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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

499ブック:2004/05/31(月) 00:25
     EVER BLUE
     第二十二話・REINCARNATION 〜生まれ還りし者〜 その一


 〜オオミミ達が『紅血の悪賊』に襲われる一年程前〜



 炎上する小型飛行機から、俺は何とか体を這い出した。
「はあ…はあッ、糞……!」
 足を引きずりながら悪態をつく。

「冗談じゃねぇぜ…
 どこなんだよ、ここ!?」
 全く訳が分からない。

 …そうだ、俺は何でこんな目に遭っているのだ?
 確か、あの奇形に呼ばれて来てみれば、そこは陰気臭い場所で…
 それで何かヤバい気がしたから、隙をついて逃げ出そうとしたんだ。
 で、勿論飛行機の乗り方なんか分からないから適当に動かそうとしたら、
 いきなり飛行機が発進して、それで案の定ここに墜落して…

「……!」
 足がもつれ、その場に倒れ込む。
 まずい。
 マジで死んでしまいそうだ。

 …死ぬ?
 ちょっと待てよ。
 俺は、確かもう死んだ筈…

「…なんて事考えてる場合じゃねぇぞ。
 このままじゃ、寂しくて死んじまうぞ…」
 体中の力を総動員し、何とか立ち上がった。
 とにかく、どこか休める場所と、食い物を探さないと。
 復活して間も無く、再びくたばるなんて笑い話にもなりゃしない。

「くっ…!」
 しかし、もう体は限界だった。
 またもや倒れる俺の体。
 畜生め、ここまでか…!

「……?」
 と、近くに人の気配を感じた。
 思わず顔を上げて、気配のした方向を見る。

「あ……」
 そこに居たのは、まだ幼い少女だった。
 怯えたような目で、俺を見ている。

「…ちょ……助け……」
 必死に声を絞り出し、その少女に助けを求めた。
 頼む。
 人を呼んで来てくれ。

「……!!」
 しかし、少女は俺が呻くのを見ると怯えたように走り去ってしまった。

(待て、待ってくれ!!!)
 だが、俺の叫びはもう声にはならなかった。
 何てこった。
 最後のチャンスかもしれなかったのに。
 ああ、そろそろ走馬灯が…

「……」
 すると、俺が諦めかけた所に再び少女がやって来た。
 …?
 逃げたんじゃ、なかったのか?

「お水…」
 震える手で、少女が俺にコップに入った水を差し出した。
 そうか、さっきはこれを汲んで来てくれたのか。

「……」
 コップを受け取り、一気に水を飲み干す。
 美味い。
 今迄に、これほど水を美味く感じた事などなかった。

「…ありがとう、助かっ―――」
 …そうお礼を言おうとした所で、俺の意識は遠ざかった。

500ブック:2004/05/31(月) 00:25





「…よっと。」
 掛け声を上げ、雑貨の詰まった箱を棚の上に置いた。

「悪いわねぇ。病み上がりだってのに、お手伝いして貰っちゃって。」
 恰幅の良いおばちゃんが、俺に冷えたお茶を手渡した。
「いや、別にいいですよ。
 厄介になってるんだから、これ位お安い御用ってなもんですって。」
 礼を言い、おばちゃんからお茶を受け取る。

「トラギコ兄ちゃ〜ん!
 遊ぼ〜〜〜〜〜!!」
 そこに、子供達が駆け寄ってくる。
「お〜〜う!
 ちょっと待ってろ!!」
 急いでお茶を飲み干し、子供達と共に広場に走っていく。

 あの女の子に助けられ、この孤児院に担ぎ込まれて早十日。
 ここの人達の献身的な介護のお陰で、体はすっかり良くなっていた。
 まさかこっちの世界でも孤児院にお世話になるとは、つくづく因果なものだ。

「おっし、何して遊ぶ?
 鬼ごっこか?かくれんぼか?警泥か?六むしか?缶蹴か?ドッヂボールか?」
 子供達に服を引っ張られながら、何をして遊ぶのか提案する。

「缶蹴りがいい!」
「うん、それがいい!」
 子供達が無邪気な笑みを浮かべながら答えた。

(…二度と、こんな事が出来るなんて思っていなかったのにな。)
 そんな子供達の笑顔を見て、自嘲気味に笑う。

 俺にはもう、こいつらを抱く資格なんて有りはしないのに、
 何故俺はここにいるんだ?
 これも、神のおぼしめし、ってやつなのか?
 それなら、俺は…

「……?」
 と、建物の影に寂しそうにこちらを見つめる人影を発見した。
 俺を見つけてくれた、あの女の子だ。
 確か名前はちびしぃと言ったか。

「どうした?
 こっちに来て皆と一緒に遊ぼうぜ。」
 俺は笑いながら手招きする。

「……!」
 しかし、ちびしぃはそのままどっかに行ってしまった。
 いつもそうだ。
 あの子もここの孤児院の子供なのだが、
 ここに来て十日というものの、あの子が他の子供と遊んでいるのを見た事が無い。
 いや、それどころか、笑顔の一つすら見れなかった。
 他の子があの子を虐めている訳でもないのに、一体どうしてだ?

