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ダンゲロス邪神生誕祭 再生派 応援投稿スレ

1邪神様:2015/06/27(土) 22:26:26
再生派の応援はこちらにお願いします。

2太陽:2015/06/28(日) 08:34:04
第一話「元気で明るい太陽ちゃん」

「いっけなーい、転入初日から遅刻なんてっ!」
(私、太陽! 希望崎学園に今日から通う普通の女の子よ��キャハ)
 寝癖みたいなコロナを直す暇もなく家を飛び出した太陽は、食パンだった炭をくわえて家を飛び出す。ドアを開いた瞬間に空は曙になり、二三歩ほど駆けるとすっかり空が青くなった。
「きゃっ!」
 曲がり角。走ってきた男が太陽にぶつかる。
 太陽は三周ほど自転して、ぶつかってきた男に文句を言う。
「ちゃんと前みて歩きなさいよ!」
「……」
「ぶつかりそうになったらスイングバイしなさいって教わらなかったの……って、どこ見てんのよこのスケベ!」
 太陽が上気して真っ赤にフレアする。
「……」
 男は物言わぬ死体になっていた。
「あっこんなことしてる場合じゃない! …あんた、次あったらぶっ飛ばしてやるからね!」
 そういい残して、太陽は、一日で地球を一周できるほどの速度で駆けて行った。

 キーンコーンカーンコーン
「今日は…うれしい知らせと……とてもとても悲しい話がある。まずはいい知らせから…転入生の…」
「はい、いつも元気で明るくマイペース! 太陽です! 前のとこではクラス(太陽系)の中心でした! お前は熱すぎるなんて言われたりもしましたが、猫舌ですテヘッ☆この学校では天文部に入りたいと思ってますよろしくお願いします!」
「転入生の席は…」
 最後方の席が2つ並んで空席だった。先生は悲しい顔を隠さなかった。
 先生は白黒の写真を取り出す。いい笑顔の少年が写っていた。

「転入生の小惑 星くんは、朝、通学路で…………不幸にも……無惨な死体になっていたそうだ」
「あーっ! あんたは今朝の!」
「 超高熱の球で穿たれたような凶行にあったらしい………」
「だれが全身ホット女ですって〜!?」
「……式は日曜にやるそうだ…親しかった人は弔いに行ってくれ…」
 先生が少年の遺影を、彼の席ーー太陽の隣の机に置く。無表情に太陽をちらっと見た。
「まさかあんたが一緒の学校の、一緒のクラスの、隣の席だったなんて!」
「・・・」
「だ、だ、だ、誰が黒点パンツですってー!!」
 大陽は怒りで(核)爆発する。マグマが飛びちり転入生の遺影や机をどろどろに溶かす。教室の温度が5度あがる。太陽の前に座る貧乳めがねがばたりと倒れた。日射病だ。
「ちょっと、あなた大丈夫!? 保健室に誰か……ちょっと、あんたには頼んでないんですケド。この変態猿! 女の子に触ろうったって、私の点が黒いうちは絶対にさせないんだからね! …ほら肩貸したげる」
 太陽の触れた端から、貧乳めがねが泥のように溶ける。
「行こ」
 貧乳めがねちゃんだった炭をほんの少し乗せて太陽は教室から出ていく。
 太陽は狂っていた。

次回予告「うわさの先輩」
絶対見てね��

3黒渕さんの妹:2015/06/28(日) 14:46:25
第一話「黒渕さんの日常」
 希望崎学園2年E組教室にて、邪神様復活を間近に控えた六月のある日のことであった。
 ゴールデンウィーク明けに繰り広げられた焼きそばパン争奪戦で激闘を繰り広げたコープスペイントの生徒こと、闇雲希の頭に唐突だが、ズワイガニが突き刺さっていた。
 「や、闇雲くーん!!」

 叫んだのは、その闇雲くんとお付き合いをしている同級生の黒渕さんこと、黒渕さんである。
 黒渕さんだが赤フレームを掛けていると言うのはみんなが知っている眼鏡な文学系地味目少女である。

 めがねー

 「せいっ!」
 ああ、何と言うことであろうか。
 その両手には見るも禍々しき太刀魚が! 先程まで捧げられたJKの靴下が陰惨たる海の幸へと変じているではないか! その鈍き妖しき輝きたるやまさに妖刀正宗もかくや!

 両手をして投擲された太刀魚は見事闇雲くんの眉間に突き刺さっていた常人なら即死!
 だが見るがいい、相手はその黒渕さんに十四時間ぶっ続けで頭をガンガンされ続けても狂気を失わない男である。なんとか太刀魚の形に頭が凹むだけで済んでいる。
 これが……魔人!?

 ズワイガニの下手人はまたしてもJKであった。
 その両手には北海で丸々太ったズワイガニ、これを希望崎パシリ中間管理職に向けて投げ放ったことは間違いない。
 黒渕さんだがカラコンを付けていると言うのはみんなが知っている理学系派手目少女である。

 すてんどぐらすー

 「妹っ!?」
 だが、その顔立ちはよく似ている。
 ああ、彼女こそは黒渕さんの妹こと黒渕さんの妹である。
 ちなみに、あれから黒渕さんと闇雲くんが出来ちゃった婚をして闇雲くんが婿養子として黒渕家に嫁いだわけではないのであしからずっ!
 黒渕さんの妹と闇雲くんはこれが初対面である。

 問いただす声も虚しく、「せいっ、せいっ!」「アアアアーッ! アアアアーッ!」
 嗚呼、何と言うことであろうか! これはまるでラッコ!
 ラッコのように頭に突き刺さったズワイガニと腹にめり込んだズワイガニを使って固い殻を割って食べている! 闇雲くんが!! コの字になって自動カニ割りマシーンになっている! どういうことだよ!
 
