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第2回東方最萌トーナメント 26本目

709名無しさんそらの境界(メリー支援SS)3/3:2005/02/11(金) 01:29:40 ID:cCwetvSo

「……残念ね。この世に果てなんかないし、そこまで貴方に付き合えないわ」

 切り捨てるように言う。
 少しは残念そうな顔をしたかと思えば、蓮子の目は空を眺めていたときよりずっと澄んでいた。

「そっか」

 自分を納得させるための言葉で、おそらくは納得したのだろう。
 最後に冷め切った紅茶を情緒もなく一気に煽り、飲み干してテーブルに添えるタイミングで私に問う。

「結局、あの空の色の境界は見えるの?」
「どこまでが藍で、どこまでが紫、あるいは橙か……ってことなら、虹の定義とおんなじよ。
 七色に見える人間には七色に、五色であると感じた人間には五色に見えるものだから。色というのはね。
 それに、私が確認できるのは結界の境目で、空の色なんか範囲外よ」
「だって、空もひとつの結界でしょう」

 当たり前のように、蓮子は言った。

「あちらからこっちを守っているのか、こっちからあちらを護っているのかは判らないけど。
 多分、そんなものなんじゃないかしら」

 ――幻想の世界はある。
 この曖昧な空の向こう側に、護るべき価値のある世界が存在している。それを私たちは知っている。
 藍なのか、紫なのか、橙なのか。
 決着を付けられなかった空は、やがて訪れる暗闇に全て飲み込まれるだろう。こうなれば、境目も何もない。

「17時ジャスト、ね。時間も時間だし、そろそろ行きましょうか」
「何処へ? ……って、愚問だったわね。貴方と私が行くところと言えば、最初から決まってる」
「そうねえ」

 にやりと不敵な笑みを浮かべ、蓮子は伝票を掴んで立ち上がる。
 それにつられて、私も帽子を片手に椅子から腰を上げる。
 これ以上ないくらい鮮やかな夕焼けが、蓮子の身体を真紅の色に染め上げる。

「この世の果ての、その向こう側よ」

 結界を解き明かす鍵は、私達の手に握られている。
 その扉を開けて、私達はどんな色を見るのだろう。
 その色を見て、私達はどんな言葉を漏らすのだろう――。




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