「なあ、ちびしぃも呼んで来てやれよ。
 仲間外れは悪い子のする事だぜ?」
 俺は近くの坊主にそう促した。

「違うんだよ。
 あいつの方から逃げてんだって。
 少し前までは、一緒に遊んでたのに…」
 顔を曇らせて坊主が答える。

 前までは一緒に遊んでた?
 それなら余計に変だ。
 あの子に、何かあったのか?

「!!!!!」
 その時、俺の頭を何か固い物が直撃した。
 これは、空き缶か?

「や、やば!
 当たっちゃった…」
 向こうの方で子供達がしまったという顔をする。
 どうやら、缶蹴りの缶を蹴ったのが、俺に命中したらしい。

「こぉの悪餓鬼共ーーーーー!!」
 頭からたんこぶを生やしながら、子供達を追いかける。
「逃げろーーーーー!!」
 子供達が蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

501ブック:2004/05/31(月) 00:26





 俺は子供達の寝室のドアを静かに開け、中の様子を確認した。
 時計は既に夜の十一時を指しており、子供達はスヤスヤと寝息を立てている。
「……」
 俺はそれを確認すると、音を立てないようにドアを閉めた。
 昼間しっかり遊んだ所為か、ぐっすりと眠っているようだ。

「トラギコさん、ちょっとお茶でもいかが?」
 俺が自分の部屋に戻ろうと、食堂の前を通りかかった所に、
 この孤児院の職員である、恰幅のいいおばちゃんが声を掛けてきた。

「あ、それじゃ馳走になります。」
 折角なので、一杯頂く事にする。
 食堂に入り、おばちゃんの前の席に腰をかけた。

「ごめんなさいね、家の子供達がヤンチャばっかりしちゃって。」
 ティーカップに紅茶を注ぎながら、おばちゃんが苦笑した。

「いえ、全然構いませんよ。」
 笑いながら熱い紅茶に口をつける。
 甘苦い琥珀色の液体が、口の中に広がっていく。

「でも大変ねぇ。
 事故のショックで記憶を無くしてるなんて…」
 心配そうな顔でおばちゃんが尋ねる。

 本当は記憶はばっちり残っているのだが、
 『実はラギは別の世界の住人だったラギよ!』、と言った所で
 変人扱いしかされないのは分かりきっている事なので、
 記憶喪失という事にしておいた。
 この方が、何かと問題も少ない。

「…すみません。
 こんなに長い間ご厄介になってしまって…
 もう少ししたら、すぐ出て行きますから。」
 俺は申し訳無い気持ちで一杯になりながら口を開いた。
「あらあら、そんな事気にしなくていいのよ。
 ここの子達も懐いているし、好きなだけゆっくりして行きなさいな。」
 おばちゃんが屈託無く笑う。

 口ではそう言っているが、
 この小さな孤児院では大人一人を余分に養うのでも大きな負担だろう。
 ここの人達の為にも、早くここから出なくては。

「それにしても、あなた子供と触れ合うのが上手ね。
 もしかしたら、元は孤児院か育児園で働いていたのかもね。」
 おばちゃんが微笑みながら話す。
 大正解だ、おばちゃん。



「…あの、ちびしぃの事なんですけど。」
 紅茶を飲み終えた所で、俺はそう話題を切り出した。

「ええ…」
 おばちゃんが暗い顔になる。

「…元々大人しい子だったけど、
 それでも少し前までは皆と笑いながら遊んでいたのよ。
 だけど、急に心を閉ざしてしまって…」
 沈痛な面持ちで喋るおばちゃん。
 やっぱり、この人もあの子の事は心配していたようだ。

「何か心当たりはあるんですか?」
 俺はおばちゃんに尋ねた。

「…いえ、特に何も。
 あの子に直接聞いてみた事もあるんだけど、
 『何でもない』の一点張りで…」
 おばちゃんが首を振る。

「そうですか…」
 俺は呟いた。
 あの子の顔、決して『何でもない』なんてものじゃない。
 詳しい事は分からないけど、間違い無く何かを思い詰めている。
 まるで、独りぼっちで何かと闘っているような、そんな悲壮感…

「…分かりました。
 それじゃ、そろそろ失礼します。
 お休みなさい。」
 カップを流しに入れ、俺は食堂を出た。


 …どうする。
 いや、どうするかなんて、もう決まってるじゃないか。
 あの子を、助けてやる。
 あの子には、命を救って貰った借りがある。
 今度は、俺が助けてやる番だ。

(お前に何が出来る?
 かつて手を血に汚した咎人の分際で、正義の味方気取りか?)
 俺の心の影から聞こえる嘲りの声。
 何とでも言え。
 例え偽善でも、あの子を放ってなんておけるものか。
 これが、俺の生き方だ。

「…俺は、今度こそ間違えない。
 俺は……!」
 拳を固め、唇を強く噛む。

 そうだ。
 俺はもう、間違える訳にはいかない。
 それが、向こうの世界で守り切れなかった、置き去りにしてしまった、
 あの孤児院の人達に対するせめてもの償いだ。
 だからあの子だけは、何としても助けてみせる…!

「悪いな、親父、お袋。
 どうやら、まだそっちには逝けないらしい。」
 夜の闇の中、俺は決意を固めるのであった。



     TO BE CONTINUED…


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