[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【SS】SNOW中心総合スレッド【RS】
1
:
万年名無しさん
:2003/04/04(金) 15:48
ここは「SS・ショ−トスト−リ」「RS・ロングスト−リ」を書くスレです。
起承転結(構成)。文章(センス)について語るとこではなく(ほどほどなら良し)純粋に面白さ・素晴らしさで、マタ−リと1000を目指すスレです。
文章の書き方が変な人間はかなりいます。でも書いていけば問題なくうまくなるものです。
基本・マナ―三ヶ条
1、SSは基本的に何でも書いてくれて問題なし。事前に主題と流れの簡単説明は書いてください。
2、簡単な感想。(例=ワラタ・最後がよかった。○○がイイ・○○が悪い・ぎこちない)褒めるの際限なくの方針で。罵倒の場合はなんとなくではなく、理論的に書いてやってください。
3、感想を書くのは大切です。その人がやる気が出ます。スレの活性化にご協力を。
スレが雰囲気の良い空間が出来ます
心得三ヶ条
1、SSを率先して書き込みを
2、基本ははマタ−リ
3、感想は多彩かつ多めに。
スレが続く良い循環システムが出来ます。
関連リンク(SS中心スレ)
『SNOW板テストスレッド』
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=2791&KEY=1033289212&LAST
『サブキャラのHシーンを勝手に考えるスレ 』
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=2791&KEY=1042117588&LAST
『SNOWの世界に鍵キャラが乱入してきたら?? 』
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=2791&KEY=1048952596&LAST
関連リンク(最近活動傾向ありのスレ)
【追加】橘 芽依子様スレ【筆頭】
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=2791&KEY=1044277406&LAST
【両親は】若生桜花たんスレ【DQN】
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=2791&KEY=1044374551&LAST
664
:
万年名無しさん
:2006/10/25(水) 05:43:59
>>663
つ誠史郎
こっちが正しいよ
665
:
万年名無しさん
:2006/10/28(土) 20:59:32
家庭的な芽依子様もいいですね〜
乙です
666
:
龍神バス
:2006/10/30(月) 02:09:36
こんにちは、メビウス板の皆様お久しぶりです。
以前に同名のコテハンを名乗って書き込みをしていた者です。
今でもSNOWサイトは月1ぐらいのペースでROM巡回していたのですがSS保管サイトが消えるというのを見て驚きです。
私は私的に閉鎖SSサイト作品の引き取り・委託展示をしています。
良かったら龍神帝国跡地さんに展示されているSSを保管・管理いたしますがいかがでしょうか?
今でもこの板に来てくれている皆さんのご意見を宜しくお願いします。
しばらくの間、当方は週に1日ぐらいのペースで目を通させていただきます。
>>660
GJです。
龍神村に彼方が現れる前の橘家のほのぼのとした雰囲気が出ていていい感じですね。
次回作も楽しみにしています。
667
:
万年名無しさん
:2006/10/30(月) 06:28:37
>>666
ウホッ、救世主が来た
668
:
K,S
:2006/10/30(月) 09:58:30
>>龍神バスさん
左様ですか!?
是非お願い致します。
669
:
龍神バス
:2006/10/31(火) 01:10:00
>>K,Sさん
了解いただきありがとうございます。
今の時期は忙しいのであと2週間程で暫定的にですがページを公開したいと思います。
その際、特に申し出が無い場合は龍神帝国跡地さんに展示されていた全作品を展示させていただきます。
少しでも多くの作品を残すために作家の皆様のご理解の程をよろしくお願いいたします。
670
:
万年名無しさん
:2006/10/31(火) 07:15:04
明日で龍神帝国跡地が閉鎖されますね。でも龍神バスさんがssを引き継いでくれるので一安心です
671
:
万年名無しさん
:2006/11/03(金) 00:00:17
龍神帝国跡地がまだ残っているのは気のせいでしょうか?
672
:
万年名無しさん
:2006/11/05(日) 23:48:40
それならそれでよし.
673
:
K,S
:2006/11/20(月) 23:26:34
どうも、こんばんわ。ご無沙汰です。
思いのほか時間が掛かりそうなので、来月一日に投稿できればいいなと思っています。
674
:
万年名無しさん
:2006/11/23(木) 22:43:34
まってるよ。
675
:
K,S
:2006/12/01(金) 06:49:00
つぐみ 変わった夕食
「・・・・・う、・・・うあ〜〜あ、」
自室で仮眠を取っていた彼方が、わずかな空腹と第六感で目が覚めた。
「あ〜、机で寝ちまった。やっぱ本読みながらはまずかったな・・・・」
外を見ると、既に日が落ちてあたり一面に不気味な闇が広がっている。
こんな状態で後ろから『わっ!』とやられた日には、心臓が口から飛び出しかねない。
電灯をつける為に立ち上がろうと机に手を着いた時、
びちゃ
「うっ!(なんだこれ、水?液体!?)」
正体を確かめるため、電気スタンドの明かりをつけると果たしてそこには彼方自身のよだれが広がっていた。
「うげぇっ、まるで水溜りだな」
彼方は自らの行いを悔やみながらよだれを拭き取っている最中、不意にあることを思い出した。
「そういやつぐみさん、今日はいつもと違う晩飯を作るとか言ってたな・・・・」
時計に目を向けると、現在の時刻は七時十二分を指していた。
「あれ?他にもなんか聞いたような・・・・(我が脳細胞達よ、全員終結せよ!・・・・確か・・・・飯前に風呂を済ませるように、八時半には居間にいるように・・・とか言ってた気が)」
己の記憶に自信がなくなってきた彼方は、念のため当の場所へ向かうことにした。
