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FFDQかっこいい男コンテスト 〜なんでもあり部門〜
1
:
名無しの勇者
:2006/07/12(水) 21:32:41
FFDQなんでもあり部門の小説専用スレです。
シリーズ、作品の枠を超えた作品を投稿する時はこちらで。
書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。
*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*
ネタスレについては
>>2
以降(テンプレ考案中)
387
:
【4】
:2007/08/05(日) 22:39:01
「私でなくとも無言で、しかも背後の方から見つめられるのはあまりよろしくない気分なんだが?」
こちらを振り返らずにかけられた声に心臓が跳ね上がった。
一応気配は隠していたのだが、やはり相手も一応は歴戦の戦士。ばれていたみたいである。
「まぁ何時までも突っ立ってないで、座ったらどうだね?」
栞を挟んでぱたんと本を閉じ、5主はすこしだけ首を振り返らせ、こちらを向きながら
自分の隣を手のひらでトントンと叩く。ようは此処に座れ、ということだろう。
べつに反抗する理由も無いのでどっかりと座り、背もたれに両腕をかけ、足を組んだ。
隣の5主に比べればかなりだらしのない姿勢だ。
「んで、なにがあった? 恋の悩みか、それとも8主のいやがらせか?」
どこかおどけたように言う5主だが、単に喉が乾いたーなどといった類の穏やかな理由で俺がここにいるのでは
ないということに気付いているらしい。血のせいか、それとも経験からか。
とにかくこういった感情変化に変に鋭いからあなどれないんだ。まったく。
「べつにー?急にソファーでくつろぎたくなったら変態な先客がいただけですぅ。」
「はははあんまり嬉しくない冗談だな。」
棒読みと乾いた笑いの5主。
唇を尖らせていってみるがコレはどう見ても子供が拗ねているのと一緒ジャマイカ。
388
:
【5】
:2007/08/05(日) 22:39:26
「んであんたはどうなの?」
「ん?何がだい?」
「こんな時間に本読んで。しかも普段かけないメガネなんかかけちゃってるし」
わざわざ本を読むためにこんな深夜にこんな所にいるって言うのは不自然だ。突っ込んで言えば、本なんて
自室で読めばいいことだし、一応子持ちであるせいか以外にも夜更かしをしないのだ。5主は。
そんな5主が自室でなく、しかもこんな夜更けに本を読んでいるのだ。めずらしすぎる。
「案外君と同じ理由かもしれないぞ?」
「またそんな風にはぐらかしやがって」
誤魔化されたような気がしたので悪戯でメガネを奪う。しかし悪戯されても5主はこらこら、と言うだけで、
まるで子ども扱いだ。緩く微笑んでさえいる。ちくしょーめ。
弄っていたメガネを5主に返す。5主は苦笑しながらそれを受け取った。
「最近書類が片付かなくてね、深夜まで食い込むからどうも寝不足で。そのせいか若干視力が、ね。」
「老眼鏡じゃなくてざんねーん。」
その言葉に一応こいつが王であることを思い出した。
普段の行動にまったく王族らしいものが含まれていないせいだ。もうちょっと普段からまじめにしてりゃーいいのに。
389
:
【6】
:2007/08/05(日) 22:39:52
何をするでもなく、しばしの沈黙が流れた。
「ここにいる理由は、ちょっと部屋にいるのが息苦しくなってね。」
その穏やかな沈黙を、5主は穏やかな声で破った。
「昔の夢を見たんだ。私が己が王であることを知ったころよりもっと昔のころの。
親友と二人、あの石の牢獄に閉じ込められていたときのころの。
あのころは本当酷くてね、四六時中怒鳴り声、病人怪我人のうめき、鞭の音しかしなくて。
昼間は炎天下の中石を引きずって、夜は狭く、薄暗い所に押し込められて眠って。
でも昼間より、むしろ夜になったときの方が辛くてね。
だれも彼もが疲れ果て、たまには重労働のため死に至る者までいて。
明るいうちは働くことでいっぱいだけど、夜になって監視者の声がしなくなったとき、
暗く狭いそこでは聞こえるのはうめきだけ。視覚が塞がれている分それが克明になるから。
逃げ出した後、あの場所以外で得た初めての眠りに、夜とはこんなに穏やかなものなのかと感動すらしたよ。」
どこか遠くを見るよに5主は淡々と続ける。俺は食い入るように5主を見つめながらその話を静かに聞いていた。
「だから目が覚めたとき、部屋にいるのがちょっと辛くてね。」
ここなら広すぎるくらいだし、ちょっと電気代もったいないけど。
そういって5主は何時ものようにおどけて話を締めくくった。
390
:
【7】
:2007/08/05(日) 22:40:12
他の連中に言わせれば、俺とこいつは相等悲惨な部類に入る過去を持っているらしい。
だが、こうして5主の過去を聞いたのはこれが初めてかもしれない・・・。
「ふーん。あんたも相当苦労してたんだなァ・・・」
「ふふっ、君ほどでもないさ。」
「それにね、正直一人ぼっちでいるのには心細かった。だから僕は何度もあの親友に感謝したよ。
そして今も、ね。詰まり何が言いたいかというと・・・」
そういって5主は突然俺の体を引っ張った。予期してなかったその行動にアレはあっさりと引き倒されてしまう。
はっと気付いたときには5主の膝の上に、仰向けで頭を預けていた。
俗に言う膝枕である。
「こんなときぐらい、誰かに甘えてもいーんだよ、って事さ。」
「は!? え、ちょwwwうぇうぇwwww」
こんなことになろうとはまったく予想だにしてなかったうえ、恥ずかしいやら情けないやらで俺はもうメダパニ状態だ。
なんだこれ?何この展開???
391
:
【8】
:2007/08/05(日) 22:40:37
「ちょwなにしてるんすかあーたwwwww」
「いいから黙って身を任せときなさい。」
仰向けになった俺の額、正確には額から産毛の辺りまでを、まるで前髪を掻き揚げる様に手のひらで撫でられる。
何度も撫でるそのやさしい手つきが以外に心地よく、眠気の波がやってくる。
さっきまでの目の冴えが嘘のようだった。
「・・・なにこれ・・・? ラリホーかなんかっすか?なんか・・・ 眠たいんですけど・・・」
「ははっ、こんな事に魔法なんて必要ないよ。仮にも私は”お父さん”だぞ?」
つまりはこうだ。寝付けない子供をあやすのと、まったく同じ事をしているのだ。
暗に自分が子供といわれているみたいで、ちょっと腹が立ったが、その心地よさには勝てず、うつらうつらと目を閉じる。
「うる・・せー・・・ 子、供扱い・・・ するなよ・・・・な・・・・・」
せめてもの抵抗として悪態をつくが、眠たくなっているのはモロバレ。
心地よい闇に流されるまま、5主のおやすみ、という声を最後に俺は意識を手放した。
だがあんた、コレじゃお父さんというより、まるでおかーさんだぜ・・・?
392
:
【9】
:2007/08/05(日) 22:41:00
「・・・あれ・・・?」
朝の光とちゅんちゅんという鳴き声に目を覚まし、そして普段とは違う目覚めた時の景色にうろたえる。
珍しくすっきりと目は覚めていた。
横様に眠っていたため頬に暖かい感触がする。頭にも似たような温度。
だがこの枕はフワフワとした綿ではなく、しっかりとした弾力がある。
「ん?暖かい?」
昨晩のことを思い出し、急いで飛び起きた。頭の上におかれた手が腕ごと肩にずり落ちる。
体を起こすとぐんにゃりとソファーに体を預け、眠り込んでいる5主がいた。
すっかり熟睡している。
「あちゃー・・・」
どうやら俺も5主も、あのまま眠っていたらしい。
口元の濡れた感触を拭うとそれは涎だった。5主の膝を見ると少しだけ濡れている。
やっちまった・・・。 でもしらんぷりしときゃばれない、よな?
5主はまだ起きる気配なし。誰も来ないうちに部屋に戻ろう。特に8主に見られたらどんなデマを流されるか
わかったものではなry・・・
「おっ! 4主に5主じゃないか!二人ともこんな所で何やってるんだ?」
・・・俺の望みはあっけなく砕け散った。
393
:
【10】
:2007/08/05(日) 22:41:31
朝から元気のいい2主を丸め込むので一気に体力を使った気がする。
「・・・ん、んん? ああ、2主か、それに4主もおはよう。」
あのあと、2主のあの大声で5主は目が覚めたらしく、伸びをしながら眠たそうな声で朝の挨拶をした。
「なぁなぁ5主、こんな所で寝ちゃうと風邪引いちまうよ?」
「ああ、ちょっと本を読んでいたらそのまま寝ちゃったみたいでね。気を付けるよ。」
「そうだぜ! 健康第一だな!!」
元気のいい2主の頭をポンポンと撫でながら5主は苦笑する。
解っているのか解っていないのかあいも変わらず解らない2主はただ元気よく返事をしていた。
ああ、2主にはいろんな意味で救われるというか、癒されるというか・・・
「でも4主に膝枕してるなんてめずらしいな! 今度俺もしてくれよ5主!」
あ、でもちゃっかり地雷は踏んじゃう。無知ゆえか純粋ゆえか。
俺はガクッと肩を落とした。
「2主ちょっといいかな?」
「お?なんだ4主?」
「これは昨日した賭けの罰ゲームでゼッタイ命令でシンシアがみてるからズルはらめえぇぇぇぇぇぇ
とにかくあんまりコレは知られたくない事で特に8主辺りにはゼッタイバレてほしくないことでry」
「うーん、よくわかんないけど、要はゼッタイ誰にも言っちゃだめ!ってことだよな?」
2主の肩を掴んで必死に弁解、超必死だったので怨念オーラ辺りでてかかもしれない。
だがそんなことは露ほども気にしていない2主。なおかつ俺の望みは理解してくれたみたいである。
(内容を理解しているかどうか怪しいので、俺の剣幕で判断した可能性もあるが)
だがあっけらかんといわれたので内心不安であることは隠せないと言って置こう。
394
:
【11】
:2007/08/05(日) 22:41:51
と、朝のそんな騒ぎ(といっても俺だけの一人祭り状態だったが)が嘘のように、
普段道理の毎日である。
あいも変わらず6主は妹妹うるさいし、3主はヤフーでわけのわからないものを検索している。
1主はローラフォンに脅え、2主は今日も元気にトレーニング、7主は存在感が無さすぎて何処にいるのか解らない。
ただ8主の嫌がらせもいつも道理なのでいつか羽なりむしってただのトカゲにしてやりたいとは思っているが
残念、奴は竜には変身しないんだぜチクショウ。
でもこんな変わらない日常の中、普段見ることのないであろうまじめな5主の姿を見て、5主のことを見直したのと、
他の皆に対して不思議と優越感のような、物を感じているのは俺だけの秘密にしておこう。
「あれ?何考えこんでるの?5主」
「ああ、7主か。今夜妻たちとどんなプレイをしようかと考えry」
・・・・・・やっぱり前言撤回だ。
395
:
名無しの勇者
:2007/08/05(日) 22:46:17
裏テーマは「親子」ということで
こんなまじめな5主はぶっちゃけアリエナーイってやつなのでキニシナイでくだしあ
靭帯さん続きwktkお待ちしておりますw では御目汚し失礼しますた
ぶっちゃければシリーズ中ドンゾコ二人組みを絡めてみようってのと、とりあえずまじめな5主を
書いてみたかった(テラ本音www)
396
:
名無しの勇者
:2007/08/06(月) 02:11:28
5主の父性に和んだ。メガネ萌え。
主雑はカプ抜きで萌えるから止められない止まらない。
397
:
名無しの勇者
:2007/08/06(月) 18:35:02
パパ…!
