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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

480ドワーフ:2008/10/19(日) 12:12:04 ID:AepyIIHk0
 そこにある人物が単身でアウグスタに乗り込んだ。彼はアジェノーと名乗り、自らが属している傭兵部隊を売
り込みに来たと言って急進派と接触した。
 追い詰められていた急進派にとってはまさに渡りに船とも言えたこの申し出だが、追い詰められていたがため
に逆に慎重にもなっていた。アジェノーが王国からの回し者でないという保証はどこにもない。だが、アジェノ
ーは王国軍が迫っている事を理由に契約を迫り、受け入れなければ王国側につくと言いだした。
 余計な敵を増やす事になりかねない状況に急進派の上層部はさぞかし狼狽したことだろう。そこで急進派の幹
部の一人であるアルビーノ司教は傭兵部隊を街に入れないことを条件に契約交渉を開始した。が、アジェノーは
劣勢になった時の退路の確保を理由にそれを突っぱねた。
 こうなるといよいよ交渉は難航し、急進派内でも分裂が始まっていた。危険を承知で傭兵達を受け入れるか、
傭兵達まで敵に回してでも自分達だけで戦うか。傭兵達に金を握らせてどちらにも協力しない事を約束させると
いう意見もあったが、彼らがそんな約束を守るわけがないという見方が圧倒的だった。
 そんな折に、大聖堂の見取り図が王国側に渡るという事件が起こった。急進派内部の裏切り者の仕業である可
能性が高かったが、アジェノーに対する疑いが最も強かった。これによって交渉打ち切り派が増え始めた。アル
ビーノ司教もアジェノーを疑い、彼を拘束しようとしたがそこで彼は自らの疑いを晴らすために犯人を見つけ出
すと言い出した。既に犯人の目星もついているとも言い出し、司教は彼を拘束せず監視する事にした。
 アジェノーが睨んでいた人物は当のアルビーノ司教の下で働く一人の修道士だった。アジェノーは自身の監視
と共にその修道士を張り込み、丁度その時に修道士が王国の間者と接触しているところを取り押さえた。その際
アジェノーはその修道士を殺害し、間者に逃げられている。しかしアジェノーを監視していた二人が証人となっ
て彼に対する疑いは晴らされた。
 不当な疑いを抱いていたという罪悪感は転じて信頼へと成り得る。アルビーノ司教はアジェノーとの交渉に譲
歩の姿勢を見せ始め、ついには教皇に傭兵達を受け入れるよう進言し始めた。教皇も交渉に前向きな意見を述べ
るようになり、交渉は成立したかのように見えた。
 だが傭兵受け入れに反対する者達はグリーク教の教義において槍が忌むべきものとされているのを根拠に、槍
を扱う傭兵との交渉を直ちに打ち切るよう教皇に申し立てた。
 この事態に困惑したアルビーノ司教はアジェノーにこの件について相談を持ちかけた。アジェノーはこれを受
けて司教にある提案をした。禁じられていると言うのなら、例外を作ってしまえば良いと。
 こうしてアルビーノ司教は教皇を説得し、聖なる槍の伝説を作り上げた。神代の伝説ならば紙に記せばそれが
事実となり、新たに見つかったと教皇が言えば誰にも文句は言えない。全ては神の教えを守るため、ときには道
理を曲げる事も必要なのだ。
 ついに反対派は沈黙し、将来を悲観した者はアウグスタから去った。だが代わりに急進派は戦いに長けた傭兵
部隊という頼もしい味方を得ることが出来た。交渉は無事に成立し、アジェノーは仲間たちをアウグスタに召集
した。
 伝説の聖なる槍に似せて作ったという槍を傭兵達に配備し、いよいよ王国軍を迎え撃つ準備は整った。その晩
、アジェノーと傭兵部隊の隊長は教皇に目通りすることを許された。
 そして、教皇は傭兵部隊に捕らえられグリーク教急進派は日が昇る前に殲滅されることになる。


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