 一説に、ボクシングにおいて脳天に一撃でKOを喰らった選手は天上の至福を味わうと言うが、逆にストマックに重い一撃をもらった者は地獄のような苦しみを抱くと言う――。
 姉直伝のかち割り方を実践している黒渕さんの妹によって、闇雲くんはカニの旨みとハラの痛みを同時に味わっていた。

 人間には幸福よりも不幸のほうが二倍も多い。-ホメロス

 ちなみにこんな時、闇雲くんが助けを求める悪魔は、黒渕さんの妹と付き合っている悪魔の真野さん(31)に連れ出され飲み会に出ている、よって不在。悪魔にも横と縦の繋がりがあったということ。
 
 「この、浮気者ーっ!」
 姉から恋人を寝取ってやろうと言う不埒な妹に対し、妹のズワイガニにうつつを抜かしている浮気男に対し、黒渕さんは太刀魚を投げた。
 ガキィン! 妹はズワイガニで防御する。その甲羅は大きく切り開かれていた。
 
 最強の太刀魚と最強のズワイガニがぶつかった時、どうなるんですか? -とある転校生
 この重要な命題を引くまでなく、双方は互角であった。
 なぜか? それは双方が論理能力でなかったというだけのことである。
 黒渕さんは靴下を生贄に太刀魚を召喚する……だけ。
 黒渕さんの妹はズワイガニを奪って召喚する……だけ。
 
 お互い、最強と言うにはおこがましい。
 だが、投げ合っているうちに焦りの表情が見えるのは黒渕さんの姉の方であった。
 姉としてアイデンティティーが揺さぶられる!? なぜか?
 それは、黒渕さんの姉が靴下と言う有限の資源(リソース)を消費しているからに他ならない。
 対する黒渕さんの妹の方はベーリング海で獲れたズワイガニを恋人から貢いでもらうことで、半ば無限の手元に置くことが出来る。勝敗の行方は明らかであった。

 「これで、これでお姉ちゃんじゃない。私が黒渕さんだぁーーーー!!」
 お前は何を言っているんだ。だが、これで黒渕さんが黒渕さんの姉と呼ばれ、黒渕さんの妹が黒渕さんと呼ばれる日が来たのだろう、きっと妹は姉と比べられて辛い日々を送って来たに違いない。
 「私が、一番闇雲さんを上手くガンガンできる!」
 
 その言葉に、延々とズワイガニを送り出していた真野さんの手が緩んだか。
 漁獲量が10パーセントダウン↓ それで十分だったか、黒渕さんの姉の瞳に火が灯る! 目にした瞳の姿が、遅い! そもそも、太刀魚の産卵シーズンはこれからだ!

4黒渕さんの妹:2015/06/28(日) 14:47:10

 最後の太刀魚(靴下)、対になったソレを上下に組み合わせ、合・体!
 これぞ、太刀を越えた大太刀、いや長巻――長巻魚であった。
 妹の嫉妬を、妄執を太刀切るようにして、そのズワイガニを両・断!

 距離を詰めた戦闘において、黒渕流太刀魚術は無敵。
 余談だが、黒渕さんのステータスにおいて体術は転校生でもなし得ぬ7を誇る。彼女が邪神生誕祭に参戦できなかったのはこの規格外さゆえであった。

 ズワイガニ、ズワイガニ、ズワイガニ……。
 投げつけられるズワイガニを鎧袖一触、ここはもう長巻の間合いだ!
 「瞳、覚悟ー!」

 ガキィン。
 だが、その銘刀「長巻魚」に匹敵するものを黒渕さんの妹こと「黒渕瞳」もまた持っていた。

 ……カニカマをご存じだろうか、本邦においては婦人が自害する際に用いられる小刀の如き弱々しさであるが、そのカニカマもフランスに渡っては「SURIMI」と名を変え、あまりにも長大な、そう太刀魚のようなサイズとなってチャンチャンバラバラ。
 フランス人の間でサムライかぶれが刃傷沙汰を起こす際に用いられるのもこのSURIMIとして一部に規制の動きがあると言う。
 主にスケトウダラとかを用いたまがい物でさえ、これである。
 では、百パーセントズワイガニで作られた本物であればどれだけの硬度と切れ味を発揮しえるだろうか。

 JKのおみ足で温められ続けた太刀魚と匹敵する硬度10。
 号して「すりみ」。赤い色はきっとカニの色だ――。

 一合しても砕けない。
 ならば、二合、三合――。
 「せいっ!」「せいっ!」「せいっ!」
 両親の元、競い合ったあの日々を思い出すようだった。
 姉は太刀魚、妹はズワイガニ、道は違えたけれど――。

 この姉妹は真摯だった、かち割ると言う行為に対し危険であるほど。
 十、二十――。ベーリング海は今も寒いのだろうか? 
 妹は知る由も無かったが、想像は出来た。ならば誠意を込めてカニカマを振るう――。

 黒渕さんは揺るがない。太刀魚がなくなったらクラスメートの太刀魚を奪うだろう。
 五十、七十――。闇雲くんの頭を断固としてかち割ると言う揺るぎなき意志。
 妹は知っている。かち割れるズワイガニがすぐ近くにあったから寂しさを紛らわせてこれた――。

 「「せいっ!!」」声が重なった。目指すところは同じ。
 九十九、百合――! 丁度、百回目の太刀魚とズワイガニの逢瀬をして、双方は砕け散っていた。
 教室はなお、磯臭く染まった。夏の香りと百合の気配……、認めよう、妹は姉が大好きなことに。

 そして、百一回目のプロポーズが届いたのはどちらが先だったのだろうか?
 渾身の右ストレートが闇雲くんの脳髄を揺らした、早かったのは黒渕さん――だ。

 「お姉ちゃん、おめでとう」
 姉を心配する妹に戻った祝福の声がフェードアウトしていく闇雲の意識の中に溶け込んでいった。
 闇雲くんは砕けない――終。

5太陽:2015/06/30(火) 01:28:46
第八話「あつあつ」

 授業から解放された生徒らの喧騒と、どこかで聞こえる小気味よい音楽。騒々しい昼休み、教室にに少女が一人。
(ひどくあつい…)
 盲目の少女・亡目凪。
 転入生の噂は彼女の耳にも入っていた。これは、彼女が盲目であるが故に強化された聴力とは関係がない。その転入生が、誰でも一知っている太陽系随一のスターであったからだ。誰でもが話題にしているのだ。
(あの転入生がクラスにきてるのだろうか? 全身が燃えるように熱い…)
 夏が近い。今日は猛暑日なのだろう、と亡目は思った。しかしそれにしても暑すぎる。亡目は前の席に座る巨乳めがねの肩を叩いた。
 巨乳めがねは、カルトな亡目に優しく接する唯一の異教徒だった。早く真理に目覚めればいいのに、と亡目は思っていた。だか巨乳めがねは炭になっており、もはや目覚めることはない、亡目のふれた衝撃でぼろぼろ崩れ、人の形をやめた。死んでいるのだ。
(なんたる!)
 亡目がよくよく異変に耳をすませると、賑やかな喧騒は阿鼻叫喚の悲鳴ではないか。そしてあたりはポンポンパチパチと軽やかな音を立てているが、これは、高熱で燃え爆ぜる音だ!
 極度の脱水症状で意識朦朧としていた彼女の総身に力が入る。逃げなければ!
「ヤパーー!」
 亡目は窓ガラスを体で破り、中庭へ着地した。瞬間、彼女のいた教室で科学的な爆発が起きた。
 燃え崩れ落ちる校舎に無い目を向けながら、亡目は、邪神再誕の確信をさらに強くするのであった。

