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ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅢ Lv6

1ただ一匹の名無しだ:2016/08/23(火) 21:28:42 ID:1wMv/96g0
こちらはドラゴンクエストのキャラクターのみでバトルロワイアルを開催したら?
というテーマの参加型リレー小説スレッドです。

参加資格は全員にあります。
初心者歓迎、SSは矛盾の無い展開である限りは原則として受け入れられます。
殺し合いがテーマである以上、それを許容できる方のみ参加してください。
好きなキャラが死んでも涙をぐっと堪えて、次の展開に期待しましょう。

まとめWiki
http://seesaawiki.jp/dragonquestbr3rd/

避難所
http://jbbs.shitaraba.net/game/30317/

前回企画

ドラゴンクエスト・バトルロワイアルII
http://seesaawiki.jp/dqbr2/

前々回企画

ドラゴンクエスト・バトルロワイアル
http://dqbr.rasny.net/wiki/wiki.cgi
http://seesaawiki.jp/dqbr1/

DQBR総合 お絵かき掲示板
http://w5.oekakibbs.com/bbs/dqbr2/oekakibbs.cgi

561ただ一匹の名無しだ:2017/09/21(木) 01:23:22 ID:EpfnSElY0
>>556の解釈について追加すれば良いのか
はいかいいえかで答えるのなら「はい」です。

それと私の発言の「銀河の剣の演出の意味」については、>>551の「」

562ただ一匹の名無しだ:2017/09/21(木) 02:22:43 ID:WJIBjwtQ0
途中送信失礼しました。
私の発言の「銀河の剣の演出の意味」は>>551の「愛を知り、一度笑ってからぎんがのつるぎで死ぬのであれば、ぎんがのつるぎをアークの元に置いて行く理由がありません。」に対する、「愛を知った後で死ぬとしても銀河の剣を持っていかない理由はある」という返信であり、その解釈に変えろという主張ではないです。自分の手で死ぬことが出来ないことと相反していなかろうが関係ありません。

楽な自殺方法を破棄したというのは銀河の剣で自殺しなかったことです。
仮にあなたの解釈についての解説が追加されても、「only lonely boy」でルーナはセラフィのことを「仲間のスライムを庇って死のうとした少女」と形容しているため、間違いなくマーダーのスタンスでなく「お人好しサイド」であることを認識したその上で会う価値を見出しています。
誰かに殺してほしいという思想が継続していても、ポルトリンクに行ってセラフィに会うことの第一目的が「殺してもらうこと」なのは、ルーナが自殺出来る出来ないに関わらず矛盾であり、そこに解釈の相違の余地はありません。

>>自分は自殺できないから(無意識に)愛について問うためというもっともらしい理由をつけて、ぎんがのつるぎは置いてきた
自分が最も「リレー無視」だと感じた部分がこれです。ルーナが思想の異常な特例キャラだということを考慮しても、前回の話で示された行動理念を「実は無意識に言ったでたらめだった」で片付けてしまうとどうしても前の作品を蔑ろにしているように見えてなりません。

563ただ一匹の名無しだ:2017/09/21(木) 02:34:34 ID:WJIBjwtQ0
場所を移動しながらだったのでID:KcUk30pY0で統一されてはいませんが、私の要望について。
元々は些細な違和感の指摘のつもりだったので具体的な改善案などを出そうとしていたわけではないです。
しかし、>>558の通りに「自分で自殺できないから前回の話ではただもっともらしい理由を無意識につけただけで、本当の行動理念は別にある」という展開を翻すことがないのであればリレー無視と判断し、破棄要求とします。

564ただ一匹の名無しだ:2017/09/21(木) 06:48:33 ID:amIroub60
こちらも横から失礼します。
確かに前回の話の最後で、彼らには愛が見えていたのか、セラフィが鍵を握ってる気がした、という描写があります。
ですがあくまでルーナの最終目的は最初から一貫して「死にたい」というもので、愛について知りたいという想いがそれを上回ったかどうかまでは決定付けられていないように感じます。
お人好しは殺すという思考も消えてはいないので、ルーナを説得しようとするセラフィを鬱陶しく思うのも、不自然でないのではないでしょうか。
人それぞれ解釈に差異が出てくるのは何にでもあることですが、リレー無視の矛盾とまで言い切るものではないと思います。

また、気になったのですが、元々改善案はなかったけど指摘しましたというのはどうなのかと思います。
最初から自分なりに線引きがあっての指摘なら分かりますが、要約すると改善案はないけど自分は納得できないから指摘して、修正と破棄のどちらがいいから尋ねられたから「なら破棄して下さい」という流れは流石にどうかと思います。
書き手さんが質問に具体的に答えても「それは違う自分の解釈はこう」とそればかり繰り返して破棄要求では、決着はつかないのではないでしょうか。

565 ◆CASELIATiA:2017/09/21(木) 07:09:54 ID:A.ATHUmA0
ありがとうございます

では正式な破棄要求が出されたので私も真っ向から反論します。
私はこれは言われるほどリレー無視であると思いませんので破棄要求は拒否します。

しかしl、互いの主張を通し続けるだけでスレを消費するのは建設的ではありません

ということで、日時を決めて投票スレかどこかで他の方の意見を伺おうと思いますがよろしいでしょうか?
そこで決められた結果に従うという形で行きたいと思います
何かもっと良い案がありましたら、他の方も提案をお願いします。

566 ◆CASELIATiA:2017/09/21(木) 07:13:32 ID:A.ATHUmA0
あ、投票で決める際などの細かいルール(トリ出し必須かどうか等)はこれから仕事なので、帰ってから決めたいと思ってます
もちろん自分が帰宅するまでにもっと良い決定方法があるならそちらにお任せします

567ただ一匹の名無しだ:2017/09/21(木) 12:50:56 ID:OyG0rcxc0
投票スレに投票のルールなどを簡易的なものを書き込んできました
以後、この問題は投票スレにてお願いします
投票とは別の提案がある場合も、投票スレにて書き込みをお願いします


長期に渡るスレ汚し失礼します
決着がつくまでもう少しお待ちください

568 ◆CASELIATiA:2017/09/22(金) 23:17:15 ID:YD6AqSe60
報告します。

>>537-547の「真っ赤な誓い」は修正無し、破棄無しでの採用となりました。
長い時間かけてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
今後このようなことが起こらないように努力したいと思います。

569ただ一匹の名無しだ:2017/09/22(金) 23:35:12 ID:YD6AqSe60
乙でした
提案なんですが、もう異議を申し立てることができるのは投下経験のある書き手に限ってはどうでしょうか?
正直、今回の件を思うとトリ無しの名無しとトリ必須の書き手さんが対等な立場で話し合うのは色々問題があった気がします。

570 ◆CASELIATiA:2017/09/22(金) 23:45:01 ID:YD6AqSe60
……すいませんさすがに上の発言は撤回します
申し訳ありませんでした

571ただ一匹の名無しだ:2017/09/22(金) 23:49:03 ID:Rw4D4ecE0
ええ…これはさすがにちょっと話変わってくるでしょ…
今までの反対者一人に対して賛成者複数ってかたちの議論が全部覆される可能性すら出てきたってことですよ

572ただ一匹の名無しだ:2017/09/22(金) 23:49:19 ID:9Q0ASX3A0
自演しなきゃまだマシだったのに……このタイミングで株下げてどうすんだよ?

573ただ一匹の名無しだ:2017/09/22(金) 23:54:25 ID:9Q0ASX3A0
それと他人に少しでも妥協できない奴はリレー小説に向いてないから書くのも読むのもやめたら?

574ただ一匹の名無しだ:2017/09/23(土) 00:18:19 ID:UyzI3trQ0
作品投下、そして議論乙でした。
提案については個人的には賛成で、やっぱり話を進めていくのが書き手である以上は書き手の意見がある程度優遇されてもいい様に思います。

あと>>568>>569は同じ方ですよね?(違ったら申し訳ありません。)
今回の件でお疲れだったのでしょうが、別人を装ったかの様にも見える今回の書き込み方は少し引っ掛かりました。
扱いが難しい部分に踏み込んだ提案だとは思いますが別段おかしな提案ではないと思ったので、今回の様な書き込み方をする必要は無かったように思います。

575ただ一匹の名無しだ:2017/09/23(土) 00:19:52 ID:UyzI3trQ0
あ、読み込んで無かったです。
なんにせよ乙でした。

576ただ一匹の名無しだ:2017/09/23(土) 00:22:54 ID:o1ANKVzo0
自分の意見は多数派だって見せる姑息なやり方でしょ?言ってることは正しいかもしれないけど、そんな自演する書き手は論外かな……

577ただ一匹の名無しだ:2017/09/23(土) 00:36:00 ID:438h6O6g0
色々あるかもしれませんがパロロワ企画ってのは趣味、娯楽の範疇なので、
それでストレスを溜めるようになっているのなら一旦離れるのも悪くないかもしれません。

578ただ一匹の名無しだ:2017/09/23(土) 01:10:55 ID:6Ab0ImIk0
やっと収束しかけたところにこの事態でピリピリするのは仕方ないと思いますが、攻撃的すぎるレスはちょっと引っ掛かるものがあります……
自演と思われる書き方に不満を覚えるのは分かりますが、それを超えた罵倒をするのは空気が悪くなるだけだと思います
妥協できないなら書くなといったものなど、今書く必要があることでしょうか? 名無しが言うことでしょうか?
今回の書き手さんの行動は確かに誉められるものではないですが、だからと言ってどんな言葉をぶつけても良いというものではないと思います……

579 ◆2zEnKfaCDc:2017/09/23(土) 01:36:40 ID:RVQRQixU0
今回の騒動の原因である>>550、並びに「only lonely boy」の書き手です。
投票スレで「謝罪に見えない」との意見が出たので他の方々に対する自分なりの誠意として、そして>>569を見て思うところがあった者として、今後このサイトでの立場が悪くなることは承知の上でトリを出して発言します。

「セラフィに恋をしているスライム、ポルトリンクに到着予定のアークを愛するポーラとトロデの死と直面するミーティア、等の伏線を考えるとルーナはポルトリンクでセラフィに愛について問い詰めるのが良いだろう」と自分なりに考えた伏線・行動理念が(アベルの介入という想定外を踏まえても)無視されていると感じ、冷静さを欠いた発言を繰り返し、話し合いという段階をすっ飛ばした理不尽な破棄要求をしてしまいました。
自分の発言で不快な思いをした方々には、本当に申し訳なく思っています。



今回あれだけ対立した自分が言っても説得力はないかもしれませんが、これだけは言いたいので言っておきます。
◆CASELIATiAさんにもう書くなとの意見が出ていますが、自分としてはそうしてほしくありません。
投下作品数で見てもその文章力で見ても、この企画への貢献度は自分とは比べものにならないもので、この企画を支えている1人と言っても過言ではありません。
今回の話単体では、私にとっては上記の理由から納得のいくものではありませんでしたが、これからも投下するのであれば是非読みたいと思っています。

私もこれからも暇があれば作品を投下しようと考えています。
そして◆CASELIATiAさんがこれからも投下するのであれば、今回叩いている立場にいた方々も今回の騒動を引っ張らずに作品のみを見ていただきたいです。

580 ◆CASELIATiA:2017/09/23(土) 02:42:42 ID:oJ9FeG8w0
すいません意見が出揃うまで書き込みは控えるつもりでしたが、書き手さん本人が来たようなので書かせていただきます。
かばう発言をしてくれた方は本当にありがとうございます。
しかし、許されない行為をしたこと、結果として落ち着きかけていたスレ内の空気をまたしても悪くしてしまったのは自分自身です。

今回の行為に及んだ理由は上で書いた通りです。 
もちろんそれは言い訳に過ぎなく、怒ってる方々の意見も正論で返す言葉もありません。

今回の件で話しあった氏本人まで出てきてくださり、しかも庇ってくれるとは思ってもいませんでした。
しかしこのまま処分無しは示しがつきません。
実績さえあれば何をやってもいいのか?という声も多数上がるでしょう。

そこでまず、直前に投下された「真っ赤な誓い」の処遇を再び採用されるかの判断をお願いします。。
その際は私が関わることが出来ないよう、私のIP(スマホPC双方)をアクセス禁止の処置にするor書き手諸氏によるトリップ出しの話し合いにするなどの対応をお願いします。
再びスレが荒れるのは承知ですが、この問題は避けて通れないと思っています。

そして自分の処分に関してもいかなる形であろうと受け入れます。
その結果が完全なるアクセス禁止だろうと不服はありません。
文句を言える立場ではないです。

>>579◆2zEnKfaCDc氏へ
手ひどい言葉を投げかけた自分を庇ってくれるとは本当に思ってもいませんでした。
氏の立場が悪くなることも考慮して、それでも書き込んでくれたことに感謝します。
しかし、自分の処分は他の方にお任せしたいと思います。

スレ内の住民の皆さま、重ね重ね申し訳ありませんでした。
アクセス禁止の処置になった場合の為にスマホで書き込むのを最後に、この問題に決着がつくまで書き込みはしません。

