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FFDQかっこいい男コンテスト 〜なんでもあり部門2スレ目〜

784 2/2:2019/08/04(日) 17:44:08
 その項が今、無防備に目の前に晒されている。
「…………何してんですか」
「見りゃ分かるだろ。そうめん茹でてんだ」
 たかがそうめん、されどそうめん。この気温の中この人数分のそうめんを茹でるのはかなりの重労働だ。それこそ髪なんて括らないと熱が籠もってすぐ熱中症になる。
 わかる。理屈は分かる。分かるけどさあ。
「……………よりによって僕の前でそんなことします…………?」
「麦茶取りに勝手に台所来といてなに言ってんだ馬鹿8主。手伝う気もないくせに」
 この無自覚具合よ。わざとやってんのか。昨日もさんざ弄られたのになぜ分からない。
 露わになった項にかかる、雑に括った髪からひとふさ溢れたほつれ毛。うっすら上気した肌は赤い痕をより際立たせ、夏場の農作業による日焼けにも負けず全力で存在を主張している。そこをつう、と汗の雫が伝ってゆく様を見せつけられたとあっちゃあ、ねえ。
「……塩分、」
「あ?」
「塩分補給、してもいいですか」
「んなこといちいち確認しなくていいよ。棚の奥に塩飴あるし、冷蔵庫の中に茄子漬けあるから好きにつまめ。倒れられたら面倒だ」
 4主さんは菜箸片手に鍋とにらめっこするばかりで一度もこちらを振り返らない。タンクトップにエプロンというのももう駄目だ。ポイントが加算されすぎてオーバーヒートしている。
 好きにしろ、と許可も得たので、ふらふらと茹だった脳みそのままその背後に歩み寄った。
 この美味そうな餌を拝領すべく、くは、と小さく口を開ける。そうしていざ味わうその直前に忘れず一言。礼儀は大事だ。
「……いただきます」


 直後、宿舎中に大絶叫が響き渡り、腹部に会心のエルボーをくらった僕はろくに手当もされないまま部屋に放り込まれて食事抜きを言い渡された。
 後から聞いたその日の昼食風景は、うだる暑さの中なぜか髪を下ろした4主さんが阿修羅のような形相をしている中、みんなでガタガタ震えながらそうめんを食べたらしい。
 手っ取り早い納涼ができたことをみんな僕に感謝するべき。


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