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FFDQかっこいい男コンテスト 〜ドラゴンクエスト1部門〜

9竜王×勇者【3】:2004/09/18(土) 03:51
 町は殆どが原形を留めないほどに破壊されていた。真っ黒に焦げた盾や鎧が散乱して
いる場所……ここは防具を売る店だったのだろう。その隣の建物には、朽ちたベッドの
残骸。疲れた旅人が立ち寄り、体と心を休める宿屋だった場所だ。
 町の中心から東へ行ったところで突如、悪魔の騎士が襲いかかってきた。視線の主は
こいつだったか。思わず舌打ちをした。ラリホーで眠らされて厄介なことになる前に、
素早くマホトーンを唱えて相手の呪文を封じる。あとは、打撃を避けながら着実に体力
を奪えばいい。力任せに斧を振り下ろしてくる魔物の攻撃に耐えながら懸命に戦った。
そして、時間は掛かったがとうとう相手の息の根を止めた。こちらも流石に無傷とまで
は行かず、それなりの痛手を被ったので、傷を回復させようと側にあった大樹の許に腰
を下ろした。
 ベホイミを唱えて傷が癒えていくのを待つ間、視界の端にぼんやりと光る鎧を見付け
たので、手を伸ばして触ってみた。何か特別な魔力を帯びているような感じがするが、
呪詛の類は感じられない。
 どこかで見たことがあると思ったら、大昔にロトが身に付けていたと言われている鎧
ではないか。先日、ラダトーム城の謁見の間で目にしたばかりの勇者の肖像画を思い出
して、何て自分はロトと因縁が深いのだろうと思った。この分だとロトの剣はこれより
もっと入手が困難な場所に置いてあるに違いない。面倒なことになったな、と呟きなが
らもこのまま置いていくのも忍びないので、今まで着ていた鎧を脱いでロトの鎧を身に
付けてみた。不思議なことに鎧は誂えたかのように自分の体に合った大きさで、着心地
も見た目からは到底考えられないほど快適なものだった。そこで立ち上がって、腕を挙
げてみたり上半身を捻ってみたりと色々試してみたが、これはかなり動きやすい範疇に
入る。世の中には凄腕の鍛冶職人が居たものだ。
 日が暮れてきたので今日はこの廃墟の町で一夜を明かすことを決めた。明日の朝早く
に発てば、うまく行けば一週間後にはメルキドに入れる。夜露を凌げる場所があるかと
町の中をうろうろと徘徊し──その時に形ばかりではあるが、魔除けと死者への弔いの
意味も込めてトヘロスの呪文を各家に掛けて廻った──結局、元『宿屋』だった場所に
腰を落ち着けた。そこで携帯用の干肉と薬湯で僅かばかりの食事を摂り、体が温まった
ところでその日は早目に床に就いた。


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