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:
しあわせの詩・中-2
:2006/04/19(水) 07:32:09
「うう…緊張してきた」
繋いだ手とは逆の手で胸を抑えながら、リュカは何度も深呼吸していた。
「何固くなってんだよ」
「だって、こんな風にしてるの初めてなんだよ。ここまで着飾った事なんて無いから」
「だろうな」
隣に居る人物が何故ここまで落ち着いていられるのか、リュカには理解出来なかった。
横目でちらりとヘンリーを見る。
彼は真っ直ぐに目の前の扉を見据えていた。流石王族と言った所か。タキシード姿がぴたりとはまっている。
普段旅をしていた時はあまり感じなかった気品が滲み出ていて、リュカの胸はますます早鐘を打った。緊張とは違うドキドキで。
「リュカ」
「な、何!?」
突如声をかけられ、裏返った声で返事をする。
今のは恥ずかしいなぁ、と思いつつ、リュカはヘンリーの言葉を待つ。
ヘンリーは微笑んでいた。
「綺麗だ」
それは今日一日で沢山の人に言われた言葉だった。だが、今まで言われた誰よりもリュカの心に響いた。
「何回言っても足りねぇわ。凄い綺麗だ…いつもの事だけどな。でもこれは新鮮。滅茶苦茶綺麗」
「…な、何回も言わないで良いよ」
「耳塞いでんじゃねぇよ」
「塞がせてよ〜」
投げ掛けられる言葉の数々が嬉しくて恥ずかしくて、リュカは思わず耳を覆った。
しかしヘンリーはにやりと笑いながら、耳を塞ぐ手をどかしにかかる。必死に抵抗はしたけれど、ずるずると引き剥がされてしまった。
「緊張、解けたか?」
「………」
リュカはぽかん、と口を開く。
気が付けば、さっきまで胸を一杯にしていた不安だとか緊張は消えていた。
「…やっぱり凄いね」
「ん?」
「ヘンリーは凄いよ。流石親分」
幼い頃から続く二人の関係を比喩する言葉を出すと、彼は小さく声を漏らして笑った。
それから軽く首を横に振る。
「は?違うだろ」
「え」
「今からは、旦那様」
そう言った彼はいつも通りに優しく笑っていた。せっかく解けた緊張がまた産まれて来るのを感じた。
そんな事を知ってか知らずか、お構い無しにヘンリーはリュカに手を差しのべる。
「じゃ、行こうぜ」
リュカは頷くと差し出された手をとって、そっと腕を絡めた。
......
まだまだ続く。
結局旦那だけしか出せなかったorz
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