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:
デジャ・ヴ 1/2
:2008/03/13(木) 22:49:49
――知り合いに顔を見せて、無事を知らせるのも一苦労だよね。
風に流される髪を押さえながら、彼女は軽くため息をついた。
彼女は今、船に乗って親友の暮らす村へと向かっている。緩やかな流れに逆らって川上へと上り、開かれた水門を抜けた。
――そういえばこの水門って、ずっと開きっぱなしなのかな?
本来は閉じられているこの水門を以前、必要に迫られて開いてもらったのは彼女。そして開いてくれたのが、訪ね先である親友。
――状況が状況だったとはいえ、あの時は無茶したなー。
思い出し、思わず笑みが零れる。
「どうしたの?」
傍らにいた少女が、突然笑い出した彼女に不思議そうな視線を投げかける。
「なんでもないよ。ちょっと、前にここに来たときの事を思い出してね」
彼女の言葉に小首を傾げる少女。彼女がその頭をポンポンと撫でてやると、途端に少女の顔がほころんだ。
「あっ! 村が見えてきたよ! あれじゃない?」
舳先に立つ少年が弾むような声を出し、彼女の方を見ている。
彼女は少女を連れて少年の元へ。少年が指差す先を見る。
「うん。そうだね。あそこが目指す村だよ」
サラボナより北東。川を上った先にある山奥の村。そこに、彼女の親友がいる。
接岸し、少しの山道を歩いて村へと向かう。
――不思議な感じだな。私の感覚だとほんの一年前なのに、実際は八年も前だなんて。
いま彼女たちが歩く道は、彼女の記憶にあるのとなんら変わりはない。しかし彼女の両隣を歩く少年と少女が、そうではないという確たる証拠。彼女の大切な子供たち。
「ここに住んでる人って、お母さんの幼馴染なんでしょ?」
少年が尋ねてくる。
「うん。小さい頃は一緒に冒険をしたりしたんだよ」
「私たちみたいに?」
「二人ほどじゃないけどね。大人がみんな寝静まった頃、こっそり二人で町を抜け出したりしたんだよ」
「私、夜にお外を歩くのは嫌い」
「僕も」
二人が彼女の両手にしがみついてくる。
「はははっ。その点じゃ、私たちの方が二人よりも度胸があるかもね」
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