにござるか」

「覚悟」

羅漢の魔人達が 各々の得物に手をかけたと同時に
奇印を守るように立ち塞がったのは

「番長!」

「ここは拙者らが」

永澄健仁と三田康成である
魔人としての戦闘能力に乏しい彼らだが

番長である奇印のため 元より盾となって死ぬ覚悟である

「それなるが希望崎の番長か 笑止」

「希望崎の長は物狂いばかりという噂はまことであったか」

しかし 羅漢の魔人の発した明確な侮辱に対し
曖昧と思われていた奇印が

「ウェ」

「…」

服部の足元にごろりと転がった物体が 耐えがたい異臭を放った
永澄と三田の上半身である

(ひ……)

羅漢の魔人達の誤算は
この時の奇印太郎が 正気でも曖昧でもなく
敵であろうと味方であろうと
間合いに入ったもの全てを斬る魔人へと変貌をとげたこと

「こやつ、人……」

口にしかけた羅漢の魔人の首が瞬時に斬り飛ばされ

「ゴぉ」

隣に居た魔人の顎部に砲弾のごとき速度で命中
さらに

「か……怪物め」

踵を返し逃走を試みた魔人は
背後から投げかけられた短刀により
電柱に縫い付けられ即死している

 “其の形相鬼神のごとくにして
   狂態奇印の名に相応しく候”
              -希望崎事件史-

その場に居た服部は
この異様なる惨殺劇を留め得る術を持たなかったが

「奇印……ど……の……」

奇印の神速の斬撃により
既に腹部からは大腸がこぼれ落ち

「暗君……」

これが後に関東を血に染め 羅漢と希望崎の双方に多数の死者を生み出した猟奇事件
“希望崎学園鎌鼬”の幕開けである

36ゆめの:2007/12/17(月) 12:26:57
正気にては大業ならず、なキグルイSSありがとうございます^^

>>30-34
2戦目のSSから伏線はってたとはさすがENTさんだ。。

しかし(つД`)あへんとたいま が…

37シュガー:2007/12/17(月) 13:13:37
>>35
キャラとぴったりマッチしてますねw

>>30-34
白金くんに懐いてたのはちゃんと理由があったのか・・・


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