薄暗い廊下を歩いている間中、彼方はこれから先の自分のことを気に掛けていた。
もしも定時を大幅に過ぎていた場合、食欲がないとみなされお盆を下げられたり、懲罰と称してただでさえ少ない給料を減らされたり等の苦痛を味わうかもしれない。
「・・・・それだけは勘弁してほしいよなぁ」
食事前というのに鬱な気分になり、腹が空腹と不安で痛みが生じ始めた。
しかしその直後、彼方の嗅覚レーダーに何か掛かるものがあった。
「(うん?・・・・やけに、旨そうな臭いが、いや、それはいつも同じか。でも今日のは・・・・そう、妙に脂っこいような)」
彼方の足が少し速くなった。
「(この臭い、これは前にも嗅いだことが)」
さらに速くなり、駆け足に近い状態になっていた。
その場所に近づけば近づくほど、彼方の予想は確信に変わっていく。
居間の正面に到着すると取っ手に手を掛け、程よい加減で襖を開いた。
「キタ━━━━━━!!中華料理!!」
目の前に飛び込んできた光景は一瞬信じられないものであったが、目の前に並んでいる数々の惣菜から放たれる凄まじい香りが、現実であると物語っていた。
「うお〜、うまそ〜。こりゃ横浜の中華料理顔負けだな」
『あら〜嬉しいわ〜。彼方ちゃんの口からそんな言葉が聞けるなんて〜♪』
「!?、つぐみさんっ?」
声はすれども姿は見えず、どこからともなくつぐみの声が聞こえてきた。
ガラッ
「うふ、彼方ちゃん。こっちよ〜」
背後から襖の開かれる音がしたため、ほとんど条件反射的に振り向いた。
「いぃっ!?そ、その御格好は!!」
「お気に召したかしら〜?」
あまりのことに、思わず他人行儀的な口調になってしまったがそれもそのはず、つぐみは普段着ているはずの着物を脱ぎ去り、チャイナドレスを身に纏っていた。
それだけならそこらの中華飯店となんら代わり映えはしないが、問題は髪型、服のサイズ、スカートの丈にあった。
普段は腰近くまである長い三つ編みを解き、途中髪止めで一回結えて一本にしてある。
そのチャイナドレスは濃い紫色をしており、全体に雲や植物の刺繍が施されているが、辛うじて着ることができていると言うくらいに服の大きさがピチピチであり、つぐみの特徴とも言えるバスト100の巨乳を強調させているほどである。
そしてドレスの丈は、少しでも屈み込めば下着が見えてしまうくらいに短く、すらっとした美脚をドレスと同じ色のオーバーニーソックスが包み込んでいる。
彼方はしばし、そのあまりの美貌さと普段のつぐみとのギャップの違いに放心状態であった。
「・・・?彼方ちゃん?」
「・・・・・・・・・・・」
「もしも〜し、戻って来なさ〜い」
「・・・・・・・・・・・」
「しょうがないわね・・・・えいっ!」
ばふっ
「わぷっぅ!!?」
業を煮やしたつぐみは、いまや完全に無抵抗な彼方の顔を自分の豊胸へ押し付けるという、荒治療には羨ましすぎる手段をとった。
676
:
K,S
:2006/12/01(金) 06:49:52
「む、むぐ、うぐぐ」
我に返った彼方は始め、自分がどうなっているか2秒ほど判らずにいたが、状況が把握できると手足をばたばたつかせ始めた。
別に息苦しいわけではなく、己の醜態をこれ以上つぐみに見せたくない心遣いであった。
「ぅ・・・ぷはぁっ!!」
「ど〜お、彼方ち〜ゃん。目ぇ覚めた?」
「え、ええ・・・お蔭様で、でもなんで中華料理なんて作ろうと」
「うふふ〜、たまには変わった料理を作ってもバチはあたらないでしょ〜?。それとね〜、彼方ちゃんが喜んでくれると思ったから・・・・・かしら?」
「(何故に疑問系?)は、はあ・・・・それはどうもありがとうございます。それで、チャイナ服を着ているのは・・・・」
「こういうことは、まず形から入るものなのよ〜」
「サイズが小さくて、丈がやけに短いのも?」
「あっ、あのね、これは・・・・そう!ノリよ、ノリ!それはそうと、せっかくの料理が冷めちゃうから早く食べましょ〜」
「(なにか煙にまかれたような気が、まあいいや)」
他にも突っ込みどころはあったが、空腹のためにそれは置いといて一先ず腹を満たすことにした。
「いただきます」「いただきま〜す」
食事前の挨拶をし、いざ食物に箸を伸ばそうとしたが、
「・・・・あの、つぐみさん」
「ん〜?どうしたの、彼方ちゃん」
「何故、隣に座っているんだ?おまけに距離が妙に近いような」
「嫌?」
どんな男も断り切れない、いかにも悲しげな表情と上目使いをし、彼方を見た。
「(ぐわぁっ!そ、そんな目で見られては)いや、全然!!むしろ嬉しいよ」
「きゃぁん、やっぱり彼方ちゃんは優しいわね〜」
「(やれやれ・・・・さて、どれからがっつこうかな・・・・まずは中華の基本の炒飯からいくか)」
そう思うと、炒飯が置いてある前方一時の方向へ手を伸ばそうとした時、
「はい、炒飯」
つぐみが一足先に炒飯が盛ってある器を取っていた。
「あっ、どうも・・・・」
彼方の脳内シナリオは、すっと手を伸ばして器を受け取る流れだが、つぐみの取った行動は違った。
「は〜い、彼方ちゃん。あ〜〜んして」
彼方に向かって炒飯の盛られた蓮華を突き出してきた。とても嬉しそうな表情をして・・・・
「い、いや、自分で食べるから」
「あ〜〜〜ん」
しかし全く譲る気配のないつぐみの、その表情を見ていると自白剤でも投与されたかのように理性が緩んでしまうのであった。
「そ・・・それでは、お言葉に甘えて・・・・」
ぱくっ もぐもぐ
「ど〜お、彼方ちゃん。おいしい?」
「・・・・・ンまぁーいっ!! 味に目醒めたァーっ」
「あら、本当に?」
「いや、これ本当に冗談抜きに美味いよつぐみさん!!」
つぐみに向かって激励する彼方のその瞳は本心そのものであった。
「ま〜嬉しいわ〜、そこまで喜んでもらえて。苦労した甲斐があったってやつね〜」
普段から懐石料理が中心だったので中華など縁がないと思っていたが、忘れかけていた所に出された為に空腹だったせいもあり、今や彼方は本気で物を食う人間となった。
「よ〜し!じゃんじゃん食うぞ!!(次はレバニラだな)」
例によって手を伸ばしたが、既につぐみの手中にあり、そして例の如く、
「はい、あ〜〜〜ん♪」
「(俺の心の中でも読んでるのか?まあそれはいいとして)じゃあ、いただきます」
はむっ むぐむぐ
「・・・・・これも美味ぇ!レバーのあの臭みが毛ほども感じない!!」
「お客様、こっちもどうぞ♪あんず酒のお湯割で〜す」
と、つぐみは普段から客に接待をしている要領で彼方に酒を注いでいる。
