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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

607ブック:2004/06/15(火) 03:10
     EVER BLUE
     第三十二話・SIDEWINDER 〜魔弾〜


 僕とオオミミは、暗い顔の小柄な男に向かって構えを取っていた。
 男の手には、木製グリップのやや古めかしい狙撃銃。
 あれが、男の得物という事か。

「…ボクノナマエハヒッキー。
 キミハナノラナクテイイヨ。
 ドウセ、ココデシヌンダカラ…」
 男が自己紹介しながら銃口をこちらに向けた。
 それに耳を傾けながら、オオミミがじりじりと距離を詰める。
 それでも、ヒッキーとの間合いはまだ二十メートル近くある。
 この距離では、こちらの攻撃は届かない。

「ぎゃああああああああああああああ!!!」
 後ろの方から、ニラ茶猫の悲鳴が聞こえてくる。
 まさか、彼の身に何かあったのか!?

「ヨソミヲスルナ…!」
 ヒッキーの狙撃銃から、激発音と共に銃弾が放たれた。
「『ゼルダ』!」
 オオミミが叫ぶ。
「応!」
 僕の右腕で、飛来する銃弾を弾き飛ばす。
 フルオートによる斉射なら兎も角として、
 この程度の銃撃ならば僕でも充分に防御は可能。

「…退くならば、俺は追わない。」
 オオミミが低く呟く。
 あの狙撃銃では、自分を倒せないと確信しての言葉だろう。

「ヨウスミノイチゲキヲカワシタクライデ、ナニヲイイキニ…」
 ヒッキーが再び銃を構えた。
 何のつもりだ?
 そんな銃など僕には通用しない事は、さっきので分かっているだろうに。
 だけど、彼からの殺気にハッタリの風は無い。
 気を抜く訳にはいかないようだ。

「レッドスネークカモンカモン…」
 ヒッキーが呟くと、半透明の赤い管のようなものが幾つか周囲に出現した。
 その管はまるで蛇のようにグネグネと蠢いている。
 これが、奴のスタンドか…!

608ブック:2004/06/15(火) 03:11

「コレガボクノ『ショパン』…
 キミハモウ、ニゲラレナイ。」
「!!!」
 半透明の赤い蛇が、オオミミに襲い掛かる。
 咄嗟に僕は腕でオオミミを庇おうとした。

「!?」
 だが、僕の腕には何ら手応えが感じられなかった。
 見ると赤い蛇は僕の体をすり抜け、オオミミまで伸びている。

「なっ!?」
 思わず声を漏らすオオミミ。
 どういう事だ?
 この蛇はみたいなスタンドには、お互いに干渉出来ないのか!?

「シンパイシナクテイイヨ。
 ソノヘビノカラダニオサマラナイサイズノモノニハ、マッタクエイキョウハオヨバナイ。
 ダケド…」
 ヒッキーが赤い蛇の胴体目掛けて照準を合わせる。
「コノジュウダンナラバ、ヘビノドウタイノナカニジュウブンオサマル…!」
 ヒッキーが狙撃銃の引き金を引いた。

「!!?」
 発射された弾丸が蛇の胴体へと収まった瞬間、銃弾が突如その軌道を変えた。
 いや、これは、赤い蛇の中を通って来ている!?

「くッ!!」
 弾丸が、蛇の胴体の中を進みながら僕達へと向かってくる。
 だけど、速度自体はさっきのと一緒だ。
 構わず弾き飛す。

「!!!」
 しかし、弾丸の弾かれた先には既に半透明の蛇が待ち構えていた。
 弾丸が蛇の胴体に取り込まれると、
 再びその中を通って僕達に襲い掛かる。

「ぐあッ!!」
 弾丸はそのまま蛇の体を通り、オオミミの肩口へと喰らいついた。
 オオミミが痛みに顔を歪める。

「!!!」
 しかし、それだけでは終わらなかった。
 ヒッキーがさらに銃弾を撃ち出してくる。
 蛇の胴体へと入り込み、その中を突き進んでくる弾丸。
 そして、蛇自体もその身に弾丸を宿したまま僕達に襲い掛かる。

