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57ずっと一緒に・2:2006/05/01(月) 17:50:50
 ブラウニーのブラウンが、腕力を持て余し気味で大木槌を素振りし、運動不足を持て余し
ているらしいドラキーのドラきちが所狭しと飛び回り、爆弾ベビーのニトロも退屈なのか、
弾力のあるマストにぶつかって弾んで遊んでいる。
 お前ら表に出ろ、と思ったが最近一軍に選んでいない引け目もあるのでやめておく。
 メタルスライムのメタリンが甲板の隅っこでぷるぷる震えている。彼(?)が唯一心を許し
ている少女が見当たらないからだろう。
 腐った死体のスミスが、ぼーっと明後日の方向を見つめている。そこに何か見えるのか? 不吉な笑みを浮かべながら、ごろごろごろと転がる爆弾岩ロッキーとは、どうしても目を
合わせないようにしてしまう。
 彼は偏頭痛を感じながら、この一癖も二癖もある連中を、笑顔で統率するリーシャの凄さ
を改めて認識した。そういえば、ぴぎゃーって誰の叫びだったんだ、と思いつつ。
「待たせたな。遅くなってすまな゛っ!?」
 ごぎっ!
 甲板へ一歩踏み出した瞬間、ドラきちと正面衝突。顔面で。
 彼?は今、ポートセルミで買った、新品の鉄の胸当てを装備している。
「うわァ。スゴイ音、したよ……」
 円らな瞳のブラウニー・ブラウンが素振りの手を止めて、その場に蹲る青年の方を見た。
「〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
「にゃあ、ヨシュア、ごめんごめんー」
 はたはたと彼の周りを飛び回り、
「だってだって、せっかく新しい装備、買ってもらったのにさ、控えにゃんだもん。つまん
にゃーよー」
 怒られると思ったらしく、ドラきちは早口でまくし立てる。
「わかった。後でリーシャに相談してみてみよう」
 やはり兜は必要かもしれない、と思いながら、痺れるような痛みを放つ額を押さえる。
「狭い場所を飛び回らないように。ニトロも、トゲで破れるからマストに体当たりして遊ぶ
のはやめてくれ」
「にゃー」
「ちゅどーん」
 ……はい、と言ったと認識していいのだろうか。
 リーシャは、魔物や動物の言葉も理解できるようだが、ヨシュアはピエールのように言葉
を話してくれる者ならとにかく、魔物特有の言語(らしきもの)はさっぱりわからない。
 しかし向こうはこちらの言葉は理解出来るようなので、助かりはするがずるいとも思う。
「これ。ホイミくらいかけておきなされ」
「いや、これぐらい何とも無い」
 マーリンに言われるが、自然治癒に任せて問題無しと判断し彼は奥へ進む。
「お、おまえ……男前台無し」
「やれやれ。しょうもない朴念仁じゃの」
 背後でスライムやまほうつかいに好き放題言われつつ、ぼんやりするスミスの腕を取る。
 あー、とスミスがうめくような声を漏らす。
「やはり……血が出ている」
 突撃兵に痛恨の一撃を食らったスミスとスラリンが交代したのは、昼前だったはずだ。
 ガンドフがべホイミで治療したものの、完治には至らない大怪我だったのか。
 あれから少なくとも、数時間は経過している。
「痛いと思ったらすぐに教えてくれ。仕方ない事とは言え、君の怪我はわかりにくいんだ」
「い、痛い。かも、し、しれない。い、い、痛いか、は、は、はっきり、し、ない」
 まごまごと説明するスミスは緊張しているのか、いつも以上に口をもつれさせる。


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