 太陽が廊下を、天体の運行のようにためらいなくまっすぐに駆ける。廊下の無辜の生徒たちが溶けていく。
「あーん、一張羅が台無し! 今日の星座占いは絶対最悪!」
 まさしくその通り。最悪だ。誰にとっても最悪だ。
 なにがあったのか。
 石油王が油田を掘り当てる。そこまではまあ幸運と言ってもいい。だが石油が勢いよく空を駆け、希望崎学園に転入した太陽に命中し、引火した。石油はどんどん降ってくる。火に油をそそいだようなーーいやそれよりも恐ろしい、太陽に石油を注いだ大惨事。悪魔的確率だ。生徒らは今生最後の踊りを披露する。全身を燃やしながら。
「ちょっともー、男子! なにやってんのさ!」
 太陽があたふたと慌て灼熱が飛び散る。石油王に文句を言ってやろうと廊下を走る。一気に火が広がる。だから校舎が大変になる。
 太陽光発電を敵視する石油王とは、まさに火と油だ。口論になって、教室に戻ろうとすると、校舎が全焼していた。
「きゃー、地獄地獄!」
 そのとおり。世は平成、邪神は復活する。まさに地獄元年が始まろうとしていた…。

次回予告「おいしい魚の炙り」
お楽しみに☆

6黒渕さんの妹:2015/06/30(火) 22:20:36
第五話「ベーリング海の悪夢」
邪神様復活を間近に控えた六月のある日のことであった。
 かつて十人兄弟姉妹だった太陽ちゃんの最後の一人がこの天空からいなくなってしまったが、そんなこととは関係なくその日もスペースコロニー・北海道周縁の小惑星帯(アステロイド・ベルト)「ベーリング」は荒れ狂っていた。
 
 〜かつてジャイアントインパクトによって形成された地球の真田丸「シベリア」は隕鉄や石油など多くの戦略資源を産出し、それを取り囲む星の海もまたカニやサケの好漁場として知られている。
 一方で古くからこの宙域は地球と宇宙の汽水域であり、北海道から発生する危険なスペースデブリの溜まり場として悪名を轟かせていた。二年前、シベリア・チェリャビンスク州に落着した隕石の記憶も新しい。

 先の宇宙大戦において北海道の外縁としてのコロニー群、いわゆる北方領土、千島列島、南樺太をソビエトに奪われた北海道民は年間三兆円と言う多額の入漁料を払い、漁業に従事している。〜

 -『かえせ、北方領土! 我ら父祖の血。北海道民のしおり』より抜粋
 
 「おや、裕輔くん。勉強中かい?」
 船長が声をかけてくる。僕はそこまで読んでいたしおりをパタンと閉じた。
 船長は真野さんと言う悪魔だ。四十年くらい前に戦闘機に乗ってソ連から亡命してきて、その時にエゾヒグマである僕の父さんに世話になったとかで、回り回った縁と言う奴だ。
 
 そして、僕は父さんが作った借金を返すためにカニ漁船に乗っている――。

 「ネガワクバーーーー!!!」
 うるさい。
 群れからはぐれて降下したエゾシカだろう。第一宇宙速度に達したスペースデブリがやつを貫く。
 発狂して宇宙服を脱ぎ捨てたロシア人が即死した。ここは地獄。
 北海道猟友会は陸上自衛隊のマンパワーも利用して、エゾシカ駆除を行っているが年々増加の傾向を見せているそうだ。
 天敵のエゾヒグマの減少が原因かと思うと、どうしても他人事には思えなかった。
 死者・行方不明者七千名を数えたちょうど百年前の事件を考えれば、駆除は止むなしなのだろう。

 真に恐ろしいのはアイヌを民族として滅ぼし、ロストテクノロジーと化した北海道のメインフレームである「ゴリョウカク」を短期間の内に掌握せしめた明治新政府、生存に駆られた大多数の日本人だった。

 僕は誰なのだろうか?

 内地と北海道、人間とエゾヒグマ。
 父さんが起こした事件で負った借金のため、僕ら家族は一家離散を強いられた。
 幸い、人死にが出なかったたが莫大な補償金を背負うことになった父さんは過酷なシベリアに出稼ぎ労働に出ている。
 僕は東京の叔父夫妻の所に身を寄せることになったのだけど、少しでも家計の足しと思って、少しでも早く元の家族に戻れるようにって応募したアルバイトがこのカニ漁船だった。
 中々首を振ってくれなくて、最後は口から放射熱線を吐いたところでようやく頷いてくれた。
 
 ……ところでふと思うことがあるんだ。熟練の猟師でさえ集られると五秒で骨にされるズワイガニを相手にして生身で立ち回っている僕が言うのも何だけど、この海は普通の女の子が挑むには酷過ぎる。
 「ひ、ひぇええぇ〜〜〜〜〜」
 真野さんのベアークローが女の子――宇佐さんに襲い掛かろうとしていたエゾジャケを貫く。
 悪魔である以上は鮭を取るなんてお茶の子さいさいなのだけど。
 眼下に捨てた。エゾジャケは商品価値が低く、普通のカニ漁船は相手にしない。
  
 「安心しなさい。邪神様の手前、君を殺させなどしないさ」
 「え、はぁ……ありがとうございます」
 彼女の名前は「宇佐鞠子(うさ・まりこ)」。詳しくは知らないけど、真野さんが仕えている邪神と関係あるとかだった。
 このカニ漁船は、僕や彼女みたいなロクデナシの魔人が流れつく、そんな場所なんだ。
 
----

7黒渕さんの妹:2015/06/30(火) 22:23:04
 人畜無害な魔人・宇佐鞠子がどうしてカニ漁船に乗っているのか?
 時を少し遡る。

 つまり、妖怪のせいだった。ほんの些細でちっぽけな妖怪「キャラかぶり」が邪神教団の同じ仲間たちの結束を狂わせたのである。
 「キャラかぶり」とはマイマイかぶりに似て、主にキャラを被る性質を持つ虫のような妖怪である。
 それを目撃して、ついでに宇佐鞠子を見た罠大居茶兎代(わなおおい・ちゃうよ)は思った。
 「あ、こいつ。私とキャラ被ってんなと」

 かたや飛び跳ねるのに邪魔の無い貧乳、かたやプレイボーイを飾るにふさわしき豊満、と。
 一見、二人は同じウサギ属性でも見事に棲み分けがなされているように見える……だけだっ!
 「ぎぎぎ……、兎が罠にかかって死ぬ世界なんて大っ嫌いだッ!」

 何たる矛盾か!?
 罠大居は自らの手でウサギを罠に追いやっていながらそれを嘆き、血の涙まで流している。
 欺瞞!

