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第3回東方最萌トーナメントまでまったりするスレ 巻之伍

857名無し門番:2005/12/08(木) 23:00:09 ID:U9WzEugU
<<上白沢 慧音>>

――僕と、結婚してくれないか?

その、一瞬の音が、確かな霊の響きが、その場の空気を突いた。

「…その、なんだ…そんな事、急に言われても困る…」
その言葉は弱弱しく、唇は微かに震えている。

それは、あまりに唐突な出来事だった。

その顔には、明らかに戸惑いと、恥じらいの念が顕われている。
…無理もない。
今こうして自分が言ったことにも、僕自身で信じられないくらいなのだから。

「…私には、この里を妖怪から護るという責務がある…
だから…」

その後に続く言葉は、聞こえなかった。
否、何かを言おうとして口を開くが、その虚無ろな風穴から音が漏れてくる事はなかった。

そのもどかしさに、二人とも硬直したままだった。
だが、何時まで経っても、二人の口から言葉は出てこなかった。

風が空しく二人の間を吹き抜ける様子は、まるで二人の隔をますます開かせるかのようで…

「…すまない…」

たった一言を呟いて、彼女はうつむいた。
その、白銀の髪に隠された目元から、水晶のように透き通った雫が零れ落ちる…

…それを見た僕は、その場から立ち去らざるを得なかった。

遠ざかるにつれて小さくなってゆく足音に手をかけ呼び止めようと
彼女はもう一度顔を上げたが、その声が届く事は…
なかった。


――本当は、こんな、事の為に…
          能力は、使いたくはない…


――だけど……


彼女は、今この瞬間から数分間前までの歴史を、消去した。…跡形も無く。


――願うのは、ただ一つ。
     自らの気持ちを、相手に正直に伝える事。

――…これが、赦されるはずのない禁忌だと判っている。
                     判ってはいた…。


―――そして、もう一度歴史は廻り始める…
           彼女の願う未来を描く為。

            …果てしない悔恨の焦炎で、彼女を永劫に焦がす為…


〜〜
それでも、何度も自分の正直な思いを伝えられず相手と結ばれない様子を幻視した。
…結婚というよりむしろ告白になってしまった…orz




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