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弱そうな奴(奴ら)に嬲られるシチュ Part.3
55
:
名無しさん
:2019/10/09(水) 00:21:06 ID:???
「下品な子ね……躾がなっていませんわね」
苛立ちや焦りが顔に出ないように努力し、可能な限り声のトーンを保ってやり返す。
「そう思うなら今日の試合でアタシに勝って躾けてみたら?」
「勿論そのつもりよ。でも手加減はしてあげるから安心なさい」
「手加減? 何それ、負けた時の予防線?」
「このっ……口だけは達者ね……迷子かしら? どこで道を間違えちゃったの?」
「あ、話逸らしちゃった。もしかして図星だった?」
「あら、手加減されるのが嫌なのかしら? 生意気ね、それ相応の実力をつけてからになさい!」
まさかの劣勢に耐えられず、尚華はつい声を荒げてしまった。いつもクールな自分がムキになるのは無様、しかも子供相手にとは理解していたが、自制が効かなかった。
「別に嫌なんて言ってないけど、ボケてるの? オバサン」
しかし少女は憎らしいほど冷静に、的確に揚げ足を取った。
「いいわ! 思い知らせてあげるっ!」
「ま、どっちでもいーけど? 雑魚が相手じゃ本気も手加減も大して変わらないし」
信じられなかった。口喧嘩においても無敗を誇っていた自分が、年下の女に一方的に煽られるなんて。一体どうしてしまったのだろうか。
いつもならこの程度の挑発は笑って受け流すか、巧みに言い返すかしていたはずだ。この少女の言葉は槍のように鋭く残酷に突き刺さり、逃げ場を与えてくれない。
「本来ならっ! あなたのような出来の悪い小娘相手に本気を出すなんてあり得ないんだから! ありがたく思いなさい!」
尚華は完全に冷静さを失っていた。観客達も彼女が取り出している様子は声だけで十分に読み取れた。ここはアンダーワールド。芝居なんかではあり得ないのだから。
「あーあ、本気宣言しちゃった……これで負けても言い訳出来ないよ?」
悔しさのあまり蹴りを繰り出そうと、僅かに脚が動いてしまったが、なんとか抑えることができた。死合開始の合図以前に攻撃すると反則負けだ。
どんな形であれ、絶対にこの娘にだけは負けたくないという気持ちの方が優った。上手い言い回しを必死に考えたが、憤りで混乱した頭では全く思いつかない。
「っ……! ……心配しないで、お姉さんがおうちまで送り届けてあげるわよ! それとも病院がいいかしらっ?」
少女が口を開きかけたが、スタッフは女王である尚華に配慮したのか、マイクを下げてそれを阻止した。少女は余裕を保って仁王立ちしているのに対し、女王の方は目を見開き歯を食いしばっている。
誰がどう見ても、煽り合いでは少女の圧勝だった。尚華は敗北感に打ち拉がれながら、スタッフの指示に従って距離を置いた。
(許さない! 絶対に許さないわ! 一流エージェントだかなんだか知らないけど調子に乗って! 女王の私が本当の闘いの恐ろしさを教えてあげるから覚悟なさい!)
選りに選って年下の小娘に公衆の面前で言い負かされてしまった不甲斐なさは、尚華からいつもの余裕や貫禄を奪っていた。既に額と手の平、腋や靴の中は嫌な汗で湿っている。
彼女は気付いていなかった。いや、正確には認めたくなかった。これ程までに相手の言葉に傷つくのは、少女の美しさと若さ、輝かしい経歴に嫉妬しているからだと言うことを。
二人は舞台の中央で数メートルの距離を置いて、改めて向かい合った。死合開始前に決まって鳴らされるけたたましい効果音が響き渡り、尚華はその音で気持ちを入れ替えることができた。
これから行われる試合は、殺し合いと言っても過言ではない。ましてや相手は一流エージェントであり、殺しを仄めかした。あの目は本気だった。感情に振り回される者は死ぬ。
(そうよ! 口喧嘩がなんだっていうの? あの子が幼かったから戸惑っただけよ! 実際の闘いならあんな子に負けない! 思い知らせてやる!)
甲高いサイレンの音が炸裂した。死合開始の合図だ。少女の顔にはふてぶてしいまでの余裕が健在。彼女はその表情のまま、尚華へ向かって軽やかに駆け出した。
尚華も迷うことなく少女へ一直線に突進する。二人の距離はあっという間に縮まる。しかし尚華の方が目に見えて速かった。それを本人も自覚して、自信を取り戻す。
(芸はないけど、一撃で終わらせるわ!)
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