レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
第2回東方最萌トーナメント 56本目
-
「そうか、あなた……」
「あなたも聞いたことはあるでしょう、吸血鬼の持つ『変化』の能力。
その身を自在にコウモリや狼、果ては『霧』にまで変化させることが出来る。
一瞬だけどあらゆる攻撃を無効化出来る。あなたの魔法じゃ決め手にならない」
アリスは歯噛みした。
こいつと最初に手合わせした時点で予想しておくべきだったのだ。
これほどの実力を持つ敵が、一撃必殺の攻撃に対する対応策を用意していないはずがない。
「見たところ、あなたのスペルカードは残り少ないようね。
もっとも、スペルで私に傷を付けることはできないけど……」
見抜かれている。フランの指摘は正しい。
道中の予想を上回る妨害の激しさに、
アリスはここにくるまでに多くのスペルカードを消費してしまっていた。
「やっぱり、あなたはつまらない。そろそろ壊れてしまいなさい」
くすくすと笑うフランの手に、一枚のスペルカードが握られていた。
今まで余裕を見せて温存していた、悪魔のスペル。
彼女は本気で殺しに来るつもりだ……。
避けられない敗北と死を前にして、アリスの顔から表情が消える。
だが、それは諦めによるものではなかった。
「―――あなたは、一つ勘違いしてるみたいね」
アリスの言葉に、フランの顔に疑問の色が浮かぶ。
「私の魔法は、魔理沙たちのそれとは仕組みが違うの。
彼女の場合、その場で魔術式を組み上げ、そこに自身の魔力を流して発動させる。
私はね、魔術式も、発動に必要な魔力も、全て人形に組み込み済みなの。
だから私は、人形のスイッチを入れてあげるだけで、自在に魔法を発動できる。
私にとってのスペルカードはね、作り上げた人形を、この場に召喚するためのものでしかないの」
あえて己の手の内をさらけ出すかの様なアリスの言葉に、
しかしフランは興味を示さず、つまらなそうに言い捨てるだけだった。
「ごたくはいいよ。あなたは私に勝てない、その事実は変らない」
その返答に、あざけりの色さえ浮かべてアリスは続ける。
「物解りが悪いのね。これだから引き篭もりは始末が悪いわ。
普段の私のスペルが、一つの魔法の発動に必要な人形を喚ぶだけのものとすれば……
もし複数の人形を同時に召喚するスペルがあったとすれば……どうなるかしら?」
「?……」
「見せてあげる。アリス・マーガトロイドの『七色』たる所以を」
そう言うと、アリスはスペルカードを取り出し、呪文を唱える。
……ひどく、哀しげに。
「―――体は魔法で出来ている。
血潮はマナで、心は水晶。
幾たびの戦いを越えて不敗。
ただの一度も敗北はなく、
ただの一度も理解されない。
彼の者は常に独り、異界の森で勝利に酔う。
故に、生涯に意味はなく。
その体は、きっと魔法で出来ていた―――」
――――無尽『Unlimited Puppet Works』――――
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板