581ただ一匹の名無しだ:2017/09/23(土) 02:45:10 ID:cQJEJsSY0
こちらがスマホになります
では改めて申し訳ありませんでした
スレ住民の方にはご迷惑をおかけします

582ただ一匹の名無しだ:2017/09/23(土) 06:14:21 ID:xfxqWCCM0
読み手ですが意見を書かせていただきます。

今回の件、発端は◆2zEnKfaCDc氏が自作からのリレーとして◆CASELIATiA氏が執筆された作品に納得がいかず、疑問点の提示+破棄要求を出されました。
そして住民による意見の出し合いでは◆CASELIATiA氏に賛同する意見が圧倒的多数で投票をせずともほぼ決着……というところでしたが、◆CASELIATiA氏が名無しを装って発言していたことが発覚。
つまり◆CASELIATiA氏が議論の流れを意図的に操作していたのではないか、という疑惑が生まれたわけですね。

◆CASELIATiA氏の行動は非常に問題のあることだと思います。
が、トリップを付けず読み手を装ったまま破棄要求をした◆2zEnKfaCDc氏、ひいては責任を負わず発言する我々読み手にも同じことが言えると思います。
スレの流れを見るだけでも、冷静さを欠いた読み手の発言がなく書き手だけの議論であれば、ここまで殺伐とした空気になることもなかったでしょう(読み手の発言が◆CASELIATiA氏だけではないことは明白です。恥ずかしながら私もその一人ですので……)。

企画運営にあたり最悪の結末とはつまり、彼ら二人の書き手がこれを罪とし自ら断筆することです。これは何のプラスも生み出しません。
傲慢な物言いかもしれませんが、書き続けることで信頼を回復していただきたいのです。彼ら二人共に。
ロワ企画が界隈全体的に下火となっている現在、二人もの書き手の損失はとても悲しく、ダメージの大きいものですから。

また、◆CASELIATiA氏の行為の是非はともかく、>>569での発言自体には賛成です。
読み手が疑問点を提示することならばともかく、修正・破棄要求まで行えるとささいな問題が一気に広がってしまうリスクもあります。
他の書き手が「いや、これなら自分はリレーできる」と判断するならば、それは書き手の裁量に委ねるべきだと思います。

この件の決着について、読み手がどうこうと言えるものではないでしょう。
当事者である二人の書き手、また、彼らとリレーし企画を作ってきた他の書き手の方々に判断していただければそれが一番ではないでしょうか(長くなってすみません)

583ただ一匹の名無しだ:2017/09/23(土) 10:46:29 ID:7wcGO7OE0
宗教かよ

584 ◆HOdC4dGYwU:2017/09/23(土) 21:05:10 ID:fLqDyGqw0
皆様お疲れ様です。
一年以上書いてない者で恐縮ですが、
挙がっている議題について意見を書こうと思います。


・最新投下作「真っ赤な誓い」の採用について
『通し』でいいと思います。


・◆CASELIATiAさんの自演行為とその内容について
既に存分に反省してらっしゃると思いますが、スレ住民を大きく落胆させたことは忘れないでください…。

ですが、今回の◆2zEnKfaCDcさんからの指摘が、キャラの心情というある意味非常に繊細で細かな点を、
捉えようによっては攻撃的な言葉で『立場のわからない名無しからの指摘』という状態で続けられたこと、
これが◆CASELIATiAさんにとって大きなストレスになっていたのでは?と感じました。
たらればを言っても今更仕方ないですが、始めからトリップ付きでの指摘であったなら、
経過は大きく違っていたように思います。

その上での◆CASELIATiAさんの「異議申し立ては書き手に限ることとしてはどうか」という提案ですが、
私としては『やや反対』です。
理由は>>1にある「参加資格は全員にあり、初心者でもOK。矛盾がない限りは原則受け入れられる」という、
ドラクエロワ初代からの伝統があるからです。
耳触りがいいだけの戯言にきこえるかもしれませんが、気軽に『昨日の読み手が今日は書き手になれる』この伝統が、
実績のあるなしで線引きをすることによって意識的に崩れてしまうのが嫌だからです。
現に今、一年以上書いてない私が書き手面をして意見していることがすごく恐れ多いです…。
もちろん、今回のように指摘された方やスレ住民に大きなストレスとなるような異議申し立てである場合、
トリ出しが求められる展開もあるでしょう。その場合はそうあるべきですが、ケースバイケースとし、
明確にルール化してほしくはないという意味で、『やや反対』とさせてください。

・◆CASELIATiAさんの処分(?)について
これについてはご自身で決めてくださいとしか言えません。
この一件でストレスを抱えているのなら少し離れるもよしです。贖罪のために書くっていうのはなんか違うと思います。
書き手を続けたいというのであれば、私個人は、上記のとおり>>1の「参加資格は全員にあり」の文言に則って、受け入れたいと思います。


まどろっこしい文章ですみません。長くなりましたが以上です。

585 ◆OmtW54r7Tc:2017/09/24(日) 22:55:42 ID:4xIldvv.0
しばらく書けてなくて申し訳ないですが、自分も意見を

>>569については、自分は反対ですかね
書き手であれ読み手であれ意見は色々出てほしいですし、あまり門戸を狭めたくないかなってのが自分の考えです
◆HOdC4dGYwU氏の言うようなケースバイケースは認められてもいいとは思いますが


そして◆CASELIATiAさんの処分については◆2zEnKfaCDcさんと折り合いをつけて双方納得のいく結論を出すのが一番だとは思います
しかしあえて個人の意見を言えば、今回の投下の不採用および他書き手が書くまで当該パートの投下を禁止、ですかね
投下のペースが(最近はともかく)それほど早いとは言えないなかで、一時投下禁止がどれほどの意味を持つか微妙ですし、かといって完全禁止は打撃がでかすぎるしそこまで重い罰を化す必要があるのかも疑問です
ですから、今回書かれたセラフィ、スライム、アーク、ルーナの投下を一時凍結することでその代わりとしてはどうかってのが自分の意見です
まあ、書き手とはいえ部外者みたいなものですし、上にも書いたように当事者で話をまとめるのが一番ではあると思いますが

以上です

586ただ一匹の名無しだ:2017/09/24(日) 23:09:42 ID:IXKp8Prk0
これまでどおりでいいんじゃない?こんな早期で読み手を遮断するなら俺ロワでやった方がいいと思う

>>585
部外者みたいなものですがの一文は必要か?どうして逃げの姿勢を見せるの?
部外者なら最初から書き込まないで。トリを出すなら自分の発言にちゃんと責任持てよ

587 ◆jHfQAXTcSo:2017/09/25(月) 17:16:21 ID:pYeYnOYE0
大分遅いタイミングになりましたが、失礼します。

「真っ赤な誓い」については、ここまで事が大きくなってしまった以上、他の方が書くにしてもハードルがかなり高くなるでしょうし、通しでもいいのではないかなと思います。

提案や書き手さんの今後については、どうするのが最善なのか判断しかねる……というのが正直なところです。
今回みたいに話し合いが長くなってしまう場合などはトリ出しがあった方が良いのかな、と思いますが(全然口出しなどしてなかったのに言えたことでもないかもしれませんが……)
誤字脱字、場所や時間の表記ミスといった些細なものなら読み手さんからの指摘でも問題ないと思うので。

処遇については、自演行為が良いものだとは思いませんが、議論が長引いた経緯などもあって、アクセス禁止といった厳しいものまでは迫りたいとは思いません。
ただ、罪悪感から書いた作品よりも、心から書きたいと思って書いた作品の方が響くものが生まれると思います。
なので、これからも書いて信頼を回復するという選択肢に関しては◆CASELIATiA氏の向き合い方次第なのではないかなと思います。


はっきりと「こうした方がいいのでは」と言えなくて申し訳ないですが、以上が私の意見です。

588 ◆znvIEk8MsQ:2017/09/25(月) 21:41:34 ID:QHiNOQy.0
私も遅れて失礼します。

「真っ赤な近い」の採用か否か→同じく、ハードルが上がってしまったこと、私が飛ばしたアベルを回収してくれたことから、採用がいいと思います。

casさん、および2zEさんの処遇→正直、どちらでもいいと思います。
ただし、2人とも作品は面白いし、個人的には積極的に書いてくれている2人がいなくなるとこの先キツくなるから書き続けてほしいと思います。

トリ出しの意見→これもこのままでいいかなと。強いて言うなら「名前を挙げて意見を出した方が説得力が増す」程度で構わないのではないかと。

かなり曖昧な意見ですが、私が一番お二方にやってほしいのは、「1秒でも早くこの状況から脱して、この先を書き続けること」です。
第二放送も間近になって、一番まずいのはこのまま停滞してしまうことだと思います。
熱心に書いている以上、匿名でやっている以上及び食い違いや不都合の一つや二つはあると思います。
実際に2zEさんの「Only lonely boy」からは読んでて筆者としての熱意が特に伝わってきました。
(他の作品から熱意が伝わってこないとは言ってません)
だが、その点を踏まえた上でどんどん続きを書いて欲しいです。
これは明らかに自分の我儘を書いた文章でしかないのですが、以上です。

589 ◆CASELIATiA:2017/09/26(火) 01:09:05 ID:a17wA/Xo0
皆さまありがとうございます
一つ一つの意見を真摯に受け止めたいと思います。

自作については、採用の方向で纏まりそうなのでありがとうございます。
ただ、もう一度◆2z氏と話し合ってはどうかという意見もあるので、氏の要望があるようでしたら対応したいと思います。

今の自分の心境としては、しばらく書くことは止めておこうかなと思います。
書き続けて信頼の回復に努めるという方法もありますが、正直な気持ちとして今は創作意欲とか今後の展望が何も思い浮かばないです。

しばらくは読み手として過ごして、wikiの編集とかを行うことで支援して行きたいと思います。
一年後とか半年後か、ひょっとしたら一か月もしない内に懲りずに予約でもしてるかもしれません。
すいませんものすごい曖昧な言い方になってますが、どうなるかは自分でも本当によく分からないです。
ただ、どちらにせよこのトリップはもう使うことは無いかなと(◆2z氏の要望がある場合は例外として)。
書き手として再開する際は1から初めて行きたいと思います。



最後に、改めて申し訳ありませんでした。
今後はもうこのようなことがないよう自制すると共に、皆さまの恩情で私は生かされていると、肝に命じておきたいと思います。
失礼しました。

590 ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:43:09 ID:rEvWGi5s0
投下します

591Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:44:56 ID:rEvWGi5s0
「私達は、このトンネルを抜けてきたのだ。」
「地図から見ると、ここを抜けてもまだ距離はありそうね。」
「お城へ続くトンネルって、おにいちゃんが教えてくれた、「ローラの門」って所みたいね!」
「その場所の話、教えてくれませんか?私はダーマの大陸しか知らないので……」


トロデーン城へ続くトンネルの中では、これまでと変わらず平和な会話が続く。
最初はそのローラの門で、ティアの兄の仲間が蛇の魔物と仲間になろうとして噛まれたこと。
アンルシアの世界では仲間にできる魔物がいたというが、ティアやフォズの世界では出来ないこと。
代わりにフォズの世界では、魔物の気持ちさえ分かれば魔物に転職することが可能になること。
アンルシアの世界では、魔物が創始した職業があるということ。


ティアは転職で何かになろうとしていたが、まだ決めかねていた。
彼女の兄曰く、武術にばかり特化していても、魔法にばかり特化していてもいけないらしい。
そうすれば仲間を助けられるどころか、足手まといになってしまうとか。
それは何とも勝手な言い方ですねとフォズは思ったが、彼女は兄を尊敬しているのであまり貶めるようなことは言いたくなかった。


死者の放送を聞いた後は気持ちが暗くなっていた三人だが、面白くて頼りになる大人4人に出会い、その気持ちも幾分か収まった。
ティアの方は、パパスの支給品であったが着れないからという理由で貰った綺麗なドレスを見て、いっそう上機嫌になっている。
それぞれの異なる世界の話で盛り上がり、その声がトンネルに響く。
3人の中でアンルシアだけはそんな大きな声で騒ぐと、この先にいるかもしれない敵に感づかれる可能性も危惧したが、邪悪な気配はない。




だが、その会話を見ていたパパスだけが不安な思いをしていた。

ティアが度々家族の話をしていることがあってか、息子、アベルのことがこれまで以上に気になり始めた。
実際に、自分の孫にしてアベルの息子である、リュビが死んでいる。
それに向こうの世界からアベルのことは見ていたが、自分の死後もアベルに降りかかった災難が、徐々に心を蝕んでいたことは顔を見て分かった。
この邪悪な戦いの舞台に巻き込まれたこと、そして息子が死んだことで、心が闇に飲まれていないのか。
彼なら間違いなく自分と同じでエビルプリーストに立ち向かうと思っていたが、そうではないかもしれない。

