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FFDQかっこいい男コンテスト 〜ドラゴンクエスト4部門〜

36檻【10】:2003/09/07(日) 22:11
 お互いを虚しくするだけ――勇者に言ったその言葉は真実だと思う反面、彼を拒めない理由が自分の中にあることもまた事実だった。
(醜い感情が私の心に巣食っているのは…神がくだされた罰だろうか)
 シンシアという女性が、勇者の故郷の村に住んでいた幼なじみだということも、後になって知った。彼が故郷と共に喪った大切な恋人だったということも。
 ここからそう遠くない場所に、彼女は眠っている。そのせいか感傷的になっている自覚はあった。
 シンシア――勇者が達するときに囁く名前に、胸を焦がされるようになったのはいつからだろう。

「――悪かったな」
「え?」
 不意に呟く声に視線を向ける。勇者がいつの間にかこちらを振り返っていた。
「ちょっとオレも…やり過ぎた。あんたが意識飛ばすなんて思わなくてさ」
 その物言いに何故かクリフトの方が気恥ずかしくなって、彼から視線を逸らして俯く。
「……」
 頬が染まっているのが自分でも分かった。勇者にはおかしく見えているだろうと思ったそのとき、屈み込んだ彼が指先でクリフトの頬に触れた。
「顔が少し赤いけど、熱でもあるの? つーか、身体、動かせる?」
「いえっ、別に。大丈夫、です」
 いたわるような仕草に、クリフトはかえってあおられる形になる。反動で少し身体が動いて、腰に疼くような痛みが走った。
 かろうじて声は上げなかったものの、一瞬顔を歪めたのは勇者に伝わったらしい。


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