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【兄上】 若生 鳳仙スレ 【大好き】

421鳳仙SS:2003/04/21(月) 00:55
ー1ー

 何故なんだろう?
 何故私たちは兄弟なんだろうか。
 兄弟でなければ良かった。
 そうすれば、振り向いてくれる
 振り向かしたい。振り向いてほしい。

 兄上…私は……兄上のことが…。

 そして、振り向いてほしかった。

ー2ー

「少し疲れたな、休むか鳳仙」
「はぁはぁ、そうだな兄上」

 春うららの季節。桜みだれる木下で私たちは稽古をしている。

「兄上は強いな」
「鳳仙もなかなか強くなってるぞ」
「強すぎる兄上から言われても説得力がないぞ」

 兄弟の他愛のない会話。心地いい日々。

「まだまだだ、もっと強くならないと使命が果たせない」
「兄上は十分強い。妹である私が一番よく知っている」
「だが夜盗たちは数も多い。それに多勢に無勢だ、個人の力で考えると分が悪い」
「兄上ならどうにかできると私は信じている」

 それも夏には終わる。兄上の死と共に。

ー3ー

「夢か」

 暗い。
 森を歩いていたはずなのにどうしてだろうか、しばし逡巡そして答えは出る。

「崖から落ちたのか、そのまま気絶して」

 なんてドジなんだろう。兄上が死んでから私は弱くなってしまった。
 昔はこんなことはなったのに。

(しまった)
(兄上が何をしているんだ)
(うっかり朝餉を少しこぼしてしまったな)
(困った兄上だ、仕方ない飯にしよう)
(すまないな)
(………本当に世話の焼ける兄上だ、私がしっかりしないとな)
(何か言ったか?)
(な、なんでもない)

 懐かしい。今日は兄上の事ばかりだ。
 
「走馬灯かな」

 でも、このままでは死ねない。生まれ変わった兄上に合うまでは死ねない。
 私がしっかりしないでどうするんだ。私が兄上を引っ張るんだ今までそうして来たように。

「生まれ変わった兄上に逢いたい。話をしたい。一緒にご飯も食べたい。
 できれば……できれば愛されたい。妹としてではなく女として」

 だから死ねない。逢うくらいは成就したい…。
 未練がましいかもしれない。
 往生際が悪いかもしれない。
 先見は間違いかもしれない。
 意味の無い事かもしれない。
 それでも、それでも。

「私は生きるんだ」

 兄に逢うため、私は力強く立ち上がる。心の弱さを隠して。


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