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ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ

17素極端役 蘭(三国屋 碧沙):2015/08/04(火) 20:40:49
 * * *

「はーあ……」

割とやっていられなくなった。それが今の私の正直な感想だ。
どうするんだろ。こんなデスマッチの只中でやってられませーん、だなんて言って通るわけがない。
だとしたら、この後。

「死ぬのかな……私」

それはとても嫌な想像だ。
『彼女』が守っていてくれるのに死ぬなんて、冗談でも口にしちゃいけないかもしれない。
だけど、今の私は控えめに言って満身創痍。
普通ならとっくに三途の川を幅跳びで飛び越えてそうな勢いだ。
普通ならね。

……でも、普通で何かいけない、のかな。

そう思った刹那だった。

「きゃ……ど、どどどどうしたんですかお姉さんっ!」

素っ頓狂な声が響いた。
みると、ピンクの髪をしたセーラー服の美少女がこちらを見て慌てている。
だけど、驚いたのは私も同じだ。

「……三十(みと)? なんで……」

彼女の姿は、かつて私とともに歩んでくれた『彼女』の姿に瓜二つだったから。

 * * *

「三十の姪っ子さん、かあ」
「はい、そうです。三十お姉さん……一三十(にのまえ・みと)さんは私の母の妹に当たります」

気が付けば、彼女と私は並んで砂浜に横になり、世間話に花を咲かせていた。
話題の殆どは、共通の知り合いのこと。
といっても、彼女……一十(にのまえ・くろす)ちゃんの方からは三十はたまに親戚会議で会うお姉さん、程度の認識でしかなかったようだが。
彼女が若くして亡くなったことも、人づてに聞いていた程度、らしい。
共通の話題が口を軽くするのか、いつの間にか私はプライベートのフランクな話し方になっていた。

「亡くなってしまったのは残念ですけど……三十お姉さんはきっと、うれしいと思いますよ」
「なんで? 自分の名前の年齢にもなれないで死んじゃったのに」
「うちの一族、三ケタとか兆とかいるんでそれは別に珍しくは」
「そ、そう……」
「ええと、そういうのではなくですね」

こほん、と咳払いをして、十ちゃんは言った。

「亡くなってからもずっと思っていてくれる人がいるってことは、幸せだって思うんですよ。
 それってきっと、生きててくれるってことだと思うんです」

海辺にあるまじきさわやかな風が吹いた。
なんとなく百合の花の香りがしたような……いや、なんでさ。

「……ふふっ、ふふふっ」
「む、蘭さん何がおかしいんですかっ。
 私今結構いいこと言いましたよ!?」
「いや、ごめんごめん。
 でもそうだね、思っていれば生きてる、ってことかあ」

思い続けること。
思いながら、生き続けること。

「……そういえば十ちゃん、デスマッチの勝敗は二連敗って言ってたよね」
「はい、残念ながら」
「じゃ、手負いのお姉さんを相手に勝ち星持ってきなさい」
「え……えええいいんですか!? じゃなくって、そんなことできませんよ! 蘭さんボロボロじゃないですか!」
「いいからいいから。もちろん手を抜くつもりはないけど、あなたになら私からの勝ち星、上げてもいいかなって」
「うー……では遠慮なく」
「ほんとに躊躇ないなー!?」

てなわけで。
素極端役 蘭、これにて三連敗と相成りました。
でもま、これなら気持ちよく次の戦いに行けるかな。
……十ちゃん、完全に脚潰してこなくてもいいのに。おー痛。

(素極端役の連戦連敗・了)


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