「(お客様?)あ、こりゃどうも。なんだか今日は至れり尽くせりだなぁ。あっそうだ、つぐみさん、乾杯しよう」
「あら?お誕生日でもパーティーでもないのに・・・・じゃあお言葉に甘えさせて」
そう言うとつぐみも自分のコップに酒を注ぎ、
「では、なんでもない日だけど・・・・乾杯!!」「かんぱ〜い」
キンッ! ぐびっ
乾杯の音頭を取ると同時に、彼方はコップの酒を全て飲み干した。
「よっ、いい飲みっぷり」
「ぱはぁっ、ほら、俺ばっかりじゃなくてつぐみさんもどんどん食べなよ」
677
:
K,S
:2006/12/01(金) 06:50:54
「うふふ〜、私はどちらかと言えば食べている人を見ているほうが楽しいから〜。でも、彼方ちゃんがそう言うなら・・・・」
そんな調子で二人は、飲むわ食べるわの二人だけの大宴会をやり続け、時が過ぎるのを忘れていた。
(といっても食べるのは彼方、飲むのはつぐみが主流だったわけだが・・・・)
「ぅ、げふっ・・・・もう”、食へねぇ・・・・・」
箸を投げ捨て、後ろに倒れ掛かったところで反射的に手を着いた彼方は、身体に力士でも乗っているかのように苦しんでいた。
よくよく見れば、腹の丁度胃袋がある辺りが僅かに膨れ上がっている。
「あ〜ら〜、ひっく、彼方ひゃぁ〜ん、もうおひまい〜?」
その右隣では、だいぶ酔いが回っていると思われるつぐみが虚ろな目をしながら話しかけている。
「うぷぅ、つぐみさん、そろそろ大概にしたほうが」
「なぁ〜に言ってるのよ〜、こんなのまだ量の内に、ふぅぅ・・・・」
ぱたり
つぐみはまるで、恋愛ドラマのヒロインが倒れるときの演技のようにスローモーションでも掛かっているかの如くゆっくりと、それでいて美しく横向きに倒れた。
「ああっ、だから言ったのに、いぃっ!!?」
安否を確認するため、近づこうとした彼方の焦点に飛び込んで来たのは、超ミニチャイナとオーバーニーソ、太ももの三種が作り出す絶対的空間であった。
「・・・・(や、やべ、もう少しで見える・・・・あと少し背筋を伸ばしてくれれば)」
既に起こそうとしていたことを忘れ、身を乗り出して覗こうとしている。
その姿は、通勤電車内で正面に座っている居眠り中のスカートを履いた女性の股を凝視している男性さながらの光景である。
「・・・・(じゃなくて!)つぐみさんっ、大丈夫か?」
「・・・うぅ〜ん、んん」
身体をゆすって声をかけるが僅かに返答はあるものの、自力で起きようとはしない。
その直後、つぐみがごろんと仰向けになり、ただでさえ小さい服が張り、豊胸が余計に目立つことになった。
「(うわ、つぐみさんの身体ってすげぇすらっとしてるな、特に胸がでかいし・・・・触ったり、揉んだりできたらなぁ〜どんなに気持ちいいことか)」
脳内でつぐみの胸を揉む妄想をしながら、視線を次第に下半身へと移していくと、
「!!っはあぁっ!、し、白(白い三角が!)」
「・・・ん、んん〜〜・・・・かなたちゃん?、(あれ、どこを見て・・・はっ!)きゃあぁっ!!」
がばっ!
叫び声に反応し、彼方が飛び退く反応とつぐみの起き上がり、裾を押さえる行動が全く同じになった時、二人がいる部屋の時間だけが止まったような感覚が走った。
「(まずい、やばい、なんて言い訳すりゃいいんだ。さっきの叫びと同時にこの部屋から逃げ出しゃ良かったか?いや、それじゃあその場はごまかせても根本的な解決にはなってねえな。・・・・こ、ここはやっぱ素直に言うべきか)」
実際は十数秒だっただろうが、二人の間では数十分と言うくらいに時間の流れが遅く感じただろう。
その場にこの上なく気まずい空気が立ち込めた。
つぐみはチャイナ服の裾を握りしめ俯いたままである。
「・・・・・あ、あのぉ・・・つぐみ・・・さん」
「・・・・・見た、でしょ・・・・・」
「えっ?」
「私のぱんつ見たでしょ!!」
いきなりばっと顔を上げたつぐみの表情は、怒りが表れているが真剣そのものであった。
彼方はその剣幕に怖気づき、ただ答えることしかできなかった。
「は、はいっ!つい出来心で」
「・・・・そんなに覗きたかったの?」
「い、いや・・・つぐみさんを起こそうとしたら・・・つぐみさんがあんまり綺麗だったから、その・・・・もっとよく見てみたk」
「あぁ〜〜ん!彼方ちゃ〜〜ん!!」
がばぁっ
「!、ぅわあっ!!」
最後まで言い終えぬうちに、いつの間にか笑顔に戻ったつぐみが真正面から飛び付いてきた。
あまりにも予想外のつぐみの行動に、彼方は全くといっていい程に反応できずに後方へ倒れ込んでしまった。
「う、ぐおっ(うわっ、予想よりも凄いボリューム)」
「私のこと綺麗って・・・・それ、本当?」
「・・・冗談でこんな恥ずかしいこと言えるかっ!」
「あぁ〜ん、嬉しいわぁ〜♪それ以外の下手な言い訳したら旅館から追い出そうかと思っていたけど、さっきのことも混ぜて帳消しにしてあげるわ〜」
「えっ!?で、でも今回の落ち部は俺にあるからこのまま終わるのは・・・なんかすっきりしないな」
とたんに、覆いかぶさっていたつぐみがむくっと上体を起こし、
678
:
K,S
:2006/12/01(金) 06:51:40
「もうっ、男でしょ!だったら終わったことをいつまでも引っ張ってないで、目の前のことに全力で取り組むくらいのことはしなさ〜い!」
まるで、母親か学校の教師が子供に躾けている姿さながらの話し方である。
「は、はあ・・・・分かりま『もっと元気良く!』・・・・分かりましたっ!!」
「うんうん、元気があってよろしい。さ、元気が出たところでお夕飯の後片付けをしましょ〜、今日はなんだか特別気分がいいから手伝ってあげるわよ〜」
「(はぁっ!?つぐみさんが手伝うだと!?・・・・明日は雨決定だな)」
つぐみの意外な申し出に驚きやら嬉しいやらで、いつも以上に彼方自身驚くほどスムーズに片づけを終えることが出来た。
時間が余ったため、ついでに旅館中の施錠も済ませることにした。
「・・・ふぅ〜、ここで最後か。つぐみさ〜ん終わったよ〜」
「ごくろうさま〜、じゃあそろそろ寝ようかしら〜」
「えぇっ、ちょっと早過ぎ・・あ!そうか。明日、団体さんが来るんだっけ」
「そうよ〜、と言うわけでいつも異常に忙しくなると思うから、今から気合入れておきなさ〜い」
「あ、そう・・・・」
今から入れなくても、という思いが募る彼方はそれまでの満足感が穴の空いた風船の如く抜け、逆に脱力感が入り込んでくる気がした。
やがて、二人はお互いの部屋がある廊下の十字路に着いた。
「じゃあおやすみなさ〜い。また明日ね〜」
