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スタンド小説スレッド3ページ

1新手のスタンド使い:2004/04/10(土) 04:29
●このスレッドは『 2CHのキャラにスタンドを発現させるスレ 』の為の小説スレッドです。●

このスレでは本スレの本編に絡む物、本スレ内の独立した外伝・番外編に絡む物、
本スレには絡まないオリジナルのストーリーを問わずに
自由に小説を投稿する事が出来ます。

◆このスレでのお約束。

 ○本編及び外伝・番外編に絡ませるのは可。
   但し、本編の流れを変えてしまわない様に気を付けるのが望ましい。
   番外編に絡ませる場合は出来る限り作者に許可を取る事。
   特別な場合を除き、勝手に続き及び関連を作るのはトラブルの元になりかねない。

 ○AAを挿絵代わりに使うのは可(コピペ・オリジナルは問わない)。
   但し、AAと小説の割合が『 5 : 5 (目安として)』を超えてしまう
   場合は『 練習帳スレ 』に投稿するのが望ましい。

 ○原則的に『 2CHキャラクターにスタンドを発動させる 』事。
   オリジナルキャラクターの作成は自由だが、それのみで話を作るのは
   望ましくない。

 ○登場させるスタンドは本編の物・オリジナルの物一切を問わない。
   例えばギコなら本編では『 アンチ・クライスト・スーパースター 』を使用するが、
   小説中のギコにこのスタンドを発動させるのも、ギコにオリジナルのスタンドを
   発動させるのも自由。

 ★AA描きがこのスレの小説をAA化する際には、『 小説の作者に許可を取る事 』。
   そして、『 許可を取った後もなるべく二者間で話し合いをする 』のが望ましい。
   その際の話し合いは『 雑談所スレ 』で行う事。

180ブック:2004/05/03(月) 15:04
     EVER BLUE
     第二話・ESCAPE 〜土砂降りの逃避行〜


 僕が必死に説得したにも関わらず、オオミミは結局女の子の縄を解いた。
 オオミミ、今なら間に合う。
 この子を無視してさっさと帰ろう。

「あの…大丈夫?」
 オオミミが女の子に尋ねた。
「大丈夫じゃないに決まってるでしょ!?
 全く…もっとちゃっちゃと助けなさいよ!
 これだから男ってやつは…」
 わざわざ助けてやったにも関わらず、この憎まれ口。
 オオミミ、捨てよう。
 この女を窓から外に捨ててしまおう。

「ごめん…
 すぐにでも助けてあげようとは思ったんだけど…」
 オオミミが情けない声で弁明する。
 何で君はそこで謝るのだ。
 寧ろ感謝されてもいい位なのだぞ?
 というかその物言いは何だ。
 僕が悪いとでも言いたいのか?

「あ〜、もう。
 男の癖にうじうじしないの!
 ほら、さっさとここから脱出するわよ!」
 ついに女の子は我々に指図までするようになった。
 言っておくが、僕はこの女の子の子分になった覚えは一つも無い。
 なのに、何故この子はまるで僕等のリーダーであるかのように振舞うのだ?

「あの…君、名前は?」
 オオミミが部屋を出る時に遠慮がちに女の子に聞いた。
「『あめ』。天と書いて『あめ』って読むの。
 いい名前でしょ?」
 女の子がそっけなく答える。

「あ、うん。
 俺はオオミミっていうんだ。」
 オオミミが天という少女にそう名乗った。

「オオミミ…か。貧相な名前ね。
 ま、いいわ。
 そんな事より急ぐわよ。」
 女の子がどんどん先に進んで行く。
 オオミミ、君は本当にこんな女を助けるつもりなのか?

181ブック:2004/05/03(月) 15:04

「どこに行くつもりかな?お二人さん。」
 と、その時後ろから声をかけられた。
 オオミミと天が、足を止めて反射的に振り返る。
 そこには、屈強な男が立っていた。
 その横には、大量の鉄屑みたいなものが転がっている。

「…人に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るものじゃないかしら?」
 天はそれでも全く気後れしていない様子で口を開く。
 この神経の図太さだけは、オオミミにも見習わせたいものだ。

「調子に乗るなよ、糞餓飢共!
 このマジレスマンが貴様等のような小童に名乗ると思ってか!!」
 …名乗ってるじゃん。

「そこのお前、あの民間船の連中の仲間だな?
 よくもまあやってくれたな。」
 マジレスマンと勝手に名乗った男がオオミミを睨む。

「…!お前等が先に仕掛けてきたんだろう!」
 足を一歩後ろに下げながらも、オオミミが吼える。
 まずいな。
 相手の気迫に押されている。
 オオミミの悪い癖だ。

「ふん…
 まあいい。
 その罪は、お前をスクラップにする事で償ってもらおう。」
 その時、マジレスマンの周りにあった鉄屑がいきなり動き出した。
 そして、それがみるみる接合していき、大きな人の形へと変わっていく。

(ヤバいぞ、オオミミ!
 すぐにマジレスマンを攻撃するんだ!!)
 僕はオオミミにそう告げた。

「分かった!」
 オオミミがマジレスマンに突進する。
 そして僕はオオミミの外部にスタンドとして実体化し、
 マジレスマンに拳を撃ち下ろし―――

「『メタルスラッグ』。」
 完全に人型に形成された鉄屑が、僕のパンチを受け止めた。
 これは、スタンドか…!

