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弱そうな奴(奴ら)に嬲られるシチュ Part.3
61
:
名無しさん
:2019/10/10(木) 20:23:46 ID:???
(いま勝てなかったら、二度と勝てない……!)
夥しい汗で蒸れたパンプスのなかで、ヌメヌメと滑る足の指が悔しさにのたうつ。
この時、女王・尚華に芽生えた感情は、恐怖ではなかった。むしろ、たとえ今ここで命を散らしてでもこの少女に勝ちたい、という極めて激しい闘争心だった。
(許さない……! そんな華奢な体で私より強いなんて、この私に無様な姿を強いるなんて……!)
尚華は臍を固め、半身に構えた。
「いいわ、本気でやってあげるッ!」
尚華の声は震えて裏返った。やはりその理由も恐怖ではなく、憤怒と屈辱ゆえである。
「ププッ……なにその声、ダッサ!」
他方の少女は背後手を組み、踊りでも踊るかのように長い黒髪を揺らしてみせた。
もはや問答無用であった。
尚華は下半身に全神経を注ぎ、超人的な瞬発力で一直線に駆ける。憎たらしい笑みを浮かべた少女へ向かって。
少女も臆さず、軽やかに構えて迎え撃つ。
再び始まる熾烈な攻防。両手両足を用いた打撃の応酬。体格がまるで異なる二人の、凄まじい激戦。
しかし、先ほどとは明らかに様子が違う。誰もがすぐに、それに気づいた。
「ぐッ……!」
ギリギリと食いしばった真っ白な歯の間から、苦しげな声を漏らしたのは、尚華。
「キャハッ!」
あどけなさの残る顔を嗜虐的に歪めた笑顔で、楽しげな声を発したのは、少女。
前者は脂汗にまみれつつ長い脚を振りたくるが、その些か大振りな攻撃の隙を縫った少女の軽微な打撃を浴びてはその都度後退を余儀なくされている。
後者はほとんど汗もかかずに尚華の蹴りを紙一重で躱し、弄ぶかのような蹴りや突きを鍛え抜かれた巨女の体に叩き込んで行く。
「んッ! あんッ! このっ……! づあッ!」
筋肉を固めているため、致命傷には至らない。しかし確実にダメージを与え、蓄積させる打撃の雨あられ。何より、その惨めなまでの劣勢が、尚華のプライドを傷つけ、平常心を奪った。
(見切れないわけじゃない……でも捌けない、躱せない……! まさかこの子、私の動きを全て読んでる……?)
そうであった。少女は類い稀な観察眼と動体視力を以て、尚華のファイトスタイルと行動、諸々を把握し、絶望的な体格差を補い、そしてまんまと凌いだ。
その事実を尚華は、手足を交わす毎に痛感していた。
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