>>384
gj!
398
:
名無しの勇者
:2007/08/06(月) 23:10:33
5主と4主の真面目な絡みがありえないとか珍しいって認識にびっくりだ
天空の勇者に5主の父性がうずくのも天空の勇者の父に4主が懐くのも
選べないダブル嫁のルーツという理由で5主に恋愛感情が絡むのも
子孫が二人とも惚れた男という理由で4主に恋愛感情が絡むのも
バッチリ設定の裏付けができるぶん普通に王道になり得るカプだと思ってた
少数派だったとはorz
でもそんな少数派な萌えを書いてくれた
>>383
に感謝
399
:
名無しの勇者
:2007/08/07(火) 00:24:55
>>398
ちょwww
あなたのカキコのおかげでより一層萌えがみなぎるwww
400
:
名無しの勇者
:2007/08/07(火) 07:36:42
>>398
の分析にもっともだとうなずきつつ萌えました。抗えない天空人の魅力。どんだけ4主は綺麗なんだろう。
しかし、5主パパカッコいいよ5主パパ。
途中まで、この人は4主の弱ってるところにつけこんでエロい事するんじゃ…と疑っててごめんねパパ。すごく優しいパパだったよ。
8主も可愛かったです。コーヒー牛乳の空き瓶は、きっとご丁寧に綺麗に洗ってあるとか妄想した。
とにもかくにも、
>>384
GJでした。
401
:
名無しの勇者
:2007/09/04(火) 13:33:02
読み直してみたが6×7がかわいすぎる
6が鈍感なせいで進まないのがもどかしいww
402
:
8主→3主 [0]
:2007/10/04(木) 02:27:40
8主→3主の監禁調教物(?)いきます。
3主途中までちょっと可哀想かも。長くなるかもしれません。
403
:
8主→3主 [1]
:2007/10/04(木) 02:28:11
いつからでしょうか。
たぶん割と最近だと思います。
僕が3主さんを、無意識に目で追うようになったのは。
とても子供なんですよね、彼。いつもバカバカしいことで騒いでる。
1主さんはそんなご先祖様のお守りで毎日大変です。
でもそこが純粋と言えば、そうなんでしょう。
16歳で急に親元を離れて、魔王討伐の過酷な旅を続けて、帰れなくなって、
気がついたら宿舎でのんべんだらりとネット漬けの日々を過ごしている彼は、
悪く言えば世間知らず、よく言えば世間擦れしていないというか。
魔王を倒した勇者としてのプライドはしっかりあるけれど、
変に意固地になって自分を守るようなことはなくて。
ちゃんといろいろわかっているくせに、それでも素直でいられるような。
それは芯が強いからなのかな、なんて考えたり。
案外……逸材、かもしれない。
僕の錬金術師としての血が騒いだのです。
404
:
8主→3主 [2]
:2007/10/04(木) 02:28:29
も国元へ帰れば、近衛隊長として多少の権限は持っています。
いろんな帳面をうまくごまかして、まずは3主さんを迎え入れるための別荘を造りました。
一見すると変哲のない物見塔なのですが、中はかなり豪奢にしています。
間取りにはだいぶ気を遣いました。不便な思いをさせたくありませんしね。
急ピッチで仕上げたにしては、なかなかのデキです。
準備を整えて、いよいよ今日、作戦実行です。
現在明け方四時。昨晩は早めにベッドに横になりましたから、眠気はありません。
逆に3主さんは今頃、夜通しのネットに疲れて眠りに入るあたりです。
足音を忍ばせて、3主さんの部屋に向かいます。
ドアの隙間から光が漏れていないので、すでに就寝したようです。
僕は最後の鍵を使って、そっと侵入しました。
「ムニャ……」
気持ちよさそうに眠っています。寝顔が本当にかわいい。
念のためラリホーを二度ほどかけておきます。
すべすべのほっぺたにキスをしてから、かついで部屋を出ました。
おや、思ったよりぜんぜん軽いですね。太ったなんて騒いでいたけれど。
玄関を出てから、僕は宿舎を振り返りました。
急にご先祖様がいなくなったら、1主さんはとても心配するでしょう。それは申し訳なく思います。
いつかお返ししないとなぁ、と考えながら、僕は別荘へルーラしました。
405
:
8主→3主 [3]
:2007/10/04(木) 02:28:52
人里離れた森野奥にある塔の最上階が、3主さんのための部屋です。
窓が無いので明かりが消えていると、室内は真っ暗。
スイッチを付けて視界が広がると、高級ホテルのスイートルームそのままの部屋があります。
僕は趣味にはお金を惜しまない主義なので、だいぶ奮発しました。
さて、フカフカの大きなベッドに3主さんを寝かせます。
彼はぐっすり寝ています。あごの下をコチョコチョしたら、くすぐったそうに身をよじりました。
だめだ、可愛すぎる。
いつまでもやっていたいのですが、そうもいきません。
まずは服を脱がせにかかりました。
眠っている人間の着ている物を脱がせるのは、けっこう大変です。
しかも……うわぁ、なんて白い肌。いくらなんでも日カゲにいすぎでしょう。
白い方が好みなので窓も作らなかった僕ですが、最初からこうだと少し拍子抜けです。
だんだん白くなっていく様を観察したかったのに。
全部脱がせてしまうと、僕はさらにびっくりしました。
だから、誰ですか、太ったなんて言ってたのは! むしろちょっと痩せすぎじゃないですか?
まったく、全然運動しないで一日中パソコンなんかやってるから、すっかり筋肉が落ちちゃってる。
栄養学の本まで読んで食事の内容も練ったのに、考え直さないといけません。やれやれ。
406
:
8主→3主 [4]
:2007/10/04(木) 02:29:13
3主さんの服をたたんで足下にまとめてから、僕はとっておきの錬金アイテムを取り出しました。
偶然できたしろものなのですが、これほど見事に目的にマッチした作品は滅多にないでしょう。
むしろ、これができたからこそ今回のことを思いついたのです。
見た目は「首輪」です。鎖つきの。他に呼びようがありませんね。
「まふうじのつえ」などが合成されている、と言えば、その効果はおのずとわかるでしょう。
もちろん呪いのアイテムなので、自分では外せません。
カチャリ、とな。
鎖の端はベッドのヘッドボード(頭側の背もたれみたいな部分ですね)の上に打ち込んでいる
鉄の輪っかに繋がっています。長さは優に10メートルくらいあるので、室内を自由に移動できます。
ぎりぎり入り口に届かないくらいでしょうか。
ヘッドボードの真ん中あたりにも、小型のベルトが二つ、短い鎖につながってぶら下がっています。
そこに3主さんの手首をはめて固定しました。
あ、誤解しないでくださいね。僕はこういうのあんまり好きじゃないんですよ。
ただ最初は仕方ありません。3主さんだって急にこんなことになって驚くでしょうし。
暴れてケガでもしたら可哀想ですからね。僕、自分でも他人でも痛いのは嫌いなんです。
えーと、他に忘れていることはないかな?
ああ、そうそう、口もね。猿ぐつわって、最初に誰が名付けたんでしょうね。
僕の大切な友人をサル呼ばわりするみたいでムカつくんですが、まあ怒っても仕方ない。
バーの部分をくわえさせて、ゴムのベルトを後ろでパチンと留めます。
もちろん、これも最初のうちだけです。頃合いを見てすぐ外してあげますよ。
だって普段の3主さんを考えれば、元気なうちはとんでもなく騒ぐに決まっているし。
この人、口は悪いですからねぇ。
品のない罵詈雑言の嵐を頭からかぶせられたら、僕だって萎えますもん。
407
:
8主→3主 [5]
:2007/10/04(木) 02:29:36
よし、準備OK!
ですが3主さんはまだ寝ています。
ザメハの使い手が寝ている本人なので、僕は目覚めを待つしかありません。
パーティーアタック? だから痛いのは嫌なんですってば。そもそもDQ8ではできません。
退屈なので、さっそくイタズラしちゃいましょうか。
桜色の胸の飾りを、指と舌先でいじってみます。
「……ん……」
きれいな形の眉がちょっとしかめられました。
「…んん……ん……」
もぞもぞと身体を動かします。
吸ったり舐めたりしているうちに、それまでおとなしかった3主さんの性器もピクリと動きました。
感じているんでしょうか。早く目を覚まさないかな。
「んん……ん………ん?」
ようやく3主さんが起きました。まだ寝ぼけ半分でぼんやりしています。
まるで視力の悪い人みたいに、目を細めて僕の顔を見つめ、首をひねりました。
(なんでお前がいるの?)
といった顔です。
チャリっと鎖が鳴りました。音につられたように、3主さんはまず右の手首のベルトを見ました。
ハッとしたように首を振り、左手首のベルトを見ます。次に自分の身体を見下ろしました。
事態が飲み込めてきたようです。
「んん!? んぐ! んーんん!!!」
案の定、激しく暴れ始めました。両足は僕がまたがって押さえつけているので、
ほとんど身動きの取れない状態ですが。
408
:
8主→3主 [6]
:2007/10/04(木) 02:29:59
「んん!! んぐー!」
「大丈夫ですよ、3主さん。落ち着いてください」
僕は優しく語りかけます。
「びっくりするのはわかりますが、おとなしくしてください。お願いですから、ね?」
ここで無駄な体力を使ってしまうと、あとがつらいですから。
ですがやっぱり3主さんは聞いてくれません。
耳まで真っ赤になりながら僕を睨みつけて、んーんー叫んでいます。
仕方ありません、強行手段です。
と言ってもやることは一緒。愛撫を再開。硬くなった乳首に刺激を与えます。
「ん! んんん…!! んぐ…ん…!」
声音に少し別の色が混じり始めました。
グンと背中が弓なりにしなって、あれも首をもたげつつあります。
黒い瞳が潤んでいます。目が合うと、いやいやするように首を振りました。
(頼むからやめてくれ)
懇願の眼差しに、僕は背中がぞくぞくしました。
身体全体がうっすらピンクに染まっていて、ああどうしよう、本当にかわいい。
やっぱりあなたを選んで正解ですね。
「じゃ次はこっちもやってあげますからね」
硬くなった彼のものを口に含んで、ゆっくり舌でなぞります。
連続でジャラジャラ鳴っていた鎖の音の間隔が、徐々に長くなってきました。
「んぐ……ん、ん、ん……!」
見上げると、両方の瞳から涙を溢れさせて、必死に首を振り続けています。
あんまりシャッフルすると、頭がクラクラになってしまいますよw
409
:
8主→3主 [7]
:2007/10/04(木) 02:30:20
そんな感じで可愛がっているうちに、3主さんは早々に達してしまいました。
記念すべき一回目、と。
ちょっと急だったので全部飲んであげられなかったんですが、こぼれた分は潤滑剤にしましょう。
ローションも一応は用意しているんですが、なるべく使わない方向で。
3主さん以外の味が混じるのは、なんかもったいないですし。
いったん3主さんの上から降りて、吐精後の弛緩した両足を開きます。
自由になった足で蹴飛ばそうとするのですが、ほとんど力が入ってないので楽に押さえられます。
「はいはい。まだ時間はありますから、飛ばしすぎない方がいいですよ?」
奥の隙間に手を差し込んで、スッと性器の先端までなぜ上げると、3主さんた大きくのけぞりました。
白い喉がさらされて、艶めかしく上下に動いているのが見えます。
さっきから感心しているんですが、経験がないと言うわりに感度抜群なんですよねぇ。
彼から取り出したベタベタと僕の唾液を混ぜて、秘部にすりつけます。
まずは一本、指を差し込むと、するっと奥まで入りました。
「ん……!」
二本目は少しきついです。中で動かすと、クチュクチュと音がしました。
「んんん! ん…………んー………」
あ、あら? なんか本格的に泣き出しちゃいましたね。初めてだから怖くなったかな。
「大丈夫ですってば。絶対に痛くしないですから」
正直、僕もそうとう我慢の限界なんですけど、裂けて出血なんてもってのほか。
ちゃんとしっかりほぐしてからって決めてます。
410
:
8主→3主 [8]
:2007/10/04(木) 02:30:42
というわけで、三本目。
内側をかきまぜるように、ゆっくり動かします。前立腺はこの辺かな?
