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123(編集人):2002/11/01(金) 04:13
そうして、俺たちは。再び空を見上げていた。俺は目を閉じて、辺りの音を身体で感じていた。遠くから聞こえてくる鳥の囀り、春の到来を告げる暖かき風による、木々のそよぎ。それらが耳朶を打つ。それはとても気持ちの良いことだった。こういうのは、能率とかそういうものを考えた場合は無駄な時間だという事で片付けられてしまうのだろうけれど、少なくとも俺は、その一瞬一瞬をとても充実した時間だと感じていた。それは、多分レンも同じなんだと思う。目を開けてレンの方を見てみると、レンも同じように目を閉じて辺りの音に聞き入っていたからだ。それは、まるで御伽噺の眠り姫のようだった――そう、そのとき見えたレンは本当にその様に思えたんだ――。…が、暫くして気付いたことが一つあった。どうやら、レンは本当に眠っているようだ。何故分かったのかと言うと、レンが俺の方へともたれかかってきたからだった。いくらレンの身体が小さくて、体重が殆ど無いと言っても、流石に自分の方へもたれかかられてきたら皆から鈍い鈍いといわれている俺でも気付く。もっとも俺は、別に鈍いとは思ってはいないんだけれど。しかし、レンが俺の方へともたれかかってきたことで、俺は完全に身動きが取れなくなってしまった。流石にこんな安らかな顔で眠られたら、俺には起こすことなんて出来はしない。
 …さて、どうしたものかなぁ。まあ、暫くはこのままでもいいかな…。
 等と思いながら、俺は再び辺りの音に聞き入っていった…。


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