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70(編集人):2002/11/01(金) 02:58
コルネリウス・アルバ支援SS。「癒えない傷(前編)」

「それで用件はなんだアルバ。まさか自慢話をしにきたわけじゃないだろう?」
蒼崎橙子は冷たい眼差しを、その青年に向ける。

「自分の研究成果なら腐るほどいる弟子相手に披露してくれ」
「フン。相変わらずだね、君は」
冷淡な彼女の言葉。それを受けて、青年―――コルネリウス・アルバの口元が皮肉に歪む。

「―――弟子。弟子か」
その歪んだ口からもれた言葉は―――間違いなく怨嗟の響きを帯びていた。
そして、狂気を帯びた瞳で蒼崎橙子を睨み、アルバは哄笑をあげる。

「くくく、あはは、あはははははは!!! 弟子。弟子か!!」
「・・・?」
明らかに自嘲を含んだその哄笑に、橙子は思わず眉をひそめた。
このナルシストが―――自嘲?

その橙子の表情に気が付くと、アルバは大げさに拳を振り上げて、壁に叩きつけた。
「きみは、いつもそうだ!!」
「何のことだ?」

平然たる橙子の表情に、あきらかな苛立ちの表情をうかべ、アルバは彼女に指を突きつける。
「そうだ、そうやって私を過小に評価する!!
 だというのに、おまえのその態度に低能な連中は誑かされた!!
 連中にそろって、私が劣っているのだと認識させてしまったんだ――――!!」
それは今にも泣きそうな殺意。

それを感じ取り―――蒼崎橙子はある一つの仮説を構築し―――それを口にした。

「つまり、お前」
そこで一旦言葉を切り、アルバの瞳を見つめて、言う。

「――――弟子に逃げられたのか」

怒りに青ざめるアルバの表情が、その言葉が真実であることを彼女に告げていた。

信じられん、と呟いて橙子は首を振る。
「―――百人から居ただろうに。まさか、全員にか」
「黙れ!! 誰のせいだと思っている!!」
「だから、何のことだ」

今度は、怒りに顔を赤くして、赤い魔術師は、床を蹴りつけた。

「き・さ・ま・が!! 学院を去るとき!! 私に向かって何と言ったか!! 
 忘れたわけではあるまい!!」
純粋な怒りに満ちたその言葉をうけても、蒼崎は一向にひるまない。
しかし、その言葉になにか、思い出すものがあったのか、しばらくの間彼女は
過去の記憶を探り―――そして、記憶の欠片を見つけた。

それは、確か―――。


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