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アクエリアンエイジ小説書きALLスレ

689/13 ねこ:2005/02/18(金) 18:11:38
 赤と白の強力な閃光が置き換わり焚き出され、一瞬の休む間もなく2人の瞳に攻撃を仕掛ける。
 単調なだけの繰り返し。そして残酷なほど鮮明なフラッシュ。剥き出しになった視覚に激しく衝撃を叩きつけ、断末魔を思わせる奇怪な音楽も相まってただただ膨大な不快感を刷り込んでいく。
「さらにさらに! ブランシュのチームカラー、グリーンを混ぜてみましょう!!」
 2人には、もはやそれが人間の声には聞こえなかった。
 赤!! 白! 緑! 赫! 皓! 翠! 赫!
白! 緑! 赤!! 白! 緑! 赤!!!
皓!! 翠!! 赤!!! 白!!! 緑!!!
 不快とかそういう次元の話ではない。存在・自分が今どこに立っているのかさえ判断できなくなる、悪魔のような光のマーブル。瞬間が重なって永遠を構成する無限地獄。
 ――と、自分を苦しめ続けたサタンの声は、突然エンジェルボイスに変わった。
「お楽しみいただけましたでしょうか?
 本日のShow-Timeはココまで! 次回またお会いしましょう!!」
 バァン! と扉が勢いよく開かれる音。
 そして、
「One-Two-Three-Four!」
 の掛け声と同時に、世界がまた元の暗闇に戻った。
 騒がしいシャ・ノアールの声と荒々しい音楽も、眼を侵す無慈悲な光彩も、まるでそれらが嘘であったかのように気配すら見せない。
 沈黙に支配された展示室の中で、ただ冷え切った体を流れる汗と激しく鼓動する心臓だけが異常を必死に訴えている。
 すっかり気が動転し、何故自分が地面に這いつくばっているのかさえ正確に分からない。氷上純は頭を押さえながらフラフラと立ち上がる。
「うっあ゛〜〜。
 目がチカチカする…耳もキンキンするう゛〜」
「畜生……小娘が……!
 お、追うぞ、氷上……!」
 そうは言っても、光の世界から突然暗闇の中に放り込まれた2人の目に映るのは漆黒の空間のみであった。
「薫……光……」
 わかった、と安倍薫は指を組み、『灯』を発生させる呪言を唱える。
 ……が、点かない。 相変わらず目は何の情報も入ってこない、暗闇状態。
「薫、光を――??」
「今やっている! 糞ッ何故点かない!?」
 繰り返す。繰り返す。
 呪文を代える。式神を使う。――が、どれも上手くいかない。効力を発揮した手応えはあるのに、どれ1つとして目に光が入ってくるものはない。
 ゾクリ、とある1つの可能性に至る。
 極度な刺激が与えられたことにより、一生目が輝きを失うというケース。それがどのくらいの確率で起こるのかは分からないが、そんなことは問題ではない。万一でも自分の目が使い物にならなくなったら――
 ついに至った最後の可能性に絶望し、安倍薫は手で顔を覆いその場に膝を突いた。


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