いったん小休止に入っていた彼のあれも、再び起き上がりました。
もう一方の手でこするとビクビクっと動きます。またすぐイッちゃいそうな気配ですね。
女の子とのセックスを知らないから、我慢することに慣れていないんでしょう。
「ん!……んん……ん、ん、ん……!」
「気持ちいいですか3主さん?」
って、答えられないですよね。つい聞いてしまいましたよ、やだなぁ。
少し考えて、僕はもう一回イかせておくことにしました。
ある程度疲れてる方が感じるっていうじゃないですか。
まぶたと頬にキスをして、そのまま首筋から胸に唇を這わせて、中心をくわえ込みます。
「ん……んぐ! んー……!」
少し激しくカポカポっとやってあげたら、案の定あっさり二回目の射精となりました。
今度はちゃんと飲んであげましたよ。あんまりおいしいものではありませんけど。
いよいよぐったりしている3主さん。
身体の力がいい具合に抜けたので、うしろもだいぶ緩くなった気がします。
そろそろ大丈夫そうですね。
僕はいつもの黄色の上着とバンダナを外して絨毯に放り捨てました。
ズボンを半分ほど降ろし、3主さんの両足をよいしょっと抱え上げました。
僕の方は、もう待ちかねている状態です。痛いくらいに張ってます。
「3主さん。3主さん、入れますよ?」
「……ん……んん……」
ゆらゆらと首を振ります。
目がうつろになってますが、まだ意識はしっかりしてますね。
411
:
8主→3主 [9]
:2007/10/04(木) 02:31:03
先端をあてがって、ゆっくり押し進めます。
最初だけ少しきつい気がしましたが、くびれまで飲み込んだあとは、
クポッとかわいい音を立てて奥まで入っていきました。
「ん……!」
3主さんがギュッと目をつぶって横を向きました。
ああそうだ、もうそろそろ口の、外してあげようかな。
というか、ここからはちゃんと声を聞きたいところですよね。
呼吸だって追いつかなくなるだろうし。
「3主さん、ちょっとそのままでいてください」
首の後ろに手を回して、留め金をパチンと外します。
ゴムベルトがゆるんで自然に顔の上から落ちました。
「……っあふ!……はぁ……はぁ……」
必死に空気を吸っています。やっぱり息苦しかったんですね。
「あ……あぅ……ど、どうして……うぁ!」
質問はあとで。まずは僕のも気持ち良くさせてください。
ここまで本当に我慢したんですよ?
僕は前後に腰を動かしました。
3主さんと僕の間で、すごくいやらしい音がしています。
「あ、ああ、うあ!……や……やめ……ふああ!」
身体を打ちつけるたびに、3主さんは聞いたことがないような色っぽい悲鳴をあげます。
これはヤバイ、僕の方まで理性が飛んでしまいそうです。
気がついたらかなり激しくやってしまっているんですが、この様子なら痛みはなさそうですね。
412
:
8主→3主 [10]
:2007/10/04(木) 02:32:37
「い、いきますよ、3主さん……!」
無我夢中で思い切り動かして、絶頂の瞬間にありったけの熱を中に注ぎ込みました。
「あ…あぅ!…や…ああああ……!!」
同時に、僕のお腹の辺りにもあついしずくがかかりました。
すごいなぁ、これで三回目ですよ。さすがに最初ほどの量はないですけど。
でも一緒にイけたのは嬉しいですね。
僕たちって身体の相性がいいんじゃないでしょうか。
「はぁ……はぁ……けほっ……」
立て続けにイかされて、3主さんは完全にグロッキー状態です。
目ではなにか訴えているんですが、言葉にする余力もないようです。
だから最初に注意したのになぁ。
ああもう、本当に――――すごくいい感じです。
ここまで来ると、あとはのんびり楽しむだけですね。頑張ったなぁ、僕。
たぶん、クスリとか使えばもっと楽なんでしょうけど、僕のこだわりというか、
3主さんに3主さん以外の余計なものが混じるの、やっぱり嫌なんですよねぇ。
「じゃあもう1ラウンドいきますか」
「……! そ、そんな……ああ……!」
だって僕はまだ元気ですもん。これからが本番なんですから。
それに、ね、3主さん。
このあともいろいろと準備があるんですよ?
そう……本番はこれからです。
続く
413
:
名無しの勇者
:2007/10/04(木) 03:20:15
なんか斬新な組み合わせktkr
ところでザメハって3は僧侶の呪文じゃなかったっけ?
414
:
名無しの勇者
:2007/10/04(木) 07:45:54
確かそう。
あと8はキアリクが目覚め効果でゆうきスキル初期で覚えられるから
よほど地雷踏んでない限り8主も使える。
きっと勇気に欠けててリサーチ不足なんだよ
415
:
書いたヤツ
:2007/10/04(木) 10:02:51
マジごめん、なんかいろいろ素で間違えた。
どんなに好きでも忘れてるもんだなー。ショックだ。
内容的には大丈夫?
カップリングもジャンルもちょっとあれだし、
需要少なそうならここで打ち切るけど。
416
:
名無しの勇者
:2007/10/04(木) 11:17:18
書きたいものを我慢して無理して需要に合わせた何かを書くよりは
仮に自分にしか需要がなくても書きたいものを書いといた方がいいよ
興味のない人を新カプに引っ張りこむくらいのつもりで
人を選ぶジャンルでも先に注意書きしてればわざわざ読む方が悪いし
まして自分と逆だからって他人の萌えカプにわざわざ叩きレスするような厨はいないはず
417
:
名無しの勇者
:2007/10/04(木) 11:45:31
面白いから続けて欲しいな
418
:
名無しの勇者
:2007/10/04(木) 11:54:16
需要ならここに300人分萌えている俺がいるから安心してくれ!
だから自分にしか需要がない、なんてことは絶対ないよw
419
:
名無しの勇者
:2007/10/04(木) 18:45:43
私も続き読みたいです
420
:
名無しの勇者
:2007/10/04(木) 22:25:56
正直カプは真逆だけど続きがすごく気になる自分ガイル
421
:
名無しの勇者
:2007/10/04(木) 22:44:11
正直萌えた。
続きが気になる!8主何してるの8主
422
:
名無しの勇者
:2007/10/05(金) 01:36:48
ヤバイ。83良い!
私も続き気になります!
423
:
名無しの勇者
:2007/10/05(金) 07:42:01
83は凄い良いんだけど83って表記だと違う良いものを想像する
424
:
名無しの勇者
:2007/10/05(金) 07:52:08
ハッサンか
425
:
8主→3主(監禁調教物?)続き
:2007/10/05(金) 12:02:09
たくさんのレスありがとうございます。
続きです。
苦手な方は引き続きスルーでよろしくお願いします。
426
:
8主→3主 [11]
:2007/10/05(金) 12:03:09
……なんで。
なんでこんなことになってるんだ。
わけわかんねえ。
俺、宿舎にいたんだよな? いつも通りネットしたあと眠くなったから寝て。
起きたらこれだ。
服むしられてて、動けなくされてて、なんか呪文も封じられてるっぽい。
身体中いじられたし。ってか、犯された上に中出しされたし。
それを悲しむヒマも与えられずに、今もギシアン続行中だし。
「ふぁ…あ! あぅ……あ…ん!」
言いたいことは山のようにあるんだが、どれひとつまともな言葉にならない。
あん、じゃねえよ俺。そろそろマジでやべえって。俺きっとHP黄色だって。
「や……! もう……や、め……あぅ!……くるし……」
なんとか単語を絞り出した。今のはわかっただろ。俺の心からのヘルプ伝わったよな?
「ああ、そうですねぇ。ずっとこの体勢もつらいか」
8主はニコニコしたまま、俺の上から降りた。
ズルッと抜けた感覚があって、また勝手に甘ったるい声が漏れた。
うわ、最低だ。なにこの異様な空虚感。余計「入ってた」って思い知らされる。
勘弁してくれよ、とか思ってたら、くるんと身体をひっくり返された。
手枷で繋がってたはずなのに、と上を見たら、留め具が2段のレールで動くようになってて、
左右を入れ替えれるようになってやんの。すげえw超アホだw誰だこんなもん作ったヤツは。
「はい、ひざ立てて。少し開いてください、その方が楽ですから」
このやろ、なんて格好させんだ。あ、また挿れ――
「あ! うぁ…ああ! ひぁ……!」
「どうです、これなら苦しくないでしょう?」
違うって、死ねこのバカ。
427
:
8主→3主 [12]
:2007/10/05(金) 12:03:34
っつーか先に俺が死ぬ。何回イかされたんだろ。無理、もう出ない。
だから先っぽ爪でカリカリすんのやめれ。
背筋や太ももの裏がびりびりして、おかしくなる。
「は……あ…ぅ……」
「すごい、まだ締まるんだ。3主さんの中、すごく気持ちいいですよ」
わかったから、その手を止めてくれ。もう前をいじるな。
突っ込まれてるところも内臓もギュウっとなるのに、半端なままでつらい。
頼む、やめ――
「や……いやだ…もうやらぁ……!」
必死になって叫んだ。
「あらら、どうしました? 気持ち良くないですか?」
8主は俺の髪をなぜて、背中にいくつもキスをしてきた。
あそこへの刺激がやんでいる間に、なんとか息と精神を整える。
「やだ……げん…か…い……だって……」
頭ン中はワヤクチャだが、始まりから何時間も経ってることくらいはわかる。
こんだけ喘がされて、気持ち良くなかったとは言えねえけど。
物事には限度があるだろ。
しかも俺、初めてなんよ? 別に男が好きとかでもないんだぜ?
なのにいきなり、こんな突っ込まれて、しかも顔見知りの――仲間だと、信じてた相手に。
あんまり、ひどくね?
428
:
8主→3主 [13]
:2007/10/05(金) 12:03:52
「……う……うえ……ヒク……」
俺の中で張り詰めていたものが、ついに切れたって感じだ。
はっきり言って、怖い。本当はとんでもなく怖い。
魔物に殺される瞬間だって、こんな気持ちになったことはない。
「ちょ、泣かないでくださいよ。僕も困りますよ」
8主が動いた。塞いでいたものがなくなった途端、うしろからドロッてなんか出た気がする。
感覚がおかしくてよくわかんねえけど、もしかして開きっぱなしになってるとか?
