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4レヌール城にて・3:2006/02/08(水) 18:43:09
 レヌール城は、お化けの住処であると同時に魔物の巣窟でもあり、
 自分達は魔物退治に来たのか、お化け退治に来たのか、よくわからなくなる有様だった。
 子供、しかも女で非力な二人は、丸腰では、どうしたってギラやバキなどの強力な呪文に頼るしか戦う術が無い。
 それではとてもやっていけないという結論に辿り着いた二人は、お互いの所持金を出し合って
 それぞれが使える、一番強そうな武器や防具を買うことを決意した。
 当然、親に無断で。
 内緒で夜に町を抜け出し、危険な場所に赴いた挙句、高い買い物までしたと知られたら……
 そう考えると頭が痛くなったが、もうひとつ叱られる要素が増えたところで大差ないだろう、と実行してしまったわけだ。
 半ばやけくそでもあったわけだが、その判断は正しかったと言える。
 今のように、どちらかが得意な呪文に対し、耐性を持つ敵と遭遇してしまったら、武器が無いとどうする事もできない。
 そこで、先ほどビアンカが「痛い」と声を上げた事を思い出し、少女は慌てて、怪我は無いかと問いかける。
「ちょっと引っ掻かれたの。大丈夫よ、血も出てないみたいだし、服が破けただけだから」
 まだ眼が慣れていないので、その状態を確認する事は出来ないが、
 ビアンカが身につけているのは、少女のものと同じ皮のドレスなのは知っている。
 こんなに丈夫な服が、破れるなんて……少女は身震いし、ここが真っ暗でよかった、と思った。
「本当に、憎たらしいねずみさんよね」
 暗闇の中、その表情ははっきりとうかがうことは出来ないが、年長の女友達の声はあくまで元気で、気丈に聞こえる。
 自分は、こんなに震えているのに。少女は、ビアンカにあこがれると共に、少し恥ずかしかった。
 アルカパでは子猫が、この城の人たちが、助けを求めているのに……


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