やはり、アベルに会いたい。
そして未来の勇者のためとはいえ、自分の息子に過酷な冒険をさせてしまったことを謝りたい。
この先にアベルがいる。そう信じたかった。

もう少しでトンネルを抜ける。
幸いなことに自分は誰かと戦おうとする者にも、最初の魔物を除けば死者にも会っていない。
だが、これが嵐の前の静けさに思えるのは、自分だけなのだろうか。

592Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:46:49 ID:rEvWGi5s0
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


時は少し進み、場所は洞窟から離れた場所。

「どうした?さっきの勢いも失せたか?」
パパスの予想は、ここにあったのかもしれない。
魔瘴の力で蘇ったヘルバトラー強。
その力は、フアナやサヴィオの世界を恐怖に叩き落したバラモスを遥かに超えていた。


「いえ、まだです!!」
これほど凄まじい敵を目の当たりにしても、フアナは戦おうとする。
「サヴィオ!!」
「わ、わかったよ。」

「やってみるがよい。」

本当は逃げるが勝ちだとサヴィオは思うが、逃げても死ぬ可能性が高い。
だとすれば、今のところの一番強い技を食らわせ、その隙を突くしかない。
再び魔法の詠唱に入る。

「「荒ぶる聖風」」
「「神に捧ぐ十字をここに刻め!」」

一度はヘルバトラーを倒した二重のバギクロス。
再び、凄まじい竜巻がヘルバトラー強に襲い掛かる。
だが―――――――――――――――





「はあああああぁぁぁぁ!!」
ヘルバトラー強は大声を上げ、両腕を一振りするや否や、その竜巻はかき消されてしまった。




「ウソ………………でしょ?」
「時間稼ぎにもならないのか?」


どちらかというと楽天的な二人もこれには青くならざるを得なくなる。
「少し期待しすぎてしまったようだな。最も、ヤツが我を強くしすぎてしまったとも言えるが………。」


「フアナ、どうしよう…………。」
「カマエルは逃げた方が良いと思います。」
まずいのはこれだけではない。
一度目のヘルバトラー戦の連続ベホマから、立て続けに魔法を使い続けていたため、フアナの魔力が切れてしまった。
少なくともバギクロスはもう打てない。
だが、サヴィオの方は既に戦意喪失してしまっているが、フアナはまだ諦めていない。
「まだです!!」

「魔法が効かなくても、『アリアハン女子プロレス大会オールストレート勝ち』の私の力で!!」
フアナは力を失っているサヴィオの手から、ろうがぼうを引ったくり、ヘルバトラー強に飛び掛かる。
威力が高いのは僧侶である職業上、打撃よりも風魔術なのだが、魔法が使えないならば仕方あるまい。
「やめろ!!あいつは…………」

593Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:47:47 ID:rEvWGi5s0
「やああああ!!」
「ほう………中々の速さだ……………だが………」

ヘルバトラー強は、そのろうがぼうをいとも簡単に受け止めてしまった。
ろうがぼうはその先に触れただけで傷がつくような棘がついている。
だが、ヘルバトラー強の手にはそのダメージを受けた様子さえない。
むしろ、ろうがぼうの方が傷ついてヒビが入っている。

「俺様には、全く通用しないな。」
そして受け止めていない方の拳で、一撃。
「きゃあああああああ!!」


「フアナーーーーーーーーッ!!!!」
彼女はサヴィオの頭を越えて吹っ飛んでいった。
急いで彼女の方に走っていく。

「おっと、逃がしはせん。」
ヘルバトラー強は、先ほどのように指を振り上げる

サヴィオが走っていたその方向に、ボコリと岩が出る。
これでサヴィオは、彼女を助けに行くことも逃げることもできなくなってしまった。

「そんな……………」
「ご主人様ぁぁ!助けてくださいまし!」

「案ずるな。キサマもすぐにあの世に送ってやろう。」
ヘルバトラー強はフアナから奪ったろうがぼうを、何の面白みもないかのように投げ捨て、迫ってくる。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「う!!」
トンネルを抜けてさらに歩くと、突然、邪悪な気配が感じられた。
凄まじい邪悪な気配が元々あるのではない。
急に高まっていっているのだ。
「これは?」
先頭を歩いていたパパスが立ち止まる。
邪悪な気配の源とは、まだある程度離れている。
逆に言うと、離れていても感じるくらい凄まじいものなのだ。


「間違いない!!これは、魔瘴よ!!」
メンバーの中でも、魔瘴のことについてある程度知っているアンルシアが答える。

「マショウ!?なにそれ!!」
「説明するのは難しいけど、ティアちゃんが近づいたら絶対にダメなもの!!」

ここでアンルシアが悩んだことは、ティアとフォズの扱いだった。
これほど強力な邪気を感じることは、凄まじい力を持った魔物がいることだろう。
ひょっとすれば、エビルプリーストの配下の魔物かもしれない。
勇者として、そこに向かうのは当然だが、二人をパパスだけに任せるのも気が引ける。

594Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:48:16 ID:rEvWGi5s0



一方で、パパスも似たような考えだった。
あの方向にいるのはもしかしたら、サヴィオ達か?
そうすれば、助けてやらない訳にはいかない。
だが、折角イザヤールに少女達の護衛の役目を渡されたのに、三人を置いて行くのは気が引ける。
だが、彼らを見捨てるわけにもいかない。

二人は、邪悪な気の元に向かって走る。

「おじさま!!」
「アンルシア!!」

「二人を連れて逃げて!!」
「二人を連れて逃げろ!!」


まさか、二人共似たようなことを考えていたとは。

「ちょっと!!なにあれ!!」
ふと空を見ると、誰かが飛んでくるのが見える。
パパスがものすごいスピードで走り、なんとかその人物を受け止める。


「助かりました!!あなたは?」
「私はパパスという者だ。向こうにいるのは誰だ?」
「向こうにいるのは、恐ろしい魔物なんです!!もう一人、サヴィオという人が向こうにいます!!」


既にアンルシアは邪悪な気配の方向に向かって走っている。パパスも同様だ。
残念ながらどちらが二人を連れて逃げるか決める時間はなさそうだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「炎の精霊!!僕をどうにか助けて!!ベギラゴン!!」
「かあっ!!」
「うわあ!!」
バルザックを気絶させた魔法も、ヘルバトラー強の氷のブレス一つで霧散される。
吐く息は冷たさだけではなく、風圧も恐ろしく強く、それだけで岩壁に吹っ飛ぶ。

「いつぞやの姉妹の魔法ほどでもないな。まあ、今の我は誰が来ても負けるわけはないが。」

自分の嫌な予感が当たっていたと確信する。
「うわああああああ!!来るな!!来るなぁ!!」
「賢者さま!!ワタシを盾にしないでくださあい!!」

サヴィオはカマエルを左手に構え、右手では木の棒を犬でも追い払うかのように振る。

その姿は、蛇ににらまれたカエル、いや、ドラゴンににらまれたカエルといったところだ。
遊び人上がりとはいえ、賢き者、と言われているはずの賢者としての見る影もない。

「ムダなあがきをするな!!」
「あーーーーーーーーーーーっ!!ご主人様―――――――――――っ!!」
ヘルバトラー強の腕の一振りで棒と釜の両方が吹っ飛ぶ。

595Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:49:14 ID:rEvWGi5s0
「トドメだ!!イオグラ……………」
「いやだあああああああ!!」

ああ、とうとうラッキーマンだったボクの運も潰えたな、とサヴィオは覚悟した。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ズドオオオオオオン!!
大きな音がして、ヘルバトラーが作った岩壁が壊れる。
「何!?」
「あ、あなたは?」


アンルシアが、岩壁をとつげき丸で打ち壊したのだ。

「やはり、サヴィオ殿か!!」
「パパスさん!!」

間一髪で無事だったことを喜ぶ。

「僧侶の方も無事ですよ!!」
「ありがとう。キミたちは?」
「話は後です。」

「ほう、新手か…………」
だが、相手の方は余裕綽々という様子だった。
まるで、新たに獲物が現れたことを喜んでいるかのような。


「サヴィオ殿は、向こうにいるフアナと、他の者達を連れて逃げてくれ!!」
パパスは実感した。
目の前の敵はすさまじく強い。
かつて自分を葬ったゲマよりも。
近くによると、それがより一層分かる。
もし離れているティア達を人質に取られたら、間違いなく負けるだろう。


「サヴィオ!!無事だったのですね!!」
「フアナ!!」
フアナはどうやらあの後パパス達の後を追いかけてきたようだ。
しかもまずいことに、ティアとフォズを連れて。


「この魔物は、以前ジャンボが言ってた………でも、これほど強い魔物だったの?」


アンルシアにも実感した。
目の前の敵は恐ろしい力を持っている。
大魔王マデサゴーラ、ほどでないにしても、魔元帥ゼルドラドよりかは確実に上の力だ。
しかもマデサゴーラを倒した時は、ジャンボ以外にも3人強い冒険者がいたが、今回はパパスを除いて頼れる人もいない。
むしろ、自分が守らなければならない人ばかりだ。
フォズは短い間であるが戦ったことがあるそうだが、ティアは一度も戦ったことがない。

596Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:49:33 ID:rEvWGi5s0
でも、全員で来てしまったからには後悔もしていられない。



「再会の喜びは済んだか?一つ言っておくが、俺は人質を取るような姑息なマネはせん。後ろのヤツらは気にせず掛かってくるがよい!!」


ヘルバトラー強は、高く飛び跳ねる。
そのまま、こちらに飛び掛かってくるのかと思いきや、地面を飛んだ後両手で思いっきり殴りつける。




「!!」

地震攻撃か?と思うが、その程度のちゃちなものではない。
なにしろ、周りを見れば先程アンルシアが壊したものと、同じ岩壁が全員を囲むようにせり出してきたからだ。
死闘のためのフィールドの完成だ。

「だが、キサマらの逃げぬようにしておかねばな。」

「地面を殴りつけただけで、岩を隆起させただと?」
さしものパパスも驚く。


「怖いよ…………」
後を見ると、少女二人は怯え切っている。
彼女らを守るために戦わねばならない。

「いい!?私とおじさま以外は、皆下がってて!!」
アンルシアが指示を出す。
彼女は攻めにも守りにも長けていたため、どちらでも戦える。
どうにか、後ろに被害を及ばさずに戦えるか。

「行くぞ!!」

「はあっ!!」
アンルシアの斬撃がヘルバトラー強に襲い掛かる。
彼女の闘志の力で、常人が一度攻撃できる間に、二度攻撃ができるほどの速さだ。
最初は兄のトーマがそれを覚え、アンルシアも王家の迷宮での修行で編み出した。

「ふんっ!!」
パパスも同時に斬りかかる。
彼も同様に、常人が一度攻撃できる間に、二度斬りつけることが出来るほどのスピードを持っている。
元々王族であったが、旅の間はその素性を隠そうと思い、格好はシンプルなものにし、剣術も城で習ったものではなく自己流の技に変えた。
彼が考えたのは、防具を極力軽いものにし、その反面剣のスピードを上げようとするものであった。

「凄い!!」
「どう見ても、4人で戦っているかのようです!!」

後ろにいるフアナとサヴィオは感心する。

二人の剣の舞が、ヘルバトラー強に絡み付く。
それは踊りのように美しいものだが、並の魔物ならその美しさを感じることなく刺身のようにされているだろう。


並の魔物、なら。

597Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:49:57 ID:rEvWGi5s0
「そんな………攻撃が、当たらない!!」
ヘルバトラー強は、巨体に似合わぬ俊敏さで動き回る。
何発かは当たっているが、ダメージを与えた感触が殆どない。

「流石、1つの世界の勇者、と言った所か。そんな玩具のような剣で、よくやりおる。」
「!!」

ヘルバトラー強の裏拳が炸裂。
アンルシアが吹っ飛ばされる。


「いくらそんなもので攻撃しても、ムダだ。せめて武器が違えば、戦いも変わるかもしれないがな。」

「ぬおおおおお!!!!」
パパスが高く飛び上がり、ヘルバトラー強の頭を真っ二つにしようとする。
だが、片手で難なく止められてしまう。
その斬撃は、ヘルバトラー強の腕の皮膚を薄く傷つけただけだった。
(………どういうことだ!!)

「キサマもその女も、人間としては素晴らしい才能と力を持っているだろう………だが。」

もう一方の手による正拳が一閃。
「ぐはっ!!」
力の盾でガードしたにも関わらず、パパスも吹っ飛ばされる。


「この俺には足元にも及ばぬようだな。」

「大丈夫ですか!!」
どうにかしてサヴィオが受け止める。
よく見ると、アンルシアもフアナに受け止められ、岩壁に激突するのを防げたようだ。


「まさか、ここまで力の差があるとは………」
後ろにいた者達だけではなく、二人も恐ろしさを感じてしまう。

だが、その中でアンルシアだけは希望を見出していた。
「聞いて!!まだ、方法はある。」

明らかに万策尽きたように見えるが、アンルシアにはまだ逆転の秘訣が残されていた。

598Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:50:18 ID:rEvWGi5s0




(創生の魔力より生み出せし、この闇のころもをまとった今、お前たちの攻撃など通事はせぬ!!)
(私の勇者のチカラで、あの闇のころもをなんとかしてみせるわ。ジャンボはそれまで耐えて!!)