これ元に戻るの? 俺の身体どうなっちまったの? 俺、どうなんの?
「泣かないでください。そんなんじゃ、僕も続けられませんよ」
8主は小さい子をあやすみたいに、俺の頭をなぜている。
それがまた、怖くてたまらない。
なんでコイツ、いつものままなんだよ。
まるで普段と変わんない口調で、笑顔で、こんなこと平気でやれるのかよ。
つい昨日だって、みんなと一緒にメシ食ってたじゃん。
夕飯のあとにスマブラやって、お前と俺で共同戦線はって、4主と5主の天空組やっつけて。
借りてた漫画にラーメンのつゆこぼしたってお前が怒って、でも謝ったら許してくれて。
それから、それから……
「うーん、全然ダメですか? そうか、思ったより早かったなぁ」
やがて8主は、ふぅっと溜息をついた。
「僕はもう少し楽しみたかったんですけど、仕方ない。次に行きますか」
起き上がって、ベッドから離れていく。
次って……?
429
:
8主→3主 [14]
:2007/10/05(金) 12:04:18
枕から顔を離して横目で見ていると、あいつは布の袋を持って戻ってきた。
弁当入れよりちょっと大きいくらいで、それを俺の顔の横に置いた。
カチャカチャとものがぶつかりあうような音がした。
袋のヒモをほどいて、俺の目の前に中身をぶちまける。
最初に目についたのは、作りものの、アレ。
さっきまで俺の中を引っかき回してたヤツをもっとグロくして、デカくしたような。
しかも半透明の蛍光ピンク。後ろ側にコードとスイッチみたいなのがついてて。
他にも小さいカラフルな卵に、同じようなコードとスイッチがついてるのとか、
変な形のクリップみたいなのとか、なんか、たくさんあって――。
「…なに…を……?」
理解したくなかった。
それがどういう用途で使われるのか、わかってはいるけど考えたくなかった。
「今はいろんなものがありますよねぇ。これなんておもしろいんですよ?」
そのうちの一個を取り上げて、手もとでカチカチいじってみせる。
「この吸盤に乳首を吸い込むんです。ほら見えます? 中で小さなブラシが動いてるの」
「……お前……なに考えて……!」
「こういうのは、最初が肝心だと思うんですよ」
また手枷の左右を入れ替えて俺を仰向けにさせる。
体力なんてカケラも残ってない俺に、8主は相変わらずの笑顔のままで言った。
「ひとまずフルセット、いってみましょうか♪」
430
:
8主→3主 [15]
:2007/10/05(金) 12:04:43
3主さんってば、限界だとか言っておきながらまだ余裕があったのか、
僕がエッチなオモチャを取り付けている間中、バタバタ暴れていました。
でもそれくらい元気があった方が、セットする方も楽しいですね。
親指の先くらいのローターを3個入れて、奥に押し込むようにバイブを挿入。
「ああ! や…ぁ…!」
少し大きいかなと思ったんですが、すんなり入って良かったです。
バンドで抜けないように固定してと。
さっき見せてあげた吸盤を2つ、胸にキュッと吸い付けます。
あはは、これはちょっと……マヌケかもしれない。
テレビでポロリしたら星マークとか入ったりするじゃないですか。
あれを思い出しちゃう。本人にはないしょにしておきましょうねww
「頼む……頼むからやめてくれ」
ひとつ取り付けるごとに、3主さんは引きつったような声で哀願します。
「そんなに心配しないでください。このテのは電池の消耗が激しいんですよ」
動かないやつが出たら、そこで終了ということにします。
万が一僕が離れたまま忘れちゃっても、半日経たないうちにすべて自然に停止するでしょう。
「やだ! そんなの、そんな……!」
「さすがにタイマー式とかはないみたいなんですよ、我慢してくださいね」
そうすれば細かい時間設定ができていいんですけど。
もう少し時間があったら、特注で作らせることも考えたんですけどねぇ。
431
:
8主→3主 [16]
:2007/10/05(金) 12:05:12
さて最後のひとつ。これが緊張します。
5mmくらいの小さなビーズをつないだバイブなんですけど、挿れるところがデリケートですから。
「3主さん、ちょっと動かないでくださいね」
僕は最初みたいに彼の身体に乗っかって、やわらかくなってきたあれをつかみました。
「なんだよそれ! どこに……やめろ!」
「動かないでってば、痛いの嫌でしょう?」
実はここだけの話、僕、これだけは同じものをもう一つ買って自分で試してみたんですよ。
ネットで調べてて、「こんなのもあるのか」ってびっくりしたんですが、
いきなり大事な3主さんに使うほど僕も勇気ないですし。
結果として、ゆっくりゆっくりやれば、ちゃんと根本まで入りました。
スイッチを入れると中心に通ってる針金が細かく振動する仕組みですが、これがまた感じる感じる。
僕は1分も保たなかったんですよねw
ツプツプツプ……と、ビーズをひとつずつ、先端の小さな穴に押し込んでいきます。
「あ、あ、あ――」
3主さんはその様子を呆然と見下ろしています。
「入りましたよ。ほら、最後のビーズってハート型なんです。かわいいですよね」
「や……あう」
これで全部つけ終わりました。
432
:
8主→3主 [17]
:2007/10/05(金) 12:05:37
小刻みに震えている3主さんに、ひとつめのスイッチを間近で見せてあげました。
「…やめて……やめ……」
スライド式のスイッチで、強弱設定が可能の優れもの……なんですけど、コレどれのだっけ?
ONランプが点灯した瞬間、3主さんの身体の中からヴィィンとかすかなモーター音が聞こえました。
「あう! やぁああ!」
中のやつだったみたいです。とりあえず最強設定にしちゃえ。
僕は順番にスイッチを入れていきます。
刺激を与える箇所が増えるたびに、3主さんは切ない声を上げます。
「たす……たすけ……ゆるして……ああああ!」
身体の外側と中側から同時に激しく責められてガクガクしています。
最後に、あの細いビーズのスイッチを入れました。
カッと目を見開いた3主さんが、大きく弓なりになってから、バタンとベッドに沈みました。
「あぐぐ……が……」
白目を剥いて、口の端から泡をふいています。
おっと、刺激が強すぎて落ちちゃったみたいですね。
もちろん、人間こんな程度じゃ死にやしません。
ただ気道が詰まると窒息してしまうので、横を向かせて口に指を突っ込みました。
「げっ……かほ……」
せきをさせると、ヒュー、っと空気を吸い込む音がしました。
黒い瞳も戻ってきましたが、もうどこも見ていないようです。
身体はビク、ビクっと震え続けています。
主役の3主さんが静かになってしまうと、室内には蜂の羽音のようなモーター音だけになりました。
考えてみれば、おいしいところは全部こいつらに任せてしまった状態です。
しまった、僕ヒマじゃんw この間になんか食べてこようかな。
433
:
8主→3主 [18]
:2007/10/05(金) 12:06:08
あ、その前にこれだけは伝えておかなくては。
「3主さん、聞こえますか?」
話しかけても、わずかな喘ぎが漏れるだけで、なんの反応もありません。
その耳元に口を寄せて、僕は噛んで含めるように、囁きました。
「3主さん。今日のこと、よーく、憶えていてくださいね」
僕の言うことを聞かないときは、またこうなりますよ。
わかりましたね?
3主さんは天井を見上げたまま、痙攣を繰り返しているだけでした。
それから僕はシャワーを浴びて、外で軽い食事を取ってきました。
1時間くらいでしょうか、戻ってみると、すでに動いてないオモチャがありました。
連続使用すると本当に電池保たないんですね。約束通りその時点で終了とします。
胸のとか、うしろのとか、いっこいっこ外していきます。
なにせ本人がすっかり壊れちゃってお人形さん状態なので、取り付け時とは反対につまらない作業です。
最後に例のビーズを引っ張り出すと、先端からトプっと白いのが少し溢れてきました。
さすが元気がいいなぁ。指先でちょんとつついてみたら、ゆらゆら揺れてちょっと笑えました。
そろそろきれいにしてあげましょうか。手首の枷も外します。
と――ああっ、なんとういうことでしょう、こすれて血がにじんでるぅ!
やっちゃったよ〜。
内側に綿が入ってるから大丈夫だと思ってたんですけど、よっぽどの力がかかってたんですね。
首輪の効果でかなり押さえられているはずなのに……。ロトの腕力を甘く見てました。
「ごめんなさい3主さん。次からは気をつけますね」
ホイミホイミ。もひとつホイミっと。
434
:
8主→3主 [19]
:2007/10/05(金) 12:06:30
手首の傷がきれいに治ったのを確かめてから、3主さんを抱き上げてシャワー室に運びました。
まだ刺激の名残があるのか、時折ブルッと震えています。
シャワー室は2〜3人が入れるくらいの間取りです。
お湯で充分暖めてから床のタイルに直に座らせて、背中をバスタブに寄りかからせました。
3主さんはだらんと手足を投げ出して、ぼんやりどこかを見つめています。
僕はまず、手に洗顔料をつけて顔を洗ってあげました。これ1本2000Gするんですよねー。
次にボディソープ(1本4000G!)を、これも手につけて3主さんの身体を丁寧に洗いました。
ツルツルした肌の感触がたまりません。性感帯に触れたときはまたビクビクしていました。
次は頭。シャンプーもいいのを選んだんですが……
「えーと確かここに」
あったあった。じゃーん、シャンプーハット! 子供の頃に使いませんでした?
「……いらねえよ、そんなん」
かすれるような少年の声。
おや、正気に戻ったようですね。
「じゃあこれは使いませんけど。それとも、自分で洗います?」
彼は小さく首を振りました。
「腕、上がんねえ……」
それじゃ無理ですね。髪を濡らして、シャカシャカシャカと。
「どこか痒いところはないですか?」
またふるふると首を振ります。
お湯でよくゆすいで、これもたっかいコンディショナーでケアします。
435
:
8主→3主 [20]
:2007/10/05(金) 12:06:47
すっかりきれいになった3主さんをかかえて戻り、ベッドのとなりにあるドレッサーの前に座らせます。
もちろんスキンケア用品もバッチリ取りそろえています。
ミーちゃんに頼み込んで、王家御用達のローション(化粧水の方ですよ?w)と
クリームのセットをもらっちゃいました。
「まずはこのローションからで……次がクリームっと」
本当にいい物って、何種類も重ねづけする必要がないんだそうです。
それから髪を乾かしました。3主さんの髪って濡れてる間はペタっとしてるんですが、
乾いてくるとあちこちハネてきます。すごいくせっ毛。
一瞬どうしようか迷いましたが、フワフワしてるのも可愛いので、ここは自然に任せることにしました。
その間もずっと3主さんはボーッとしています。
顔の前でヒラヒラ手を振ってみると、彼は物憂げに僕を見ました。
「なんだよ」
「いえ。大丈夫かなぁって思って」
「なわけねーだろ……」
ふむ、今日は早めに寝せてあげた方がいいようですね。
「ちょっとここに座っててくださいね」
僕は急いで替えのシーツを引っ張り出して、ベッドの上を整えました。
ちなみに、隠すのはもったいないので掛け布団はありません。ベッドメイクも楽で一石二鳥です。
「これでよしと。さ、3主さん、つかまって」
自分では立てない3主さんを寝かせたところで、僕はすっかり汗ばんでいました。
風邪をひかせないようにと、部屋の温度を高めに設定しているせいもあります。
もう一度シャワーを浴びないとダメですね、これは。
436
:
8主→3主 [21]
:2007/10/05(金) 12:07:22
「……なぁ、8主」
横になったまま、3主さんがその黒い瞳だけをキロっとこちらに向けました。
「はい、なんでしょう」
「さっきのあれ……マジ?」
「さっきの?」
僕が聞き返すと、3主さんはわずかに目をそらしました。
「言うこと聞かないと、またやるって……」
おお偉い、ちゃんと聞いていたんですね。
「そうですよ。でも別にクセになっちゃったって言うなら、いつでもやってあげますけど」
「…………ぜってーやだ……」
それだけ言って、3主さんはすーっと気絶するように眠ってしまいました。
「3主さん――」
やっぱり寝顔、かわいいなぁ。
水音でうるさくするのも可哀想ですし、シャワーは宿舎の方ですませましょうか。
「今日はもう戻りますね。また来ます、3主さん」
彼の中指にそっとキスをして、僕は部屋を出ました。
なんだかもう、スキップしたいくらい楽しい気分です。
こんなにwktkするのは久しぶりです。
次はどうしようかな。
437
:
名無しの勇者
:2007/10/05(金) 13:05:22
おお続き来てた!