 だが、邪神の信徒としては……おめでとう! おめでとう! おめでとう!
 ☆Congratulation☆

 こうして宇佐鞠子は北海道最大の歓楽街「薄野」でソープに沈む羽目になった――
 寸前で真野さんに出会い、救われたのであった。

 あと、一時間遅ければメロン熊の中の人として客を取らされることになったことを考えると、幸運と言わざるを得なかった。
 真野さんは悪魔である以前に熊である。
 何も知らぬ少女が着ぐるみプレイをさせられているのを見るほどに鬼ではなかった。悪魔だけど。
 話を聞くと、彼女は邪神様の信徒だと言う。だが、真野さんはあくまで悪魔であった。
 
 悪魔として一度結んだ契約を途中で破ることは出来ない。
 それは、真野さんの師匠である百エーカーの森の大地主、夢の国のクソ権利関係にうるせぇー黒ネズミに囚われた黄色い悪魔も、火の国で安定を求めて公務員をやることになった黒い悪魔にも言えることだった。
 余談だが、アイヌの伝承で人を殺めた熊は真野の……失敬、正確には魔物、つまりは悪魔(あ、くま)と化すと言う。裕輔くんの父はあと一歩のところで魔道からの誘惑に屈する所だったのである。
 
 そして、宇佐鞠子は契約の代価として、等身大テディベアな悪魔さんにご奉仕することになったのである。
 回想を終わる。冒頭は三ヶ月間の年季奉公最後の日の出来事となる。
 港に着き次第、鞠子は解放されることになっている。
 そこで安心した、それがいけなかったのかもしれない。
 「ャキィィィィイイイイ!!!!」
 どこか懐かしい雄叫びが聞こえた――。

8太陽:2015/07/01(水) 15:05:35
第九話「美味しい魚の炙り」(水着回)

 希望崎生徒 in 熱海。
 浜辺でじゃれあうカップルがいた。青春の1ページだ。
「やったなー、えいっ☆」
 太陽がマグマ飛沫を浴びせると、モッコリ男はどろどろに溶けた。
 浜辺では、校舎全焼に巻き込まれた亡目が手掴みで、生焼けを口に入れる。焼かれてはならない、と脅迫観念的に。全部平らげると別のBBQで略奪を開始する。弟くんが炭寸前まで待っていた肉を手づかみで奪う。当然熱い。
「あちゃちゃぱーー!!」
 熱に恐怖する亡目が怒りのあまり肉を叩きつける。
「オ、オデノニク…」
 ビバ青春!

 ーー不幸な偶然により校舎全焼したあわれな希望崎学園の生徒らは募金活動などで校舎復興資金を集めていた。世界破滅を目指す再生派一派もまた、邪神様をむかえるカッチョイイ
神殿(兼学校)を設立するため、伝説の魚を釣り上げつる腹積もりだった。ーー

 熱海の沖は地中海に面しており、絶好の密漁スポットである。再生派の屈強な男らは、竹のような極太竿で獲物がかかるのを待っていた。船の屋根の影の、一塊のスライム以外は。
「サゲポヨー」
 ぽよぽよーんとした魔法少女のマスコット的な声を放つスライム・リア獣。このモンスターは思春期のジュブナイルの固まりであるため、ボーイ・ミーツ・ガールならぬ漁師・ミーツ・フィッシュ…つまり撒き餌に大変有
用なのだ。先ほどからちぎっては投げちぎっては投げされている。読者諸君も体をちぎって投げられては「サゲポヨー」と言いたくなるだろう。
 次はいつちぎられるか…。しかし誰もちぎっては来ない。みなは釣りをやめ、なにかざわざわ騒いでいるようだ。
「ワンチャン?」
 リア獣は体を伸ばし、みなが指差す海面を見る。日本一の圧倒的水量を誇る熱海。その海面は静かに凪いでいる。波はない。しかし海面から無数の生足がシンクロナイズドスイミングのように飛び出しているではないか!
 その足の群は沖からやってきており、経路を察するに、この船に衝突する。2マグロキロメートルはあり、いまからエンジンをかけても絶対間に合わない。恐怖!
「邪神様ー!」
 誰かが叫んだ。彼は邪神様に命乞いをしたのか? まったく逆である。これから面白く死ぬのでぜひ見てくださいという決意表明なのだ。なんたる信仰心!
 飛び出た生足は微動だにせず、ジョーズのように不気味だ。しかもそれが無数! 助かるはずもない。
 再生派漁師は恐怖したが、退屈の底にあったリア獣は違った。
「アゲポヨ!」
 リア獣は、無数の生足をマーメイドの足だと認識したのだ。確かに海に足が浮いてたら死体か人魚だと思うだろう。だが人魚は普通、上半身が人間で下半身が魚ではないか? その逆は不気味にほどがあるのでは? 想像し強烈なめまいに襲われたのか、はたまた恐怖からか船縁から吐瀉物を吐き出すものが一人。彼のゲロを小魚が食べる。小魚を大魚が食べる。食物連鎖! そして大魚を、顔から上がマグロその他はムキムキ筋肉の化け物が食べる!
「ギョビーー!」
 海面から飛び出した謎の半魚人! マネキンに巨大サンマの頭部を据え付けたような奇怪な化け物が次々に船に飛び乗る。そしてその剛腕で「ギョーー!」再生派を殺す!
 名状しがたき恐怖襲われる再生派で、先陣を切ったのが、そう、リア獣である。
 半魚人の股間はわずかな膨らみがあっだが、モリマンに見えなくもない。漁師力学的に可能性は半々、ならばリア獣のとる道はただひとつ。
「ワンチャン!」