(あの蛇から離れろ!オオミミ!!)
 僕は叫んだ。
 どうやらあの半透明な蛇の中に入った物体は、
 その体内に沿う形で移動するらしい。
 それは逆に言えば、弾丸は必ずそこを通るという事だ。

「!!!!!」
 オオミミが、必死に赤い蛇から逃れようとする。
 だが赤い蛇はそれを許さじと、僕達に向かって襲い掛かる。
 胴体をくねらせ、その姿を自在に変える蛇。
 しかも、そのスピードはかなり速い…!

(オオミミ!!)
 半透明の蛇の胴体が、オオミミの左腕と重なる。
 そこを高速で通過する弾丸。

「ぐぅッ!」
 咄嗟に僕が腕で弾丸を止めようとするも間に合わず、
 銃弾がオオミミの左腕を貫いた。
 そして、貫通した弾丸はまたもや半透明の蛇の胴へと潜り込み、
 僕達へと突き進んでくる。

「ムダダヨ。
 ボクノ『ショパン』カラハノガレラレナイ…」
 弾込めをしながらヒッキーが呟く。
 そうかい、なら…

「直接、本体であるお前を叩く!!」
 オオミミがヒッキー目掛けて突進した。
 これ以上、向こうお得意の間合いに付き合う必要などありはしない。

「サセナイ!」
 蛇の胴体がオオミミの眼前を遮る。
 そこを一瞬にして通過する銃弾。
「うわあ!」
 オオミミが、慌てて立ち止まった。
 その鼻先を銃弾が掠める。
 あと少し停止が遅れたら、頭を打ち抜かれていた所だ。

609ブック:2004/06/15(火) 03:11

「!!!!!!」
 だが、そこで動きを止めたのがまずかった。
 立ち止まったオオミミの足に、
 蛇の体の中をカーブしながら進んできた銃弾が喰い込む。
 しまった。
 いつの間にか足元にも蛇を配置されていたか…!

「……!!」
 足にダメージを負い、床に横転するオオミミ。
 しかし、このまま倒れていては鴨撃ちだ。
 僕の足をオオミミと重ね、そのまま後ろへ跳躍する。

「!!!!!」
 そこに襲い来る赤い半透明の蛇と、その中の銃弾。
(無敵ィ!!)
 僕はすぐさま拳を振るい、蛇の体内を駆ける銃弾を叩き落そうとする。

「!!!!!」
 しかし僕の拳が弾丸に触れる直前で、
 蛇の体が大きくよじれた。
 スカを食らう僕の右拳。
 だが銃弾は止まらない。
 オオミミが身をかわそうとするも、
 銃弾は蛇の体内を通りながら無慈悲にオオミミの脇腹へと突き刺さった。

(オオミミ!!)
 がっくりと膝をつくオオミミ。
 内臓を痛めたらしく、その口からは一筋の血が伝う。

「ククク…イイキミダ……」
 ヒッキーが嫌らしい笑みを浮かべる。
 糞。
 僕がついていながら何て様だ…!

「サテ、イツマデイキテイラレルノカナ…」
 ヒッキーが狙撃銃の引き金に指をかけた。

「…『ゼルダ』。」
 オオミミが、小声で僕に囁いた。
(…分かってる。)
 そう、オオミミの言いたい事は分かっていた。
 あのヒッキーのスタンドは、銃撃と組み合わせる事で威力を発揮するスタンド。
 ならば銃撃さえ封じてしまえば、そのスタンドは全くの無力と化す。
 そして、僕の能力による結界ならばそれが可能。
 問題は、能力が完全に発動するまで持ち堪えられるかどうかだ…!