もう書き込んでもおk?
ご先祖かわいいよご先祖
438
:
名無しの勇者
:2007/10/05(金) 13:39:38
3主大丈夫かw
8主Sすぎるぜ…!
439
:
名無しの勇者
:2007/10/06(土) 20:36:34
ちょ、これなんてエロゲww
8主なにを考えてるんだ!?
続きが気になるぅ!
440
:
名無しの勇者
:2007/10/07(日) 03:22:27
ご先祖可愛いけど壊れちゃわないか心配…でもやっぱ萌える
何この矛盾w
続き気になる…っ!
441
:
名無しの勇者
:2007/10/08(月) 23:43:39
萌えました
3主かわいいよ3主!
442
:
名無しの勇者
:2007/10/11(木) 07:08:56
これなんてエロゲw
続きが気になる……
443
:
8主→3主(監禁調教物?)続き
:2007/10/19(金) 17:13:56
続きです。今回はちょっとマッタリさせました。
苦手な方は引き続きスルーでよろしくお願いします。
444
:
8主→3主 [22]
:2007/10/19(金) 17:15:18
俺がここに連れてこられてから、何日くらいたったんだろう。
時計もなけりゃ窓もないんで、時間の経過がわからない。
運ばれる食事の回数が普通より少ない気はするが、
なにせ以前から不摂生な生活をしていたから、自分の体内時計もアテにならねえ。
うーん、もうちょい1主の言うこと聞いておけば良かったか。
みんな心配してるかな。大騒ぎになってたり?
それとも8主が、あの人の良さそうな笑顔でうまくごまかしてんのか……。
首輪と鎖の違和感はいつの間にか消えてしまった。裸族生活にももう慣れた。
肩や背中に鎖の触れるヒヤッとした感触にイライラしていたのも最初だけで、
部屋の中は空調が効いてて暖かいし、土足禁止の絨毯も柔らかくてどこに転がっても寝られる。
そう言えば8主も寝るときはスッポンポンだったっけ。
確かに楽でいいかもなー。
ただ、部屋の反対側の壁に大きな姿見があって、ベッドの上の自分が映ってるのが落ち着かない。
どけてくれと頼んだが、8主に却下された。
「自覚するのが大事なんです」とかなんとか。
なんの自覚だよ。ペットとしての?
それにしては、あいつの俺に対する気の遣い方はおかしい。
ご主人様、とか呼ばせられるのかと思ったら、そんなことはないし。
ここに訪れる度に人の貞操をもてあそんでるが、それ以外はまるでお姫様あつかいだ。
気色悪い。まるで理解できない。
あの変態近衛隊長はなにを考えてるんだ。
445
:
8主→3主 [23]
:2007/10/19(金) 17:15:42
「……退屈だー……」
ネットがないのがツライな。2ch見てえ。
なんか、一日の大半を寝て過ごしてる気がする。
起きてると首輪と鎖の重みで肩が凝るって理由もあるが、実は俺、
自分で人間だと思ってるだけで、本当は猫かなんかに変身してるんじゃないか?
俺――――勇者ロト――――だったよなぁ?
一番理解できないのは、こんな状況でも妙に冷静な俺自身だ。
きっとあの時に、俺の頭のネジも何本か飛んでしまったんだろう。
それからまた一眠りしたところで、8主がやってきた。
「3主さん起きてますかー? すみません遅くなっちゃって。ご飯にしましょうね」
8主はひとかかえある保温ボックスから、食い物を取り出してテーブルに並べた。
ここにはキッチンも冷蔵庫もないから、こうして作った物を熱いうちに急いで持ってくるのだ。
皿とかフォークとか、硬くて危なそうな物はない。
いつもタッパ詰めのメシをプラスチックのスプーンで食ってる。
それなりに警戒してるんだろう。
反抗防止のためか。
自傷防止のためか。
446
:
8主→3主 [24]
:2007/10/19(金) 17:16:14
「今日はチキンソテーとトマトスープのリゾット。おいしそうでしょう」
「……ラーメン食いたい」
「もう、わがまま言わないでください。一発でカロリー計算狂っちゃいますよ」
んなこと言ったって、俺まだ16よ?
見た目からして栄養バランスばっちりな献立だってのはわかるが、
味の濃いものとか、脂っこいものとか食いたいじゃん。
ま、どうせ文句を言ったところで、とんちんかんな答えが返ってくるだけだ。
俺はいつものように、テーブルに置かれたタッパ類を、全部下におろして並べた。
「またですか。3主さん、床で食べるのは行儀悪いですよ」
「いいって言ったじゃねえか」
「そりゃまあ……」
こんな格好させられて、テーブルで行儀良く食べろって方が違和感あるっつーの。
スープとかハネたら熱いし。
そんなわけで、うつぶせに寝っ転がって食べる。
8主は椅子に座って、呆れたように俺を見下ろしている。
「3主さんって、ちょっと変わってますよね」
こいつのツッコミどころ満載なコメントにも、だいぶ慣れたな。
「そうそう、退屈だろうと思って、今日はいいもの持って来ましたよ」
チキンをスプーンでグズグズにしてる俺に、8主がなにかピンクっぽい小さな箱を差し出した。
渡された俺は、見るなり絨毯にぐったり横顔を押しつけた。
ネイルケアセット、とか書いてあるんだが。
「……お前は俺をどうしたいんだ」
女になって欲しいのか。わたし、とか言うか。
447
:
8主→3主 [25]
:2007/10/19(金) 17:16:45
「なんで爪を磨いたくらいで女の子になるんですか。世のオカマさんがどれだけ苦労してると思うんです」
知るかよ。
「いいから、ちょっと来てください。どうせもう食べないんでしょう?」
8主はひたすらグチャグチャにされただけのチキンとリゾットを取り上げて、テーブルに戻した。
いつもほとんど口をつけないんだが、8主はそれについてはなにも言わない。
別に反発してるとかじゃなくて、単に食欲がないからだってのは、わかってるようだ。
8主はベッドの端に座ると、ひざをそろえてポンポンと叩いた。
「ここに座ってください」
……いまさら、いいけど。
8主に背中をあずけて、その足にまたがるように座った。
後ろから俺を抱くようにして、8主は器用にさっきのセットを手元に並べる。
「右手、貸してください。まず人差し指から」
電動ヤスリ(?)で、爪の表面を磨いていく。
何本もアタッチメントがあって、これが粗め、こっちが仕上げ用、とか説明される。
「なんか手慣れてないか、お前」
「い、いやあ、いつもミーちゃんにやってあげてるんですよ///」
うぜえ。
しかも「指先もすごくきれいで細くてー」なんて誰も聞いてねえのにノロケている。
こいつも別に男専門ではないんだな。どうでもいいことだが。
とか思ってるうちに人差し指の爪が磨き終わった。
「ほらできた! きれいでしょう?」
ふむ、確かに。磨いた爪だけが、まるでニスでも塗ったみたいに光っている。
そう言ったら8主が吹き出した。
「ニスって……トップコートとか、せめてマニキュアとか、プクク」
ギュッと抱きしめられた。
「3主さんて、なんでこうかわいいかなぁ」
448
:
8主→3主 [26]
:2007/10/19(金) 17:18:23
首筋と肩にキスをしてきた。
「勃ってますよ」
「んっ」
スッ、と前に触れられて変な声が出た。
正面の鏡を見たら、なぜか反応している。
「もしかして、これで思い出しちゃいました?」
8主が俺の耳元で電動ヤスリのスイッチをカチカチさせた。
言われてみれば、音が似てる、かも。
小さなモーターが電気で動くって構造は、どれも同じようなもんだからな。
そうか、電動ヤスリで反応しちゃうんだ、俺。
終わってる。
「じゃあ今度は自分でやってみてください」
8主に機械を持たされた。
次は中指の爪ですね、とか言いながら、このバカはまた俺のをいじりだした。
「その間に僕はこの子と遊んでますから」
「ん……あん!……この……できるか……!」
俺の弱々しい抗議もこいつは楽しんでいるようで、焦らすようにヤワヤワと触れる。
なんだよこれ。ネイルケアプレイ? 新ジャンルもいいとこだ。
結局、4本目の小指の爪を磨き終わる前に、
向こうが我慢できなくなって普通に抱かれた。
最初からそうしろよ。いつもの3倍は疲れた気がする。
449
:
8主→3主 [ここまで]
:2007/10/19(金) 17:20:00
今回はここまでです。
450
:
名無しの勇者
:2007/10/19(金) 21:11:33
続きキテター!
451
:
名無しの勇者
:2007/10/25(木) 03:04:57
床に寝っ転がってるご先祖に萌えた!
続きホント気になる!
未だに8主が何をしたいのか謎だ…
452
:
名無しの勇者
:2007/10/26(金) 05:58:36
8主何考えてるのかわからんなー先が読めない。そして3主…ちゃんと食事摂って…
続きがホント気になる。楽しみにしてます!