勇者の光。

魔王の闇の力で守られた者を討ち滅ぼす唯一といってもいいほどの技だ。
このヘルバトラー強も、闇の衣に包まれた魔勇者や獣魔将ガルレイなどの邪悪な気配が酷似している。
攻撃を当ててもダメージを与えた手ごたえがないことといい、闇の衣とは違うものかもしれないが、やってみる価値はある。


だが、一つだけ問題がある。
この技は発動までの時間がかかるということだ。
かつてアンルシアが勇者の光を使った時、周りにはジャンボを含めて4人も手練れの冒険者がいた。
だが、それに比べると今回は成功するには幾分か心細い布陣。
それでも、やって見せる。
下らない躊躇をしていると守るべき者と共に、兄のトーマのもとへ行くことになるからだ。


(なあ、アンルシアよお、)
(どうしたの?ジャンボ。)
(おまえさ、さっきの戦いでどうしてあんなムチャをしたんだ?)
(やっぱり私には………勇者として守らなきゃいけない人がいるから…………)
(オレにもいたぜ、そういった考えを持っている、パラディンの知り合い。でもな、そいつはもう、誰も守れねえ。)
(なぜ?)
(死んだんだよ。オーガの少女を。竜からかばってな。)
(…………………。)
(死んだら、そうやって誰かを守ることも出来なくなるんだ。だからオレは、誰かを守らなければなんねえヤツこそ、一番自分を守らなきゃいけねえと思う。)
(…………勇者でも、何かを犠牲にしなきゃいけないの………………。)
(何かを犠牲にするのを恐れて、自分一人守れねえ奴は、誰も守れねえよ。)
(そうよね…………勇者でも、じゃなくて勇者だからこそそういった決断をしなきゃならないのよね………)
(あ、すまねえな。別にアンルシアに、誰かを見捨てろって言ってんじゃねえんだ。)



「おじさま、悪いけど、少しだけ時間を稼いで!!」
「やってみよう。」
「私達も行きますよ!!」
「え!!じゃあ、僕も………」

パパス、フアナ、サヴィオの3人が前に出る。
何とか、勇者の光まで時間を稼いでくれたらいいのだが。


「私も、怖がってばかりではいけません………」
流石にフォズは前に出られないが、持っているルーンスタッフで仲間達の守りの力を強化する

アンルシアの両手に神々しい光が宿り始める。

599Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:51:25 ID:rEvWGi5s0
「ほう、これだけ力の差を見せつけられておきながら、まだ抵抗しようとするとは………」
ヘルバトラー強はニヤリと笑い、大きく息を吸い込む。

「負けるわけにはいけません!!サヴィオ!!頼みます!!」
「氷の妖精たちよ、力の限り暴れまわれ!!マヒャド!!」

「負けるわけにはいけません!!ヒャダルコ!!」
フォズが後方から氷魔法の援護をする。



「6人まとめて、灰になれ!!」
ヘルバトラー強は口から灼熱の炎を吐きだす。

先程と同じで、ヘルバトラー強にダメージを与えることこそは叶わなかったが、炎を弱める成功した。
逆に言うと、マヒャドとヒャダルコの相乗魔法でやっと弱められるほど、凄まじい威力の炎を吐くということだが。

「助かる!!」
開けた道を通り、再びヘルバトラー強に斬りかかる。
「ムダだと言ったはずだ!!」
ヘルバトラー強は不気味な笑いを浮かべて飛び掛かる。

「同じ手を二度使う気はない!!」
パパスは姿勢を低くして飛び掛かったことで空いた足元を潜り、後ろから斬りつける。
「おのれ!!」
決定打にはとてもならないが、気を引くことには成功する。

「メラミ!!」
今度はサヴィオの呪文が顔に炸裂。

「武器がなくなったって、これくらい!!フアナ必殺、ダイナマイトミサイルキック!!」
まさかの、フアナの蹴りがヘルバトラー強のボディーにめり込む。
僧侶というのは概して肉弾戦は苦手なはず。
だが、彼女のいざという時の技?がアスナ達をごくまれに救ったのも事実である。

だが、それはヘルバトラー強を苛立たせただけだった。


「雑魚どもが、調子に乗るなあ!!」
ヘルバトラー強は両腕を開き、魔瘴をまき散らす。それは前方の3人を吹き飛ばすとともに、魔瘴の害をも与えた。
強化の影響か、魔蝕を出す速さも上がっていた。

「ゲホッ!!」
「大丈夫ですか?今、回復を………。」
「うう、体が動かない…………。」

600Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:51:47 ID:rEvWGi5s0
「アンルシアさん!!技の時間は…………」
「ごめん!!まだかかる!!」

やはり、作戦は間違っていたのか。
この技が原因で、仲間を助けに行くことさえ出来ない。
続いて、後方に迫りくる。
「負けるわけにはいきません!!ヒャダルコ!!」
フォズは怯まずヒャダルコを使い続けるが、そんなものはそよ風程のものでしかない。



「どうやら奥の手で起死回生を図ろうとしていたようだな。だが、どんな技でも発動しなければ意味がない。」

前方の三人を先に殺さず、後ろで力を貯めているアンルシアを優先して狙ってきているようだ。
どんなに圧倒的な力を見せようと、慢心することがないという、精神面でも隙のない敵だ。

だが、そんなヘルバトラー強でも、予測できないことが起こる。


「ぐう!?」
ドスリ、とヘルバトラー強の背中にろうがぼうが命中する。
フアナとサヴィオからいち早く最低限の治療を受けたパパスが、地面に転がっていたものを投げたのだ。
鋼の剣やとつげき丸よりかは強い武器だが、背中をわずかに傷つけることしかできないようだ。
「死にぞこないの分際で!!」
ヘルバトラー強はそれを引き抜き、地面に叩きつけてへし折る。

しかし、その反応は、アンルシアへの時間稼ぎになったようだ。




「ヘルバトラー!!」
「!!」
「これで、終わりよ!!」

だが、四人が体を張って稼いだ時間は、勇者の光の力をためるには十分だった。





「勇者の、光――――――――――――――っ!!!!!!」
「ぐぬおおおおおおおおおお!!!!!!」

それは、未来を拓く光。

601Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:52:07 ID:rEvWGi5s0





「俺様が、こんな、ものでえええええエエえええ!!!!!!!!!!」
「!?」
「負けるかあああああアアアアアアアあああああ!!!!!!!」

未来を拓く光が、闇に飲み込まれる。
ヘルバトラー強は、さっきよりかは弱っているにしても、無力化には程遠い。


アンルシアの計算が外れた原因は二つ。
一つは、ヘルバトラー強を覆っているものの違い。
かつてアンルシアが破った闇の衣は、体に纏わりつくものだった。
しかし、今度の魔瘴は、失った腕を形成したのみならず、傷跡から体の奥底にまで入り込んでいた。
もう一つは、ヘルバトラー強は更なる力を持った者の後押しを受けていたこと。

「驚かせおって。だが、これで終わりだ!!」
ヘルバトラー強は、魔瘴の籠った爪で、技を放って硬直状態になったアンルシアを引き裂こうとする。
しかし、まだ予想してないことがあった。

それはアンルシアのさらに後ろから起こる。
「お、お、おねえちゃんを、いじめるなーーーーーっ!!!」

ティアがヘルバトラー強にロトの剣を持って、斬りかかる。
「下らん!!」
ヘルバトラー強は埃でも払うかのように腕を振った。


ジュッ!!




「ぐおおおおおお!!!」
ヘルバトラー強の腕が、焼けるように痛む。
なんとそれは、ヘルバトラー強の魔瘴で作られた腕に大きな傷を入れた。
そこから血のように魔瘴が噴き出す。
フアナやサヴィオはおろか、パパスやアンルシアでさえもそこまで大きな傷を入れることは出来なかったのに、どういうことか。



〇〇〇〇〇

これは戦いの少し前の出来事。
フォズはティアに一つ忠告をしていた。
「いいですか、ティアさん。危なくなったら、その剣を使うのです。」
「この杖じゃなくて?でも、これはお兄ちゃんの剣だよ。」
「その杖は誰でも使えるようですが、剣はティアさんにしか使えなかった。お兄さんにとってもそうなのかもしれませんが、絶対にティアさんにとって、大切なものです。」

〇○○○○

602Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:54:42 ID:rEvWGi5s0





代償でその剣の使い手も気絶する。
敵への恐怖か、腕を振った時の風圧か、噴き出した魔瘴によるものか。
「は、は、ははは。気絶しおった。どうやら、使い手は普通の人間の子供のようだな。だが…………。」

ヘルバトラー強の手に、巨大な火の玉が浮かぶ。
「この場で唯一我に致命傷を負わせることの出来る相手と分かった以上、生かしておくことは出来ん!!」
「ティアさん!!」
「邪魔だ!!」


フォズが向かっていくも、ハエでも払うかのように後ろ蹴りで倒される。
フアナとサヴィオは、治療しようとしていたが呪いにより体が上手く動かず、難儀していた。
「何も………出来ないなんて………。」
「やっぱり私は、ジャンボがいないと………………。」






「!!」
ヘルバトラー強の後ろで蹲っていた、パパスの目に、あの日の光景が浮かぶ。
自分が、ゲマの炎に焼き殺された時。


負傷したとは思えないほどのスピードで、ティアの近くに走る。


「骨も残らず焼き尽くせ!!メラガイアー!!」
ヘルバトラー強が火の玉をティアに落とすその直前に、パパスがそれを全身に受けた。
「ぬわーーーーーっ!!」
あの時と同じように、誰もが驚くほどの叫び声を上げる。




こうなることに悔いはない。
やはり、自分は未来の可能性のために、犠牲になる運命なのだろう。
ただ、思い残すことは一つ。
自分のただ一人の息子、アベル。
彼を過酷な冒険に付き合わせたまま、それで出来た傷をいやすことが出来なかったのが、何より辛い。

603Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:55:10 ID:rEvWGi5s0
(アベル………すまない………。)

彼は一度ならず二度までも、新しい可能性のために命を落とした。


「「「「パパスさん!!」」」」



「クックック………貴様たちの奮闘は、素晴らしいものだったぞ。以前の俺様なら、死んでいたはずだ…………。」

「まだ………まだ戦う………。」
「ほう………切り札も無くして、まだ戦うつもりか………逃げようとは考えないのか?」

確かに、自分だけはヘルバトラー強の作った壁を破れる。
他の4人全員を犠牲にすれば、かろうじて逃げられるかもしれない。
自分に何かを棄てることを勧めたジャンボなら、それを提案するだろう。


だけど。


やはり自分は勇者の誇りを通して生きて、戦って、死にたい。
いくらジャンボが私にとって大切な盟友でも、これだけは譲れない。
再びアンルシアはとつげき丸を振りかざし、戦いを挑む。




彼女は遠からずしてこの強大な敵に倒されてしまうだろう。
しかし、勇者の光が払われた中でも、まだ一つ光を放っているものがあった。
それは、気を失った少女の手の内にある剣。


そしてもう一つ、その最初の使い手が、剣の下へ向かっている。
岩壁の外ではカマエルが蓋を動かして、その助けを待っている。

終わりかと思われた戦いは、実は、始まりになってさえいないのかもしれない。


【C-4/平原/1日目 夕方】

【ヘルバトラー強@JOKER】
 [状態]:HP 7/8 片腕損傷 背中に刺し傷
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式、道具0〜2個
 [思考]:目の前の5人を殺す、ティアは優先して殺す。
基本方針:心のままに闘う。

[備考]:
※主催からアイテムに優遇措置を受けている可能性があります。
※歴代のヘルバトラーに使える呪文・特技が使用出来るようになっています(DQ5での仲間になった時の特技、DQ10での特技など)。
※さらに強力な特技、呪文が使えるようになりました(イオグランデなど)

604Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:55:27 ID:rEvWGi5s0
サヴィオ(賢者)@DQ3】
[状態]:HP1/3MP消費大 呪い
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 道具0〜1個バレットハンマー@DQ10 オーガシールド@DQ5 
     ウェディングドレス@DQ9 アルゴンリング@DQ8
[思考]:仲間たちと合流、バラモス@DQ3や危険な存在とはまともに戦わず脱出したい。仲間を探す。
[備考]:元遊び人です。魔蝕の呪いで体が思うように動けません

【フアナ(僧侶♀)@DQ3】
[状態]:HP1/5 MPほぼ0 呪い
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 支給品1〜3(本人確認済み)
[思考]:バーバラとゼシカと合流する
[備考] :魔蝕の呪いで体が思うように動けません


【ティア@DQ2(サマルトリアの王女)】
 [状態]:気絶 挫いた足(治療済) 打撲
 [装備]:ロトの剣 氷柱の杖(残5)@トルネコ3 ようせいのくつ@DQ9 
  [道具]:支給品一式 脱いだ靴 おわかれのつばさ@DQ9 パーティードレス@DQ7
 [思考]:兄とその仲間たちを探すため、トロデーンに向かう。兄にロトの剣を渡す 職業に就いてみたい

