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第2回東方最萌トーナメント 61本目
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あてもなくさまよう美鈴の眼の前に、一人の少女がひっそりと立ちつくしていた。
流れるような金色の髪。瞳は紅く、深い。
人形のような赤色の上下に身を包み、身長は――美鈴よりだいぶ低かった。
「どこへ行くの?」
外見にふさわしい、無邪気な声。
刹那、美鈴の精神は戦闘モードに移行していた。
少女の声に含まれるなにかが、彼女の格闘家の部分を刺激したのだ。
「わかりません。本名で呼んでくれる人を捜してるんです」
美鈴は無表情に答えた。
「妹様、どこかで聞きませんでした?」
「どんな名前?」
「中国語です。苗字が『ほん』で、名は『めいりん』」
「聞いたことあるよ」
少女はこともなげに言った。
「だったら教えてください。どこで聞いたんですか?」
少女が笑った。唇の形だけで。
「教えられないし、教えてもしょうがない」
「――どうして?」
少女は固着した笑いを崩さず、それまでと変わらない口調で答えた。
「あなたは、ここで死ぬから」
少女が足を踏みだした。
警告もなく、美鈴は攻撃した。
相手が主人の妹であることなど、まったく意識しなかった。
最初のばら撒き弾で少女が後方へ吹き飛ぶ。
地面に倒れ伏した影に、彼女はさらに弾幕を放った。
通常弾幕とは信じがたい驚異的な美しさで全弾命中。
スペルカードを構えながら、美鈴はなお臨戦態勢を解かずにいた。
数十発の宝石弾をくらった少女が、再び起き上がってくる確信があった。
――予想は的中した。半分だけ。
少女が立っていた。起き上がる過程を、美鈴は見ることができなかった。
最初からなにごともなかったかのように、少女は二本の足でたたずんでいた。
身体にも衣服にも、着弾の痕跡はない。
わざと吹き飛ばされてみたのではないかと、美鈴は疑った。
「殺せないよ」
低い囁き。
「そんなものじゃ、私は殺せない。そっちのスペルでも同じだよ。
試してもいいけど、弾がむだになるよ。どうしよう。困ったね?」
美鈴は無言でスペルカードを収めた。
「急ぎの用でして。妹様の相手をしてるわけにはいきません」
「そう言わないで、つきあってよ」
「残念。ワガママは嫌いです」
緩やかに、美鈴の四肢が舞った。
型を描きつつ、体内の気を高めていく。
弾幕が通用しないのなら、素手で殺ればいい。
それが紅美鈴という女なのだ。
「さあ」
皮膚が内側から弾け跳びそうな高圧の気をため、美鈴はむしろ静かに言った。
「殺してみなさい。――殺せるのなら」
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