したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ

99雨竜院愛雨:2015/11/27(金) 19:09:39
『ワールドゴージャー・デザイア』


テーブルの向こうに座っているのは、夜のように真っ黒な服を着た男。
黒い手袋をはめた手で、土地を5枚タップする。
島、島、沼、沼、沼。
「3点の《Sealed Fate》。ライブラリの上から3枚、公開してください」
漆黒の男はそう言った。
照明の加減だろうか、男の表情は見えない。
いや、そもそも“彼”は男性なのか?
その存在感はどこまでも黒く暗く、作り物めいていた。

ライブラリをめくる。
《柿内萌華》、《一二兆》、《雨竜院愛雨》。
私は息を飲む。
この三人は、行方不明になっているサバゲ部メンバーだ。
「《萌華》、《二兆》の順でライブラリに戻してください。《愛雨》はゲームから取り除きます」
深い奈落の底から響いてくるような冷たい口調で、“彼”はそう宣言した。


(Ω)


「ジャーッジ!」
そう叫びながら私は目を覚ました。
夜明け前。
常夜灯だけが照らす、薄暗いメロウズホテルの一室。
何がジャッジだ。
“彼”のプレイングには特に問題はなかったはずだ。
でも――四人部屋のうち、私の下の段、ウルメのベッドは数日前から空のままだ。
噂では、行方不明になった生徒たちはどこかでハルマゲドンを強いられているらしい。
そして――私にはとても信じがたいことだが、ハルマゲドンを企てたのは他ならぬウルメ……雨竜院愛雨であるという説がまことしやかに囁かれていた。

外はまだ夜の帷に覆われたままの静かなる闇。
しかし、期待と不安が入り交じった予感に突き動かされて、私はジャージの上着を羽織り外に出た。
行方不明者多発を受けて外出禁止令が出ているが、構わない。
いざとなったら“この子”が私を守ってくれる。
右手にマスケット銃型のエアライフル。
左腕には、大切なぬいぐるみ。

森を抜け、浜辺に出る。
開けた空には星々が煌めく。
先客は既に何人かいた。
私と同様に、何かを感じ取ってホテルを抜け出してきたのだろう。
よく知った人影を見つけて、声をかける。
「こんばんは、進藤部長。部長も変な夢、見たんですか?」
「こんばんは、岡林さん。夢は別に見てない。でも、なんだか胸騒ぎがしてね。これ以上、悪いことが起きなければいいんだけど」
妃芽薗学園サバイバルゲーム部の部長・進藤莉杏は、その小さく愛らしい見た目に似つかわしくない、低く落ち着いた声で答えた。
部長の手には突撃銃。肩にはガンベルト、腰には手榴弾が数個とアーミーナイフ。フル装備だ。

空の闇が徐々に色を薄めて行くのを、私たちは陶然と浜辺に立ち尽くし見上げていた。夜明けが近い。
そして、水平線から朝日の端が顔を出す瞬間。メロウズの浜辺と異界が交錯した。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板