【勇者姫アンルシア@DQ10】
[状態]:HP2/3
[装備]:とつげき丸@DQ10
[道具]:支給品一式 不明支給品0〜2(本人確認済み)
[思考]:トロデーンに向かう
フォズとティアを守る
最後まで戦う
    彼に会いたい
    彼を守りたい
    彼の隣に居たい
    彼に道具使いになってもらう

【フォズ@DQ7】
[状態]:HP1/2  MP3/4
[装備]:ルーンスタッフ@DQ8 ようせいのうでわ@DQ9
[道具]:支給品一式 不明支給品0〜1(本人確認済み)
[思考]:仲間を集める。
    そのためにトロデーン城へ向かう

※C-4(平原)で、一部を囲むように岩がせり出しています。
※カマエル@DQ9はその外側(トロデーン寄り)に転がっています。
※ろうがぼう@DQ9は砕けました。
※パパスの支給品は全て燃え尽きました。

【パパス@DQ5 死亡】
【残り43人】

605Hellbattler in black ◆znvIEk8MsQ:2017/10/06(金) 23:57:05 ID:rEvWGi5s0
投下終了です。長文になってしまったこと、一度大きく書き直したこと、一度この辺りのパートを書いて失敗したことなどで、失敗している箇所があるかもしれません。
誤字脱字、矛盾点あれば指摘お願いします。

606ただ一匹の名無しだ:2017/10/07(土) 23:49:54 ID:npXAFpZ60
投下乙です
ヘルバトラー強めっちゃ強いな
アスナとコニファーが駆けつければまだ戦況は好転しそうだがどうかな
ゼシカも周囲が動いてるから一人取り残されてるし、いっそのこと合流させちゃえば希望はまだまだ残ってるが、たぶん死人も比例して増えそう

607 ◆2zEnKfaCDc:2017/10/09(月) 13:12:03 ID:QskP821Y0
ゲリラ投下します。

608許されない恋:2017/10/09(月) 13:16:10 ID:QskP821Y0
いつの時代も、恋路には障害がつきまとう。
そして"許されない恋"は度々悲劇を生み落としてきた。
身分の違い、思想の違い、立場の違い――――――様々な障害を時には乗り越え、時には諦めて。

これは、許されない恋に立ち向かった3人の少年少女の物語。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

少年は、許されない恋と直面した。
それは、"時代"の違う恋。



「なぁ、アルス、マリベル。この旅ってさ――――――続けてもいいもんなのかな。」

現代のエンゴウの町を復活させ、自分たちの旅が世界に及ぼす影響に気づき始めた頃、キーファは2人に胸中を語った。

「珍しいわね。アンタが弱音を吐くなんて。」

「考えてもみろよ。俺たちのやってることって歴史を塗り替えてるってことなんだぜ。もしかしたら俺たちもエスタード島もなかったことになってしまうかもしれない。そんなこと、許されるもんなのかなって思っちまうんだ。」

時間は不可逆的なものだからこそ、人は今を精一杯生きる。
セーブもロードも存在しないこの世界で過去を無かったこに出来ること、それは人の身に許されていいことなのか。
この問題には、陽気なマリベルも少し難しい顔をしていた。

609許されない恋:2017/10/09(月) 13:17:58 ID:QskP821Y0

「いいんじゃないの?」

そんな疑問に対してアルスはあっけからんと返す。

「最初からなかったことになるんならさ、後悔する僕らはそこにはいないけど――――――もし何もせずに何かを失ってしまったら後悔するかもしれないじゃん。」

「…そっか、そうだよな。うん、後悔したくはねえよな。」

キーファは何も言えなかった。
アルスの言う事が的を得ていたこともあったが、何よりもキーファには分かっていたからだ。
アルスは何かを失っても後悔などせずに平然と受け入れる、そんな人物だと。

アルスが何に対しても無頓着な人間だと知っていたからこそ、危険な探検にも誘うことが出来たし、そういった冒険の積み重ねによって何かアルスが興味を持つものがあるかもしれないとも思っていた。

だからだろうか。
キーファはアルスの前からいなくなることに対してはあまり躊躇がなかった。
事情説明をアルスに放棄したのも、何でも受け入れるアルスに甘えていたところがあったのかもしれない。

610許されない恋:2017/10/09(月) 13:22:01 ID:QskP821Y0
キーファはアルスの言ったように、"後悔"しない選択をした。
そこには反省すべき点は多くあったが、キーファは後悔していない。

過去の改変は許されないこと。
生きる時代の違う人への恋も許されないもの。

それでも、後悔したくなかったから――――――



少年は逃げた。



王子としての使命から。
使命を放棄するのに筋を通すことから。
仲間たちの非難から。
全てから逃げ出して"許されない恋"に抗った。


時間はやはり不可逆なものなのか。
逃げ出したものにはもう立ち向かえない。
しかしこの殺し合いの場で、彼はかつて逃げ出したものに立ち向かう機会を手に入れた。

答えから逃げたくない。
自らの選択が未来――――――いや、現代にどのような影響を与えたのかを。
殺し合いの世界に招かれたかつての仲間たちが、過去を改変した自分の知る仲間たちなのかどうかを。

そんな想いを胸に、少年は前へ進む。

611ただ一匹の名無しだ:2017/10/09(月) 13:23:24 ID:QskP821Y0

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

少女は、許されない恋と直面した。
それは、"呪い"が許さない恋。



トロデーン王国の王女ミーティアは恋に落ちた。
いつも自分のために一生懸命な青年に。
どこまでも真っ直ぐな目をした青年に。

しかし彼女は、"呪い"に蝕まれていた。

それは、身体が馬になる呪い――――――などではない。


それは、恋を許されない呪い。
彼女は生まれつき、結婚相手が定められていたのだ。

そして馬となっての旅の途中、その相手チャゴスの心の醜さを知った。

反して、エイトが自分のために奮闘している姿を近くから見守り続けたことで恋心は増していった。

恋をしてはいけない、そう思えば思うほど呪いは彼女の心を蝕む。
暗黒神を倒して馬の姿になる呪いは解けたが、人間の姿へと戻ることによってもう一つの呪いは本格的に頭角を表した。
チャゴスとの結婚式の日が迫っていたのだ。

612許されない恋:2017/10/09(月) 13:24:32 ID:QskP821Y0

しかしエイトは呪いを打ち破る力を持っている。
定められた運命を、より大きな運命の因果でひっくり返すことが出来る。
彼の持つ指輪――――――アルゴンリングによって。

一国の王女であるミーティアは軽率な行動に出ることは出来ない。
婚約に抗うということはサザンビークとの関係を再び壊すことに繋がるかもしれないし、場合によってはエイトにも迷惑がかかる可能性もある。
だから彼女は、それは自らの誇りだと言い聞かせながら王女としての立場を取るしかなかった。
それはこの呪いが呪い足り得る本質でもあった。

そしてエイトもまた迷っていた。
アルゴンリングを提示すれば、"近衛兵と姫君"という今までの関係は変わってしまう。
それはエイトの忠誠心が許さなかった。
また、ミーティアの真の婚約者が自分であるということを主張するということは、婚約相手こそ違えどミーティアに同じ呪いを新たに課すということである。



少女は委ねた。



過去の約束がかけた呪いを。
自らの恋心の行方を。
全てを彼に委ねて"許されない恋"に抗った。

613許されない恋:2017/10/09(月) 13:28:09 ID:QskP821Y0


そして結婚式当日。
チャゴスの父、クラビウス王はこっそりとミーティアに告げた。
昨日の夜、エイトが王の元を訪れた、と。
王はそれ以上語らなかった。

彼の選択がどんなものであれ私は受け入れる。
ミーティアはそう決めていた。

そして答え合わせの時はやってきた。
式が淀みなく進む最中、突如として開かれた扉。
その扉の先の光景を目にする、その直前――――――

彼女は殺し合いの世界へと誘われた。


答えを知りたい。
サザンビークに嫁ぐことは本当に私の誇りだったのか、それともそんなものは姫君を蝕む呪いに過ぎず、私の恋を貫くことが真に私の誇りなのか。

答えを委ねた彼に会って、あの前夜の――――――私の誇りの真実を知りたい。

そんな想いを胸に、少女は前へ進む。

614許されない恋:2017/10/09(月) 13:29:02 ID:QskP821Y0

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

3人は荒野の山小屋にたどり着いていた。

歴戦の強者であるポーラはまだしも、ミーティアのか細い足で越えるには険しすぎる荒野だ。
キーファがミーティアに一旦小屋の中で休むことを提案し、早くアークを探しに行きたいと思っていたポーラもしぶしぶそれを受け入れた。

ミーティアは小屋へと入って行き、外にはキーファとポーラの2人が残されていた。

「キーファは入らないの?」

「ああ、これくらいの山道なら生前何度も超えてきたからな。それよりお前は大丈夫なのか?」

「…うん。足の痛みも引いてきたし。」

小屋に入ってしまうと仮にアークが通りかかっても見逃してしまう可能性が高い。

「…もうそろそろ六時間、か。」

「そうだね…。」

定時放送のことを考えると気が重くなる。
それぞれに探し人がいる中、その人の死という現実を突きつけられてしまうかもしれない。

(アルスはマリベルとガボの死をどう受け止めたんだろうな…)

かつての、何に対しても無頓着だった友のことを思い返してみる。
仮に自分が死んで放送で名を呼ばれることになれば、アルスは悲しんでくれるのだろうか。
そんなことを考えていると、不意にポーラが立ち上がり、歩き始めた。

「私、先に行くね。」

「え、おい待てよ!」

キーファも立ち上がりポーラを追う。

「放送は一人で聞きたいの。」

次の言葉でキーファの足は止まることとなった。

「もしもの時にも、あなた達は殺したくないから。」

そのままポーラは一人、港町へと向かって行った。

615許されない恋:2017/10/09(月) 13:30:58 ID:QskP821Y0

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

少女は、許されない恋と直面した。
それは、"世界"が違う恋。



人間界と天使界と死後の世界、ポーラとアークの間には住む世界という区切りがあった。

人間は別の世界に生きる者に干渉してはいけない。
そんなルールは存在しないが、死後の世界に干渉出来たことで人々から異端として扱われたポーラにはそれが"罪"であるとの意識があった。

また、エルギオスの悲劇という前例も罪の意識を高めるには充分だった。
恋に落ちた人間と天使は引き離され、天使は堕天使へと成り下がった。
そんな悲劇に立ち向かう勇気もポーラにはなかったため、ポーラは天使であるアークへの恋を心の底に抑え込んでいた。

アークとは友達でいい。
今のままでもお互いがお互いを信頼出来ているから。
人間界と死後の世界の狭間を生きているような私は、その存在自体が罪なのだから。
そう言い聞かせながら、ポーラは戦い続けた。


でも、それに耐えられなくなったから――――――



少女は願った。



彼と同じ世界に生きたい。
彼と同じ世界に生きる妖精が妬ましい。
全ての願いを込めて"許されない恋"に抗った。

616許されない恋:2017/10/09(月) 13:31:55 ID:QskP821Y0



――――――アークが人間になればいいのに。



そしてアークは本当に人間になってしまった。
その原因を追求するならば、上位の天使には逆らえないという「天使の掟」だろう。

でもポーラは知っている。
願いには大きな力が宿っているということを。
女神の果実を巡る旅で、生きる者の、時には死者の願いでさえ願いの域を超えて世界を変え得るのだと。
だからアークを人間にしたのも自分であるように思えてしまう。

そして人間となったアークに待っていたのは絶望だった。
自分の生きる世界から切り離され、人間より遥かに永かったであろう生き方全てへの干渉が出来なくなった彼を見たポーラは、やはり罪の意識から逃れることが出来なかった。


招かれた殺し合いの場。
再び、アークの住む世界が私と区切られてしまったなら――――――アークが死後の世界に行ってしまったのであれば、私はどうするのか。

私も自ら死後の世界に旅立つのだろうか、それとも――――――



――――――再び"願い"の力で、アークをこちらの世界に引きずり込むのだろうか。


(生き残った一人にはわたしの名にかけて望みを叶えてやろう。)

主催の言葉が頭の中をよぎる。


答えは知りたくない。
そんな選択を強いられることなく、アークには生きていてほしいから。

そんな想いを胸に、少女は前へ進む。

そしてその想いは、間もなく打ち砕かれることとなる。

617許されない恋:2017/10/09(月) 13:32:27 ID:QskP821Y0





【E-7/荒野の山小屋/二日目 夕方 放送直前】


【キーファ@DQ7】
[状態]:HP2/3
[装備]:はやぶさの剣・改@DQ8
[道具]:支給品一式 支給品1〜2個
[思考]:仲間たちと再開したい。自分の無力さが恨めしい。

【ミーティア@DQ8】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 道具1〜3個
[思考]:エイトと再開し、結婚式前夜の話を聞きたい。

【F-7/二日目 夕方 放送直前】

【ポーラ@DQ9】
[状態]:健康
[装備]:炎の剣@DQ6
[道具]:支給品一式 支給品0〜2個
[思考]:アークを探す。もしもアークが死んでいるのなら……?

