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ダンゲロス流血少女MM:番長G応援スレ
172
:
里見晶
:2015/11/27(金) 21:31:45
不気味なイタミは、跳ね起きた。
6畳の自室。物が一切置かれていない、いつも通りの自室だ。フローリングの床の上に、布団も敷かずに仰向けに寝ていたイタミは、ポリポリと頭を掻きながら、窓の外に登る白い朝日を見つめた。
不気味なイタミは、生還した。
結局のところ、イタミはハルマゲドンにおける戦闘に参加しなかった。いや、イタミには戦闘があったという感覚すらなかった。ほぼ常にドラッグでラリっているイタミには、殺人事件も、閉鎖空間への移動も、それを現実として認識する方法がない。いつのまにかよくわからん世界にいて、いつの間にか元に戻っていた。それだけの話だ。イタミにとっては、日常茶飯事の出来事だった。
だから、イタミにとっては今日もいつもと変わらない日だ。朝起きて、学校に行って、ドラッグをキメて、髪の毛を洗おうとする美化委員から逃げ回る。今日は、そんな変わらない日のはずなのだ。
それなのに。
イタミは、知らないうちに胸を押さえていた。キメていないのに、ちくちくと胸の奥に針が刺さるようだ。体の一部が抜け落ちたかのような、大きな喪失感。なぜ、なぜこんな。
“髪の毛を洗おうとする美化委員から逃げ回る。”
私は、いったい誰から逃げていたというのだ。
胸の奥で暴れまわる針を掴みかけたその瞬間、ぷつっ、と小さな音がした。
肉を、針が裂く音。
イタミのか細い左腕に、注射針が刺さった。イタミの右親指は、迷うことなく静脈に特製ドラッグを流し込んでいく。それと同時に、喪失感も、胸の奥の針も消え失せ、充実感がイタミの脳髄を満たしていった。
「……あ〜〜〜〜〜、光〜〜〜〜〜〜。ヒヒッ。ヒヒヒッ」
不気味なイタミは、笑う。
ネガティブな感情にしか共感できない心の痛みを、ドラッグで放り投げてしまったから。
誰よりも情が深く、誰よりも悲しみを恐れるイタミは、もはや笑う以外の感情表現を持たない。だから、イタミの頬を流れる涙に、何の意味もない。
イタミが、サラサラの黒髪を指で弄ぶ度に、涙腺が刺激されるとしても。
落とした針のありかを探し出す術は、もはやイタミには存在しない。
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