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第2回東方最萌トーナメント 39本目

278お前”も紅”色に染まれ 8:2005/02/21(月) 01:19:38 ID:UUpV92/2
「……けど貴女、本当に変わってるのね」
「……変わってる……私がか?」

彼女は大真面目に頷く。

「ええ。だってそこまで身を粉にして働いて、集落を心配して、あちこちを駆け巡って……。
 今まで何度も見てきたけど、何かの報酬も無いのによくそんなことが続くなって思うわ」
「失敬な。これでもきちんと、集落から日々の生活を遅れるぐらいの報酬は――」
「あれだけ働いてる事を考えたら、そんな報酬なんて少なすぎるぐらいよ」

私の反論を、たった一言でぴしゃりと切り捨てる。
……うーむ。
彼女に、どう説明すれば理解してもらえるのかと思い悩んでみたが、言葉が思いつかない。

「……確かに、他の者達から見れば……私は随分とおかしい事をしてるのかもしれないな」

だから私は、馬鹿げていると思われかねないほど真正直に思った事を口にする。

「だが、それでも私は、彼らのことが大事なんだ。
 彼らが例え、私の事をどうも思っていなかったとしても――
 私にとって、彼らはこの身を粉にするだけの価値がある。それは変わらないだろう?
 私が、彼らの事を、愛しいと感じている。だから私は、ここまで頑張れる。……そういうことなんだと思う」

次の言葉が彼女の口からもたらされるまでに、少し時間があった。
茜色の空と同じ、その瞳を少し細めて。
彼女は、私の心の奥まで覗き込むようにして――じっと、見つめていた。

「……貴女は本当に――変わってる」

呆れたようなその一言。

「真っ直ぐすぎるのよ――素敵なくらいに」

彼女はふわりと、微笑んでいた。

「他の誰かが貴女と同じ事を言ったら、裏があるのか、それとも世間を知らないだけかって思うけれど……。
 貴女が言うと、そんな言葉でも臭みを感じない。……本当、変わってるわ……救いようがないぐらいね」
「それは褒めてるのか、それとも馬鹿にしているのか?」
「決まってるでしょ――両方よ」

笑い声が、幻想郷の夕暮れに響いた。

「まあ……でも、それだけあの集落の人達の事が好きなのは伝わってくるわよ、本当」
「そうだな……私は、彼らのことが大事だ」

ひとしきり、互いに笑った後――私は表情を改めて彼女に向き直る。


「――そして、お前のこともな」




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