453
:
8主→3主(監禁調教物?)続き
:2007/10/28(日) 13:10:33
さらに続きです。だんだんマッド度合いが強くなってきました。
苦手な方は引き続きスルーでよろしくお願いします。
454
:
8主→3主 [27]
:2007/10/28(日) 13:13:51
3主さんは僕の肩口に頭を乗せようにして眠っています。
もう少しこのままでいたいのですが、そろそろ戻らないといけません。
近衛隊長の仕事と、宿舎の方と、顔を出しておかないとまずいですからね。
僕の肩の代わりにそっと首の下に枕を滑り込ませて、ベッドを降ります。
散らばっていたネイルケアセットを片付けて、まとめてドレッサーの前に置きました。
「ん……」
3主さんがベッドの上で、自分を抱きしめるようにして小さく身体を丸めました。
なんか本当に子犬みたいだなぁ。
なぜてあげようと近づいたら、その頬を、つーっと涙が落ちていきました。
ふむ。一人にさせておくことが多いから、やっぱり寂しいんでしょうか。
「泣かせる」つもりの時はともかく、こういう涙にはちょっと弱いです。
「ごめんなさい3主さん。僕もずっといるわけにいかないんですよ」
またおみやげ買ってきますからね。
帰りの挨拶に、中指にそっと唇を当てて、僕は部屋を出ました。
「ああいう顔も捨てがたいんだけど……」
3主さんのいろんな表情を観察していますが、僕が一番気に入っているのは、
抱いたあとの、フッと正気に戻る瞬間です。
何度も泣かされて掻き乱されたあとの、快楽から明けたその瞬間に僕を見るときの、
反抗心と自己嫌悪と諦念とがない交ぜになったような……
それでいてどこか甘えるような、媚びるような、なんともいえない妖艶さのある、表情。
絶対に僕にしか見せたことがない顔だと思います。
455
:
8主→3主 [28]
:2007/10/28(日) 13:14:18
本当に……ゾクゾクする。
一人の英雄を根底から作りかえてしまうことへの好奇心やら罪悪感やらで、
もう僕の頭の中は毎日お祭り状態です。
理想に完全に近づけるまでは、もうちょっと手を加える必要があるでしょうけど。
翌日、僕はベルガラックであれこれと買い物をしてから別荘に行きました。
部屋に入ると、3主さんはベッドの上でなにかやっています。
見ると、足の爪に電動ヤスリをかけていました。
無心に作業しているその指先は、ぜんぶの爪がピカピカになっています。
「偉いじゃないですか、3主さん」
僕が声をかけると、そこで初めて気がついたように、ハッと顔を上げました。
「ああ、ヒマだったから」
バツが悪そうに横を向いて、手にしていたヤスリを絨毯に放り出します。
「……で、それはなんだ」
3主さんが僕の抱えている物を見て、心底嫌そうな顔をしました。
うーん、そういう表情はあんまり好きじゃないんですけど。
「プレゼントですよ。一人じゃ寂しいだろうと思っ ワブッ!」
物が大きすぎて前がよく見えていないのをいいことに、
3主さんがプレゼントごと僕を思いきり蹴飛ばしたのです。
僕は後ろに盛大に転がりました。
456
:
8主→3主 [29]
:2007/10/28(日) 13:14:45
「な、なにするんですか3主さん!」
「そういう使い方じゃないのか? サンドバックにはいいな、そのクマ」
「も〜。もっと可愛がってあげてくださいよ!」
ベルガラックのカジノでこの「巨大クマさん」を取るのに、いくらつぎ込んだと思ってるんですか。
18の男がここまでクマさんヌイグルミを抱えてくるだけでも、相当恥ずかしかったってのに!
まくしたてる僕に、ふぅ〜と溜息をつく3主さん。
「それを俺にくれようってところで、間違いには気付かないのかお前は」
「なにがですか?」
3主さんは目と目の間を親指でもみほぐしていましたが、
やがてしぶしぶといった感じで、クマちゃんの両耳を指先でつまんで引っ張り起こしました。
薄茶色の巨大テディです。立たせると3主さんと同じくらいになります。
「ありえねえ……」
3主さんは口の端をヒクヒクさせながらクマちゃんと向かい合っていました。
でも結局のところ、けっこう気に入ったみたいです。
そのあとは僕のことをそっちのけでクマさんと遊んでいました。
ウエスタンラリアートで吹っ飛ばしたり、ジャイアントスイングで投げ飛ばしたり。
そのたびに、なぜかクマは僕に命中します。
「うわ! っもう3主さん!」
「すまん、俺はどうもノーコンのようだ」
「じゃあもっとおとなしく遊んでください。こぼれちゃいますよ」
僕はテーブルに今日のごはんを出しました。
最近あんまり食欲が無いみたいなので、今日は特別に3主さんの好きなものにしています。
「はーいそこまで。片付かないんで食べちゃってください」
457
:
8主→3主 [30]
:2007/10/28(日) 13:15:12
3主さんは一瞬クマと僕を見比べると、クマをポンとベッドに放り出しました。
テーブルまで来ると、熱々の湯気を立てているドンブリをジーッと見ています。
「久しぶりですもんね、ラーメン♪ 嬉しいでしょう?」
「……ん」
3主さんはなんだか困っているみたいに立ちつくしています。
「ああ、箸を出してませんでしたね、ごめんなさい。はいどうぞ」
割り箸を手渡しましたが、3主さんはやっぱり戸惑っています。どうしたんでしょう。
「どうしました? 麺がのびちゃいますよ?」
「器……熱いから」
ああ、下に置けないと。テーブルで食べないんですもんね。
僕は取り出したときに使った鍋つかみで、どんぶりをそーっと下に置きました。
「絨毯の上じゃ安定しないんで、気をつけてくださいね」
「ああ」
3主さんはどんぶりの前にペタンと座りました。
それからふと、思い出したように言いました。
「お茶、飲みたいんだけど」
「お茶ですか?」
「ブラックウーロンあたり。これ、カロリー高いんだろ?」
「さ、3主さん……!」
まさか自分からそんなことを言うなんて、驚きです。
僕が頑張って栄養計算とかしているの、ちゃんとわかってくれたんですね。
「じゃあさっそく持ってきます! すぐ戻りますから!」
僕は塔を駆け下りて、玄関を飛び出すなり宿舎にルーラをしました。
確か健康志向の5主さんが買いだめしていたはずです。
458
:
8主→3主 [31]
:2007/10/28(日) 13:15:48
「じゃあさっそく持ってきます! すぐ戻りますから!」
8主は靴を履くのももどかしそうに、部屋を飛び出していった。
俺の前には、白い湯気を立てている器が置いてある。
手渡されたのは「箸」とかいう、棒きれ。
わかってる。
あのバカの様子を見れば、これは俺が好物だったなにかなんだろう。
確かに俺が好きそうな匂いがしてる。
たぶん、見た瞬間に記憶から飛んだんだと思う。
ついさっきまでは、これがなんだったかわかっていたはずだ。
「いい加減、食わねえとマズイしなぁ……」
さっきクマを8主にぶつけてたとき、一瞬クラッときた。
ほとんど動いてないから極端に痩せたりはしてないが、血が足りてない。
でもこれの食い方が思い出せない。
考えてるうちに、俺は急に面倒になってきた。
別にこれが最後のメシでもないだろうし。次のときにちゃんと食えばいいか。
テーブルに置いてあった鍋つかみでどんぶりを持っていって、中身をトイレに流した。
「箸」は小さく折って、ティッシュでくるんでからゴミ箱に捨てた。
459
:
8主→3主 [32]
:2007/10/28(日) 13:16:15
そこに8主が息を切らして戻ってきた。
「あ、あれ、もう食べちゃったんですか?」
なんか小さめのペットボトルがぎっしり詰まった箱を抱えている。
ケースごと持ってきたらしい。
「こんな短時間で完食とは。本当にラーメン好きなんですねえ。はいお茶」
ケースから一本取り出して渡してくる。
開け方を忘れてたりして……そう思ったが、俺の手は勝手にフタを開けた。
「さてと、今日は僕ちょっと用事があるんで帰ります」
空のどんぶりをボックスにしまいつつ、8主が言った。
俺に手を出さないで帰るのは珍しいな。
「それで、明日はお客様が来ますから」
さらりと付け足す。一瞬、聞き流しそうになった。
……今、なんて言った?
「客? ここに!?」
「はい! だから明日は大人しくしててくださいね。それじゃあ」
「ちょ、待てよ。なんだよそれ」
「ではでは〜」
俺が引き留める間もなく、8主は部屋を出て行ってしまった。
460
:
8主→3主 [33]
:2007/10/28(日) 13:17:32
客って……客だよなぁ?
なに、俺の買い手? 俺、そういう意味でここに閉じこめられてんの?
ああ、でも。
そう考えると全部つじつまが合うよな。
俺、そういう商品なんだ。
商品。
ベッドの上から、クマがこっちを見つめている。
俺は一人では広すぎるくらいのその上にのぼって、クマの腹に寄りかかった。
「…………」
誰かの名前を呼ぼうとして、それも忘れてることに気がついた。
思い出したところで、あんまり意味が無い気もする。
「お前……そうだな。クマキチにするか」
代わりにクマに名前をつけて、俺は眠ることにした。
今回はここまでです。
461
:
名無しの勇者
:2007/11/01(木) 02:23:26
巨大テディと戯れる3主モエス!
でも大好きなラーメン忘れちゃうのセツナス…
462
:
名無しの勇者
:2007/11/03(土) 00:30:23
だんだん気になる展開になってきたなw
463
:
名無しの勇者
:2007/11/03(土) 18:03:04
ご先祖ちゃんと食事して…っ!
ってか8主は何を考えてるんだ?
客ってホントにそういう客なんだろうか…
464
:
sage
:2007/11/06(火) 23:44:02
久々に読みにきたらかなり萌える83キテター!