「つぐみさんもおやすみ」
そして二人は自分の部屋へと向かって行った。
「(うふふ〜、彼方ちゃんが私のこと綺麗だなんて、おまけに久しぶりに作った中華料理をあんなに褒めてくれて・・・・嬉しかったわ〜。また今度もやりましょ〜)」
普段の笑顔に照れ要素を交えた表情をしながら、自室へ意気揚々と歩いていく。
「(はぁ〜あ、いつも以上に忙しくなる、か・・・・冗談じゃねえよ。ただでさえ身体に負担がかかってるってのにこれ以上肉体を酷使したら旅館が破産する前に俺の人生が破産しちまうよ。やっぱ賃上交渉でもするかな、いや、でも苦労している見返りにこんな美味い料理と旅館に無料宿泊、そしてつぐみさんの笑顔・・・これはまた別か)しかし、今日のつぐみさん可愛かったなぁ〜」
ふと、先程のつぐみが横たわっている姿を思い出した。
「あれは・・・色っぽかったなぁ〜。(つぐみさんにときめいたのってあれが初めてじゃないか?)」
ついさっきまで明日のことで悩んでいたことなどどこ吹く風、今頭の中は雑念で満たされている。
いつもは変わり映えのない日だが、今日という日は違っていた。
つぐみの着ていた服、出された料理、彼方の気持ち・・・・・
明日になれば、またいつもと同じ日常が始まることだが、どうなるかは活動する人物達によっていくらでも変わる。
人生とは、自分自身が投げたサイコロの出た目で分岐点が、止まる場所が変わり、その先に何が待っているかは本人すら予想がつかない、壮大なゲームそのものなのである。
こうして、今日という日の龍神天守閣の夜は更けていく。
「あっ!!部屋通り過ぎた!!」
≪糸冬≫
679
:
K,S
:2006/12/01(金) 07:01:04
おはようございます、また来ました。
一ヶ月以上間が空きましたが、予定通り少々長めのものを投稿できました。
今回は、つぐみに主点を置いてみましたが、いかがだったでしょうか?
色々模索した結果、チャイナ服を着たらどうなるかなと妄想の結果となったわけですが・・・・
近々、もしかしたらあと二つばかり投稿できるかもしれません。
では、また次回をお楽しみに・・・・
680
:
万年名無し
:2006/12/01(金) 10:00:31
チャイナ服つぐみさあキターー!
681
:
万年名無しさん
:2006/12/04(月) 02:31:39
うどんさん思い出した・・・ナツカシス
682
:
万年名無しさん
:2006/12/06(水) 21:01:24
今まで、気付かなかった。鬱
私もうどん氏思い出した。
683
:
万年名無しさん
:2006/12/06(水) 22:31:21
うどん…
なにもかもがなつかしい
684
:
万年名無しさん
:2006/12/09(土) 13:42:54
誰かうどんさんの召喚方法しってませんか?
685
:
万年名無しさん
:2006/12/10(日) 12:20:52
だいぶ前のことだからね。
686
:
万年名無しさん
:2006/12/12(火) 20:54:05
沢山SS作家居たはずなのに皆何処へいったんだろうかorz
687
:
万年名無しさん
:2006/12/12(火) 21:45:24
みんなロムってるんでしょ。
いまいち筆を動かすモチベーションがわいてこない。
688
:
K,S
:2006/12/13(水) 23:17:09
SNOW短編劇場 その七
『くじ饅』誕生
「いただきま〜す。あぐあぐ、もぐもぐ、がつがつ・・・・えう〜、今日もあんまんが美味しいよ〜」
朝飯を終えた直後だというのに、いつもの如く小夜里に用意してもらった紙袋から毀れんばかりの餡饅を幸せ一杯の表情で食している。
因みに彼女は先程の食事でご飯、おかずを共に二杯ずつお代わりしていた。
しかし、今の澄乃からはそんなことは微塵も考え付かない、信じがたい食欲である。
「はぁ〜・・・あんたってほんとに餡饅好きね〜。胃袋大丈夫?」
「お母さん知らないの〜?人のお腹には『別腹』って言うところがあってね〜、いくらご飯を食べた後でも食後のデザートを食べられる為に存在しているところなんだよ〜」
「(限度ってものがあると思うんだけど)」
自分の娘ながら呆れるのを通り越し、感心してしまう小夜里であった。
だが、心なしか今日の彼女の表情は曇り気味である。
澄乃もそれに気がつき、餡饅を口に運ぶ動作を止めた。
「・・・・?お母さん、どうしたの〜?」
「・・・ん・・えっ?あ、ああ。澄乃、呼んだ?」
「えう〜、お母さんなんか変だよ〜」
「はあ、あんたに話してもしょうがないんだけど・・・・最近うちの売り上げが落ちてきてね〜、先月と比べるともう十万近い赤字よ。このまま今月もこのペースのままだと大量の在庫が出る計算なのよ・・・・」
家計簿を見下ろしながらため息をつく母の姿を、澄乃は不思議な物でも見るかのように見つめている。
「(えう〜、お母さんが困ってるよ・・・・私が何か力になれることは・・・あっ!そうだ)」
脳天に何かピンと来るものがあったのか、澄乃はすっと立ち上がると一目散に台所へと向かった。
小夜里はそれを目で少し追うと、またすぐに目線を戻した。
台所のほうでは澄乃がなにやら冷蔵庫の下段をしばらく漁っていたかと思うと、ラップで包装された大きな皿を取り出し、それを電子レンジに入れた。
ピーッピーッピーッ
音がなるとほぼ同時に、小夜里の嗅覚に『あの』香りが引っ掛かった。
それは、澄乃が地球上で最も愛している食物にして本人曰く『命の源』であるもの。
「はいお母さん、元気の元のあんまんだよ〜。私が作った自信作だよ〜」
「えっ!?これ、あんたが作ったの?(あっ・・・そう言えばここのところ台所でなんかやってたわね)」
普段から餡饅など嫌と言うほど見てきた彼女だが、作ったものとなると自然に手が伸びるのであった。
「じゃあ、いただくわね」ぱくっ
一口食すと口内に漉し餡の甘さがじんわりと広がり、疲れた身体を解きほぐしていく。
「あ〜おいし〜(でも、なんかちょっと甘すぎるわね。それに普通のに比べて2周りくらい大きい気が)」
二口目をほお張った時、舌が餡子とは違う異物を感知し小夜里はそれを指先で取り出した。
それは2センチほどの大きさの厚紙の紙切れで、赤文字で『当り』と書かれていた。
「・・・・『当り』って、・・・何?」
「あっ!当りが出た〜!!お母さん凄いよ〜。はい、もう一個」
「えっ!?もう一個?」
「えう〜、だって駄菓子屋さんとかのお菓子って当りが出たらもう一個付いてくるだけじゃなく、それがタダになるんだよ〜」
