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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

90ブック:2004/04/25(日) 00:31
     救い無き世界
     第七十四話・斗縛 〜その一〜


 俺達は一つの島まで泳ぎ着いた。
 俺の手と足は、あの後すぐに生え揃っていた。

「…ここで、いいのかょぅ。」
 ぃょぅが俺に尋ねてくる。
「……」
 俺は一つ頷いた。
 間違い無い。
 『矢の男』はここにいる。
 そして、みぃとトラギコの野郎も…!

「でぃ君…」
 ふさしぃが心配そうに俺に声をかけた。

 …大丈夫だ。
 トラギコの奴はまだみぃを殺してはいない筈だ。
 ただ殺すだけなら、あのボートの上で殺している。
 俺は必死に自分にそう言い聞かせて、何とか心の平衡を保とうとした。

 …落ち着け。
 怒りに身を任せたら、『デビルワールド』が出てきてしまう。
 押さえ込め、激情を。
 あいつを、みぃを助けるまでは…!

「…しっかし、こりゃとんだ大事だな。」
 ギコえもんが呆れたように呟く。
 その理由は明白だ。
 この島を中心に、想像を絶する程の思念が渦巻いているのが分かる。
 恐らく、世界中の思念が、『神』とやらの力となる為に…

「……!!」
 体の内側を食い破られそうになる感触。
 出るな…
 まだ出てくるな、『デビルワールド』!!

「でぃ君!大丈夫モナか!?」
 小耳モナーが俺の肩を支えた。
「……」
 俺は力なく頷いてそれに答える。

 急がなければ。
 もう、俺に残された時間は、殆ど無い。

91ブック:2004/04/25(日) 00:33



     ・     ・     ・



 私の意識がいきなり現実に引き戻された。
 ゆっくりと瞼を開けると、ランプによって薄暗く照らし出された部屋が
 目に映像として映し出される。
 ここは…?
 どこかの、お屋敷?

「…う……」
 呻き声を上げて、身を動かそうとする。
 しかし、私の体はロープのようなものによって縛られており、動けない
 …ああ、そうだ。
 確か、いきなり孤児院であった人が私の前に現れて…

「起きたか。」
 私の横から声がかかる。
 反射的に、私はその方向に顔を向けた。

(あなたは…)
 そう言おうとして、私はようやく猿轡を噛まされていた事に気がついた。
 これでは、満足に喋る事すら出来ない。

「…舌を噛み切らないなら口のものを外してやるが、どうする?」
 私は少し逡巡した後、観念して顔を縦に振った。
 その人がゆっくりと私に近づき、猿轡を外す。

「…どうして、こんな事を。」
 私はその人に尋ねた。
「言ったろ。あのでぃの野郎に復讐する為だ。」
 その人は当たり前といった風に答える。

「…!やめて下さい!
 あの人が、一体何をしたというんですか!!」
 私は無駄と知りつつも必死に訴えかけずにはいられなかった。
 この人の目は、思い詰め、覚悟を決めた目だ。
 赤の他人の私が何か言った所でその考えを変える事は不可能だろう。
 しかし、それでもでぃさんを傷つけさせる訳にはいかない。

「…『何をした』、だって?」
 その人の気配が一瞬にしておぞましいものに変わる。
 まるで、全てを焼き尽くすような炎のような…

「何をした?あいつが何をしただと!?
 この期に及んで何をしたと言うってのか!?
 俺の親父を殺しておきながら!!
 俺のお袋を殺しておきながら!!
 何をしたとお前は聞くのか!!?」
 その人は私の首を両手で締め上げた。
 息が無理矢理止められて、目の前が白く霞む。

「…っと、危ねぇ危ねぇ……
 ここで殺したら、せっかくここまで連れてきた意味が無くなっちまう。」
 その人はさっきまでの殺意を嘘のように中に押し込んでしまうと、
 私の首から手を放した。

「…でも、あれは、不慮の事故みたいなものです……!
 でぃさん達は、あそこの人達を守ろうと…」
 咳き込みながらも、私は何とかその人にその事を伝えようとした。

「悪いが、そんな事はもう関係ねぇのさ。
 あいつは孤児院に来た。
 そいて、そこで闘って、親父とお袋を巻き込んで殺した。
 あのでぃが何をしたかった、とか、
 もしあのでぃが来なかったら、とか、
 たらればの話なんざしてねぇんだよ。
 問題にしてるのは、奴が来て、結果親父とお袋が死んだという事実だけだ。
 そしてそれを理由に俺は奴に復讐する。」
 一点の曇りも無い表情で、その人は答える。

92ブック:2004/04/25(日) 00:33

「その為に、俺はお前を殺す。
 でぃへの復讐の為だけに。
 俺を恨んでくれて構わん。俺を憎んでくれて構わん。俺を軽蔑してくれて構わん。
 お前にはその権利がある。
 俺も、その行為を正当化したり、被害者ぶったりするつもりは無い。
 俺のやるのは、犬畜生にも劣る外道な行為だ。
 それで地獄に堕ちるというならば、進んでこの身を奈落に堕としてやる…!」
 なんて可哀相な人なのだろう。
 私はふとそんな事を考えてしまっていた。
 この人は、決して根っからの悪人なんかじゃない。
 ただ、間違えてしまっただけなのだ。

 …いや、この人は本当は間違っていないのかもしれない。
 だって、この人の亡くしてしまった人を想う気持ちは本物だ。
 それを、何も関係の無い私が間違ってるとかそうでないとか判断出来るものか。


「……!」
 その時、張り裂けそうな圧迫感がそこら中に広がった。
 何、これは…!?
 この屋敷の奥に、何かとてつもないものが居る…!

