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第2回東方最萌トーナメント 13本目
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「まったく、何でこんなことになったんだか……僕は戦いは苦手なんだがなぁ」
控え室にて、香霖堂の店主・森近霖之助は誰にともなく呟いた。
数日前、いきなり呼び出されて訳も分からぬまま「競え」と言われ。
大したこともしていないのになぜか「予選突破だ」と祝福され。
そして気がつけば、いつの間にかトーナメント表の一角に自分の名前が並んでいた。
「はぁー……ま、『これ』も持ってきたし、やるだけやるしかないか」
と、コンコンと、ドアのノックされる音。
「? はい、開いてますよ?」
がちゃり、とドアが開いて、顔を覗かせたのは。
「霖之助さん、調子はどう?」
「兎にやられる覚悟はできたかー?」
霊夢と、魔理沙だった。
「君たちか……見ての通りさ、未だに困惑中だよ」
「まぁ、予想はしてたけどな……香霖が戦うとこなんて想像も出来ないぜ」
「確かに、武闘派、って感じじゃないわよねぇ。
でも、意外とそういう人が戦うと強かったりして、ねぇ」
「はは、馬鹿言っちゃいけないぜ霊夢。だって、香霖だぞ?絶対ありえない。
第一、そんなに香霖が強かったら、私は魅魔様より先に香霖に弟子入りしてるぜ」
「……君たちは激励に来たのか馬鹿にしに来たのかどっちなんだ」
「「両方(ね・だな)」」
「……やれやれ、つきあってられないな。僕はもう行くぞ、時間だからな」
立ち上がり控え室を出ようとする霖之助。と、魔理沙が何かに気がついた。
「……ちょっと待て、香霖。その腰の剣、いつぞや私が恵んでやったやつか?」
「恵んでやった、とは随分な言い草だな。正当な対価だったはずだろう」
「まさかそれ使って戦う気か?
庭師じゃあるまいし、いくらボロとはいえ、素人にゃ真剣はヤバ過ぎるぜ」
「分かっている、こいつは持ってるだけだ。抜いて戦うような真似はしないさ。
僕にはあいにく剣術の心得はないし、ね」
「抜きもしない剣をわざわざ下げていくなんて、理解できないぜ」
「まぁ、言うなれば、お守り、だな。……せっかく魔理沙がくれた剣だし、な」
「な……ッ!おい、それはどういう……!」
「それじゃ、行ってくるよ」
意地の悪そうな笑みを浮かべて、部屋を出て行く霖之助。
後に残されたのは、
「……へぇ〜、あんたもなかなか隅に置けないわねぇ」
これまた意地の悪い笑みを浮かべる霊夢と、
「……う、うるさいっ!わ、私は、そんなっ……!」
顔を真っ赤にした魔理沙だけであった。
実際、霖之助の「お守り」という発言は、冗談でもなんでもない。
その剣――草薙の剣は、剣としては言うまでもなく絶大な力を持っているが、
それと同時に、持っているだけで持ち主を守り、その霊力を高める役割も果たしてくれる。
非力な霖之助にとっては、戦いとなるとこの剣の与えてくれる力だけが頼りなのだ。
もっとも、「魔理沙がくれた剣だし、な」という発言のほうは、
九分九厘が悪戯心からきた冗談であることは言うまでもない。
……では、残りの、一厘は……?それを知るのは、霖之助ただ一人である。
「さて、それじゃ、行くとするか、兎狩りへ」
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