「・・・?・・・・・!」
それを聞いた途端に小夜里の脳裏をふっと横切るものがあった。
「澄乃!!」
「えうぅっ!は、はいっ!!」
なにか悪いことでもしたかと必死に頭を整理しているが、特に思い当たる節は無かった。
「あんた天才よ!!」
「えっ!?てんさい?」
「いい?今すぐにこれと同じ物をあんたの気が済むまで作りなさい!材料費は気にしなくていいから」
『やったー!当たったぞー』『こっちにも一つ頂戴』『まだ残ってますか〜?』
それから二日後の雪月百貨店は、普段の閑古鳥が嘘のように客でごった返していた。
その理由は軒下に垂れ下がっているお手製の看板にあった。
《 千円以上お買い上げの方に『くじ饅』差し上げます。当りが出たらその場でタダ!! 》
「はぁーい!今すぐお持ちします。ああ、お勘定・・・少々お待ちを、ちょっと澄乃〜!全然足りないわよ〜、もっとどんどん持ってきて〜!!」
客の対応に追われている小夜里、その一方台所では澄乃が特製餡饅の製造に追われていた。
「えう〜!手が追いつかないよ〜。(あんまんは大好きなのになんだか複雑な気分だよ〜。彼方ちゃ〜ん、みんな助けて〜!!)」
689
:
K,S
:2006/12/13(水) 23:24:35
どうもこんばんわ、また来ました。
予定よりやや遅れて久々の短編小説を投稿しましたが、いかがだったでしょうか?
今回は雪月親子に主点を置いて書いてみました。
そろそろ餡饅や肉饅が恋しい季節となりましたが、私はどちらかといえば肉饅ですかね。
今回もそんなことを思っていたらふと、このような話が思いつきました。
近々もう一話投稿できるかもしれませんが、出来なかった場合はご了承願います。
それでは、また次回・・・・
690
:
万年名無しさん
:2006/12/14(木) 00:31:17
「毀れんばかりの餡饅」読めなかった。
691
:
万年名無しさん
:2006/12/14(木) 14:19:50
これは続きが気になるSSですね
692
:
万年名無しさん
:2006/12/18(月) 23:30:07
がんばってくださいな。
続編期待しております
693
:
K,S
:2007/01/01(月) 07:49:52
新年の挨拶
『明けまして、おめでとうございます!!』
「皆さん、今年もよろしくお願いしま〜す」
「いやいやつぐみさん、私の方からもよろしくお願いします」
「彼方君、今年も澄乃をよろしくね〜」
「えっ?あっ、こ、こちらこそ」
「えう〜彼方ちゃん、今年もよろしくだよ〜。今年こそ二人であんまんの素晴らしさを世界に広めようね〜」
「お前は今年こそいい加減にその偏った知識を改めろ!」
「ふふ、皆さん今年もよろしくお願い致します」
「そう言えば、芽依子は初詣で何を願ったのじゃ?」
「桜花、そういうことは人前でベラベラ言うものでなはないぞ」
「ボクはみんなといつまでも一緒にいられますようにってお願いしたのだ!」
「まあ・・・それはどんなお願いよりも素晴らしい願い事ですね」
「しかし、元旦の朝からこんなに集まってつぐみさん迷惑じゃないか?」
「あら、そんなことないわよ〜。年の初めにみんなで顔を揃えることが出来るなんて最高じゃな〜い。彼方ちゃんだってそうでしょ〜?」
「まあ、そりゃそうだ」
「彼方、おぬし本当はおなごに囲まれて照れ臭いのであろう?え?そうじゃろ、この色男め。ほれほれ」
「ぐっ・・・この・・・・・・ああ、そうだ」
「おや?いつになく素直じゃのう」
「ああ、今年は素直に過ごすって決めたからな」
「しかし、私は未だに納得いかないことがある」
「ん?いきなりどうした、我が娘よ」
「なぜここの作者(K,S)はいつまで経っても作品の保管庫を作ろうとしないのだ!」
「あ、それ私も気になってた」
「それは・・・・なにか事情があってのことではないのでしょうか」
「ボクは保管庫よりも先に、ボクが主役のお話をたくさん作って貰うために訴えてやるのだ!」
「なんか、ただ単にホームページの作り方が分からないってだけらしいわよ」
「えうっ、お母さんそれ本当!?」
「まあね、某所からの風の噂で聞いた話だけど」
「もしその話が本当ならば、その者はかなりのヘタレと言う事になるのう」
「全くだ。今のご時勢は小学生でもホームページやブログを作ることが出来るというのに」
「その点、我々は時代の波にうまく乗ることが出来たわけだが」
「へ?じゃあ誠史郎さんはもうやったこと・・・・」
「まあ百聞は一見にしかず、これを見たまえ」
「こっこれはっ!無線LANノートパソコン、肝心のページは・・・・『おいでやす龍神村』ぁ!?これって村の宣伝ですか?」
「いかにも。知っての通りこの村は過疎である。ただでさえ人口が少ないところに最近は若者の都会への進出が目立ち始めている。このままでは遅かれ早かれ廃村になる恐れがあると危惧した私が村長さん達と話し合った結果、この度このホームページを開設することになったのだよ」
「それだけではない。この村の歴史や文化がこのまま廃れてしまうのは歴史探求者として我慢ならなかったので、より多くの人達に知って貰おうと私『橘芽依子助教授の部屋』なるコーナーを作ったぞ」
「わあ〜すごーい、本格的ねー。あっ!あたしの雑貨店のことが紹介されてる!!」
「あれ?ここの脇に書いてある『あん饅好きのための雑談所』って・・・・」
「きゃあ〜見て見て彼方ちゃん、私達の旅館のことも載ってるわよ〜!」
「ボクにももっと見せてほしいのだ!」
「こ、これが『ノートパソコン』と言う物ですか・・・・話だけなら聞いたことはありますが、実物を見るのは初めてですね・・・・」
「ううむ、遂にこの村にも『ハイテク』の波が来よったか」
「まあいいじゃねーか。みんな楽しそうだし」
≪糸冬≫
694
:
K,S
:2007/01/01(月) 07:55:08
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
今年も皆さんでここを盛り上げていきましょう。
え〜、いきなりですが、私今年は就職活動があるので昨年以上に来られないかと思います。
では、また次回をお楽しみに・・・・
695
:
万年名無しさん
:2007/01/01(月) 08:03:20
よし、一番乗りゲットズサー
って自虐入ってるしw
とりあえず、恒例の一言
あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします!
