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1670自殺直後のゴッホのように色々と爆発したレス:2009/11/01(日) 18:21:33 ID:Ofa4Ovs20
――ノボルは六歳の男の子で、
「いつも根気よく何かをつくり出すことに熱中する性だ。」

「小刀、鉈、鋸、錐。小さい手が驚くほど巧みにそれを使いわける。
青洟が一本、たえずするするとたれ下がる。」

子守りのため「いつも彼の小さい背中には妹のリカが結いつけられている」ため、
角力、木のぼり、石けり、竹馬などの遊びの仲間にはめったに入れない。

ある日、ノボルは、ヨーヨーを買いたいと、母の「私」に二銭の金をせがんだ。
ヨーヨーは子供達の間で一斉に、はやりだしたものであった。

「初めてねだったいじらしい希望であった」が、
「私」の家には、子供に二銭を与える余裕がない。
お金がもらえないことがわかると、「ノボルのまつげは、ぱしぱしと絶えずしばたたいていたが」、
黙って外へ出て行った。

「私」は、以前読んだことのある、ある小説のことを思い出し、気にかかる。
それは、コマを廻す引綱を買う二銭の金が、母からもらえなかったがために、
子供が命をおとすという話であった。

「私」は、姿が見えないノボルに不安を覚え、「唯貧乏と戦うだけの心の寒々しさがうす汚く、
後悔が先だって何もかも哀れに思えて来た。…」

しかし、その夜――。
「吊ランプのともるうす暗い小屋の中は、珍しく親子入り交じった歓声が奇態に湧き起こった。」

ノボルが見事、ヨーヨーをつくりあげたのだった。

その材料は、「古い傷口が癒着して上下の樹皮がぼってりと、内部の木質を包んでまるく
もり上がった得難い小松の中枝」だった。
「都合よく癒着の線がくびれている中央にぐるり深くみぞを彫り込み」、凧糸を巻きつけてある。

「…売り物の形とはちがうが、狂わぬ均衡のカンに振動の呆けは見られない。
せまい小屋の中から、満月の青く輝く戸外にとび出したノボルは、
得意気に右手を次第に大きく反動させて、どうやらびゅんびゅんと、光の中で球は上下をしはじめた。
それは軽妙な奇術まがいの遊びというより、厳粛な精魂の怖ろしいおどりであった。」


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