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Sammy社立ギルティ専門高等学校二学期

29464:2005/04/27(水) 22:40:21 ID:hvA0wOV.
ガタンガタンガタンガタン……

ジェットコースターが60度くらいの角度で斜面を登り始める。
かなり急な角度だ。しっかり手摺に掴まってないと後ろに落ちてしまいそうだ。

ガタンガタンガタンガタン……

「結構昇るんだな」
「まだまだ昇るよ〜」

地面に目をやると人が豆粒みたいになっている。遊園地の全容が一望できる。なかなかいい眺めだ。

ガタンガタンガタンガタン……

「ちょ、ちょっと昇り過ぎじゃないか?」
「まだまだ昇るよ〜」

あんなにデカいギル校が今は俺の遥か下にある。もう俺たちより高い建物は無い。
目線を水平に戻すと視界に入るのは空の青ばかり。
高所は苦手なんだがなぁ…

ガタンガタンガタンガタン……

「………」
「まだまだ昇るよ〜」

ここへ来て急激に恐怖心が増殖してくる。
下を見るのは止めた方がいい。もうここまで来ると下にいる人間なんか小さすぎて見えない。
ミジンコみたいなもんだ。
視線を上げて横に目をやる。
山だ。
山がある。
超高ぇ。
あーやばいわ。これやばいわ。落ちたら死ぬわ。
もう山は見たくない。
反対側に目をやる。三綾 俣奈がいる。全然怖がってない。笑顔だ。
そうだ。これは乗客をビビらせる為のモノなんだ。三綾は解ってるから怖くないんだ。
乗客が死を覚悟したところで、ゆったりと地上に降りるんだ。
そして係員が笑いながら「ビビったっしょw」とか言うんだろ、どうせ。
もうネタはばれてんだ。そうだ。そうに違いない。もうこっちは見切ってんだ。

           だ か ら 降 ろ し て く れ 

ガタッ

ジェットコースターが水平になった。てっぺんまで来たんだ。
そう思った次の瞬間に、コースターは垂直になった。

下界が視界に入った。

ゴオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

絶叫と爆音を撒き散らせてコースターが猛然と走り始めた。いや、落下し始めた。
手摺を握る手に死ぬほど力を入れる。
この手摺を放したら、死ぬ。
間違いない。
爆風が顔面を殴りつける。あまりのスピードのため、残像の効果で世界が"線"になる。
地面が凄まじい勢いで近付いてくる。

「ああああああああ当たる!当たる!当たるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

当たらない。
地面に衝突するスレスレでコースターが急激に角度を変える。
昇りだ。どんどん角度が上がっていく。
30度…40度…50度…。
しかし速度は一向に衰えない。暴風が顔面を変形させるほど強く吹き荒ぶ。
70度…80度…90度…。
もうあまりの恐怖で声もあげられない。手摺を握る手にすべての力を集結させる。
ほかのところに力を分散させる余裕など無い。
110度…120度…130度……?

「な、な、な、」

世界が上下逆さまになる。乗っているコースターの最後尾が見える。
一回転しているんだと気付いた時には、次の回転。

「回るぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!??」

エディばり絶叫を上げる。縦回転の次は横回転。顔が右へ左を大きく揺れる。
コースを支える鉄柱が猛スピードで次々と後方に流れていく。

「やめ、とめ、とめ、とめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

また落下、上昇、蛇行、回転―――世界がぐるぐる回る。

「きゃーーーーーーー♪」

三綾が腕を掴んでくる。全く怖がっている様子は無い。それでころか楽しんでいる。
俺ができることは、ただ全身全霊の力を込めて手摺に掴まり、コースターに翻弄されるだけだった。


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