696
:
万年名無しさん
:2007/02/07(水) 14:00:43
新作こないね。職人全滅か…
697
:
万年名無しさん
:2007/02/18(日) 21:50:48
そうでもないよ。
698
:
万年名無しさん
:2007/03/13(火) 03:01:55
ここは相変わらず人が少ないなあ。
山ん中いるみたいだw
699
:
万年名無しさん
:2007/03/13(火) 14:54:36
たぶん、ひっそりと住んでいるのはほどほどいるはずだ…
700
:
1/3
:2007/03/24(土) 06:30:19
事の発端は数日前に遡る。
芽依子と澄乃が作った料理を食し、どちらが作ったのかと当てるというものだ。
もちろん自身はあった。一度は澄乃のほっぺが落ちそうになる料理を食べたので美味しいほうが澄乃だろうと。
その考えは甘かった。
予想外に両方美味しかったからだ。
芽依子が料理上手だと、馬鹿な! そう思わず驚きの感想が口からこぼれたおかげで殴られた。
さすがに芽依子にもプライドがあるらしく、俺を負かした上で一日下僕にするという目論見だ。
どうして一日下僕を賭けての話かと言うと俺は芽依子が料理を作れないと踏んでいたので、澄乃は料理できるけど芽依子はできなさそうだなぁ、みたいな発言をしてしまい。売り言葉に買い言葉でヒートアップ。最終的に勝負という話になった。
当然負けた。
一日下僕が誕生した。
「ふふふ。今日は彼方さんは一日下僕だ。下僕という事は主人の命令どおりに働くパシリだ。その事を念頭に置いて、一日はありがたく私にコキ使われるように」
「うぃーす」
「……てぃ」
「げはっ」
ノーモーションの地獄突きが極まる。回避不能の一撃が俺をのた打ち回らせるのには十分な威力だ。
「ごほっごほっ」
恨めしそうに抗議の眼差しを向けてみるが、芽依子はそんな俺を見てニヤリと笑う。
「弛んでいる証拠だ。彼方さんは敗者で私は勝者だ。奴隷は奴隷らしく気合をいれるんだ」
なんか、扱い酷くないか?
やっぱり、料理ができないガサツな性格と評したのを根に持ってるらしい。
「彼方さんは私のプライドを著しく傷つけた訳だ。それを償うには彼方さんのプライドをすり減らして償うしかないよな?」
いや、ほかにも平和的かつ建設的な解決方法があると思うのだが……。
むろん先ほどやられた喉は回復しておらず、反論できない状況なのでそのまま話は進む。
「では、まずは掃除でもやってもらおうかな、フォフォフォ」
芽依子は笑顔なのに目がまったく笑っていない。かなり怖ぇぇ。
そして、長いようで短い一日が始まった。
701
:
2/3
:2007/03/24(土) 06:30:52
プライドを捨てて無心で掃除をしていたおかげで、時刻は昼過ぎになっていた。
掃除もかなり進み、一番大変だろうと思ってた雑巾がけも部屋の暖かさで苦ではなく、順調に終えれた。
「ふむ、多少は目につくが十分だろう。そろそろ昼食にでもするか」
ようやく掃除から解放されるらしい。そんでもって食事もでるみたいだ。
何だかんだで芽依子にも多少の慈悲の心があるらしい。
「む、なんか凄く不快な気分に」
「いや、芽依子は優しいな、と思っただけだぞ、ハハハ」
あからさまな態度に芽依子は疑いの眼差しを向けてくる。
「まぁいい。掃除もしてもらったし許してやろう。コタツにでも入って待っててくれ、用意してくる」
そうして芽依子は台所に消えていき、俺はコタツのある部屋へ向かう。
「やぁ、彼方君。お掃除ご苦労様」
先客が居た。芽依子と同等に何を考えてるか理解不能の医者がコタツで温まっている。何故か白衣のまま。
「まぁ、これが約束ですから」
「約束、ねぇ」
少し含みのある呟きだ。
「とにかくコタツにでも入ったらどうだい? 暖かくて気持ち良いよ。色々と」
何が色々なんだろうか。入るのが少し怖いが、この人と芽依子の言うことを真に受けていたら、体力が保てないので軽く流しておく。
「話でもしていたら芽依子が料理を作ってきてくれるだろう。芽依子の料理は美味いものでね。私も毎日楽しみなんだ」
芽依子の料理が美味しいのは、この前の対決で十分なほど自覚させられた。
「それはそうと、芽依子が男友達を連れてきてご飯をご馳走するとはね」
何やら、誠史郎さんは、俺と芽依子の事を誤解してるように見える。
「芽依子は、ただ面白がって呼んだんじゃないですかね。誘い方が下僕って前提ですし」
「いやいや、芽依子は彼方君の事を気に入ってると思うよ。私から見れば、あんなに生き生きとした芽依子は初めて見るよ」
芽依子の身内である誠史郎さんに、そこまで断言されると納得するべきなのか……。
「私はね。何年も前から芽依子と住んでるから、たまに見るんだ。あの子の寂しそうな顔をね。彼方君から見たら強気で明るい娘に見えるんだろうけど、私から見ると、ふいに消えて居なくなりそうなほど弱く感じる」
誠史郎さんは普段は見せない、寂しそうに眼を細める。
702
:
3/3
:2007/03/24(土) 06:31:44
俺には、そんな芽依子は想像し難い。あいつは傍若無人で、突拍子がなくて……あれ? よく考えれば、それは強さじゃないし、第一印象による先入観だ。
初対面が強烈過ぎて忘れていたけど、あいつも女の子なんだよな。
「慰めようにも弱さを隠すから、僕じゃお手上げでね。見てるだけは辛かったよ。でも、最近は彼方君が町に来てからは、芽依子も本当に明るくなってね。正直安心してるんだ」
話は途切れ、静寂だけが残った。
誠史郎さんの言葉を噛み締め、心の内で反芻していた。
「なぁ、芽依子」
昼の会話が頭から離れず、帰り際に芽依子に声をかける。
「どうしたんだ、彼方さん?」
見送ったはずなのに、いきなり振返った俺に首を傾げる芽依子。
「いや、あのさ。昼飯美味かったよ。ありがとな」
顔から火がでるかと思うほど熱くなるのを感じる。
「な、何を馬鹿なこといるんだ、料理は得意分野なんだからな」
どうやら芽依子も照れくさいのか、語気を荒げて言い返してくる。
たぶん芽依子も思っているだろう。夕焼けの日差しで火照った顔がわからなくて良かったと。
703
:
万年名無しさん
:2007/03/24(土) 09:48:32
>>700-702
GJ!
