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すぱろぐ大戦BBS・SS投下スレ

51名無しのも私だ:2007/08/05(日) 01:42:45 ID:mlH87fEY
――新西暦179年
 久方ぶりに帰ってきた実家。
 自室に仕舞い込んだ宝物を取り出してくる。
 彼の名はカーク・ハミル。月面の作業用重機メーカーに所属するロボット工学者だ。今日は久しぶりの休暇に、生家へと戻っていた。
 居間で入れてきたコーヒーを片手に、その宝物――ロボットの図面を眺める。
 彼が幼少の頃、父は大勢の科学者を集めこのロボットの開発を行わせていた。
 年の離れた彼の兄は、父の唯一の汚点であり、資産の浪費だったと嘆いているが、そうではあるまいとカークは思っている。
 中世のルネッサンスにおいても、メディチ家のようなパトロンの存在があったからこそ、美術と科学の高度な発展が臨めたのだ。父がやりたかったのはそう言う事の筈だ。資金を投じる事でロボット工学の発展を促そうとしたのだろう。
 が、そんなカーク自身、幼い頃にその科学者達に接した結果として、今の道を歩んでいるので、余り中立的な立場とは言えまい。
「まぁ、カーク叔父様」
「こんな所でお勉強ですの?」
 たたたっと二人の愛らしい少女が走ってきた。それぞれに栗色と金色の髪が印象的だ。
栗色の髪の少女はマナミ・ハミル7歳で、もう一人はアイシャ・リッジモンド8歳だ。二人ともカークの姪であり、マナミが兄のハミル泊、アイシャが妹のリッジモンド子爵夫人の娘だ。
「まぁ、綺麗な絵。まるでお花みたいですわ」
 アイシャが最外部の、つまり外観の図面を見つつ言った。
「あら、違うわ。これは絵じゃなくて“せっけいず”って言うのよ」
「絵とせっけいず、何が違いますの?」
「え?それは……」
 アイシャの切り返しに困っているマナミ。頼るような視線に負けて、助け船を出してやる。
「設計図というモノは機械の内側を説明したものだ。例えばテレビの外側だけを作っても、そのテレビは映らない」
 居間に置かれたテレビをスッと指さす。
「その内側を知るためのものが、設計図だ」


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