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動作テストスレッド
9
:
タカハシ
◆2yD2HI9qc.
:2008/12/28(日) 01:27:25
●究極の力
あれからどのくらいが経ったのか、村を見てそれを実感することは出来ない。
でこぼこな焼け色のブロックで作られた、こじんまりの家にそれらをおうおうと取り囲む緑に濡れる木々。
高台から見下ろす外界は霞もせず透明に感ぜられ、肺に吸い込む新鮮な空気が口や喉と身体をも浄化してくれた。
なのに、目に焼きついているはずのそんな情緒溢れた景色はいまや、石とほこりと土煙に姿を変えてしまったのだ。
久しぶりに訪れ心身を休めたライフコッドは、廃れた家屋と潰れた通りがただ静かな音で在る、まるで経年の変化とは無縁の形相だ。
岩肌に手を沿え霞む下界を見ながら、メルキドを思う。
あの後、いくつかの亡骸を丁寧に埋葬していた。
残念だけれど、ルビスとフーラル以外はよくわからない塊だったから、一つにまとめて。
最後にルビスを抱き上げたとき、ふと、奇妙な感情を憶え、どうしようもなく悲しかった。
ここにまた、目の前に斃れてしまった人がいる。
そっと深く冷たく暗く、掘り下げたその場所へ一緒に身体を降ろし、自らの血液で固まるその髪と頭を、二つ三つ撫で話しかけた。
「俺に何か出来たろうか」
……ルビスの謡う声は、もう聞こえず。
残されたこの身は何をしてこうなったのか。
結局、教えてはもらえなかった。
ライフコッドを降り、再び魔王の城へと続くらしい山の裾野へと辿り着く。
相も変わらず魔物は灰色の牙をむき、そのたびに銅の剣が割り裂かれる。
時々、これら魔物の大将らしい大物が現れ二三の会話を交わした後、決まりきったようにその身を倒した。
そんな毎日を過ごしているうちに、心にやがて負の力を蓄える。
魔王や魔物とは違う、それは空虚にのみ存在を見出せる正に究める力。
正気ではない紛れも無い自分だが、徐々に飲まれ意識を囚われる。
意思とは関係の無い、本能でもなくただ破壊するだけの存在。
守る力だと教えられたそれが、この沈んだ空気と綿密に交わり自身を変えた。
もしかするとこの状態こそが、ルビスの望む現象なのかもしれない。
目に付くうごめく者たちを薙ぎ、それこそが世界を壊して欲しいと願った、ルビスの思惑ではないのかと。
そう。
まさしくいま、この世界を破壊しつくそうと体(てい)を揺り動かす。
俺はついに手に入れた。
全てを壊し、消し去る、究極の守りの力を。
誰も救わず救えず、それならばぜんぶを無くしてしまえばいい。
傷つくものなど、どこにもありはしないのだから。
そのうち心の色が消え、地に落ちたあの場所とは違う別の次元へ落とされる。
僅かな隙間から声が聞こえた。
もうだけど、何も聞こえはしなかったし聞こうとも思えなくなっていた。
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