9太陽:2015/07/01(水) 15:06:04
続き

 夕暮れ。太陽が眠たげにしている。
 海水浴を満喫した面々が帰路につく。遊び疲れてくたくたな足取りで。
「来年の夏もまたみんなと来られるといいね」
「オデノニク…トラレタ…」
「あ、日焼け止め塗るの忘れちゃった!」
「オデノカニ…トラレタ…」
 希望崎学園の近くで海水浴班と漁師班が偶然出会う。
「カラスが鳴いてるよ〜♪帰ろう〜♪カッコー♪」
「成果はどうでした?」
「眠いの私むにゃむにゃ〜♪」
 世界破滅をもくろむとは到底思えない穏やかな口調で優椎子が尋ねる。
「日焼けして赤くなっちゃった〜(笑)」
「ん、なんか変なのが一匹…一体? あとはキャッチアンドリリース。とにかく大変だった」
「あ、背中の皮がむけかけてるよ、えい!」ドロドロ
 合流して希望崎学園に向かう。ジュブナイル漂う雰囲気! 撒き餌と戦闘で消耗したリア獣がいたならウェーイwwと雄叫びをあげ、居酒屋やカラオケ屋を通るたびワンチャンと期待しただろう。
 倦怠感は夏の季語。夏に染まった再生派が希望崎学園の門をまたぐ。でっかい邪神様の神殿を建てなければ、と決意しまっすぐ目を向けると…
 そこはテーマパーク!方々から炎が燃え上がり、滝から新幹線が滑走する。池には紅茶型と睡蓮型の船が浮いておりぐるぐると回転している。遊園地だ!
 呆然としている再生派の面々に、小柄な少年が、歩行型コンビナートにまたがって近づき、いい笑顔で言う。
「校舎建てたよ!」
 少年は石油王。金持ち!
「君たちみんな遊びなよ。庶民から金を絞るような石油王らしからぬ真似はしないからさ。もっとも、邪神様を信じない奴らと支配派のボンクラは別だけどアッハッハッハッハ」
 呆気にとられていた優椎子が、はっと目を覚まし、ぎょっとした目で石油王をみる。
「ちょっと聞きたいんだけどさ、あそこの池って」
「もちろん石油だよ! USJ(Universal Sekiyu Japan)はオール石油! 僕は石油王だからね!」
 テーマパークを眼前にして、太陽の顔がぱあっと明るくなる。照る。夕暮れが一瞬に昼になる。夏は一日が早い。
「うわー、すっごい! あれ乗ろうよ!」

次回「地獄のUSJ」

10邪神様:2015/07/01(水) 21:24:59
>>2
>>5
>>8-9

両邪神様はこのSSを読んで酷く笑ったようです。超面白かった。なんだこれ。

>>3-4
>>6-7

こちらもなかなか評判が良かったようです。

これにより支配派の覚えは『良い』ぐらいにはなったような気がします。

11邪神様:2015/07/01(水) 21:36:33
支配と再生間違えたような気がしましたが目の錯覚です。再生派の覚えは『良い』です

12黒渕さんの妹:2015/07/02(木) 23:09:00
第十一.五話「カニカニパニック」
 邪神様復活を間近に控えた七月の頭の日であった。
 ここは名古屋、日本有数の大都市でありL.Aとか北海道へのアクセスも良い。

 宇宙カニ漁船から降り立ったウサミミ少女、宇佐鞠子は一Gの重力、溶け出した骨中のカルシウムが戻ってくる感覚にぶるりと体を震わせ、涙を流す。そして叫んだ。
 「ぴょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉおぉおおぉん!!!」

 蟹光線に焼かれる寸前で間一髪躱したこと、『平家蟹の顔の一つになりなァー!』と襲い掛かって来た落ち維新志士に殺されかけたこと、大破壊を終えて海に帰っていくホッキョクグマを目撃したこと……。
 すべて、終わってしまえばいい思い出には……ならない。
 「生きてる……、生きてるよぴょぉぉん……」
 語尾を偽ってまともな形に戻すことも忘れて鞠子は巣穴から飛び出たばかりかのように勢いよく走り出した。手には万札の束、ピザ屋に行ってビールで乾杯するには十分な額だろう。
 とにかく、鞠子は生き残った喜びに包まれ、今すぐ歌い踊り出したい気分でいっぱいだった。
 
 どっぴゃーーーーん

 だから、こう言ったありがちな擬音と共に誰かと衝突しても仕方のないことだったのかもしれない。
 「Oh……イタイデ-ス」
 ぶつかったのはコネチカット州にいそうなそばかすに髪をトウモロコシみたいにまとめた田舎の小娘であった。
 小娘の名前は「ビョウ・ジャックマン」。
 再生派に所属する毛唐ことジョー・ジャックマンの病弱な妹であり、昨日まで隔離病棟にいたはずのメリケンがどうしてここに?
 「ぴょーん……」
 見れば、先の衝撃で握りしめていた札束の帯が外れ吹雪いている。
 「大丈夫デスカー?」
 共和党員であるビョウは親日であり、日米安全保障条約の履行に余念がない!
 もっとも、拾い集めるそばから一割抜き取るのは忘れない。
 思いやり予算デース――この呟きは当然のこととして鞠子は受け入れる。
 なぜなら、ビョウの乗る車椅子が既に自爆シーケンスに入っていたからである。
 「スリー、ツー、ワン……ズィィロォォ!」
 「ぴょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉおぉおおぉん!!!」 

 本場の英検は流石に格が違った!
 脱出装置を兼ねた車椅子は鞠子を隣のピザ屋にまで吹っ飛ばし、ビョウを兄の手の中へとジャストフィッッッット!!!

 「Oh……Boe。アンタ、どうしてこんなところにイルデスカー?」
 「Oh! Joe……。ワタシはMs.Kurobuchi-san no Imoutoに会いに行ってタデース!」
 なるほど、理に適った話である。
 病弱な妹の目当てはカニであった!
 「Joe! ワタシの病気はナンデスカー?」
 「Cancer(ガン)デース!」
 「カニは英語で?」
 「Cancer(カニ)デース!」

 なるほど。ズワイガニのスペシャリストである黒渕さんの妹ならガン治療など容易いと言う事か!
 「「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA」」
 名古屋宇宙空港にてジャックマン兄妹の笑い声が響いていた。

 そして……、宇佐鞠子は。
 「うう……ひどい目にあったぴょん」
 「お? ギロの所に飛んできたのは誰でチョンパ?」
 特に意味もなく邪神様に献上する第二のお題を果たすために無駄な邂逅を果たしていた。
 それは置いといてもチョンパはかわいい。かわいいと主張したい。
 どこがかわいいって言うと――(強制終了)

 ----
 (つづく?)

