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サブキャラのHシーンを勝手に考えるスレ

474おまけ そにょ114:2003/06/26(木) 23:57

 湯掛けをして、つぐみさんと並んで湯舟に浸かる。
「ふう」
 宵刻を目前に控えた空が、橙と藍が混ざった色に染め上げられている。
 縁岩に背中を預けながら、遥か遠くの山の稜線を眺めていると、
「…ねーえ、彼方ちゃん」
 つぐみさんが小さく囁きながら、俺の肩に頬を寄せてきた。
「うん?」
「彼方ちゃん、ここで私のこと、好きだって言ってくれたのよねー」
 俺に体重を預け、ぼんやりと遠くを見つめながら、独り言のように呟くつぐみさん。
「ああ、そうだったな。…もうだいぶ前みたいな気がするけど」
「そうねー」

 つぐみさんは、手の平でゆっくりとお湯を掻き混ぜながら、
「…さっきも言ったけど、彼方ちゃん、私のことを選んでくれてありがとう」
「またそのことか。いいってば」
「だって、本当に嬉しかったのよー。ひょっとしたら彼方ちゃん、小夜里さんのことを選んじゃうんじゃないかって思っていたし」
「なんだ。信用ないな、俺」
「…違うわよ」
 冗談めかした口調で話していたつぐみさんの笑顔が、すっと強張った。
「ごめんなさい、そうじゃないのよー」

 俺の肩に寄り掛かっている、つぐみさんの顔を見る。
「そうじゃなくてね…私が、小夜里さんより魅力がある自信がなかったの」
 つぐみさんは表情を隠すように顔を俯かせると、抑揚のない声で話し始めた。
「小夜里さんだけじゃないわ。彼方ちゃんが私のことを放ったらかしにして、他の女の子のところに行っちゃうんじゃないかって、いつだって不安なんだから」
「そんな、大袈裟な」
 つぐみさんの品のいい唇が、むーっと尖る。
「だって彼方ちゃんたら、いつも周りに綺麗な女の子を侍(はべ)らせているじゃないのよー」
「え!? ちょっと待った、侍らせてなんか…」
 いや、よく考えたら、澄乃とか旭とか桜花とか、いつも周りに誰かしら居るな。
「…何でもありません。続けてください」

 つぐみさんは前髪の隙間から瞳を覗かせ、上目遣いに俺を見つめて、
「そりゃあ、スタイルはちょっと自信あるし、顔だってそれなりに綺麗なつもりよー? でも、小夜里さんも言っていたけど、やっぱりそれだけじゃ駄目だし…その…私も、もう若くないし」
「そんなことないだろ」
 お湯を弾く珠肌から、瑞々しく張りのある肢体まで、どこも若々しいと思うが。
「ありがとう、彼方ちゃん。でも、分かってるの? 例えば澄乃ちゃんよりも、私は十年以上早くお婆ちゃんになっちゃうのよー?」
「そりゃそうだ。それぐらい分かってるよ」
「結婚しても、赤ちゃんを産めるかどうか分からないのよ?」
「……」
 そうか、それは考え付かなかった。

「うーん」
 俺としてはやっぱり子どもは欲しいけど、つぐみさんに負担が掛かる可能性もあるのか。
「…ほら、やっぱりー」
 黙ってしまった俺を見上げたつぐみさんは、しょんぼりと項垂れてしまった。
「待った、待った。まだ産めないって決まったわけじゃないだろ」
 慌ててつぐみさんの肩を引き寄せ、安心させるように抱き締める。
「赤ちゃんのこともあるけど…それに、えっちなことだって、もうすぐに出来なくなっちゃうかも知れないし…」
 つぐみさんは俺の胸板に頬を触れさせながら、弱々しく呟いた。
「うん、分かったから」


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