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190『die Hoffnung』その6@28:2004/03/17(水) 01:03
 二人が再会してから数カ月たったある日、全ての元凶である世界を破壊しようとしている
存在を知った。
 そして今、それを滅ぼす為に二人はその居城の中を駆け抜けていた。
 「ナヤ。大丈夫か?」
 敵の攻撃も激しく、ボリスと違って防具を着けないナヤトレイはかなりのダメージを受けていた。
 「私は大丈夫。それよりも、この先の部屋を抜ければ祭壇の間までもう少しだから気をつけて。」
 襲いかかってきた魔物を一撃で切り伏せながらナヤトレイは答えると、背後に追ってきた
魔物に雷の魔法を打ち込んだ。
 そのまま魔物を片付けながら一気に駆け抜けた二人は次の部屋についた。
 「ここが……大広間……。」
 部屋の中に入った二人は、あまりの大きさに唖然とした。
 その広さは縦が百M、横が三十Mもあり、大広間と呼ぶに相応しかった。黒い大理石で
覆われた部屋の脇には気味の悪い彫像が並び、その奥に続く通路からは邪悪な気が流れていた。
 「この部屋も一気に駆け抜けて、さっさと決着をつけよう。」
 ボリスの言葉に頷いたナヤトレイは、ボリスの後について走り出した。しかし、その表情は
何かを感じっているようだった。
 突然、ナヤトレイは通路に入る直前で立ち止まった。それに気付いたボリスも立ち止まると
振り返った。
 「どうした?」
 「ボリスは先に行って。」
 「何を……?」
 ボリスが訳を尋ねた時だった。広間の脇に置いてあった彫像の陰から、数えきれない程の
魔物が飛び出してきた。ナヤトレイは、ペンダントが警告してくれたので気付いていたのだった。
 「私はここで魔物を食い止める。ボリスは、この先の者をお願い。」
 そう言ったナヤトレイは、ボリスに背中を向けた。
 「駄目だ!ナヤでもこの数を相手にするのは無茶すぎる。」
 そう言ってナヤトレイの腕を掴んだボリスに、ナヤトレイはその手に自分の手を重ねると
優しく微笑んだ。
 「大丈夫。私はボリスの守護者として生きなければならないわ。それに最後の苗族として、
この戦いの最後を見届ける役目もある。だから、心配しないで。」
 ボリスに向き直ったナヤトレイの紫の瞳には絶望ではなく、自分の運命に生きる決意だけが
あった。
 「……解った。早く終わらせて戻ってくる。だから、それまで生きていてくれ。」
 ボリスはナヤトレイを抱きしめてそう言うと、奥にある祭壇の間に向かって走り出した。


 (……私を導いてくれた皆がいた。)
 過去を振り返り終わったナヤトレイは、ゆっくりと魔物の方に向き直った。そして、腰に
下げたポーチから残っていたクナイを取り出して構えると、反対の手には短剣を持った。
 その短剣に、銀の髪と紫の瞳が映った。銀の髪は空に光る星、紫の瞳は二つの月だと族長に
教えられた事があった。
 (私達苗族は、世界に希望をもたらす樹の苗を見つけて育てる一族だった。そして、
ボリスという苗は一人で育つ力を持った。ボリス……、あなたにも春が訪れますように。)
 ナヤトレイは心の中でそう祈ると、クナイを投げ付けた。クナイが刺さった敵が倒れ、
それが合図となって一斉にナヤトレイに襲ってきた。ナヤトレイはもう片方にも短剣を持つと
かまえた。
 「誰もここから先に通さないわ。たとえ、私の命が尽きようとも!!」
 ナヤトレイの言葉は、魔物の怒声にかき消された。
 そして、最後の戦いが始まった。


das Ende


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