13黒渕さんの妹:2015/07/02(木) 23:26:44
★ボニートヘッド
ギョゴゴゴゴ

(訳:
 発電労働ジョーク

 奴隷がバーを回して電気を起こす。
 これが本当のサンダーバー奴(さんだーばーど)。)

ゲゲギャ

(訳:
 労働発電ジョーク

 発電用の労働バーは一基につき十本あるんだ。
 これがホントのバーテンだー。)

グギギギョ

(訳:
 労働発電ジョーク

 教団本拠地へと通じる動く歩道は私達の労働によって動いています。
 これがホントの動くロード(労働)。 )

ゲゲッ

(訳:
 労働発電ジョーク

 連れてこられたばかりの人々が、まれに反乱を起こして
 発電が滞ることがあります。もっとも、すぐに収まります。

 この発電の滞りを『電気抵抗』と言います。)

労働発電ジョーク

連れてこられたばかりの人々の中には、邪神様に向かって
極めて失礼な態度を取る方がいます。
そういう方は、邪神様の怒りに触れて天に召されてしまいます。

この現象を『無礼カーが飛ぶ』と言います。
カーとはなにかは、私達にもよくわかりません。

(訳:グギゴーゲヒャヒャギョギョヘ)

ギョ……ギョグギ。

(訳:
 労働発言ジョーク

 ある日、監督のモヒカン様が
 日頃の行いを珍しく讃えるために、特別に野菜を差し入れてくださったんだ。
 でもジョニーの奴、疲れてたのか錯乱してやがって、もらった野菜を
 労働バーにぶっ刺しちまったんだ。みずみずしいナスをな。
 これが本当のボーナスって奴だな。

 ジョニーかい?監督が脳天に釘バットぶっ刺したらそのまま動かなくなっちまったぜ。
 それでも労働バーは回るんだけどな。)

グゲゲッ

(訳:
 これは古代エジプトから発見された壁画です。
 この頃から労働発電バーがあったことが窺えますね?

 0006.x0.to/oo/gif/roudoubar.png)

14黒渕さんの妹:2015/07/02(木) 23:32:25
★ボニートヘッドその2
ギョゲゴッ

(訳:EXILEジョーク。

こないだ動物園に奴隷共を息抜きの慰安旅行に連れて行ったら、
七色発光円筒状ライオンに血を吸われやがったんだ。笑えるだろ?

これが本当のチューチュー奴隷ン(ドレイン)ってな。)

ギョギョギョーン

(訳:
 EXILEジョーク。

 こないだ、奴隷リーダーがクタクタになってたんだ。
 目の焦点は合ってないし、よだれも垂らしっぱなしだから
 流石のモヒカン監督も休ませようとしたんだが、リーダーはうつろな目で
 「これでオレもEXILEのリーダーだ、へへへ」って笑ってたよ。

 疲労だけに、HIROって言いたかったんだろうな。

 リーダーはどうしたかって?休んだ様に死んでるよ。
 今はオレがリーダー、つまりHIROってわけだ。
 ほら、MAKIDAIもATSUSHIもTAKAHIROもメンディーーーーーーーーーー…………


 「……ったく。コイツも気が触れちまったか。
 おい、ライオンのエサにするからコイツ運んでくれ」 )

★やられさん
労働者
日の目見れずに
バー回し
来る太陽
火の手が回る

宇宙(そら)の果て
越える勢い
ロケット商会
社員旅行は
ドラゴン殺し

★黒渕さんの妹
監督モヒカン、心の一句

回せども
回せども
ワット数
上がらない
この豚共がァ!

黒渕さんの妹、心の一句
死ねば薪
糞でも食ってろ
労働者

黒渕さんの妹、心の一句

ハムスター
廻ってる
労働者
過労死で
輪廻する

労働バー
邪神様なら
ポッキーさ

15黒渕さんの妹:2015/07/02(木) 23:36:48
★江地手 恋日
労働バー発電のハイク

ただ回せ
回さば神の
覚えあり
しかし奴隷は
見分けが付かぬ








★たびびとさん
おやー?
たまたまこんなところにお題に合致するイラストがあったでヤンス〜
置いておくでヤンス

tp://twitter.com/kakono_hito/status/615531327408898048/photo/1

ギロチンたん
tps://twitter.com/kakono_hito/status/616596099445338112/photo/1

エグザイル労働バー発電
tps://twitter.com/kakono_hito/status/616600412678782977/photo/1

16邪神様:2015/07/04(土) 17:13:27
皆様にご参加いただいた献上品ラジオにより邪神様は非常に満足しました。
個別評価はラジオの時にやったということで控えさせていただきますが、総合して再生派の覚えは「あなたが神か」になりました

17口舌院扇動:2015/07/04(土) 17:36:50
口舌院扇動は考える。
扇動家には、大きく分けて二種類の扇動家がいる。
即ち、「自分の思想をあたかも他人の思想のように語る扇動家」と
「他人の思想をあたかも自分の思想のように語る扇動家」の二種類である。
こう言い換えても良い、自分のエゴを他人に押し付けるものと
他人のエゴを自分の好みに変節させるものとだ。
こう分類したときに自分は後者で、『奴』は前者だ。

「口舌院様、お迎えに上がりました」

用意された車に乗り込み、再び考える。
『奴』は知能は高いが才覚には乏しい、三流の政治家だ、間違いない。
だが、同時に一流の政治屋であることも間違いない。
本来、権力者というものはクーデターや内乱が起こった場合
失脚するのが常である。
我が教団において、昨今起こった支配派と再生派の内乱は
『奴』にとって、致命傷になりうるものであった。
ところが『奴』は小賢しく立ち回り、自身の地位を守った挙句
国防委員長に就任するなど、順調に権力基盤を固めている。

18口舌院扇動:2015/07/04(土) 17:37:27
投下先間違えました、申し訳ありません

19太陽:2015/07/04(土) 18:57:28
第十話「地獄のUSJ」(不謹慎回)
 前回のあらすじ。
 新築校舎は石油のUSJ。滝もプールもすべて石油。太陽が遊びでもしたら地獄になることは火を見るより明らかだが…?

