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ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ

1流血少女GK:2015/08/01(土) 23:45:07
生徒会用

16素極端役 蘭(三国屋 碧沙):2015/08/04(火) 20:40:15
【素極端役の連戦連敗】
失敗したなあ。
浜辺に横たわりながら、私はぼんやりと考える。

時刻は夜。所々欠けた星空から、欠けていない月……満月が地上を睥睨していた。
高いところから欠けた自分を嘲笑されているようで、微妙に不愉快になる。

軽く首をもたげて、自分の下半身を見た。
密かな自慢だった引き締まった2本の脚のうち、左側のそれがあった箇所がぽっかりと何もない空間と化している。
端的に言うと、私の左脚は太ももの付け根のあたりですっぱりと切断されているのだ。
出血はだいぶ前に止まっているけれど、それが逆に何もない感じを強調してしまう。

軽く咳き込む。抑えた手には、べっとりと張り付く血糊。
もう幾度目になるか分からない喀血。拭き取るのも面倒になって、手は乾いた血で赤黒く染まってしまった。
胸やらお腹やらから鈍い痛み。多分内臓やられてるんだろうなあこれ。

この傷(ってレベルで済んでるかは置いといて)は、もちろん普通の事故で負った物ではない。魔人との戦闘行為によって受けた負傷である。
相手となった彼女は確か、月雨 雪(つきさめ・ゆき)と名乗った。

 * * *

私は最初から見敵必殺の構えだった。多分相手もそうだったのだろう。特に長話をするでもなく、互いに軽く名乗ってからはすぐに戦いとなった。
彼女は最初は守勢に徹する構え、私はそこに細かくちょっかいをかけて、相手の集中力を乱そうともくろむ。
それはうまくいったように思えた。数合互いに打ち合った後、相手はおそらく渾身の一撃であろう、重い打撃を放ってきたのだ。
私はそれをほぼまともに受けてしまったけれど、チャンスだと思った。
相手の体制は崩れ、呼吸は乱れ、隙だらけ。
だから私は距離をとって突進の構えをとり……動き出した瞬間に自分の失策を知ることになる。
体勢を崩し呼吸を乱していたはずの彼女の口元には、くっきりと三日月のような笑みが浮かんでいたから。
そのまま私の突進は軽くいなされ、背後から気道を絞められた。
なんとかそれを振りほどいた私だけど、次の一撃をいなす力は残っていない。
彼女もそれを見抜いたのか、笑みを浮かべ。

『足の速さが自慢なようですので、まずはそれを削いであげましょう』

そんな言葉とともに、先ほどとは質の違う、日本刀の一閃のような一撃を、私の左脚に見舞ったのだった。
その瞬間の痛み、喪失感、絶望。
あなたが想像できるなら、それはあなたが人生で最悪の時を過ごしたことがあるってことだろう。

そして、断言してもいい。
その痛みにはさらに底がある。

 * * *

脚を失ったショックから何とか立ちなおり、おざなりな治療行為を施して、戦いに赴こうとした刹那。
月雨 雪は再び、私の前に現れた。おそらく私を探して歩いていたのだろう。
彼女の顔を見た瞬間に、それは分かった。こちらを認識した彼女の顔に、さきほど見た三日月のような笑みが満面に咲いたからだ。

『先ほどはありがとうございます。あなたにほとんど怪我を負わずに勝てたおかげで、他の方々も滞りなく倒せまして』
それはどうも。で、今更私に何のよう?
『あら、分かっていらっしゃると思いましたが』
……何よ。
『無論、あなた相手なら楽に勝てると踏んだからです。お気に障りますか? 事実だと思いますが』
…………。
『黙ってもいいことはありませんよ? 私たち魔人の力の原動力は【中二力】……失礼ですが大人のあなたに、その蓄えがあるとはあまり思えないものでして。
 実際、それは正解ですね。先ほどの脚の怪我も治癒できてないようですし』
……なぶりに来たってわけ。いい趣味してるじゃない。
『ありがとうございます。最高の褒め言葉です。お礼に今度は……そうですね』

『肺活量には自信がありそうですから、次はそれを生み出す臓腑を砕いてあげましょう』

戦いの結果がどうなったのかは、言うまでもない。

17素極端役 蘭(三国屋 碧沙):2015/08/04(火) 20:40:49
 * * *

「はーあ……」

割とやっていられなくなった。それが今の私の正直な感想だ。
どうするんだろ。こんなデスマッチの只中でやってられませーん、だなんて言って通るわけがない。
だとしたら、この後。

「死ぬのかな……私」

それはとても嫌な想像だ。
『彼女』が守っていてくれるのに死ぬなんて、冗談でも口にしちゃいけないかもしれない。
だけど、今の私は控えめに言って満身創痍。
普通ならとっくに三途の川を幅跳びで飛び越えてそうな勢いだ。
普通ならね。

……でも、普通で何かいけない、のかな。

そう思った刹那だった。

「きゃ……ど、どどどどうしたんですかお姉さんっ!」

素っ頓狂な声が響いた。
みると、ピンクの髪をしたセーラー服の美少女がこちらを見て慌てている。
だけど、驚いたのは私も同じだ。

「……三十(みと)? なんで……」

彼女の姿は、かつて私とともに歩んでくれた『彼女』の姿に瓜二つだったから。

 * * *

「三十の姪っ子さん、かあ」
「はい、そうです。三十お姉さん……一三十(にのまえ・みと)さんは私の母の妹に当たります」

気が付けば、彼女と私は並んで砂浜に横になり、世間話に花を咲かせていた。
話題の殆どは、共通の知り合いのこと。
といっても、彼女……一十(にのまえ・くろす)ちゃんの方からは三十はたまに親戚会議で会うお姉さん、程度の認識でしかなかったようだが。
彼女が若くして亡くなったことも、人づてに聞いていた程度、らしい。
共通の話題が口を軽くするのか、いつの間にか私はプライベートのフランクな話し方になっていた。

「亡くなってしまったのは残念ですけど……三十お姉さんはきっと、うれしいと思いますよ」
「なんで? 自分の名前の年齢にもなれないで死んじゃったのに」
「うちの一族、三ケタとか兆とかいるんでそれは別に珍しくは」
「そ、そう……」
「ええと、そういうのではなくですね」

こほん、と咳払いをして、十ちゃんは言った。

「亡くなってからもずっと思っていてくれる人がいるってことは、幸せだって思うんですよ。
 それってきっと、生きててくれるってことだと思うんです」

海辺にあるまじきさわやかな風が吹いた。
なんとなく百合の花の香りがしたような……いや、なんでさ。

「……ふふっ、ふふふっ」
「む、蘭さん何がおかしいんですかっ。
 私今結構いいこと言いましたよ!?」
「いや、ごめんごめん。
 でもそうだね、思っていれば生きてる、ってことかあ」

思い続けること。
思いながら、生き続けること。

「……そういえば十ちゃん、デスマッチの勝敗は二連敗って言ってたよね」
「はい、残念ながら」
「じゃ、手負いのお姉さんを相手に勝ち星持ってきなさい」
「え……えええいいんですか!? じゃなくって、そんなことできませんよ! 蘭さんボロボロじゃないですか!」
「いいからいいから。もちろん手を抜くつもりはないけど、あなたになら私からの勝ち星、上げてもいいかなって」
「うー……では遠慮なく」
「ほんとに躊躇ないなー!?」

てなわけで。
素極端役 蘭、これにて三連敗と相成りました。
でもま、これなら気持ちよく次の戦いに行けるかな。
……十ちゃん、完全に脚潰してこなくてもいいのに。おー痛。

(素極端役の連戦連敗・了)


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