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228
:
(編集人)
:2002/11/01(金) 14:10
その日、学校から帰ってきたさつきは、部屋に入るなりふらふらとベッドに倒れこんだ。
暖まっていない布団が妙に心地良い。
躯はいつも以上に疲れていた。それはそうだろう。
つい先程まで、彼女は生と死の境界線に立たされていたのだから。
だが、彼女は何故か眠る気にはなれなかった。
なんとなくどきどきして、そして、なんとなくぽかぽかする。
「遠野、志貴くん・・・」
頭から浮かんできた事をそのまま口にしてみる。
すると何故だろう。
さっき以上にどきどきして、ぽかぽかして、けど何だかそれでも安心している自分がいた。
こんな感じ、今まで味わった事がない。
けれど、それが一体何なのか、経験した事はなくても、見当はついていた。
「好き、なのかな・・・」
似たような事は少しはあった。
そういう事に疎いさつきではあったが、かっこいい同級生や先輩に友人と一緒に憧れたこともある。
けれど、今回は今までのものとは何処か違っていた。
ただのクラスメートだった彼。
特にかっこよくも、運動ができる訳でも、成績が良い訳でもない。
あまり目立たない、平凡な、男の子。
「だけど・・・」
多分、いや絶対に、自分は彼の事が好きになってしまった。
絶望の中から救い出してくれた彼を。
泣いていた私を、優しく慰めてくれた彼を。
「そうだ!!」
何か思いついたのかさつきは勢いよく起き上がった。
「お餅、用意しなきゃ」
そう言うと、さつきはパタパタとスリッパを鳴らしながら、キッチンへと向かった。
料理はあまり得意でないさつきであったが、
時間をかけながらも何とか望み通りのものを作る事ができた。
ほかほかのお雑煮。助けてくれた彼が、自分に勧めてくれたものだった。
とりあえず味見。それはなんだか体だけではなく、心まで暖めてくれるような気がした。
それにすごくおいしい。自分で作った物ながら、思わず感動してしまうぐらいそれはおいしかった。
「そう言えば、お礼も言ってなかったな」
お餅をつつきながら、ボソリと一人ごちる。
いつかまた言える日が来るのだろうか。
今のままでは多分無理だろう。
引っ込み思案な自分の性格は自分でもよく解かっていた。
けど、お礼を言いたい。もっともっとおしゃべりがしたい。
そのためには自分で話しかける勇気を持たないと・・・。
「うん。待っててね、遠野くん」
私の想いが。
彼への想いが。
いつか、彼へと届けられますように・・・。
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