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第2回東方最萌トーナメント 八本目

31ミスティア支援SS「気まぐれな送り雀」4/4:2005/01/29(土) 21:53:08 ID:1j6DUWfg
 私も声に出して答えると、引かれていた手が離れていくのを感じた。
 思わずそのまま白澤さまに走って抱きつくと、しっかりと抱き返してくれた。

「全く、勝手に里を抜け出して……。村中大騒ぎだったんだぞ」
「……ごめんなさい」

 白澤さまの胸に顔を埋めて、私は謝罪の言葉を口にした。

「しかし、夜雀が人間を守るとはな。何の気まぐれだ?」
「失礼ね……。私たちも見境なく人を襲っているわけじゃないわ」
「ふん……まあいい。この子は私の里の人間だ。引き取って構わないな?」
「それは当然。そうじゃなきゃつれてきたりしないわよ」

 そんな二人のやり取りに私ははっと顔を上げた。
 ここまで一緒にいてくれたあの娘に……私は何も言っていなかったから。

「あの……」

 私には相変わらず姿は見えなかったけど、その気配の方向に私は声をかけた。

「ん、何かしら?」
「……えっと、ありがとう」

 その言葉をどう受け取ったのかは分からなかったけど……。

「あなたが夜遊びするのは、まだまだ早いみたいね。大人になったら、私が遊んであげるわ」

 ――チッチッチッ

 最後にそう言って、声は遠ざかっていき……。
 次第に鳥のような鳴き声も小さくなっていった。


 それからは、里では竹林の噂はめっきりと途絶えていた。
 里の誰に聞いても「覚えてない」と言われたのは少し驚いたけど、何だか今ではそれも納得で
きる。
(私が夜遊びをしていたことは覚えていたので、たっぷりお説教を食らったけどね……)

 白澤さまにあの夜の話を聞いたら、あの娘は夜雀という妖怪だということも分かった。
 同じ鳥でも、鳳凰に思いを馳せるのは分相応ではなかったということか。
 私には雀くらいがちょうど良いのだろう。

『大人になったら、私が遊んであげるわ』

 あの娘はそう言っていたけど……。
 私が大人になったら、もう一度あの娘に会えるのかしら……なんてね。

【了】




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