3主が徐々に自我を失っていくよ…どうなっちゃうんだろ
465
:
名無しの勇者
:2007/11/06(火) 23:44:52
sage位置間違ったゴメン
466
:
8主→3主(監禁調教物?)続き
:2007/11/08(木) 03:43:25
さらにさらに続きです。もはや3主かなり壊れてます。
苦手な方は引き続きスルーでよろしくお願いします。
可哀想なのがダメな方、本当にお気を付けください。
467
:
8主→3主 [34]
:2007/11/08(木) 03:44:32
「今日は午後からお客様が来ますけど、3主さんは別になにもしなくていいですからね」
あの黄色いのは鼻歌なんか歌いながら、大きなバッグを絨毯に置いた。
中から取りだしたのは、なんかツヤツヤした布地の、ヒラヒラしたやつ。
「はい、3主さん」
ベッドの奥に座っている俺の前に、それを広げた。
あいつはまたバッグに向き直り、中からもっと大きなカタマリを引っ張り出そうとし始めた。
それからふと、俺を振り返った。
「3主さん? それ」
ニコニコしたまま、でもちょっと困ったように、あごをしゃくる。
俺はクマキチをかかえたまま、そのヒラヒラをもう一度見た。
薄い青緑の、エメラルドグリーンっちゅうの? うむ、きれいな色だ。
「あの……着てみてください」
あん? ああ、俺に言ってんのね。
端っこを持って、手元に引き寄せた。触った感じもスベスベして気持ちいいな、これ。
「いやその……えーと。まずちょっと、クマさんどけましょうか」
あいつは俺のところまでやってくると、クマキチを取り上げて俺の横に置いた。
それから、俺の手を引っ張ってベッドの端に座らせる。
「足あげてください。……はい、じゃあ立ってください。ここに腕を通して……」
ヒラヒラに空いた穴に足を通して、立ち上がった俺の身体にまとわりつくようにさせて、
んで、最後に背中の方で、ジーッとなんか音がして。
「はいオッケ。ごめんなさい、これは僕が悪かったです。
いきなり男の子にワンピース着ろったって、無理ですよね〜」
無理なこと要求すんなよ。よくわからんが。
それより、クマキチ。
最近どうも、こいつがいないと落ち着かないんだよな。
男がぬいぐるみってどうよって思うけど。
468
:
8主→3主 [35]
:2007/11/08(木) 03:44:49
あいつはバッグからデカイのをようやく引っ張り出して、それも大きくベッドに広げた。
「僕も考えたんですけど、やっぱり落ち着かないと思うんで、毛布も持ってきましたよ。
部屋の温度は1度だけ下げますけど、でも寒かったらすぐ言ってくださいね」
バサッと広げて、俺の腰の辺りまでそれをかぶせる。
これもフワフワして肌触りがいい。
「だいたい、タダで見せるわけにいかないですもんねぇ」
なるほど、商品って普通、あれこれラッピングしてるもんな。
それからも、なんかあいつはてきぱき動いて、部屋を掃除したり、テーブルに花を飾ったりした。
一通り落ち着いてから、もう一つ持ってきたいつもの保温ボックスから、今日のメシを取り出した。
「お待たせしてすみません。今日は服を着てますから、テーブルで食べてもいいですよね?」
それなんか変な質問じゃねえか? まあ、どうせなんもかんもおかしいから、別にいいのか。
「ほら、冷めないうちに食べましょう」
トントン、とテーブルを指先で叩く。
そうだよな、食わねえとやべえよな。あんまり腹は減ってないんだけど。
だけど困ったな。クマキチどうしよう。
クマキチがここにいるから、俺、動けねえよ。
「……3主さん。クマさん、放しましょうね」
黄色いのが、簡単にクマキチをどけてしまった。ついでに俺も抱き上げられた。
「やっぱり軽すぎるよな……食べてくれないんだもんなぁ」
なんか耳元でブツブツ言ってる。変なヤツ。
椅子に座らせられた。
あいつは自分でスプーンを持つと、器の中身をすくってフーッと息を吹きかけた。
「はい、あーんして」
口に流し込まれた。こいつのメシって、味付けは悪くないよなぁ。
「ふー……はい、あーん」
469
:
8主→3主 [36]
:2007/11/08(木) 03:45:05
それから、なんかえっらい時間をかけて、全部食わされた。
その間にいろいろ話しかけられたんだが、こいつの言ってることは難しすぎてよくわからん。
答えようがないから、俺はずっと黙っていた。
空になった器を片付けながら、あいつはうーっと唸っていた。
「おかしいなぁ。いくらなんでも、ここまで壊れるなんて計算外なんだけど」
えー? 俺、ここにあるもの、なんにも壊してねえぞ。
「ちょっとヤバイかな……。3主さん、やっぱり今日は招待するのやめますね。
代わりに、僕と遊びましょう。ね?」
あれ、客は来ねえの? 遊ぶってなにを。
「本当はお客様が帰ったあとに、と思ってたんですけど……」
さっきのデカイバックから、またごそごそと取り出す。
うわ、なんかすげえ懐かしい! それ俺のパソ――――
「回線を引いてないんでネットはできないんですけど、さすがに恋しいでしょうから」
――――――
「なんか3主さんが活躍するSSとか、書いてたことありましたよねw」
――――――
「僕、ひそかに続きを楽しみにしてたんですよ。もう書かないんですか?」
――――――
……四角くて平たくて、なんか硬そうなやつを、パカッと開いてみせる。
「3主さん? 聞いてます?」
あいつが俺の顔の前で手を振った。うるせっちゅうの、ちゃんと聞いてるよ。
うなずいたら、黄色いのはホッとしたように笑った。
「はいどうぞ」
線のついた丸いのを持たされた。
470
:
8主→3主 [37]
:2007/11/08(木) 03:45:22
カリカリカリ……と小さな音がして、黒い画面に大きく「Windows」の文字。
それからちょっと口で説明しづらい、でもきれいな音がして、画面が明るくなった。
緑の草原の風景写真が出た。
「あはは、すぐVistaにしたくせに、デスクトップはXPのデフォルトなんですか?」
丸いのを動かすと、風景写真の上を矢印が動いた。
「さて、僕ちょっと電話してきます。すぐ戻りますから、これで遊んでてくださいね」
あいつは席を立って部屋を出て行った。
ふーむ。また飛んだな……これの記憶。
なんかノド元まで出かかってるんだけど、俺の頭のどっかが「やめろ」ってうるさい。
思い出さない方がいいらしい。
ま、今のところ困るようなもんでもなさそうだから、ほっとこう。
でもあの最初の、きれいな音。あれは好きだな。きっとよく聞いてたんだな。
どうやって出すんだっけ?
いや、わかる。なんとなく手が覚えてる。
確か…………
「3主さんお待たせしました。あ、再起動中ですか。なんか調子悪かったのかな?」
うるさいっつーの、静かにしろよ。これから鳴るとこなんだから……キター!
〜♪
うん、これやっぱ好きだ。もう一回。
このスタートから、これだ、「再起動」っと。
カリカリカリ…………〜♪
471
:
8主→3主 [38]
:2007/11/08(木) 03:45:42
カリカリカリ…………〜♪
カリカリカリ…………〜♪
カリカリカリ…………〜♪
カリカリカリ…………〜♪
カリカリカリ…………〜♪
カリカリカリ…………〜♪
・・・・・
「……参ったな」
気がついたら、黄色いのが向かい側でテーブルに突っ伏していた。
「完っ全に壊れたな。どこで計算狂ったんだろ。これじゃ作り直すとか以前の段階だもんなぁ」
なんだよさっきからー。
だから俺、ここにあるものはなにも壊してねえってば。冤罪だぞ?
俺の無言の訴えには気づかずに、黄色いのはポケットから携帯電話を取り出した。
「あ、僕だけど。ごめん、やっぱり来てくれる? うんうん、じゃああとで」
もしかして今日来る予定だったっつー客か?
「3主さん、ころころ変わってすみませんが、お客様、呼ぶことにしましたから」
言いながら、パタンと四角いのを閉じてしまった。
「あなたはなにもしなくていいですからね。ベッドで寝ていてください」
さっさと俺の手から丸いのをもぎ取って、抱き上げてベッドに運んでいく。
バサッと毛布をかけられた。これもいいんだが、えーと。
「はいはい、クマさんですよ」
そう、これこれ。渡されたクマキチをぎゅっとする。
これでようやく定位置に着いたって感じだ。落ち着く。
そういえば、「携帯電話」については記憶が飛ばなかったな。
いかにも飛びそうな感じのモンなんだが。自分のじゃなかったからかな。
472
:
8主→3主 [39]
:2007/11/08(木) 03:46:02
3主さんはクマさんを抱きしめると、またぼんやりとどこかを見ています。
今日は朝からずっとこんな調子です。
さすがに、延々と再起動を繰り返している様子を見たときには、背筋が寒くなりました。
まったく、本当に参っちゃいましたよ。
僕もまさか、こんなに簡単に人格崩壊を起こすとは思いませんでした。
別に叩いたり殴ったりしたわけじゃないんだし、普通はこうはなりませんよ?
いやーまあね。原因はわかってます。
この人、自分の記憶を意識的に操作できるって特技があったんですよね。
幼少時の記憶をなくしてる僕からすると、ちょっと羨ましいんですが。
それが変な作用を起こしちゃったんでしょうね。
警戒はしてたつもりだったんですけど、甘かったです。
一度忘れちゃったことって、取り返すのは不可能なんでしたっけ?
うーむ、どうしたもんかなぁ……。
そこに、先ほど携帯で呼び出した相手がやってきました。
僧衣にはとても見えない派手な赤と、目の覚めるようなプラチナブロンド。
「お前、アホだろ」
そして第一声がまず毒づくというのもまた、彼らしいスタイルです。
「ごめんククール。ちょっと計算ミスっちゃって」
僕が手を合わせると、彼は長々とため息をつきました。
「黙れキ○ガイ。お前の趣味にはついていけねえよ。んで犠牲者はどこ……」
ベッドの方を見たククールは、そこで目をまん丸にしたまま固まりました。
473
:
8主→3主 [40]
:2007/11/08(木) 03:46:22
「う、嘘だろ。お前……宿舎の仲間に手ぇ出したのか!!??」
「だって、我慢できなくてつい」
「ついじゃねえだろうが!」
いきなりボッカリ殴られました。痛いなーもう。
「っつ〜。お、落ち着いてよククール」
「……!!……」
ククールは顔を真っ赤にして怒っています。もう言葉も出ないって感じです。
そりゃ当然の反応でしょうね〜。
3主さんはいきなりの騒ぎにびっくりしたみたいです。
ベッドの隅っこの方で、クマさんを盾にするように抱きしめて様子を見ています。
「ほら、あの子も怖がるからさ。まず落ち着いてくれよ」
僕が両手を挙げて降参のポーズを取ると、ククールは目頭を押さえて必死に息を整えます。
「――とりあえず、詳しい話はあとで聞く」
それから、彼はゆっくりとベッドに近づいていきました。
「驚かせてすまんな。……大丈夫だ、なにもしないから」
3主さんの近くに座って、その頬にそっと手を伸ばしました。
「可哀想に。俺のこと、わかるか?」
問われて、3主さんは少しだけ首をかしげました。チラッと僕を見ます。
「……きゃく……って……」
「きゃく? ああ、客だな。俺の名前はわかるか?」
「……くく……る……」
「そうだ、ククールだ。――宿舎のことは?」
「しゅく…しゃ……」
3主さんはしばらく悩んでいましたが、やがて小さく首をふりました。
474
:
8主→3主 [41]
:2007/11/08(木) 03:47:37
「わかった……無理に考えなくていいからな。もういいぜ、ありがとう」
ククールが横になるように優しく促します。
3主さんは素直に従って、クマさんを抱いたまま身体を横たえました。
その上からククールは毛布をかけてあげます。
モコモコの山になった隙間から、3主さんはそうっとこっちの様子を伺っています。
ククールは、どかっと乱暴に椅子に座りました。今はもう彫像みたいに無表情です。
向かいの席をあごでしゃくって、僕にも座るように無言で命令します。
僕もここは素直に従っておいた方が良さそうですね。
「――で、どうする気だ」
押し殺すような声で、ククールが聞いてきました。
どうするって言われてもねぇ。
「とりあえず、軌道修正しつつ続けようかと思ってるけど」
「だろうな。今宿舎に返したところで、『まとも』なあの連中じゃどうもできねえしな」
「まるで僕が『まともじゃない』みたいな言い方だねw」
僕が混ぜっ返すと、ククールはギロッと睨んできました。
「やだなぁ、冗談だよ。僕の頭がおかしいのは、自分でもよくわかってる」
「わかってんなら、治そうって気はないのかよ」
「治ると思う?」
ククールがジッと僕を見ます。でも、すぐに目をそらしました。
「……間違っても、他の連中には悟られるなよ」
はぐらかすようにそう言って、ククールは立ち上がりました。
「俺は “客” になりそうな連中を見つくろってくる。お前、もう少しアレをなんとかしとけ」
振り返らずに、なんだか逃げるように部屋を出て行きます。
きっと3主さんが可哀想で、目が合わせられないんでしょうね。
ククールは僕よりずっと優しいですから。
475
:
8主→3主 [42]
:2007/11/08(木) 03:48:03
僕も見送りのために、彼のあとについていったん塔の外に出ました。
「いつもごめんね。頼むよ」
僕が言うと、ククールが振り返りました。
いきなり襟首をつかまれて、力任せに引き寄せられました。
噛みつくようなキス。
どこが切れたわけでもないのに、血の味がするような。
「――バレて、殺されそうになったら逃げてこい。俺が殺してやる」
怖いくらい真剣に言われて、さすがの僕も茶化せそうにありません。
「約束するよ。ごめんね」
もう一度あやまると、ククールはようやく僕を解放してくれました。
それから、ルーラでどこかに消えていきました。
部屋に戻ると、3主さんはベッドから出て、僕のバックをごそごそと漁っていました。
「なにを探してるんですか?」
聞いてみますが、返事をしてくれません。
ちょっとムッと来ます。ククールにはちゃんと返事をしていたのに、この子ったら〜。
「3主さん。こらっ」
グイッと肩をつかんだら、身体全体でビクッとして後ずさりしました。
そんなに怖がらなくてもいいじゃないですか。
「あ……あれ……」
手にマウスを持っています。
どうやらパソコンを探していたようです。
476
:
8主→3主 [43]
:2007/11/08(木) 03:48:26
「パソコンはあとです。ベッドに戻ってください」
3主さんは立ち上がると、その場でマウスを手放しました。
足下に転がったマウスを見つめて、ぼんやり立ちつくしています。
「ベッドに戻って」
少し強い口調で命令すると、彼はふらふらと歩いていきました。
ベッドによじのぼって、クマさんを抱きしめて座り込んだまま、また動かなくなりました。
正直こうなると、ちょっとだけ面倒な気持ちになります。
ククールにはああ言ったけど。
いっそ……壊れたまんま宿舎に返してみようか?
