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ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ

1流血少女GK:2015/08/01(土) 23:45:07
生徒会用

82彩妃言葉:2015/08/18(火) 16:57:03
『青い紅葉を夏の栞に』


「ごめん!どいてどいて!!」

ギターケースを背負った少女は大慌てで生徒が行き交う廊下を走り抜ける。
サマーキャンプの特別授業、授業と言っても中等部・高等部合同のレクリエーションのようなもので成績には影響しない。
彼女の選択した科目は調理実習……なのだが。

「調理室が反対側だったなんて聞いてないよー!」

今にも遅刻しそうな状況である。
目的地へ全速力で向かう少女の前にひとりの生徒の後ろ姿が見えた。

「そこの人、ちょっと通るよ!」

注意を促すと前にいた生徒は足を止めて振り返り、すっと横に移動する。
本人は向かってくる少女に道をあけたつもりなのだが進行方向は運悪く両者とも被ってしまった。

「え、ちょっ!?」

ぶつかるまいと必死に向きを変えて衝突は辛うじて回避できた。
だがバランスを崩しこのままでは背中から倒れてしまう、踏み込んだ足に力を込めて無理に体を捻る。

ガツンッ!

背負ったギターは守られたが勢いは止まらず廊下の壁に顔からぶつかってしまった。
最後の抵抗にと壁に着いた手をその場に残しながらずるずると崩れ落ちる。
先ほどの生徒が前のめりに倒れた少女の横にしゃがみながら心配そうに声をかける。

「……大丈夫、ですか?」
「ん、らいひょうふ」
「廊下を走ったらいけない、と思います」

鼻の頭を真っ赤にし、薄っすらと涙を浮かべながら少女は苦笑いをして見せた。

83彩妃言葉:2015/08/18(火) 16:57:42
「うぅ、まだちょっとヒリヒリする」
「あの、保健の先生に診てもらった方が……」
「これくらい我慢できるから大丈夫。それよりあなたは移動しないの?サボリ?」

ぶつかられそうになった生徒は顔を横に振る。

「じゃあ選択科目は?ここ来る前に参加希望を提出してるはずだけど」
「学校はお休みしていたから、分かりません」
「あらら、病欠かぁ」

壁にもたれかけた体を起こしながらしゃがんでいる生徒に手を差し出す。

「よかったら一緒に来ない?私、調理実習取ってるんだ」

でも、と言いかけた生徒の手を取り立ち上がらせる。

「ほら、チャイム鳴っちゃうよ。中・高ごちゃまぜなんだからひとり増えたくらい分からないって。」

すっかり人のいなくなった廊下をふたりで手を繋いで走っていく。
調理室に着いたのは丁度チャイムが鳴ると同時だった。

「セーフ!」
「アウトです。まったく、中等部の生徒のお手本になるような行動を心掛けてください」
「はーい、気をつけまーす」

ため息をつく教師とくすくすと笑う他の生徒たちに迎えられて教室の中に入るふたり。
すでに皆それぞれの調理台に班分けされているようで順番に出席を確認していく。

「あなた達はペアでの班になりますね、えっと名前は……『あやさき』さん」
「「はい」」

大きく元気な声と小さくもはっきりとした声、二つの返事が教室に響いた。
同時に返事をしたふたりは驚き、互いに顔を見合わせる。
数秒のあいだ何をするでもなくただ見つめ合い、頬を紅く染める。
再び周りの生徒たちから聞こえる笑い声、ふたりの『あやさき』もそれにつられるように笑いあった。


彩妃言葉&綾崎楓 応援SS『青い紅葉を夏の栞に』終


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