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アクエリアンエイジ小説書きALLスレ

7112/13 ねこ:2005/02/18(金) 18:13:38
 夜の町。
 ビルの屋上は風が強く、シャ・ノアールの長髪をかき乱す。流れる髪を耳に掛けながら、彼女は嬉しそうに笑う。その手には、しっかりと戦利品が握られていた。
「それにしてもブランシュって、ひょっとして有名人なの?」
 月明かりの下で爪の手入れをしている今夜の相棒に声をかけた。
「さあ。知らない。 ひょっとしたらむかし戦ったことがあるのかもしれないけど、覚えてない」
 まるで気の無い返事が返ってきた。それに物足りない思いを感じつつ、シャ・ノアールは話を繋ぐ。
「へえー。 でも氷上たちの反応を見るまで私、“ブランシュ”って偽名だと思ってた」
 ぴくっと耳が動いた。
「ギメイ…?
 なんでウソの名前を言う必要があるの?」
 いやぁ最初に会った時には私も緊張してて何でもかんでも疑ってかかっていたのだ。 …とは口が裂けても言えないシャ・ノアールは、戦利品の宝石をブランシュに手渡す。
「……石。」
「あはは。そっか、そこで気付くべきだったか」
 自嘲気味に笑ってみせる女泥棒を横目に、ブランシュは宝石を月光にかざした。僅かな光でも無数の細かな面が反射しあい、キラキラと輝く。
 キレイだ。 ブランシュは、初めてそう思った。
「その宝石、『ジュレ・ブランシュ』って名前なの。あなたと、同じ名前」
 もう一度大きく、虎耳が大きく跳ねた。
「じゅれ・ブランシュ?」
「そう。 私がこれを盗むと分かっててブランシュと名乗ったと思ったの」
 そう言い訳したシャ・ノアールの顔をしっかり確認した後、ブランシュはゆっくりと、『ジュレ・ブランシュ』に視線を戻した。同じ名前。不思議な感じ。
「……気に入ったのなら、それ、あげようか?」
 これは良いことを思いついた、という顔でシャ・ノアールが提案した。
 ブランシュはしばらく間をあけて考えるような素振りを見せたが、やはり思ったままにキッパリと答えた。
「石。」
 シャ・ノワールの驚いた顔。そしてすぐにそれは大爆笑に変わった。
「あっははははは! そりゃそーだ。
 ブランシュにしてみれば、ネコ缶貰った方がよっぽど嬉しいもんね!」
「………!」
 今度はブランシュの目が丸くなった。
 声も出ないほどビックリしたような面持ちで、ポツリと口を開く。


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