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ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ

1流血少女GK:2015/08/01(土) 23:45:07
生徒会用

11素極端役 蘭(三国屋 碧沙):2015/08/04(火) 02:15:51
【素極端役の清掃活動】

光あるところに影あり、というのはよく聞く話だ。
少なくともここ、海浜リゾート『メロウズ』という場所において、それは少なからず事実として存在する。
だが、お客様達にそれを気取られるわけにはいかない。
お客様はここに光り輝くリゾートを満喫しに来ているのであって、余計な影はお呼びではないのだ。
その結果何が発生するかというと話は単純で、余計な影をお片付けするお仕事が発生するのである。


私立妃芽薗学園臨海学校、1日目、深夜。
メロウズホテル地下、中央管理空調システム基幹部。
直径200mを超えようかという広大な地下空間から、各部への配管が整備されている。
このホテルの空調を一手に握るこの施設内に、動くものは誰もいなかった。
痙攣する警備員たちと、黒いライダースーツの男。
そして、『私』を除いては。

「くくく……バカなやつらでガス。この俺様のガスにまともな人間が抵抗できるわけがないでガス」

異様な男であった。
その肉密度は重量級の関取もかくやというほどの巨体。全身をぴっちりと覆うライダースーツからはえもしれぬ『これどこで売ってるの?特注?』感がにじみ出る。
そしてなにより、男の顔面は軍用と思われるガスマスクで覆われていた。
異様な、男であった。
ありていに言って変態であった。
控えめに言ってもあまりお近づきになりたくない。

「失礼な気配がするでガス! まだ隠れているやつがいるでガスね? 出てくるでガス!」

おっと、心の声が漏れたかな?
ぶんぶんと怒ったように両手を振り回す巨漢の気配に、『私』は肩をすくめる。

「出てこないでガスね。この串威武手 毒人(くしいぶて・どくと)様に恐れをなしたガスか? まあその方が好都合でガスがね!
 我らの『換気口を通じて毒ガスを流し女子学生大量死、メディアキャンペーンを通じて腐れリゾートを撤退に追い込もう作戦』はもう完遂間近でガス!」

やめようよそういうバカ丸出しなネーミングなのに被害甚大な行動に出るのさあ!?
しかしそれは大変だ。そんなことをされたら確かにリゾート運営どころではなくなってしまう。
メディアキャンペーンまで視野に入れていることを考えると、こいつはリゾート反対派の中でも過激派、そして勢力の大きい連中に飼われている魔人といったところだろう。
見た目は丸腰だが、おそらく毒ガスを使う能力者。毒ガスのボンベを持ち運ぶ必要もなく、作戦には適任という訳だ。
そしてこいつを阻止できる人員は、少なくとも彼の半径100m圏内には存在しない。
『メロウズ』大ピンチだ。
普通ならね。


カカカカカカッ。
コンクリートを何かが連続して叩く音が響き。そして。

「ガスゥ!?」

次の瞬間、ガスマスク男のライダースーツのあちこちが切り裂かれ、男がたたらを踏む。
周囲には人の姿が見えなかったにもかかわらずだ。

「ちぃっ、腐れリゾートの手の者でガスね!?
 見えないのに攻撃……透明能力者でガスか!! おのれ小癪なでガス!」

ガスマスク男が両手をぶんぶん振り回す。癖なのかなあれ。
それと同時に彼の周囲にいる警備員たちの痙攣が激しくなる。
あ、やばい。ガスの濃度上げたとかそういうやつだあれ。
『私』はたぶん大丈夫だけど、警備員のみなさんの危険が危ない。
でもまあ……集中はだいぶそげたみたいだし。行っちゃおう。

『私』は柱の陰でかるく柔軟をすると、ふらりと姿を現した。
かつん。コンクリートの床をブーツがたたく音。
その音に、ガスマスク男がはっと振り向く。
カカカカカカッ。
『私』の足音が高らかに響いたのと、ほぼ同時。

「何者で、ガスぅっ!」

詰問の声と悲鳴を同時に響かせながら、ガスマスク男が吹き飛んだ。
うん、今度はちょっと衝撃強めにしたからね。いくら巨体って言ってもきついでしょ。
とはいえ彼もさるもの。とっさに空中で体制を整え、きれいに着地して見せた。
ちょっとした曲芸だね。お姉さん拍手しちゃう。

12素極端役 蘭(三国屋 碧沙):2015/08/04(火) 02:16:43
「拍手するなでガス! 馬鹿にしてるのかでガス!」
「まあ、割と」
「おのれおのれ、リゾート会社の犬が! 名を名のれでガス!」
「デb……じゃなかった、不審者に名乗る名前はないね」
「今デブって言いかけたでガスね!? これは筋肉が半分以上でガス!
 おのれ……えーと、スゴクハヤク! 覚えたでガスよ!」
「……なんで名前分か……あ」

そういえば急いできたから、胸のネームプレートがそのままだった。不覚。

「まあともかく、毒ガスまみれの不審者さんにはご退場してもらおうかと。
 覚悟してよね。ええと……さっき名乗ってたけど、何だっけ。毒々しいデブさん?」
「串威武手毒人でガスぅ! もう堪忍ならんでガス、女、覚悟でガス!」


怒髪天を突いたのか、ガスマスク男がこちらに向かって突進してくる。
並みの人間どころか、魔人でもひき潰しかねない恐ろしいスピードと破壊力だ。
並みの魔人なら、だけど。
私は余裕をもって突撃をかわす。ちゃり、とお気に入りの耳飾りが音を立てた。

「なんとでガスっ!?」

ガスマスク男が驚愕する。体勢が完全に崩れた。今!
数ステップで空間の端の壁まで移動し、クラウチングスタートの姿勢を作る。
そして、数瞬の間をおいて即座にスタート。

「S(素極端役さんの)……」

一瞬でトップスピードに達する。
音速を超えた私が衝撃の刃を発生させるけど、それは『彼女』が防いでくれるから、室内の被害の心配はしなくていい。

「S(すごく速い)……」

音速を超えた勢いのまま、100m超の距離を一気につめた私は、ガスマスク男に突撃した。
もちろん、彼にかわす事なんてできるはずもなく。

「H(ひき逃げ)!」

直撃を受けた彼がどうなったかは、言うまでもないだろう。
あ、死にはしなかったみたいだけどね。頑丈だなあ。


*****


「……ふう」

大体の後始末(警備員さんの救護手配とか、男をこっそり警察に引き渡す段取りとか)が済んだ後。
シャワーを浴びてバスローブに着替えた私は、従業員にあてがわれている個室のソファに沈みこんだ。
自慢じゃないけど、フロント兼魔人用心棒なんて仕事をしているとそこそこいいお賃金がもらえるので、このぐらいの柔らかソファは役得である。

「今回のは普通の魔人で助かったなあ……ちょうどウォームアップになってくれた感じ」

独り言は、私の昔からの癖だ。
状況を認識するため、考えを口に出す。
昔はこれで変な子だって思われたりもしたっけ。

ため息をついて、ソファの横のサイドボードに放ってあった手紙に視線を落とす。
魔人同士の死闘への招待状。
拒否権は無し。
はっきり言って割と冗談じゃない話、だけど。

「逃げるわけにはいかないし、生き残らないといけない……そうだよね、三十(みと)」

呼びかけた相手は何も答えはしなかったけれど。
彼女がどう答えようと、私の答えは決めていた。

……この後、私は地獄のような戦場に巻き込まれていくこととなる。

(素極端役の清掃活動:了)


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