「…ふん。もうすぐといった所みたいだな。
 それとも、あのでぃの中の『化け物』に共鳴しているのか…」
 その人は腕を組んで呟いた。
「…!あなたは、なんでこんな恐ろしい事に手を貸すんです!?
 このままだと取り返しのつかない事になるかもしれない事位、
 分かっている筈です…!」
 私は縛られた体をばたつかせながら叫んだ。
 どうして。
 あの孤児院にいる人達だって、この人にこんな事をして欲しくない事だって、
 分かっている筈なのに、どうして。

「…金を、貰ったからだよ。」
 その人が、初めて悲しそうな目を見せた。
 お金。
 この人は、ただそれだけの為に…

「…さて、お喋りはここまでのようだな。」
 その人が部屋の入り口のドアに視線を移す。
 その直後、ドアが勢いよく開け放たれた。



     ・     ・     ・



 俺は屋敷のドアを勢いよく開け放った。
 中に、トラギコと縛られているみぃの姿が見える。
「ようこそ、我らが別荘に。海水浴は楽しんだか?」
 トラギコが俺達の方に向き直って話しかけてくる。

「貴様!みぃ君をすぐに放すょぅ!!」
 ぃょぅ達が部屋の中に駆け込もうとする。
「動くな!!」
 そのトラギコの叫びに俺達は動きを止めた。

「…この部屋に入っていいのはでぃだけだ。
 それ以外の奴が一歩でも足を踏み入れたら、その瞬間この女の首を落とす。」
 トラギコが殺気を込めた視線を俺達にぶつけてくる。
「…ゆっくりとこっちに来いよ、でぃ。妙な事は考えるなよ。」
 その言葉に従い、俺は一歩一歩確かめるようにトラギコへと歩み寄った。
「でぃさん…!」
 みぃが俺に訴えるような視線を向けた。
 大丈夫だ。
 今、助けてやる。

93ブック:2004/04/25(日) 00:34

「止まれ。」
 トラギコが腕を突き出す。
 俺はその場で足を止めた。
 俺と奴との距離は、大体6〜7メートルといった所か。

「…ふん、もう手足が生え揃ったか。
 相変わらずの『化け物』っぷりだな。」
 トラギコが含み笑いをする。
 しかし、その目は微塵も笑っていない。

「……」
 俺はみぃに視線を移した。
 幸いにも、大した怪我はしていないようだ。
 良かった。
 こいつさえ無事ならば、それだけで…

「…これから、お前の手足をぶった斬る。
 新しいのが生えてきたら、それをまたぶった斬る。
 生えてこなくなるまでそれを繰り返してやる。
 そして、達磨になったお前の目の前で、先ずは後ろの奴らを殺す。
 最後に、お前の大切な女をじわじわいたぶりながら殺してやるぜ…!」
 トラギコの背後に奴のスタンドのビジョンが浮かび上がった。

 …こいつは、俺だ。
 俺と同じように、大切な人の為に闘っている。
 違いは、それが生きているか死んでいるかって事だけだ。
 そして、こいつが守りたかったのは、
 こいつを大切にそだてていたのは、
 こいつが大切だったのは、俺の―――

「…反撃したら女の命はねぇぞ、なんてセコい事は言わねぇから安心しな。
 お前を実力で叩き伏せなきゃ、本当の絶望は与えられねぇからな。
 …ただし、後ろの奴らが手を出したらその保証は無いぜ。」
 トラギコがぃょぅ達を見据えた。
 俺は振り返り、『手を出すな』という意味を込めた視線をぃょぅ達に送る。

 安心しろ。
 こっちも俺以外の奴にこの闘いの邪魔をさせる気は無い。
 いや、こいつは俺一人で闘わなければならない。

 …本当は、こいつに殺されても仕方が無いと思っていた。
 俺の、
 こいつの、
 両親が死んだのは、
 他ならぬ俺の所為だ。
 だから、こいつは俺を殺していい。

 ―――だけど、
 だけど。
 みぃに手を出すというならば話は別だ…!

「…最後に、一つ聞かせろ。」
 と、トラギコが俺に紙とペンを投げ渡した。
「…何でお前は、孤児院にやってきた?」
 ……



『…お父さんとお母さんを、守りたかったからだ。』
 俺はそう書いて、その紙をトラギコに見せた。

「…っは、ははははははははははははははははは。
 はぁははははははははははははははははははははは…」
 トラギコは笑い転げる。
 それは、とても空虚な笑い声だった。

「そういう事か…」
 トラギコが笑うのをやめて、俺に向き直った。

「…いいさ。それじゃあ、そろそろ始めるとしようぜ、『化け物』。」
 そして、俺とトラギコとの間にある空間が一気に収束した。



     TO BE CONTINUED…


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