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TWのシナリオについて考えてみる

67ボリ&ティチ(3)@18:2004/03/08(月) 07:34

灼熱の砂漠の廻路を、黒衣の男と白いドレスの少女が並んで歩いている。
身に着けるそれの色と同じくして、それぞれの表情も対照的である。
男は困り果てたような、そして少女は満面の笑みを浮かべていた。

(全く、厄介な荷物を拾ったものだな…)

「ライディアって樹の上にあるんですよね〜見てみたいなぁ」

(はぁ…)

男は心の内で深い溜息をつき、己の長い髪を鬱陶しそうにかき上げた。




「わぁ〜ボリスさんボリスさん!このお花綺麗〜」

ボリスと呼ばれた男は、振り向きざまにその花を剣で一閃する。
その花は醜悪な呻き声を上げ、地面に崩れ落ちた。

「…ティチェル、俺の傍を離れるな と、一体何度言わせる気だ。
  花に擬態したモンスターがこの辺りには多い。不用意な行動は慎め。」

ティチェルと呼ばれた少女はそれでも笑顔を崩さないで答える。

「だってぇ、モンスター見るの初めてなんだもん。」

ボリスは最早何度目か、数えるのも億劫になるほどの溜息をこぼしつつ踵を返し、
ティチェルもそれにやや早足でついて行く。
先程からこのようなやりとりの繰り返しが続いている上に、
酷暑に加えてのお守で、ボリスは己の精神が疲弊していくのを感じていた。

(いつもなら鬱陶しい雨も、こうも続かないと有難みがよく分かる…)

そんな事を考えている内に、斜め後ろからいかにも女の子らしい小さな悲鳴が聞こえ、
ふと見やると、砂切り石で足を切ったらしいティチェルが屈み込んでいた。

「少し深いな…止血しなければ…」
「大丈夫ですぅ」

清潔な布を探していたボリスを遮るようにティチェルが言い、
その傷口に当てがっていた手から、青白い光が零れ始める。

「…回復魔法が、使えるのか?」
「はい。言ってませんでした?」

脱力しながらも、少し肩の荷が下りたようにボリスは感じた。
傷は徐々に塞がり、数分後ティチェルはその場でピョンピョンと飛び跳ねて見せる。
どうやら完全に元通りになったと言いたいらしい。

「もう大丈夫だな…先を急ぐぞ」

ぶっきらぼうなボリスの言葉を受け、ティチェルは嬉しそうにやや早足で後を付いて行く。


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