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アクエリアンエイジ小説書きALLスレ
66
:
6/13 ねこ
:2005/02/18(金) 18:08:36
管制室でロックさえ外してしまえば、後は楽な仕事である。美術館の奥まったところにある特別展示室に、目標のそれはあった。
「なにこれ……石?」
ガラス越しにしげしげとそれを見つめながら、ブランシュは呟く。
ガラスケースの鍵を開けながらシャ・ノアールはあきれた声で、
「石はないでしょ石は。水晶よ。最近フランスで見つかった、貴重な水晶の原石ね。 どう、綺麗でしょう?」
ブランシュはもう一度良くそれを覗き込む。底はどう見てもただの石――原石だから、だろう。そしてその上に燦爛と輝く、水晶……にしては何かが妙だった。
「普通の結晶だったら無色透明。向こうが透けるただのガラスと同じに見える。 でも、これは違うでしょう? 実はこれ、いくつもの細長い結晶が密集して1つの形になってるの。だから、光が乱反射して向こうが透けて見えない……と、開いたっ!」
パチン、と指を鳴らして喜び、早速お宝を取り出す。両手に余るくらいの石の塊の上に、実際の水晶はピンポン玉よりも小さい。
――スルリ。
「こうしてみると、霜みたいに見えるでしょう? だから付いた名前が……するり?」
ふと見ると、石の底面から細長い紙の帯がスルスルと伸びて、元の台座に続いている。
(……しまった)
と思う間も無く、それは瞬く間に水晶と、そしてシャ・ノアールの腕に巻き付いた。
(トラップ!)
慌てて腕を引き抜こうとするも、それは縄か鎖のように頑として動かない。
「ザ・クラウン・オブ・ベアー!!」
ばいんッ!!
念力を圧縮してぶち当ててみたが、紙はゆるくたわんだだけで、全く効力があったとは思えない。
「ちぃッ!」
「お困りのようね!」
――声は唐突に響いた。同時にダウンっ!という荒々しい音と共に、展示室の扉が開かれる。
扉の向こうにはスポットライトが皓々と光を放ち、シャ・ノアールとブランシュを照らし出す。
そしてライトの中を割って、一人の女性が姿を現した。
「悪行もここまでね! シャ・ノアール!!
この特捜刑事“氷上純”が来たからには、きっちりお縄を頂戴するわよ大泥棒っ!!」
(うああああああよりによってこの人がああああああああ!!!!!!!!)
氷上純。E.G.O.の内部に疎いシャ・ノアールにさえ幾度となくその名前が耳に入ってきた、優秀な刑事にして、超一級の戦闘能力の持ち主。正義を愛し悪をくじく、最強の女。
(何だって私がここに来ることがバレたのよっ!?
…………まさか!!)
ある1つの可能性に気が付き、シャ・ノアールはブランシュを見上げる。スパイ。有り得る。何らかの形で手を組んでいるのではないか――そういえば初めて会った時のタイミングも、名前も、最初から何かとことん怪しい。
しかし予想に反し、目線の先でブランシュは、
「…ワナ。まったく、これだからニンゲンは……」
と、忌々しげに眉をゆがめて、シャ・ノアールに巻き付いた紙の束を見ていた。
そして、刃物を思わせる鋭利な爪を走らせ、それを切り裂いた。
さッ! と音を立てて紙は両断された。
「そこのあなたも、後ろでコソコソ式神を操るんじゃなくて、堂々と出てきたらどうかしら?」
と、氷上の斜め後ろ。一見それとは分からないように細工されている小部屋――ロッカーだろうか――に向けてブランシュは声を投げた。
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