したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

184白猫:2008/06/07(土) 19:11:19 ID:rOHiPurc0

一晩に約一人、悪い時にはフタケタの仕事をこなした。文句一つ言わず。
[ネリエルまでクレリアと同じ道を歩ませるのか]というクレリアとスティリアの口論は、影から何度も聞いていた。
そして、ある日そんな日々が鬱陶しくなった。
ただ人を殺し、金を貰い、手を汚し、また次の標的の元へ。
うんざりしていた。
別に正義の炎が燃え上がった等、そういうわけではない。
ただ、面倒になっただけ。

そして七歳の夏、

何の躊躇もなく、1000人目の"標的"――祖父を、殺した。
依頼主は、自分自身。

 (この世には"死んでもいいヤツ"なんて腐るほどいる)
その頃のネリエルは、本気でそう思っていた。
毎日毎日"そういう人間"を殺し、それでも標的は尽きることなく沸いてくる。
 (そして父も、兄も、――僕も、"死んでもいいヤツ"なんだ)
本気で彼は、そう思っていた。
今まで"死んでもいいヤツ"を数多、殺し、そしてまた自分も"死んでもいいヤツ"なのだろう。
だが、生きている。
どうして、生きている?
 (それは――僕が"生きなければならない"から)
せめて、一人でも多く。
せめて一人でも多くの、毒牙を抜こう。抜き続けよう。
その毒に侵される日が来るまで、抜き続ける。
それが自分の運命。自分の"罪"。
それが自分の定め。自分の選んだ――"道"。

 (もう戻れぬのなら、突き進もう)
それを決めたのは、僅か十一歳のこと。
幼すぎる彼の決意は、あまりにも大き過ぎるものだった。
 (血に塗れた蛇の道を――人の悲鳴の伴奏と共に、鬼道を歩き続けよう)
十三歳、幼すぎる当主が誕生し、ヴァリオルドの暗殺一家としての汚名を返上することとなった。





 「簡単に言えば――こんなところですかな?」
セバスの言葉をしばらく聞いていたルフィエは、ゆっくりと両の目を閉じた。
ネルは捧げたのか。
いつか訪れる未来――自分の子が当主となる未来のために、己の命を、捧げたのか。
全く、彼らしい覚悟である。
 「満足、いただけましたかな?」
 「……はい」
セバスの言葉に少しだけ微笑み、ルフィエは目の前に置かれた紅茶を少しだけ啜った。
その紅茶は少しだけ冷え、しかしまだ温もりの残った紅茶だった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板