いやいや。落ち着こう。
それはとってもおもしろそうだけど。すごい魅力的な試みだけど。
僕、間違いなく彼の子孫たちに八つ裂きにされるww
「ふ〜……3主さぁん、なんか疲れましたよ、僕」
上着を脱いで僕はベッドにダイブしました。
もういいです。今日はもうなにも考えないで、3主さんとイチャイチャしようっと。
「クマじゃま〜。いいの! 僕にギュッとしなさい、僕に」
クマさんを取り上げられてちょっと切なそうな顔をする3主さんを、ベッドに押し倒します。
薄いシルクごしにあちこちいじっていると、すぐに反応し始めました。
「あ……! あう……ああ……はぅ!」
どんなに壊れてても、感じてる時の3主さんは、やっぱりたまらなくカワイイです。
「――ま、どうにかなるでしょ」
それから、気絶するまで抱いて。気絶しても抱いて。
しまいに僕も途中で寝ちゃったらしくて、次の日はちょっと大変でした。
今回はここまでです。
477
:
名無しの勇者
:2007/11/10(土) 00:56:06
3主とうとう壊れちゃった……!
でも萌えるゴメンヨ
ククの態度からだと
8主もしかして常習犯なの?
478
:
名無しの勇者
:2007/11/10(土) 11:34:40
なんか凄い人だ8主ww
ククかっこいいなw
479
:
名無しの勇者
:2007/11/11(日) 20:25:43
うおおお続きが気になる
しかし3主かわいいよ3主(;´Д`)ハァハァ
480
:
1→3 (1/2)
:2007/12/02(日) 01:37:15
※遠回し&本家とネタかぶり
(ガチャ)
1主「こんな夜中に誰がキッチンにいるのかと思ったらあんたか。しかも今からラーメンかよ」
3主「だって深夜って腹減るじゃん(ハフハフズルズル)」
1主「だれが深夜に起きてろって言った」
3主「まーまーそうカタいこと言うなよ(フーフー)」
1主「やれやれ、コレがあのロトとはなぁ。どっこらしょ(ガタッ)」
3主「コレとはなんだコレとは」
1主「だってさ、俺の時代のあんたって言えば神様みたいなもんだぜ?
どんな人だろうって想像もしたし、あんたみたいになりたいって憧れたりもした。
そんな神様が深夜にラーメン貪ってる自宅警備員だった健気な俺の気持ちを想像してみろ」
3主「なんだと失礼な。誰のおかげで存在してられると思ってんだ。崇めろ、奉れ」
1主「またそういう物言いをする……。
……あの旅の間、あんたの子孫だって言われるのはしんどかったよ」
3主「そりゃまたなんで(ズルズル)」
1主「……俺の体にあんたの血が流れてるなんて証拠、なかったからな。
道中いたるところでロトの血統を疑われたし、伝説の神様はあまりにも偉大すぎた」
3主「さすが俺様、まさに新世界の神。参っちゃうねぇ(コリコリ)」
1主「メンマ食いながら何を偉そうに……。
……だからさ、『生き延びたらロトの子孫』『野垂れ死んだらただの人』って思いながら歩いたよ」
3主「ふーん……(ズルッズルズルッ)
1主「ま、今となっちゃどうでもいいことなんだ。血が繋がっていようがいまいが俺は俺だから」
3主「(カタン...)……お前、それ恥ずかしくなんない?」
1主「言うな。口に出して言ってみたらすごく恥ずかしいんだこれ……!」
3主「だろうな、聞いてるこっちも恥ずかしくなってくるぜ(ズルズルズルッ)」
1主「……とにかくさ、御先祖は俺の支えだったわけだ、たとえ先祖じゃなくてもな。
――…それに」
3主「?」
1主「今は血が繋がってないほうが都合がいい」
481
:
1→3 (2/2)
:2007/12/02(日) 01:37:51
3主「……そんなにニートの子孫なのが嫌ですかぁこのヤロー(ズルズル)」
1主「だからさぁ、自覚があるならせめてもうちょっとちゃんとした生活してくれよ(チラッ)」
ローラフォン (…………)
1主「……俺や2主のためにもさ」
(危ねー!……よかった、聞かれてなかったみたいだな。……いや、違うか)
3主「ったくよー、ここは小煩い連中が多くてかなわねぇな(ゴクゴク)」
1主「そりゃ夜中にラーメン食ってるのを見りゃ小言も言いたくなるわ。」
(そりゃ、普通なら、そういう解釈にしかならないよなぁ……)
3主「食えるときに食うって癖はどうやっても直るもんじゃねぇんだよ(ゴクゴクゴク)」
1主「ああ、それは分かる……。……っておい、飲み干すな」
3主「ぷはぁ、(ゴトッ)
スープを捨てるなんて、とんでもない!」
1主「もうだめだこの人……。
さて、俺は寝るよ。ご先祖も朝まで起きてるんじゃないぞ(ガタッ)
……おやすみ」
(寝よう、これ以上起きてたってろくでもないことばっかり考えそうだ……)
3主「へーへー、うるせーな。おやすみ」
(ガチャッ、カツ、カツ、カツ、カツ……)
3主「…………ローラフォン気にするくらいなら、馬鹿なこと考えてんじゃねーよ、アホ子孫」
482
:
名無しの勇者
:2007/12/03(月) 17:17:38
切ないな・・・
483
:
名無しの勇者
:2007/12/04(火) 12:15:22
も(´д`;)萌えた…!
484
:
2→1 (1/4)
:2007/12/08(土) 15:24:53
仲間が死んだり、仲間のMPが切れたりして退却を余儀なくされることには慣れている。
いつもいつもそのタイミングが早いか遅いかだ。
だが、今日の2主はいつもより進めた気がしていた。
仲間たちを送り届けてから宿舎に入るとそこはとても暖かく感じた。
少しうれしくなって、いつもより進めたことを人に教えたくなる。
2主はまっすぐにリビングまで進み、閉まっていたドアを開けようとした。
「っだー!何なんだよお前、人を馬鹿にしてんのか!」
「ご先祖が勝ったんだからいいだろ、別に!」
リビングの中から響いた大声に気圧されて、2主はドアノブに伸ばしかけた手を引っ込めた。
「よくねーよボケ!10連鎖以上が当たり前の奴が何ちまちま4連鎖で消してんだよ!
そうあからさまに手加減されりゃいくら俺でも腹立つわ!」
「負けたら負けたで怒るくせに!さっきまで負け続けて怒ってたのはどこのどいつだよ!」
「もういい!もうやめた!」
ふたりの勇者の怒声はリビングの厚いドアをびりびりと震わせる。
乱暴な足音がドアに向かって進んでくるのを聞いて2主はあわててドアの前から離れた。
バン!と力いっぱいドアを開けて、怒りを全身から発しながら3主が出て行く。
怒りのあまりそこにいた2主にも気づかなかったらしい。
「コントローラー投げるなよ!危ないだろ!」
1主がリビングの中から怒鳴った。
彼らが取り戻した平和を享受している人々が一気に失望しそうな喧嘩だ。
しかし、勇者だらけのこの宿舎においてはもはやいつも通りの光景となっていることである。
そう、いつも通りの。
2主はその事実を何となく苦く思いながら、開いたままのドアからリビングに足を踏み入れた。
さっきまで伝えたかったことがどこかへ行ってしまって、妙な感触ばかりが胸の中でわだかまっていた。
485
:
2→1 (2/4)
:2007/12/08(土) 15:25:36
テレビの前に屈み込んで、接続してあったコードを抜いていた1主が2主に気づき微笑んだ。
「ああ2主、帰ってたのか。お帰り」
「ただいま」
「ロンダルキアは寒かっただろ?よく頑張ってるな、えらいぞ」
1主はコードを束ね、床に散乱していたコントローラーやゲームカセットを集めている。
そしてそれらと本体を一緒に棚にしまいながら苦笑した。
「2主が頑張ってるっていうのに、御先祖は人をゲームに誘って負けて怒ってるんだもんなあ……。
誰かが面倒みてやらないと平気で何も食べなかったり寝っぱなしだったりするし。
――…まったく困ったご先祖様だよ、本当に」
そう言って1主は笑いかけてくる。
誰かが面倒みてやらないと、の「誰か」がこの人である必要性とか。
そもそも「みてやらないと」いけないのかとか。
「困った」と言いながら、なんだかすごく楽しそうなのはどうして、だとか。
思わず戸惑う。
いつもならちゃんと出てくる言葉が、喉につかえたようになってちっとも出てきてくれない。
「……どうした、2主。元気ないな。何かあったのか?」
身を屈めて1主が顔を覗き込んでくる。
まっすぐに見つめられて、この人はなんて格好いいんだろうと思う。
ムーンとも4主とも違う種類のきれいな顔。
こうなりたいと思うけれど、決してなれないと思ってしまうような。
言葉にできなくて、2主は俯いた。
「……なんでもないんだ」
「いいから、隠すなよ。……本当にそういうところローラに似てるんだから」
ため息と一緒に発せられた言葉に、2主は俯いたまま思わず目を見開いた。
「いつも素直なのに、一番肝心なことだけは言ってくれない。よく似てるよ」
486
:
2→1 (3/4)
:2007/12/08(土) 15:26:04
ゆっくりと顔を上げると、1主が優しい表情を浮かべていた。
めったに見られない、幸せをかみしめるようなとびきり優しい笑顔だった。
ただ、それが自分でない別の人に向けられていることは痛いほど理解できる。
胸が引き攣れるように疼いて、2主は唇を噛み締めてから、もう一度開いた。
「……おれ、近いほうのご先祖が好きだ」
こんな短い言葉では絶対に足りない。
けれど、どんな言葉でなら伝えられるのか、まったくもってわからない。
「ああ、俺も好きだよ」
大きな手で頭を撫でられながら言われて、案の定伝わっていないことがわかった。
自分の子供を慈しむような応えに、2主は思わず叫んだ。
「ちがうんだ!」
「?」
「そういうんじゃ、ないんだ……」
どうしてこんなにも言葉が見つからないんだろう。
どうしてこんなにも胸が苦しいのに、相手に伝えることはできないんだろう。
悔しくて切なくて、1主を見つめる視界がぼやけてくる。
「泣くな2主、男だろ!」
断ち切るような強い言葉に浮かびかけた涙は消えてしまった。
そして次の瞬間には強く抱き寄せられていた。
「……お前が頑張ってること、俺はちゃんと分かってるよ」
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