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第2回東方最萌トーナメント 26本目
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「……残念ね。この世に果てなんかないし、そこまで貴方に付き合えないわ」
切り捨てるように言う。
少しは残念そうな顔をしたかと思えば、蓮子の目は空を眺めていたときよりずっと澄んでいた。
「そっか」
自分を納得させるための言葉で、おそらくは納得したのだろう。
最後に冷め切った紅茶を情緒もなく一気に煽り、飲み干してテーブルに添えるタイミングで私に問う。
「結局、あの空の色の境界は見えるの?」
「どこまでが藍で、どこまでが紫、あるいは橙か……ってことなら、虹の定義とおんなじよ。
七色に見える人間には七色に、五色であると感じた人間には五色に見えるものだから。色というのはね。
それに、私が確認できるのは結界の境目で、空の色なんか範囲外よ」
「だって、空もひとつの結界でしょう」
当たり前のように、蓮子は言った。
「あちらからこっちを守っているのか、こっちからあちらを護っているのかは判らないけど。
多分、そんなものなんじゃないかしら」
――幻想の世界はある。
この曖昧な空の向こう側に、護るべき価値のある世界が存在している。それを私たちは知っている。
藍なのか、紫なのか、橙なのか。
決着を付けられなかった空は、やがて訪れる暗闇に全て飲み込まれるだろう。こうなれば、境目も何もない。
「17時ジャスト、ね。時間も時間だし、そろそろ行きましょうか」
「何処へ? ……って、愚問だったわね。貴方と私が行くところと言えば、最初から決まってる」
「そうねえ」
にやりと不敵な笑みを浮かべ、蓮子は伝票を掴んで立ち上がる。
それにつられて、私も帽子を片手に椅子から腰を上げる。
これ以上ないくらい鮮やかな夕焼けが、蓮子の身体を真紅の色に染め上げる。
「この世の果ての、その向こう側よ」
結界を解き明かす鍵は、私達の手に握られている。
その扉を開けて、私達はどんな色を見るのだろう。
その色を見て、私達はどんな言葉を漏らすのだろう――。
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