618許されない恋:2017/10/09(月) 13:33:05 ID:QskP821Y0
投下終了しました。

619ただ一匹の名無しだ:2017/10/09(月) 14:21:25 ID:w/NvtZvI0
投下乙です
やっぱりこうなったか!という感じ
アークはぐう聖だから9キャラに与える影響がものすごくでかいもんな
安全圏かと思われたポルトリンク周辺も次々と火種が投下されてきた

620ただの一匹の名無しだ:2017/10/09(月) 15:30:20 ID:jjjpiAl60
投下乙です!!ポーラ、先のことを考えると悲しすぎる。
もうすぐ第二放送だし、この先どうなるかな。色々気になる。

余談ですが、キーファが「アルスはマリベルとガボの死を〜」と言っていますが、キーファはガボの死を知っていないはずです。
(ガボは第一放送直後に死んだ)
だから「アルスはマリベルの死を〜」でいいのではないかと思います。

621 ◆2zEnKfaCDc:2017/10/09(月) 16:45:37 ID:QskP821Y0
>>620
ご指摘ありがとうございます。
指摘箇所訂正します。

622ただ一匹の名無しだ:2017/10/09(月) 19:04:35 ID:HKacN3u60
投下乙です
ドラクエじゃ歴史改変って割と味方サイドでも躊躇なくやるから(最新作の11でも主人公と会えなくなる葛藤はあっても歴史改変の是非については触れずむしろ積極的だった)、キーファの懸念はなかなか新鮮だ

キーファはともかく、ミーティアとポーラの恋心は長い間抑圧しつつも醸成してきた感じなのが、いじらしくもあり同時に怖くもある

623 ◆2zEnKfaCDc:2017/10/10(火) 01:16:27 ID:zDaBeejc0
誤植見つけたので訂正します。
>>614

「これくらいの山道なら生前何度も〜」


「これくらいの山道なら過去に何度も〜」


パパス辺りと混同してました…!

624ただ一匹の名無しだ:2017/10/10(火) 10:15:27 ID:FOrhNbNY0
ポーラもそうだがアーク落ちによる影響が最も大きいのはスクルドだろうなあ
一度ショックで寝込んだこともあるし次はどうなるやら

625ただ一匹の名無しだ:2017/10/17(火) 16:39:23 ID:/WoPyEek0
なんか前回の1st、2ndと比べていろいろと違って面白いね
1st、2ndアレフ→対主催  3rdアレフ→奉仕マーダー
1st、2nd5主人公→対主催  3rd5主人公→マーダー
1stゲマ→マーダー  3rdゲマ→一応対主催
2nd6主人公→ラスボス 3rd6主人公→主人公の中で一番まともなキャラ
後、今回のロワのテーマは何なのか凄く気になりますねぇ!

626 ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 18:38:22 ID:XcixhsCw0
投下します

627夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 18:39:13 ID:XcixhsCw0
ゼシカは、十数分ほどバーバラを追いかけていた。
でも、バーバラの足の速さは異常なほどだった。
まるで彼女を、ヘルバトラーや他の恐ろしい何かと勘違いしたかのように。
加えて、ゼシカは究極魔法を打ってから間もなく、体力も万全ではない。
赤毛の少女同士の距離は、どんどん離れていった。



彼女のトレードマークでもある赤毛でさえ見えなくなる。
その間に、声をかけたが反応はなく、むしろ自分の体力をすり減らすだけだった。


しかし、その姿が見えなくなってからしばらくした所で、大きな声が聞こえてくる。
「助けて!!助けてよレック!!」


「!!」
バーバラの、悲鳴だ。
何かあった、と考えるのが妥当だろう。
今の自分は完全な状態と程遠いが、だからといって助けに行かないわけにはいかない。

「捕まえた!」
「――――ッ!!」
悲鳴が聞こえる。
一度は落ちた走るペースを上げる。
バーバラがふたたび見えてきた。
だが、バーバラ以外のよく分からない声も聞こえる
遠めでよく分からないが、青い何かがバーバラを拘束しているではないか。

「――――――!!」
(待ってて!!バーバラ、今、助け…!?)
自分の状態も顧みずバーバラの下へさらに走っていく。




バーバラは、砕け散った。
その青い何かと共に。



「………ウソでしょ!?」

ズーボーに続いて、バーバラまで。
暫くは、ゼシカも目の前の出来事に呆然としていた。
人間、誰しも人が死ぬところを見ると、そうなるものだ。
以前にオディロ院長やメディ、チェルス、そしてついさっき死んだズーボーなど、これまで何度もその瞬間を目の当たりにしてきたゼシカでも例外ではない。



しかも、今度の場合はあまりにも状況が分からなさ過ぎた。
これまでは、誰がその人を殺したか分かっていた。
しかし、今度は誰がバーバラを殺したのか全く分からない。
まだ会ったことさえない人間に出合い頭にメガンテを仕掛けるなど、正気の沙汰とは思えない。
この世界に呼び出されたことで自棄になり、誰でもいいから心中したかった?

628夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 18:39:45 ID:XcixhsCw0


頭が回らない。
究極魔法を打った影響か、はたまた目の前で不可解な出来事を見せつけられたことが原因か、頭がぐらぐらしてきた。
とりあえずザックを開き、頭を冷やそうと思い水を一気に飲んだ。
アモールの水などと違い、これといった効果はないが少し気分が落ち着き、平衡感覚も少しだが戻ってきた。
ザックを開いたついで代わりに、一度バーバラと見た名簿を見る。
やはり、バーバラにメガンテを放ったということはバーバラの知り合いだろうか。

とりあえず、パラパラとめくり、青色の格好をした者を探してみる。
スライム……は流石にあり得ないか。
このローレルという男の人
フアナと、彼女が言っていたサヴィオ。
アリーナ、トルネコ………



だめだ。
まだページの半分もめくっていないのに似たような色を身に纏った人が多すぎる。
そもそも支給品でインテリハットや水の羽衣のような青いものを渡されていた人なら、どうするのだ。
一瞬だけ見えた青い何かを名簿をめくって探すのはあきらめる。

(兄さんが殺された時といい、どうして私は何も出来ないのよ………!!)
短い間だったが、バーバラのことは妹のように思っていて、バーバラも彼女のことを姉のように思っていた。
バーバラに何かあったら、守ってあげたい。
傷ついた彼女の心をいやすことは、永遠にできなくなってしまった。

しかも今度は仇を取ろうにも、その仇は砕け散ってしまった。
しかも全く訳の分からない形で。
だからといって、これでは全く納得がいかない。
せめて、なんで青い何かがバーバラと心中したか、理由が知りたい。
ひょっとしたら、誰かにそそのかされたとか…………


夢遊病者のように、辺りを無気力にあてもなくふらふらと歩きまわる。
兄と別れ、今度は妹のような人を見つけたと思ったら、またしても目の前からいなくなってしまった。
しかも今度は自分の目の前で。少し伸ばせば手の届くところで。
何がどうなったか考えなければいけないのに、考えたくない。
考えたくないのに、否応なく気になってしまう。
まるで、バーバラと心中した誰か以外に、何者かが関わっているかのように。





それから大分歩いたと思っていたら、同じところをぐるぐる回っていただけだった。

629夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 18:40:29 ID:XcixhsCw0


「え!?」
突然、来た道の方に凄まじく邪悪な気配を感じる。
「まさか、あの方向にいるのはフアナ……………?」

姿が見えないのに、邪悪な気配だけは全身に感じる。
この感じは、覚えている。
マイエラ修道院で、ドルマゲスが入ったオディロ院長の部屋から漂うまがまがしい気配だ。
いや、威圧感だけならそれ以上かもしれない。

あの方角へ行かなければいけない。
もう、誰も死なせたくない。
今自分がどこにいるのか分からないが、邪悪な気配がする方向へ行くしかない。
自分は究極魔法を打って、万全な状態とは程遠いが、それが行かない理由にはならない。




その方向に走っていくと、さらに、地震。
まさか、辺り一帯の地震を起こすほどの、魔物なのか。
あの辺りからの邪悪な気配、というとやはりヘルバトラーなのだろうか。


ゼシカが驚いたのはこれだけではない。
その地震の後、ゼシカが向かう方向に背の高い岩が突き出てきた。





あの方向にいるのはヘルバトラーかと思ったが、違うかもしれない。
一度戦ったヘルバトラーは、確かに手ごわい相手だったが、そこまで広範囲の地殻を動かす力を持ってはいなかったはずだ。
それ以前に、仕留めきれなかったとはいえ、マダンテを食らったら、暫くはまともに動けなくなるはずだ。
あれから時間は経ったとはいえ、突発的に邪悪な気配を発することが出来るはずがない。
かつてラプソーンや竜神王と戦ったことがあるゼシカでさえ、そんな相手を殆ど見たことがなかった。
あるとしたら、あれは……………




いや、あれは、夢の出来事だとしか思えない。
竜神王の更なる試練として、亡きメディばあさんの家の裏に出来た追憶の回廊。
あれは、本当に夢だとしか思えない。
風景も夢のような判然としないものだったし、そこに現れる敵も現実離れした強さだった。
それらの大半が、かつて戦った敵の姿をしている点も特に、夢にありがちなものではないのか。

630夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 18:41:33 ID:XcixhsCw0


「だ、誰か、誰かーーーーーーっ!!」
岩壁のすぐ近くまで来ると、釜?のようなものが、蓋をパカパカさせていた。
「ア、アナタは、賢者サマの、お友達の方ですか?」
「多分違うけど、あそこへ向かおうとしているの。アナタは何者?」
「ワタシは錬金釜のカマエルといいます。向こうの方に、賢者サマとそのお友達が危ないのです!!」


一瞬、「??」となった。
錬金釜、なら知っているが、喋る機能なんて持ってなかった。
竜神王の加護を借りた特別な錬金釜でさえも。


突然バーバラもろとも砕け散ったあの青い何者か
フアナから聞いたアリアハンという街の謎の大会
突然立ち込める邪悪な気配
喋る錬金釜


この世界は自分の予想をはるかに超える何かが多すぎる。
この世界も、追憶の回廊と同じで、夢なのではないか。

「早く!!早くいってくださーーい!!」
錬金釜に急かされるなど、あっていいものなのか。

だが、今目の前の問題は、現実のものだ。
この世界で起こったことは、何もかもが現実で受け入れがたいことだが。
目の前の壁。
これを破るのも登るのも、今の自分には至難の業だ。
壊すために、迂闊に乏しい魔力を消費したくない。
彼女はしばらくどうしようか決めあぐねていた。
岩壁越しからも伝わる悲鳴や衝撃を聞くと、焦る。
その中で、フアナの声も混ざっているような気がするから、猶更だ。
でも、どうにもうまくいかない。
回り込もうにも、岩壁は人を出すことも入れることも許さずに囲いを作っていた。
カマエルの方は、錬金できるような道具がない限り役に立ちそうにない。
支給品を使おうにも、錬金している時間がない。


「おーーーーーーーーーい!!」
後から、声が聞こえた。
見ると、狩人のような風貌の男。
どこか、俗世離れしたような印象だ。

「コニファー様!!どうか、助けてください!!」
「その錬金釜………あんたも、フアナとサヴィオを探しているのか?」
「誰だか知らないけど、そうよ。でも、この岩壁が邪魔で……どうにか方法はない?」

サヴィオ、という人物は会ったことないが、フアナから聞いたことはある。

「俺ならこの壁を上ることは出来るが、連れて行けるかは難しいな………」

631夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 18:42:23 ID:XcixhsCw0

「……………ナ………」
狩人の男の後ろで、何かが聞こえた。
「え!?何か言った?」
「俺じゃないぞ。」

「…………ヴィオ…………」
「………フアナ…………サヴィオ………」
また聞こえる。よく見ると、コニファー、と呼ばれた狩人の男の後ろに、縮こまっている少女がいた。

「させません!!!!!!!もうこれ以上仲間を死なすわけにはいけません!!!!!!!」

弾丸のごとく飛び出した少女は、岩壁を蹴り砕いた。
まるでとある国の、城壁を蹴り砕く姫のように。


「すごい…………」
「あいつは、アスナっていう、ある世界の勇者らしいんだ。でも、他人と話すのが苦手らしい。」
どうやら、コニファーの後ろに隠れていたのは、単に性格が原因だったかららしい。
「本当に、勇者なの?」
「俺も、そう思う。ポテンシャルは凄いけどな。」

連想の対象が悪いが、自分を目の前にした時のコニファーの後ろに隠れるその姿勢は、まるでトカゲを目の前にして自分達の後ろに隠れるチャゴスを連想させた。
連想の対象を知ったら、自分も先ほどの岩壁のようにされるかもしれないが。

でも、あのスピードと攻撃力は、自分の仲間以上のものかもしれない。
それに、勇者、という称号。
彼女は勇者とは、物語の世界だけだと思っていた。
自分達は勇者ではないし、その前に世界を恐怖に陥れた存在を封印したのは、勇者ではなく、七賢者だったから。