「『ゼルダ』…!!」
 オオミミが、精神を集中させる。
 場を支配していく圧迫感。
 結界を張る為の力場が、周囲に展開していく。

「ナニヲスルツモリダ…!?」
 勿論、その隙を逃す程敵も馬鹿ではない。
 オオミミ目掛けて、次々と銃弾を撃ち込んでくる。

「無敵ィ!!」
 僕はその弾丸を何とか防ごうとする。
 しかし、能力の発動の為に大半の力を注いでいる上に、
 変幻自在の軌道で襲い掛かる銃弾。
 僕に出来るのは、何とか急所だけは外す事ぐらいだった。

「…!!」
 オオミミの体に、次々と銃弾が突き刺さる。
 だが、それでもオオミミは集中を解かなかった。

610ブック:2004/06/15(火) 03:12

「宿し手は宿り手に問う。汝は何ぞ。」
 痛みと闘いながら、オオミミが結界展開の為の詠唱を開始する。
(我は業(チカラ)。道を進まんが為の、業なり。)
 それに答える形で、僕も言葉を紡ぐ。

(宿り手は宿し手に問う。汝は何ぞ。)
「我は意志(チカラ)。道を定めんが為の意志なり…!」
 脂汗を流しながら、オオミミが詠唱を続ける。

「ナニヲゴチャゴチャト…!」
 ヒッキーが更に銃弾を放つ。
 蛇の中を通って飛び掛かる銃弾。
「……!!」
 オオミミが、咄嗟に身をよじる。
 しかし弾丸は彼の背中へと着弾した。
 オオミミが大きく体を崩す。

(業だけでは存(モノ)足らず。)
「意志だけでは在(モノ)足らず。」
 徐々に展開されていく力場。
 あと少し。
 あと少しだ…!

「孤独な片羽は現世を彷徨う。」
 銃撃を受け、体勢を崩しながらも、オオミミは詠唱を止めない。

(ならば我等一つとなりて。)
「業と意志で存在(ヒトツ)となりて。」

「高き天原を駆け巡らん!」(高き天原を駆け巡らん!)

「クタバレ…!」
 撃ち出される弾丸。
 そして、それが次々とオオミミの体に穴を開ける。
 痛み痛み痛み痛み痛み痛み痛み痛み。
 それでもなお、オオミミは歯を喰いしばって耐える。

 あと少し。
 あと少し。
 あと少し―――!

「折れし翼に安息を。」
(傷つきし翼に祝福を。)

「翼失いし心に羽ばたきを!」(翼失いし心に羽ばたきを!)
 僕は、溜め込んでいた力を一気に解放した。

「!!!!!!!!!!!!!!!」
 空間に、
 いや、世界に亀裂が走った。
 そしてそのひび割れた部分がガラスのように崩れ落ち、
 別の空間を構築していく。

「ナッ…!?」
 狼狽するヒッキー。
 だが、もう遅い。
 僕の能力は、既にここに完成した…!

(我は最早人ではない。)
「空手に入れし、鳥(ツバサ)なり―――」


「…the world is mine.(かくて世界は我が手の中に)」

611ブック:2004/06/15(火) 03:12





 ――――――――空。

 辺りに広がる、一面の空。
 何処までも続く、永遠の青。
 これはオオミミの内的宇宙の具現。
 …『ゼルダ』である僕の力。

「ナッ、コレハナンダ…!」
 ヒッキーがオオミミを睨む。

「…これが俺の『ゼルダ』の力だよ。」
 血塗れになった体で、オオミミが一歩ヒッキーへと歩み寄る。

「クソ!コレシキノコトデ…!」
 ヒッキーがスタンドを発動させ、狙撃銃の引き金を絞った。

「!?」
 ヒッキーが驚愕する。
 いくら引き金を引いても、銃弾が発射されなかったからだ。

「…悪いけど、この空間では銃を使えないように『ルール』を決めさせて貰いました。」
 息を切らしながら、オオミミが告げる。

「『ルール』…!?」
 思わずヒッキーが聞き返す。

「そう。
 だから、ここでは俺も銃は使えない…』
 オオミミがさらにヒッキーに近づいた。
 このダメージ。
 オオミミの体はそろそろ限界だ。
 もうあまり長くは結界を持続させる事は出来ない為、早く決着をつける必要がある。

「…!
 ジュウヲフウジタクライデ、ソノカラダデボクニカテルトデモ…!」
 ヒッキーが銃を捨て、満身創痍のオオミミ目掛けて飛び掛かった。
 だが―――

(無敵ィ!!!)
 遅い。
 三月ウサギやタカラギコの速さに比べれば、
 止まっているようなものだ。
 いくら本体のオオミミが傷ついているとはいえ、それしきで僕が倒せるか…!