これは見事なツンデレですね。
704
:
万年名無しさん
:2007/03/28(水) 23:00:47
やはりメイコって人気あるんだな。
705
:
万年名無しさん
:2007/03/29(木) 00:49:36
お兄ちゃん大好きツンデレ巫女から、スパッツツンデレ薄幸少女へ変身する超人だからな、人気はあるのは当然とも言える
706
:
万年名無しさん
:2007/05/16(水) 06:09:48
深雪に埋もれた春の訪れない田舎の龍神町。
そこでは多彩な人間で溢れ、常識の通用しない世界である。
一般という言葉と比較すれば、誰でも当たり前に理解できる事が無視される。
低日給のバイトが、その一つである。
この町には、朝から夕方まで子供の駄賃程度のはした金でこき使う鬼女将が存在する。
笑顔の裏には般若のごとき顔が見え隠れする。その笑顔に押し切られて、反論の余地も無く仕事をさせられている。
お金を稼ぎに来たはずなのに、それが叶わぬとあれば帰るのが一番の選択肢だ。
だけど、俺は町に来たときに落石に出くわした。死にかけた。死にかけただけなのに、そのまま葬式に持っていかれ、危うく焼き殺されそうになった。
そう、俺を無理矢理にでも亡き者にしようと企てようとした外道がいる。
その外道は、どうして見も知りもしない俺を殺そうとしたのか? それは後々判明した。
落石事故で人が気を失った時に落とした財布を自分の物にするためだ。財布をネコババする為に葬式を手配させたのだ。
もし、あのまま寝ていたら、そのまま燃やされて逝ってたかもしれない。
なんて性質が悪い! 外道じゃない悪魔だ!
そうしてお金が無くなり、実家にも帰してもくれず、仕方なく鬼女将の仕事を頑張って生き長らえている。
なんて健気な俺。こんな俺には神様のご褒美があっても、なんら不思議は無いはずなのだ。でも現実は厳しすぎてご褒美どころか試練を与えてくる。
「フォフォフォ、おはよう彼方さん。今日もポリタンクで筋トレご苦労様」
外道な悪魔が1匹現れた。
「げふっ」
外道な悪魔の拳が俺の鳩尾にめり込む。
「ぶへっ」
外道な悪魔の平手が俺の顔をなぎ払う。
「がはっ」
外道な悪魔の指先が俺の喉を突いてくる。
「ごふっ、顔は殴らないで顔は!」
「ん? なんだ、もう終わりか……」
どうしてか心底つまらなさそうな表情する芽依子。
「げほげほ、って、なんで俺を殴るんだ?」
「何やら恐ろしく不愉快な空気を感じてな、それが彼方さん漏れていて、むかついたから殴ってた。でも三発あたりからテンションが上がってきたので、途中で終ったのは非常に残念だ」
どうやら芽依子に、こちらの心の毒舌トークが伝わったらしい。人間離れした恐るべき直感である。
「んで、何の用なんだ? 無意味に現れるのがお前の性分なのは知ってるから、とりあえず聞いてみるが」
「ほほぅ。あれだけ殴られても、なお反抗する気力があろうとは。このまま殴打してやろうかと悩むところだが、今回は一つ問題があってだな。それを彼方さんにも始末してもらおうという魂胆だ」
なんか背筋が寒い。更に芽依子も邪悪に微笑んでいる。
「逃げて良いか?」
「逃げても構わないが、彼方さんが逃げるということは、そこで倒れている男を見殺しにするというのと同義になるな、つまり人殺し」
「ん? って、何故かくたばってる人がいるし」
降り注ぐ雪で半分ほど埋まりかけている男は、俺と同世代だろうと思われる。
低賃金でこき使われている俺。
路頭に迷って行き倒れてる男。
なんか「明日は我が身」という言葉がよぎった。
「早く助けないのか? このままだと凍死すると思うぞ?」
「そんな他人事みたいに言われても困るんだが」
「もし助けなかったら、澄乃も彼方さんには失望を隠せないだろうな。そして、この男も夜な夜な怨霊として彼方さんの枕元に現れて、怨念の言葉を発しながら地獄へ道ずれにしてくるだろう」
「激しく嫌だ。わ、わかった。助ける。助ければいいんだろ!」
「それでこそ彼方さんだ」
ここで俺の選択肢を誤った。それはもう致命的に。
707
:
万年名無しさん
:2007/05/16(水) 06:11:34
「おかげで助かった。もう少し飯を食うのが遅かったら餓死してたかもしれない」
この男の名前は国崎往人。見ての通りみすぼらしい浮浪者だ。
「いや、せめて放浪者にしてくれ」
「みすぼらしいってのはOKなのか? てか、ト書きを読むのはやめてくれ、最近の流行なのか?」
「彼方さんが隙だらけだから読まれるんだ。危機意識が足りない証拠だな」
「なぜ危機意識?! どうしてそこまで話が飛躍するんだ?」
「甘い! 大昔はこの町も夜盗共に急襲されたりして、皆は常に死を意識して細心の注意を払って生きてきたんだ。その一瞬の隙が死に繋がる。皮を剥いだあんまんのように甘いぞ!」
それ、皮を剥いだら、ただの餡子だし。意味解らないし。
「うむ、確かに俺も野宿する時、注意してなかったら親父狩りの対象にされかけて死にかけたしな、危機意識は大事だ」
あれ? なんか二人とも同意見で俺だけ仲間はずれ?