やはり、この世界そのものが自分の夢なのかもしれない。
追憶の回廊より、少し出来はリアルだが。


3人は、敵の下へ行く。沈みゆく太陽が暗示するのは、自分達か、それとも敵の方か。

632夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 18:42:45 ID:XcixhsCw0

【アスナ(女勇者)@DQ3】
[状態]:ほぼ健康 性格「ひっこみじあん」
[装備]:ゴディアスの剣@DQ7
[道具]:支給品一式 支給品0〜2(本人確認済み)
[思考]:エビルプリーストを倒す。そのために仲間(知り合い最優先)を探す。
ひっこみじあんを克服したい。でも知り合いも来てほしい。
   :サヴィオとフアナに会いに行く。
[備考]:不明支給品の中に性格を変える効果を持った本や装飾品は入ってません。
    トロデーン城の地理を把握しています。

【コニファー(男レンジャー)@DQ9】
[状態]健康
[装備]かりうどの弓@DQ9、毒矢×30本
[道具]支給品一式 支給品0〜1(本人確認済み)
[思考]自分が生きているという感覚を保つため、とにかく生き抜く。
   仲間を探す。 アスナに道案内をする。

【ゼシカ@DQ8】
[状態]:HP3/5 右肩に傷(治療済み)、これまでの出来事に対して軽く混乱 MP1/10
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水一つ消費)、不明支給品0~2、カマエル
[思考]:バーバラと共に自爆した何かのことについて知りたい。
   離れてしまったフアナも心配、まずは彼女らの所へ行く
[備考]:第一放送を聞いていません。

633夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 18:44:20 ID:XcixhsCw0
投下終了です。ゼシカだけ他の人物に比べて物語の進展に遅れていたので、それが原因で何かズレているかもしれません。
誤字脱字、矛盾点あれば、指摘お願いします。

634夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/18(水) 19:17:57 ID:XcixhsCw0
すいません居場所書いてなかったです。【C-4/平原/1日目 夕方】です。

635ただ一匹の名無しだ:2017/10/18(水) 23:34:04 ID:truEvd1o0
>>627の描写について
チェルスは死の瞬間に直面したというより、厳密には死んだ後に駆けつけたと言う方が正しいので含めない方が良いと思います。
チェルスの死には少なからずゼシカにも責任があるので自分を第三者ポジションに置くのもなんだかなぁってのもありますが。

物語としての矛盾は自分には特に見当たりませんでした。
ヘルバトラー強の元に一同が集結していくのが、敵の強大さも含め10のパーティー同盟を彷彿とさせるのでワクワクしています。

636ただ一匹の名無しだ:2017/10/19(木) 01:19:53 ID:27y8dIAA0
投下乙です
取り残されてたゼシカもようやく動いた
ここまで人が集まるとさすがにヘルバトラー強といえど死ぬか?
しかし確実に道連れの死人は出るだろうなぁ
色々フラグも積み重なってきたしフラグ的にも大爆発しそうな予感だ

637夢のようで、夢じゃない何か ◆znvIEk8MsQ:2017/10/19(木) 01:20:18 ID:O71IOzDQ0
指摘ありがとうございます。確かにチェルスの死に関してはゼシカが間接的に関わっているような所ありますね。
どなたか編集の際には「オディロ院長やメディ、そしてついさっき死んだズーボー〜」に訂正してくださると幸いです。
気づかなかったけど、ドロップアウトしたパパスを除けば、これで丁度8人だ………!!

638ただ一匹の名無しだ:2017/10/22(日) 19:05:06 ID:2b/KkVTY0
そういえば前回一気に5人死んだ時間帯は第二放送間近だったな
今も第二放送間近だしヘルバトラー強との戦いで4人ぐらい犠牲になりそうな予感

639 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/02(木) 21:17:24 ID:rAMbjtuw0
投下したいと思います。ですが、個人的にギリギリのネタなので、一時投下スレを使わせていただきます。

640 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:44:52 ID:uVLSJnE60
二日経ちましたが破棄申請はなかったため、本投下します。

641 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:45:32 ID:uVLSJnE60
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
バルザックは雄たけびを上げ、三人に突進してくる。

「来るぞ!!」

イザヤールの警告と共に、それぞれ異なる方向に大斧を避ける。
外れた大魔神の斧は、地面に大きな穴を開けた。

「避けたか。だが、次こそ真っ二つにしてくれる!!」
バルザックは目標をイザヤールに定め、大斧を振り下ろす。

「ふんっ!!」
だが、それはイザヤールの大剣で受け止められる。

斧と剣がぶつかり合い、がちんと高い音が鳴った。
「やるな、だが、チャンスだ。モリー、ザンクローネ!!」

「うむ!!」
「おうよ!!」

イザヤールの声を受けて、蒼炎のツメとプラチナさいほう針がバルザックの背中に襲い掛かる。

「ぐうっ!!」
背中に幾筋の傷を入れられ、バルザックは呻く。

「ならば、まずは貴様達からだ!!」

禿げ頭の男に斧を受け止め、その間に奇抜な格好の男と小人が攻撃してくるようだ。
ならば、先に攻撃してくる方を仕留める。

「大した奴じゃねえな。」
モリーの頭から攻撃を仕掛け、今度は肩の上に乗ったザンクローネが笑う。


今度は同じように斧をモリー達の方に振り回す。
「その程度で、わしらを倒せるとでも思ったか!!」
ラプソーンを倒したメンバーの中でもかなりのスピードを持っていたモリーは、バルザックの攻撃を難なくかわす。

642誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:46:05 ID:uVLSJnE60
「ならば、これでどうだ!!」
バルザックは大きく息を吸い込み、炎を吐きだす。
「斧が当たらないなら、丸焼きにしてくれるわ!!」

だが、モリーはそれを避けようとせず、何かのポーズをとる。
「なんだ!?その、馬鹿にしたようなポーズは!!」

「モリィィィィ!!!!バァァニングゥゥゥゥゥゥ!!」
「馬鹿な!!ぐあああ!!」
彼の熱血スキルの力で灼熱の炎を出す。
その熱さと勢いは、バルザックの吐いたものを優に上回っていた



「くそぉぉぉ!!ならば、これでどうだ!!」
体を焼かれ、三人から離れたバルザックは、魔法の詠唱に移る。

復活と共に、新たに身に付けた呪文を唱えようとする。
当たれば、三人ともそれなりなダメージを受けるだろう。
「焼き尽くせ!!ベギラゴ………ぐぅ!?」



だが、余程の達人でない限り、詠唱時間が長いのが欠点だ。

頭に、ゴツリと鈍い衝撃が走る。
「遅い」
素早く後ろに回り込んだイザヤールが斬夜の太刀で峰うちをしたのだ。



侮っていた奴らに情け容赦なく圧倒される。
これはキングレオ城とサントハイム城で以前2回も経験している。
しかもその度に上司から、部下から馬鹿にされてきた。



「なめやがってえええぇぇぇ!!」
怒りに任せて、大魔神の斧を振りかざす。
勿論、そんなザマでは三人を倒すことが出来ない。
地面がいたずらに耕されるのみである。

三人は斧の攻撃の間を縫って、攻撃を仕掛けていく。


(明らかに、武器に体が付いて行っていない…………)
イザヤールは、攻撃をしながらそう思い始めた。
これでは、武器を振り回すのではなく、武器に振り回されているようなものだ。

戦いは、武器の強さや個人のスキル以上に、武器とその使い手のシンクロ具合に左右されることを示す悪い例のようなものだ。

643誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:46:25 ID:uVLSJnE60
ハア………ハア………クソォ!!」
次第に、バルザックが息切れしてきた。

「マスター、ヒーロー、畳みかけるぞ!!」
「了解だ。」
「任せな!!」


「タイガークロー!!」
「ミラクルソード!!」
「超隼斬り!!」

「ぐあああああああああ!!!」

強力な技を3つ全身に受け、バルザックの体は地に伏す。
「こんな………はずでは…………。」




「バルザック………だったな。もうやめろ。」
「何だと?」

ここまで徹底的に攻撃して、何が言いたいのだ。

「貴様は、人間だろう?」
「黙れ!!」
「近づいてみて、分かった。姿こそ人間とかけ離れているが、何かの力を使って魔物になった人間だろう?」

かつてガナン帝国兵のような魔物になった人間によく近づいていたイザヤールだからこそわかることだ。




だが、その言葉は、バルザックの神経を逆なでするだけだった。
「黙れと言ってるだろ!!」


―魔族の恥め、所詮は元人間という事か
―人間のくせに威張り散らしやがって
―さすがはキングレオ様。同じ元人間だというのに、どこで差がついたのか


バルザックは何かをするたびに部下から、上司から、同僚から人間であったことをネタに蔑まれてきた。
とうとう怒りも限界に達したバルザックは、イザヤールを頭から真っ二つにしようと再び斧を振るう。
だが、これまで何度もやって悉く失敗に終わったやり方が、上手くいくはずがない。

イザヤールは紙一重で斬撃をかわし、後頭部に蹴りを入れる。
バルザックは前のめりに倒れた。

644誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:46:42 ID:uVLSJnE60
「貴様を倒す必要はない。もう、止めにしないか?二人は、どう思う?」
「オレは別にいいけどよ、アンタはそれでいいのか?」
「人間を守り、正しい方向に導くのが、守護天使の役目だ。」
「うむ。ワシも鬼ではない。最初は許すつもりはなかったが、哀れなヤングにトドメを刺すようなことはせん。」



端から見て、降伏か死しかバルザックには残されていないようだった。

(こうなれば………どうなるか分からないが「アレ」を使うしかあるまい……!!)

「貴様等、それで、勝ったつもりか?」
「まだやるというのか?やめておけ。」

「私には、とっておきの奥の手があるのだよ!!」
バルザックはザックを開ける。




そこから出てきたのは、光る石。
なんの変哲もない鳥の卵のような形の石、のはずだった。


三人の顔色が突然変わる。
「やめろ!!」
イザヤールが怒鳴る。
本人以外の誰もが驚くほどの大声で。
「こいつが、そんなに怖いか?」
バルザックは得意げにそれを見せびらかす。

「違う!!それは、ヤングのような人間が使っていい物ではない!!」
モリーも、この感じは覚えている。
法王の館で戦った、杖の邪悪な力の操り人形にされている黒犬。
石から醸し出される気配は、邪悪さこそ感じないもののその杖から発せられる魔力に酷似していた。


「知っているのか?コイツは、進化の秘石。これで私は、誰よりも強い力を持つことが出来るのだ!!
 貴様等、私を侮ったこと、後悔するがよい!!」

バルザックはそれをそのまま飲み込む。

645誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:46:59 ID:uVLSJnE60

「危ない!!止めるぞ!!」
イザヤールが、モリーが、ザンクローネが、バルザック目掛けて攻撃を仕掛ける。











◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




気が付くと、先ほど攻撃を仕掛けた3人が倒れていた。
「どうだ。これが進化の秘宝を使った、私だ!!」
声を上げたのは、バルザック。
それは獣人の姿ではなく、青い巨鬼の姿だった。

「凄いぞ!!かつて進化の秘宝を使った時より、力を感じる!!
感謝するぞ!!エビルプリースト!!」

尻尾一振りで3人をなぎ倒したバルザックは空に向けて、勝利の咆哮を上げる。
やはり、私を案じて、武器以外にとっておきの進化の媒体である、これを私に支給したのだろう。
だが、それでエビルプリーストよりも強くなってしまったのは、皮肉な話だが。






「私は、むて…………き………だ…………わ………………た……………し…………………」

(何だ?これは?)
突然、胸の中が焼けるように熱くなる。
「ぐあああああああああああ!!!!!」
痛みにこらえきれず、地面を爪で掻き毟る。

「な…………に………を、し……………た………き……さま…ら………」
消えていく。
記憶も、劣等感も、妬みも、憎しみも。
かつて私が進化の秘宝を使い、魔物になった時は、意識だけは保っていたはずだ。

(私は人間を棄て、力のある魔族になりたかった。
だが、望んでいたのはこんなものではない。こんなものでなかったはずだ。)

646誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:47:22 ID:uVLSJnE60
そうだ、私が、本当に望んでいたのは……………)
最後に、エドガンに師事していた時から抱いていた錬金に対する想いも消えた。

「思い出せぬ………何も………。」

だが、破壊の意志だけは残っていた。
そして、より多く敵を破壊するための知恵と、より強い敵でも破壊できる力。
「滅びよ………すべての生きる者共よ………」


過去をすべて失ったバルザックは、今度は次第に巨大化していく。
トラペッタを襲ったギガデーモン、程大きくはないが、かつてのバルザックを優に3倍は凌ぐ大きさだ。


エビルプリーストが渡したのは、かつて自分が変身するために使っていた道具とは似て非なる物。
そして、エビルプリースト本人が更に研究を重ねて、使った物とも異なる物。





それは、強い武器や防具を錬金を通して更に強くさせる石だ。
ある星屑の力を持つ剣を、銀河の力を秘めた剣にさせ、
ある輪廻の蛇の力を持つ盾を、ウロボロスの力を持つ盾に進化させ、
またある鬼神の力を持つ槍に、地獄の力を与えた。