「無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵ィィィィ!!!」
 続けざまにヒッキーに拳を打ち込んでいく。
 体に残された僅かな力を全て攻撃に注ぎこむ!

「ウボアマーーーーーーーーーーー!!!」
 全身を挽肉に変えながら、ヒッキーが吹っ飛ぶ。
 殴り飛ばされたヒッキーは地面に落ち、そのまま二度と動かなくなった。

612ブック:2004/06/15(火) 03:12



「……!」
 オオミミががっくりと膝をついた。
 それと同時に、スタンドパワーが底をついて張り巡らした結界が解除される。
 一面の空から、景色が見慣れた船内の通路へと戻っていった。

(大丈夫か!?オオミミ!!)
 僕はオオミミに声をかけた。
「…大丈夫。
 まだ、やれるよ。」
 力無く微笑みを返すオオミミ。
 馬鹿。
 嘘ばかり言いやがって…!

「…!
 ちょっとあんた、大丈夫なの!?」
 と、そこへあまり聞きたくない声が響いてきた。
 天の声だ。

「天、何でこんな所に!
 危ないから物置の中に隠れてろって…!」
 珍しくオオミミが語尾を荒げる。
 個人的には、この女には闘いに巻き込まれて死んでくれればスカッとするのだが。

「あんたの情けない悲鳴が聞こえてきたから、
 わざわざ助けに来てあげたってのに、何よその言い草。
 大体、今はあんたの方が危ないんじゃなくて!?」
 偉そうにのたまう天。
 うるさい余計な事言うなシバくぞ。

「オオミミ!」
 そこに、ニラ茶猫も駆けつけてきた。
 どうやら、向こうも片付いたらしい。

「ニラ茶猫…」
 オオミミがニラ茶猫へと顔を向ける。
 壁にもたれ掛かりながら、ひこずるように体を動かしながらやってくるニラ茶猫。
 『ネクロマンサー』での回復が出来なくなる程、
 力を使い果たしてしまったらしい。
 これでは、オオミミの怪我を治してもらうのは無理か。

「酷くやられたな、フォルァ。」
 ニラ茶猫が苦笑する。
「ニラ茶猫だって…」
 掠れた声で受け答えするオオミミ。

「…治癒してやりてぇのは山々だが、
 見ての通り自分の頭の蝿も追えねぇ有様でな…
 悪いが、ちょっと我慢しといてくれ。」
 ニラ茶猫がすまなそうに言う。
「大丈夫。
 これ位、なんて事無いよ…」
 明らかになんて事ある体で、オオミミが答える。
 全く、やせ我慢も程々に―――


     ドクン


(―――!!)
 僕の内側を、覚えのある鼓動が襲った。
 これは、三月ウサギとタカラギコとの稽古の後の―――
 だが、その時よりずっと大きくなっている…!

「……!」
 天も、体を震わせている。

 何だ、これは。
 何なんだこれは。
 来る。
 来ている。
 何かが来る…!!

「『ゼルダ』、天…?」
 オオミミが不思議そうに尋ねた。

(オオミミ…気をつけろ。
 何かがヤバい…!)
 何の根拠も無い、
 しかしコーラを飲んだらゲップが出る位に確実な予感が、僕の脳裏をよぎっていた。

「『ゼルダ』…?」
 オオミミが心配そうに僕に声をかける。
 しかし、その間にもなお、
 不吉な予感はさらに影を大きくするのであった。



     TO BE CONTINUED…


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