「80cm以下はご利用なれません」
 盲点なことに太陽は身長制限のため、どのアトラクションにも乗れずにいた。もはや怒りは頂点である。
「私地球よりでかいんですけど!」
 石油駆動ロボに文句を言っても仕方がない。
「80cm以下はご利用になれません」
「太陽なんですけど!」
「わかってください」
「わかってないんですけど」
「80cm以下はご利用になれません」
「太陽なんですけど!!」
「わかってください」
「わかってないんですけど!」
「888888888888888」
 太陽がこづくとロボットはどろどろに溶けた。燃料タンクに当たっていたら延焼し周囲1kmは焼け野原と化すだろう。幸い的綱渡り。
 集団女子が太陽をおもんぱかって、身長制限のない施設に誘う。
「鏡迷宮あそこ行こうよ」
 しようがないと提案に乗る。オール石油のUSJ、まさか鏡まで石油ではあるまい…。

鏡迷宮難易度2
ほの暗い鏡針の迷路。機会仕掛けの通路は時折動くため、壁に沿って歩いてもゴールにはたどり着けない。

「眩しい!」
 太陽が反射して通路が丸わかり。
「まさに洞窟にトーチカだね」
 諺を交えて談笑できたのも束の間、集団女子は全方向から照らす太陽の猛火に意識を失ってしまった。
「みんなどうしたことなの! 私がゴールまでかついだげる!」
 太陽が集団女子を担ぐ動作をすると、彼女らは一人残らずどろどろに溶けた。彼女らの炭を太陽の北極に乗せつつ、出口はどこかと思案する。
「出口は東…目の前に太陽があるから正面を突っ切ればいいのね!」
 直進し鏡をドロドロに溶かして突っ切る。今度は斜め右に太陽が移っている。
「今度は斜め右ね!」
 斜め右に突っ込んで鏡をどろどろに溶かす。
 カップルがいてその奥に太陽が見える。
「どいたどいたー! こっちは人命がかかってるのよ!」
 カップルはなすすべもなく溶かされる。
 数分後…。
 迷宮の鏡は一枚残らず穿たれ、人間は一人残らず溶かされてしまった。
「あー、面白かった! 次はあれに乗ろう!」

メリーゴーランド難易度1
機会仕掛けの暴れ馬に跨がり、制限時間まで振り落とされぬよう馬上に居続ける遊び。馬の経路は円状になっている。

「よぉーし、乗馬するぞー」
 木馬が回転し始める。太陽は宙に浮いているため、ピンクの馬は、太陽を置いて走り去った。
「あれれ」
 後ろから筆記男子の馬がかけてくる! 筆記男子はどろどろに溶ける。
「あれれれ」
 後ろから勉強ロボットの馬がかけてくる! 勉強ロボットはどろどろに溶ける。
「あれれれれ」
 後ろから太鼓持ちの馬がかけてくる! 太鼓持ちはどろどろに溶ける。
「こういう遊びだっけ?」
 後ろから宇宙飛行士の馬がかけてくる! 宇宙飛行士がどろどろに溶ける。
「まっ、楽しいからいっか!」
 数分後…。
 木馬は一頭残らず動かなくなり、人間は一人残らず溶かされてしまった。
「あー、面白かった! 次はどれに乗ろう」
 太陽が辺りを見回すと、人っ子一人いなかった。賢いものはこれから起こる惨劇を火を見るより明らかに予測していたし、愚かなものも太陽の横槍を恐れたのだ。
「もう閉店時間なのかな? でもまだ日は出てるしパレードやってないし…」
 ふむ、と一コロナついた瞬間、滝から高速の新幹線が滑りだす。
「おっ、あれに乗ろう!」

20太陽:2015/07/04(土) 18:58:05
続き

体験型ジェット新幹線カスケード石油
難易度5
新幹線型のジェットコースター。石油発電のリニアモーターで、マッハ1まで上昇する。早すぎるため車体表面と外の石油滝が自然発火するが絶対安全の新幹線の内部には一切延焼しない。

「車内のお客様に連絡いたします。当駅始発の石油号は、天然ガス、ガソリン、灯油を経由いたしまして、重油駅に到着いたします。シートベルトをしっかりとしめ、窓の外の景色をゆっくりとお楽しみください」
「動いたー!」
 乗客は太陽のみ。窓の外は散布された七色の天然ガスが高速移動する新幹線とぶつかり、オーロラのような幻想的発火をなしていた。
「きれー」
 窓にべったりとはりつく太陽。
 続いてガソリンの線上の炎に、太陽の視線が奪われる。灯油の動的な炎に、目を輝かせる。
「最終駅〜最終駅〜重油駅に参ります。フェニックスの曼陀羅をどうかお楽しみください」
 一体どんなものだろう。太陽が窓に顔を押し付ける。超超防火ガラスがどろどろ溶ける。安全神話崩壊!いくら新幹線といえども太陽の熱には負けてしまうのだ! 人間の叡智vs太陽系の頂点はこれにて決着!
 新幹線が滝の頂上から落下する。太陽は身を乗り出し、ガラスを突き破って滝の流れに飛び込んでしまった。重油の滝! 飲み込まれては命を失ってしまうのではないか? しかし太陽はなにか天にも昇る気持ちでいた。太陽が滝に飲み込まれる瞬間、自分の体から、一途の炎が、滝に逆らい上っていく。フェニックスのように。
(私の魂がフェニックスとなり、邪神様のところまで駆け上ってくれればいいのに)
 意識を失う寸前、太陽はそんな甘い夢を見た。

(太陽。それがどんどんと遠くになる。太陽系の全貌が現れ、太陽は点でしかない。太陽系がぐんぐん遠くになる。銀河系の全貌が現れ、太陽系は小さな点ですらない。そうして銀河系が小さな点にまで遠ざかり、また現れた星の塊もひとつの点になる。あらゆる光が一点に、まったく消え去る。深い闇をぐんぐん遠ざかる。その闇は邪神様の眼であった)
(邪神様の姿は闇の中にあったが太陽にははっきりと分かった。太陽はまぶしく輝いていたがなにも照らすことが叶わなかった)
(邪神様がなにかで太陽を包む。太陽の灼熱でどろどろに溶けることはなかった)
(揺れる光ない海の底のような安堵が太陽を支配し、太陽は、闇へととけ込んでいった)
(そして闇だけが残った)

「邪神様ァ…」
 意識を取り戻した太陽ががばっとはねあがる。人工呼吸をしていた男の脳天がくりぬかれ焼かれる。心臓マッサージをしていた男は肘から先がない。
「あれ……ここは…私…一体……」
 石油王の少年が言う。
「全く、君のせいでとんでもないことになったよ! まあ、僕としては半年分の環境汚染ノルマ達成で嬉しいんだけどさあ!」
 太陽が半自転すると、USJ(新校舎)が地獄のように燃えさかっている。キャンプファイヤーを見る蟻のような絶望的無力感を与える、圧倒的火力だ。
「この炎! 邪神様へのいい狼煙になるんじゃないかな」
 太陽がぽつりとつぶやく。
「邪神様…」
 太陽が涙ぐむ。その涙は一瞬にして蒸発し、誰の目にもとまることはなかった。


次回・第十一話「邪神様をめぐって・上」

21太陽:2015/07/04(土) 21:24:52
太陽が 二つあるのに 両者出ず

22黒渕さんの妹:2015/07/04(土) 21:28:23
邪神様
盗んだハイクで
走り出す

23ボニートヘッド:2015/07/04(土) 22:34:46
0006.x0.to/oo/gif/sippuudotou.png

24ボニートヘッド:2015/07/04(土) 23:10:19
イラッシャーセェー……!