「だから彼方さんは落石で死にかけるんだ。あんな物は注意してたら避けることは可能だ」
「だな。日頃からの心掛け次第では、怪我も最小限に抑えられるというものだ」
この平和なご時世で、その思考はおかしいくね?
「彼方さんの将来の為に、少し鍛えてやるか」
「あぁ、そうだな。俺も飯の恩義があるし、曲りなりにも恩を感じてる奴が無残に死んでいくのは胸糞悪い」
よくわからない電波に汚染されている二人を生暖かく見守る俺は、静かに廊下へ出て行く。
「さりげなく逃げようとしても無駄だぞ〜♪」
俺の右肩を叩いて引き止める芽依子。
「そうそう、ここは大人しく鍛えられた方があんたの為だぞ」
更に左肩を引き止める国崎。
そのままアメリカ兵に連行されるグレイのように生きて帰れるか解らない死地へ連れて行かれた。
連れて行かれたのは旅館の庭だった。
いつ見ても立派な庭で、降り注ぐ淡雪が一面を銀色に染め上げ、暖かいお茶を飲みながら縁側でぼんやりしたくなるような場所だ、もちろん普段の話である。
今はその楽園を踏みにじる外道が二名。その外道は俺を虐待し尽くし、どうやって殺そうかとニヤニヤしながら俺を眺めている。
「またつまらない脳内設定を繰り広げているようだな、そんなんだから隙だらけなんだぞ」
鋭いボディブローが鳩尾に突き刺さる。むろん悶絶し転げまわる情けない俺。
「ん〜、国崎さんや、どうしようか?」
「まずは、これくらいの攻撃を受けるか避ける程度は駄目だな。慣れれば簡単だ」
訳すと、避けられるようになるまで殴られ続けろ、とのことらしい。
「いや、まじ勘弁!!」
逃げようとするが国崎に回りこまれる。
「簡単に、この俺から逃げられると思うなよ」
「おかしいだろ! 恩義感じてるのに何で襲い掛かってくるんだ! 俺は殴られるのは趣味じゃないぞ」
「私も殴るのは趣味じゃないぞ? そりゃまぁ多少は彼方さんを苛めるのは好きだが、彼方さんが今後、五体満足で生き続けるのに必要なスキルを育てるためにやっているんだ」
「うむ、橘の言うとおりだ。このご時世、路上で野宿してたら、何時襲われるかわからないし、歩いていたらいきなり背中を刺されるかもしれない。下手をしたら獲物を持ったと相手に殺し合いをしなければならない場合もあるからな」
「いや待て、俺は路上で野宿しないし、それに背中刺されたり、武器持った相手と戦うとか交通事故より低いアクシデントなんか普通ないから、マジで無いから! だから落ち着け、頼むから落ち着け、近寄るな、眼をギラギラさせて拳を握り締めて近寄るな、近寄・・・・・・ぎゃああああああああ」
俺の意識は落下した豆腐のように砕け散った。
708
:
万年名無しさん
:2007/05/16(水) 06:13:27
「さて、今日は何をしようか考えているのだけど、誠史郎の助言によれば、千尋の谷へ突き落とし、這い上がって来た瞬間に岩を投げつける程やらないと駄目って言われてな」
これはどう考えても殺る気だ。
「さすがに私も、これはキツイだろうと思案した」
一応芽依子にも常識が欠片はあったみたいだ。
「その熟考の末、もう少し訓練をしてから実行に移すので彼方さんは安心してもOKだ」
安心できねぇ、やっぱこいつはドSだ。
「そうだな、昨日と同じメニューで行くべきだな」
もう一人の外道は芽依子の発言に納得し、俺に歩み寄ってくる。
ちなみに昨日のメニューは組み手という名の虐待ショー。
犠牲者はもちろん俺だ。
「もう少し穏便なメニューは無いんですかね。国崎さん?」
思わず同世代なはずなのに敬語になる。ヘタレすぎて泣ける。
俺の質問に国崎が答えるよりも芽依子が口をだしてきた。
「これくらいが彼方さんの為になって丁度いいんだぞ? 本当は私もこんな事したくないんだが、彼方さんが逞しく生き延びて欲しいから仕方なく、ほんと〜に泣く泣く心を鬼にしながらやってるんだ、あ〜やりたくないな〜〜」
どこか楽しげな含みを感じるのは気のせい……な訳がない。あれは苦しんでる者を眺めて心底楽しむ女王様の顔だ。
だけど芽依子の言い分も理解できる。この町に訪れてから、落石に巻き込まれるし、高速で転がる物体が襲ってきたり、おかしい医者の車に乗ったら事故で死に掛けたり、黒リボン女に虐められたり、行き倒れにフルボッコにされたり、本当に危険なのは確かだ。
そもそも、俺の不幸は芽依子の責任が大半な訳で、納得してもいいのだろうか?
そもそも芽依子の嘘を嘘と見抜けないようでは、この町で生きていくのは難しい。
チラリと相方の国崎を見やる。恐ろしく殺る気……いや、やる気満々のようだ。
あぁ、昨日の悪夢こんにちは。今日の存在するはずの安息の時間さようなら。
「では、行くぞ」
その先はあんまり覚えていない。
続く
709
:
万年名無しさん
:2007/05/20(日) 09:05:35
sageだったから気付かなかったけど、職人さんGJ!
新参職人かな?
710
:
万年名無しさん
:2007/05/26(土) 17:00:45
>>709
新参ではないです。コテで何度もSS投下してたので
暇ができたら適当に続き書きます。それでは
711
:
万年名無しさん
:2008/04/27(日) 03:24:43
保守
712
:
万年名無しさん
:2008/12/19(金) 11:55:43
保守…?
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板