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第2回東方最萌トーナメント 53本目

474季節はずれの春妖精 3/7:2005/03/04(金) 14:39:44 ID:R1k79VQc
 
 
リリーが落ち着くまで待つこと数刻。
ようやく泣き止んだリリーは、大妖精に自分のこれまでのいきさつを話した。

「えっと・・・つまり、目覚めたのに、伝えるはずの春がどこにもなくて途方にくれていたんですね?」
  こくり・・・

不安そうに頷くリリー。
大妖精と出会ったからといっても、まだまだ心細いのは確かなのだ。

「確かに目が覚めたとき、いつもと風景が違っていたら、心細くなりますよね・・・」

大妖精はリリーを安心させるようにうんうん頷きながら答える。

「あの・・・聞いていいですか?」

リリーがおずおずと尋ねる。

「春は・・・どこにあるんですか?」
「・・・・・・・・・」

大妖精は答えに詰まってしまった。

今は冬の始め。
どう考えても春なんてあるはずがない季節だ。
春の妖精であるリリーが知らないのであれば、そうではない大妖精が春の場所を知るはずなんてない。

「・・・残念ですけど・・・今は冬ですから・・・春はまだないと・・・思います」

重い口調で大妖精が告げた。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・ぐすっ」
「わわわっ」

再びしゃっくりあげるリリーに慌てる大妖精。
このままでは先ほどの状態に逆戻りだ。
困ったなぁとうんうん首をひねる。

・・・・・・・・・。

「あ、そうです!」

3回半くらいひねったところでぽんっと手を打った。

「えっと・・・リリーさん、でしたよね?もしよかったら、今から私と一緒に行きませんか?」
「・・・春が・・・あるところ・・・ですか?」
「春は・・・ないですけど」

大妖精はリリーの手を引くと、パタパタと空に飛び立つ。
リリーもそのままつられるように空を飛ぶ。

「そのかわり、とっても素敵な冬が見れますよ」




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