0006.x0.to/oo/gif/Ramen.jpg

25油野 石油王:2015/07/05(日) 00:16:28
『掲示板に突如現れた「油野 支配王」とはいったいなんなのか』


 千葉は石油コンビナート地帯。
 多くの企業や農家がコンビナートを栽培するこの地で、最近力を付けているコンビナート栽培農家があった。
 油野家。少し前までは平均的な一般家庭であり、栽培しているコンビナートの量も質もそれなりであった。
 そんな油野家に転機が訪れたのは約11年前。

「おぎゃあ! おぎゃあ!」

 産声を上げた子は、母体から出てきたばかりだというのに全身が石油で塗れていた。赤子を産湯につけるとあっという間に石油で染まる。
 父も、母も、この現象を見て直感的に理解する。この子はまさしく産まれついての“石油王”だ――と。

 それから、時は流れ。
 石油王と名付けられた少年はすくすくと育ち、褐色の肌に白いターバンが似合う立派な石油王となった。
 彼のお陰で油野家は大きく成長し、油野家は千葉でも有数のコンビナート栽培農家となった。少年はそれだけの力を持っているのだ。
 石油王オブ石油王を目指す石油王少年。だが、彼には最近悩みがあった。彼……というより千葉でコンビナート栽培を営む農家全体に共通する悩みなのだが。

「ふぅーむ……。しかし最近は良質の肥料が中々採れないね……」
「ぎえやぁぁぁぁはっはああああ!?」

 ランドセルに石油を詰めた少年は、目の前で悲鳴をあげて燃えていくモヒカン雑魚を淡々と見ていた。
 炎に包まれているモヒカン雑魚は、千葉のこの地域でのみ主に生息しているチバオイルモヒカンザコだ。その名の通り、石油を主な食料とするモヒカン雑魚である。
 そのため石油……特にガソリンに引かれる性質があり、「ヒャッハー! ガソリンを寄越しやがれ〜!」と考えなしによく襲撃している姿が見られる。
 石油関連の事業に身を置いてる人間としては害獣にしか思えない存在だが、しかし彼らを燃やした時に得られるモヒカン炭がコンビナート栽培の肥料としてとても有益なのだ。故にこのチバオイルモヒカンザコをどう処理するかが農家としての腕の見せ所といったところだろう。
 石油王は燃え尽きて灰になったモヒカン雑魚の死体に手を伸ばすと、固まったモヒカン炭を手に取る。

「……ダメだ。下の下、といったところだね」

 少し強く握ると炭がぼろぼろと崩れる。質が悪い。ガソリンではなく軽油で食をごまかしてきたモヒカン雑魚にありがちな出来だ。
 そう、ここ最近のチバオイルモヒカンザコの質が低下している……これが彼の悩みだった。
 一体何故こんなことになってしまったのか……調査を始める石油王。
 そして彼はあるひとつの事実を突き止めた。

「モヒカン雑魚を支配している存在がいる……?」

 モヒカン雑魚を制御することは一般的には難しい。だが、モヒカン雑魚の望みを満たした力の使い道を与えることで支配下に置くことはできる。
 略奪を望むモヒカン雑魚には略奪部隊を。放火を望むモヒカン雑魚には消毒部隊を。サンシタ性質が強いモヒカン雑魚には作戦部隊を。
 こうして、モヒカン雑魚を支配する力を持つ者は、「覇王」「暴君」などと呼ばれ、畏れられていた。
 良質なモヒカン炭を採集するためにはチバオイルモヒカンザコをのびのびと育てさせる必要がある。故に覇王・暴君は農家にとって忌むべき存在であった。

26油野 石油王:2015/07/05(日) 00:16:45
「この地域の覇王は15年前に討伐されたと聞いたが……まさか新たな覇王が現れたというのか?」
「そう、そのまさかだよ」
「!?」

 石油王の独り言に答えたのは、筋骨隆々の逞しい体を黒いマントで包んだ高校生だった。
 何より目を引くのは、金色の角がついた派手な兜に、トゲのついた肩パット。このような装飾に身を包んだ存在が何かを、石油王は教科書で学んでいた。

「お前はまさか……覇王か!?」
「そう、その通りだ。――弟よ」
「弟!? なんのことだ!」
「ククク……ならばよく分かるように名乗ってやろう。我が名は――」

 ――油野支配王

 覇王は、そう名乗った。

「知らぬ! 僕にはそんな兄はいない!」
「ふっ、そうか……。両親は我の存在をまるごと抹消したというわけか……。が、別にそれでも構わん」

 支配王はさして気にした様子もなく笑みを浮かべたまま言葉を続ける。

「石油王。貴様は知っているか……? 此度の邪神様の生誕祭を」
「……当然だ」
「貴様のことだから、再生派に属するのだろう」

 その通りだ。石油以外のエネルギーを滅ぼし、新世界を作る。これこそが邪神様に相応しい世界だ。
 だがわざわざ支配王の指摘が正しいことを肯定する必要はない。石油王は頷くことも首を振ることもせず沈黙で話を促す。

「……ふん、まぁよい。我は支配派に属するつもりだ。我は支配を司る男。当然だともいえる」
「……それで?」
「ふっ、知れたことよ。支配王か石油王――どちらが油野家を継ぐに相応しい男か、その戦いで雌雄を決しようではないか」
「へぇ、別に僕は今すぐお前を燃やしてやってもいいんだけど?」
「ハッハッハッハ。やる気があるのは良いことだ。その炎を燃やす油は生誕祭まで取っておくのだな」

 支配王が指を弾くと、どこからともなくモヒカン雑魚どもがモヒカン雑魚車を引いてやってきた。支配王はそれに乗ると、マントを翻して高らかに笑う。

「さぁ、決戦の日を待っているぞ! 石油王!! ハーッハッハッハ!!」
「油野……支配王……!!」

 そして、石油王は支配王を見送る。いつか彼と戦う日を覚悟しながら。






 なお支配派に属した支配王であったが、「あー、支配すんのはテメェじゃなくて邪神様だよふざけてんのか」という尤もな意見で、集団リンチされて殺された模様。


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