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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

487ESCADA a.k.a. DIWALI:2008/10/23(木) 18:56:22 ID:OhTl4zsk0
「パパ、ちがうよっ!!ジャックはわるいひとじゃないもんっ、とってもやさしいかかしさんなんだよ?」
「うるさいっ!!化け物め、私の娘に何をしていた・・・!?返答次第じゃぁお前を殺してやるぞ!!?」

 父親はもはや理性のかけらすら残っていなかった。化け物が愛しい娘と共にいるという事実を認めたくなかったがために。
 魔術師は杖の先に火球を宿し、剣士は既に剣を抜いていた・・・・もはや一触即発の事態と化している。

「ちがうよっ、ジャックはリタといっしょにあそんでくれたんだよ!?ジャックはわるくないもんっ!!」
「うううううるさぁあぁいっ!!!二人とも、何をグズグズしているんだ!?早く奴を殺せっ、殺してしまえっ!!」
 完全に正気を失っている・・・二人はそう感じ取っていた。彼と違い、剣士と魔術師は見抜いていた。
 リタが庇うその案山子には邪念など一切無い、優しい心を持った案山子なのだと・・・

「悪いけど旦那・・・オレにはあいつを斬るなんて真似、とてもできやしねぇ。あいつ、あの子の言うとおりイイ奴だぜ。」
「右に同じくです。私にもわかります・・・彼は邪悪な者ではない。純粋なオーラが見えま・・・あっ!?」
 話す魔術師から杖を強奪し、父親はその場で呪文を唱えた!!火球を生み出すと、狙いをジャックへと向ける・・・!!
「何が純粋だっ・・・案山子が生きてる時点でおかしいんだ、お前は化け物でしかないんだよぉおぉぉぉっ!!!」

 父親の叫びと共に火の玉は放たれた!!!しかしその火球は軌道が安定せず、リタの方へと飛んでゆく!!!!
「なんてバカなことをっ!!!魔術の知識も無い者がそんなことしたら暴走するに決まっているではないか!」
「くそっ、間に合わねぇっ―――――――っ!!!!」

ドゴォンっ!!!

 火球が炸裂する音がした・・・・そこには・・・・・

「ジャック・・・・ジャックうぅうぅぅっ!!?!へんじして!?ねぇジャックぅぅぅっ!!!」
 リタは泣いていた。父親が誤って放った火の玉から彼女を救おうと身代わりになったジャックが倒れたのを見て・・・
「うぅ・・・また・・・・泣いてるの?・・・僕はっ、大丈夫・・・だから、ね?泣かないで、リタ・・・・」
「えっく・・・ジャック、しんじゃいやだよ?リタといっしょにこれからもず〜っとあそぼう?ずっと、ずっとずっといっしょだよ!?」
 彼女の目からは大粒の涙が零れ落ちる・・・雫はポツポツと、ジャックのカボチャ頭に降り注ぐ。


「リタ・・・僕から、最後のお願い・・・僕の頭のカボチャ、大切にして欲しいんだ。そして、その頭と藁の束を使って、僕の身体を造ってね。
 身体はなくなっても、僕の魂は残り続ける。君を見守っているから・・・いつの日か、またボクと楽しく過ごせる日が来るまで・・・・・
 これはお別れじゃないんだよ・・・少し、眠るだけだから・・・・また目が覚めるのを楽しみにしているから、リタ・・・泣かないでね?」

 自らの願いを伝えたジャックの手が、静かに地面に落ちた。リタの泣く声は納骨堂に力強く響いた・・・
 剣士は虫の居所が悪そうに地面を蹴り、魔術師は頭を下げてうなだれている・・・しかし一人だけは変わっていない。
「ハハっ・・・ファハハハハッハハハっ、ざざ、ざまァ見ろ怪物め!!!お前なんか死ねばいいんだゲブゥっ!!?!」
 歯に衣着せず、父親は暴言を吐き続けていたが、堪忍袋の緒が切れた剣士が彼の腹を殴って気絶させる。
「テメェはっ・・・モンスターの優しい心もわからねぇのかよっ、バカヤローがぁっ!!!!!ちくしょぉぉおぉぉっ!!」
 抑えていた感情を爆発させて、涙を流しながら彼は叫んだ・・・・

 奇しくもその日は10月31日のこと・・・悲しみのハロウィンだった。


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