だが、それらの武具に進化の秘石を通して凄まじい力が備わった理由は、あまり知られていない。
答えは極めてシンプルである。
元々の武具が、かなりの力を持っているからだ。
力のない者は、力を手にした時、それを持て余し、自らの崩壊を招く。
それは、武器にも言えること。


ただの凡庸な武具に、進化の秘石を使っても、強くなることはない。
元々強力な武具に、それのみならず魔力を秘めたオーブや、太陽の石、氷の結晶などの中和剤を使って、その武器は進化するのである。

そんな道具を、錬金釜も、その力を中和するアイテムもなしに力のないものが使ったらどうなるか、火を見るより明らかである。



そして、許容しきれない力はとめどもない怒りに共鳴して、持ち手に理性の崩壊をもたらす。

647誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:47:40 ID:uVLSJnE60

かつてのバルザックの上司であったピサロが、愛した者を殺された怒りによって、理性を失ったように。

バルザックの蔑まれ嬲られることで溜まり切った怒りと、強すぎる外部からの力は完全なる自我の崩壊をもたらした。


エビルプリーストは、これを予想し、バルザックに進化の秘石を渡したのだ。
元人間であることをコンプレックスにしているバルザックのことだ。
人間らしい感情に振り回され、碌なことにならないのではないかと。

最も、エビルプリーストはこの道具を知らなかったはず。
本当に渡したのは、誰だろうか。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


場所はバルザック達がいる場所から少し東。
ここでも、人と竜の激しい戦いが繰り広げられていた。


「フ、いくら力を身に付けたと言っても、人の身では体力の限界があるぞ」
「はは、そっちこそ、魔族だからと言って、そんな大きな竜に長い間変身できないんじゃないか?」


どちらが言うことも当たっていた。
いくら強い力や技、魔法を身に付けていようとそれを使うための体力には限界がある。
また、竜王の方もこれほど長い時間変身していたことは、かつてアレフと戦った時でさえなかった。
だからと言って、迂闊に攻めの一手に出ると、その隙を突かれる可能性が高い。


一度目の放送が始まってから、4時間以上。
既に互いに消耗しながらも、先の全く見えない戦いであった。



だが、その戦いは急遽水を差される。



「な、なんだよ!?アレ!!」
いち早くレックが、それに気づく。
「なんじゃ!?」
「竜王、見ろよ…………」


遠くの方に、青い、巨大な、竜王よりも巨大な何かが暴れていた。
まだ距離はレック達とはかなり離れている。
逆に言うと、そこからでも見えるほどのメガサイズだということだ。


「気にすることはない。キサマはワシとの戦いにのみ集中すればよいのだ。」
竜王が爪を振るう。

648誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:48:00 ID:uVLSJnE60
「そんなこと、言ってる場合か!!向こうで、誰かが襲われているかもしれないんだぞ!!」
レックは鋼の剣でそれを打ち払い、向こうへ行こうとする。
ひょっとしたら向こうに、ターニアや他の仲間、ティア達がいるかもしれない。

「ワシのことは恐れないのか?」
「あんたのことは知っているけど、向こうにいる奴は何なのか分からないんだ!!」
「小僧が、ワシをどこまでも愚弄しおって。これで片づけてくれるわ!!」
「竜王の口に闇の力が集まり、炎にして吐き出す。」


それが黒く輝く闇の炎となって、レックに襲い掛かる。
「マズいな………ならば……」
闇の力は、勇者の雷の力と同様、軽減させる方法が少ない。

「打ち返せえええ!!勇者の雷よ!!ギガディィィンン!!」


とっておきの魔法を打ち、闇の炎を弾き飛ばす。
やはり、闇の力に対応するのは、勇者の雷だ。


「まさか、闇の力を秘めた炎でも倒せぬとはな。」
「誰かを助けに行くところを邪魔するなんて、王の誇りとしてどうなの?」
「貴様………………。」

「それじゃあ、俺は向こうにいる人達を助けに行くよ。」
「待て!!」
「まだ何かあるの?」


「人間の脚ではあの魔獣がいる向こうに行くまで時間がかかるだろう。乗るがよい。」
「それは助かるけど、いいのか?」
「構わん。それともう一つ、そこの岩の上に、ワシのザックが掛かっている。中に回復の薬があるはずだ。ヤツを倒した後、それを使え。」
「どういう風の吹き回しだ?」

レックは流石に驚きながらも、そのザックを取る。中には言われた通り、クスリが入っていた。

竜王は背中を丸め、背に乗れというポーズをとっている。
どうやらレックを騙すつもりでもなさそうだ。


「人間に協力するなどと馬鹿げたことはできぬが、傷つき弱った敵を殺すことも、王の誇りに反するからな。」
「また、「誇り」ってやつか。アンタはなぜ、そこまで誇りにこだわるんだ?」
「黙れ。人間にそこまで話す必要などない。ヤツが倒れれば、すぐさま助けた者共々殺してくれるわ。」
「おおこわ。」


竜王は翼を広げ、夕日をバックにレックを乗せて飛んでいく。
「竜に乗るなんて、久しぶりだね……」
ムドーの城へ乗り込むときのことを思い出す。
最も、前は黄金竜で、今回は紫竜であるが。

649誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:48:25 ID:uVLSJnE60


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「…………う………無事か?」
イザヤールが起き上がる。
「ああ、なんとかな。」
「マスターの悪い予想が、当たってしまったか。」


「まだ………生き残っているな………虫けらのように潰してくれるわ!!」


凄まじい力を得たバルザックは、虫でも潰すかのように平手で3人を潰そうとする。

「まだだ!!!」
しかし、イザヤールが斬夜の太刀でそれを受け止める。
「イザヤール!!」
「マスター!!それでは!!」


「人を守る。それが守護天使としての役目だ!!」
力ではかなわない、はずなのにそれでも必死でバルザックの手を受け止める。


「モリィィィィ!!バーニイイイング!!」
モリーもあきらめず抵抗を続ける。


「温い。」
だが、その炎は氷の息によって打ち消される。

「くそったれ!!」
ザンクローネが飛び出し、バルザックを斬りつける。
だが、巨大化したということはそれを守る脂肪の鎧も厚くなったということ。
その斬撃はバルザックの皮膚を薄く傷つけるだけだった。

「貴様等を破壊してくれる!!」
バルザックはぶおんと押さえられていない方の手を振るう。
なんとかザンクローネに当たらずに済んだが、次もかわせるという保証はない。
巨大になったということは、それ相応に攻撃範囲も広がっているからだ。そして………。

「ぐはっ!!」
ザンクローネに当たらないと思っていたその手は、イザヤールに当たった。
急に別の方向からの追撃に耐えられず、岩壁に叩きつけられる。

「イザヤール!!」
「マスター!!」

650誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:48:44 ID:uVLSJnE60

「これで、貴様たちを守る者さえ、いなくなったな。」

(まずいぞ、ヒーローを狙うと見せかけて、守りの要であるマスターを攻撃するとは、戦略の質まで上がっている!!)


守りの要を失ってしまったことの危険さは、モリーが分かっていた。
かつてバトルロードでエイトのチームと戦っていた時と同じだ。
自分のチームのはぐれメタルが倒されてしまってから、戦況が極めて悪くなったからだ。

たとえ今の攻撃で死んでいなくても、これまで通り守りの要を勤めることは出来ないだろう。

先程までとは打って変わって、3人が圧倒的に不利だった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「この辺りで良いか?」
「ああ、ありがとう。下ろしてくれ。」
レックはバルザックから少し離れたところで降りる。


幸いなことに、まだあの青いバケモノには気づかれていないはずだ。
だがこれは逆に言うと、誰かが奴に襲われている可能性が高い。


そこにいる人達を案じ、レックは走り出す。



レックの背中が遠くなると、竜王も変身を解き、元の姿に戻る。
そして、こう呟いた。
「必ず、戻って来い」


(ヤツめ、ここまで近づいても気づいてないとは、それほどでもない。
おそらく、エビなんとやらと同じ、力を何かの形で手にした力無き者だろうな。
だが、そういった者だからこそ、何をするか分からん。)


竜王が気になったことはもう二つ。
人間に協力するなど、馬鹿げたことは王の誇りが許さない。
だが、一度戦った相手が自分との戦いで消耗していたため、別の者に倒されるのはどうだろうか。


最後の一つは、レックが言ったこと。
(誇りでもなんでも、一つの物に固執していては、出来ないことも、手に入れられない物もあるよ。一度でも、考え直すことはなかったのかい。)

自分が誇りを貫くことで、誰かの誇りを壊してしまうことは、正しいことなのか。


自分が、何をしたいのかは分かっていた。
だが、それを、誇りが許さなかった

651誤った進化 ◆znvIEk8MsQ:2017/11/04(土) 22:49:06 ID:uVLSJnE60

【C-7/荒野/1日目 夕方】

【モリー@DQ8】
[状態]:HP1/3,MP微小費
[装備]:蒼炎のツメ@DQ10
[道具]:支給品一式、不明支給品(1〜3)
[思考]:ザンクローネと共にこの殺し合いを止める
    レックたちへの加勢
【ザンクローネ(小)@DQ10】
[状態]:HP1/3
[装備]:プラチナさいほう針@DQ10
[道具]:支給品一式、不明支給品(0〜2) 
[思考]:ふてぶてしく全てを救う


【イザヤール@DQ9】
 [状態]:気絶
 [装備]:斬夜の太刀@DQ10
 [道具]:支給品一式 不明支給品(0〜1) 
 [思考]:アーク(DQ9主人公)と再会し、謝罪したい。
 [備考]:死亡後、人間状態での参戦です。
     (「星のまたたき」イベントで運命が変わって生き返り、アークと再会する前です)

【バルザック@JOKER】
 [状態]:HP全快、メガボディ化
 [装備]: なし
 [道具]:支給品一式、道具0〜1個
 [思考]:全てを破壊する
 [備考]:
※主催からアイテムに優遇措置を受けている可能性があります。
※エビルプリーストによってヘルバトラーやギガデーモンに近い位階にまでパワーアップしています。
※過去の記憶を失い、ただ戦うための戦略と誰かを殺すことしか覚えていません(進化の秘宝を使ったデスピサロのように)
※バルザックの姿はバルザック+(第二形態)です。


【レック@DQ6】
[状態]:HP1/3 MP3/8
[装備]:鋼の剣
[道具]:支給品一式、エルフの飲み薬@DQ5確認済み支給品1~2個
[思考]:バルザックを倒す。ターニアを探す。
[備考]:竜王に好奇心を抱いています。

【竜王@DQ1】
[状態]:HP2/5 背中に傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 不明支給品0〜1個
[思考]:悪を演じ、誇り高き竜として討たれる。
[備考]:レックを助けるか、自分の誇りを貫くか悩んでいます。


※D-7南/荒野にガナンのおうしゃく@DQ9が落ちています。
※バルザックの近くに、大魔神の斧@DQJが落ちています。
※バルザックの飲み込んだ進化の秘石@DQ9は溶けたか残っているかは、次の書き手にお任せします。

652ただ一匹の名無しだ:2017/11/08(水) 23:17:06 ID:zho7k7jE0
今思ったけど本当にルーナ殺したかったから殺したのはアベルではなく真っ赤な誓いの書き手自身だったという皮肉

653ただ一匹の名無しだ:2017/11/09(木) 12:43:06 ID:y94PKCCo0
投下乙です
正直バルザックはもう虫けらのように死ぬイメージしかなかったけど意外と頑張っておられるな
放送も目前まで来てるんだろうけど大人数の難所が多そうだから時間はまだかかりそう

654ただ一匹の名無しだ:2017/11/09(木) 19:37:21 ID:eGA8mvH60
???「読み手をたぶらかし、スレを乱した自演書き手め。死をもって償うがよい」

655ただ一匹の名無しだ:2017/11/11(土) 11:18:34 ID:tLwX2EIA0
投下乙です。
竜王がこれからどう動いていくか…
レックがほんとまともな主人公で安心する

ルーナの件はもういいよ。死んだのが嫌なら1st読むといいぞ

656ただ一匹の名無しだ:2017/11/11(土) 12:11:57 ID:lyBUIwUM0
しかしこれだけあちこちでバトル起きてるとなると第二放送始まる頃には残り人数半分は軽く切りそうだな

657ただ一匹の名無しだ:2017/11/11(土) 12:30:11 ID:vAy5KMWM0
ねーよ

658ただ一匹の名無しだ:2017/11/11(土) 13:32:55 ID:lyBUIwUM0
>>657
消えろぶっとばされんうちにな

659ただ一匹の名無しだ:2017/11/11(土) 13:52:35 ID:RFWVXTDY0
>>658
イキリオタクかよ…w

660ただ一匹の名無しだ:2017/11/11(土) 19:10:33 ID:lyBUIwUM0
>>659
消えろぶっとばされんうちにな♪


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