「『ゼルダ』!!」
 オオミミが叫ぶ。
(任せろ!!)
 一度パンチを止められた位で怯みはしない。
 今度は逆の腕で拳を叩き込んでやる。

(無敵ィ!)
 左の拳が鉄屑人形の右肩部を破壊する。
 よろめく鉄屑人形。
(無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵無敵!!!)
 僕は次々とパンチを鉄屑人形に打ち込んでいく。
 いける。
 こいつ、動きは全然のろいぞ。

(無敵ィィィ!!!)
 止めの一撃を鉄屑人形に喰らわしてやった。
 体中を粉砕されて地面に叩きつけられる鉄屑人形。
 どうだ。
 これなら本体へのダメージも計り知れないものに…

182ブック:2004/05/03(月) 15:04

「!!!!!!」
 しかし、マジレスマンには全く効いている様子は無かった。
 あの鉄屑をいくら攻撃しても、本体にダメージは無いという事か!?

「…凄いな。スタンド使いだったとは。
 この程度の大きさでは倒せんか。」
 マジレスマンが余裕の笑みを浮かべたまま喋った。

「!?」
 と、破壊した筈の鉄屑人形に、打ち砕いた鉄屑の残骸が集まっていく。
 そして、再び何事も無かったかのように鉄屑人形が再構築された。

「!!!」
 その時、鉄屑人形が何を思ったか周りの壁などを砕き始めた。
 何だ?
 気でも違ったのか?

「なっ…!」
 オオミミが狼狽する。
 壁や天井を砕いて生まれた瓦礫が、鉄屑人形にくっついていっている。
 まさか、こいつ周りの瓦礫や鉄屑を取り込んで―――

「やれ、『メタルスラッグ』。」
 マジレスマンが僕達を指差した。
 僕達に直進してくる、一回り以上大きくなった鉄屑人形。

「『ゼルダ』!」
 オオミミが僕に呼びかけた。
 鉄屑人形が、オオミミに向かって拳を突き出す。

(させるか!!)
 僕はその拳を両腕でガードして…

「!!!!!!!」
 オオミミと僕の体が宙を舞い、そのまま後方に吹き飛ばされた。
 威力を、受け止め切れなかった!?
 この鉄屑人形、さっきよりパワーもスピードも上がっている…!

「ちょっと!
 あなた大丈夫なの!?」
 天がオオミミに駆け寄った。
「…何とか、ね。」
 力無く答えるオオミミ。
 まずいな。
 肋骨を少し痛めたか。

「俺の『メタルスラッグ』は周りの無機物を取り込んで幾らでも強くなる!!
 さあ〜て、どうやって殺してやろうか?
 圧殺か?斬殺か?轢殺か?撲殺か?
 それとも全部がいいかなあ〜!?」
 下卑た笑みを見せながら、鉄屑人形と共に歩み寄るマジレスマン。

「潰れろ!!」
 鉄屑人形が乱暴に腕を振るう。

「きゃああああ!!」
「くっ!!」
 天を抱え、飛びのくオオミミ。
 オオミミという目標を失った鉄屑人形の腕が、代わりに壁に大穴を開けた。

(何てこった…)
 僕はうんざりしながら思った。
 壁に穴が開けられた時に出来た瓦礫が、更に鉄屑人形と同化していく。
 糞、どうすれば…

183ブック:2004/05/03(月) 15:05

「『ゼルダ』、壁を壊すんだ!」
 オオミミが、僕にだけ聞こえる声でそう言った。
(何を言ってるんだ、オオミミ!?
 そんな事したら、余計にあいつが…)
 当然ながら僕はそう反論する。
 オオミミ、恐怖のあまり気でも狂ったのか!?

「いいから、早く!」
 しかしオオミミの言葉に狂気や迷いの色は無い。
 僕は何故か、荒唐無稽な筈のオオミミの提案を、その声を聞くだけで信じる事が出来た。

 …仕方が無い。
 やってみるか。

(無敵ィ!!)
 僕は壁に殴りかかり、そこに大きな穴を開けた。
 その時生まれた瓦礫が、鉄屑人形にくっついていく。

「何だあ!?」
 拍子抜けといった顔をするマジレスマン。

(無敵無敵無敵無敵無敵ィィ!!!)
 構わず壁、床、天井、その他あらゆる場所を破壊しまくる。
 それと同時にその瓦礫を吸収して大きくなり続ける鉄屑人形。

「ははははは!!これはいい!!
 お前自ら『メタルスラッグ』のパワーアップに協力してくれるとはな!!!」
 高らかに笑うマジレスマン。
 オオミミ、君は一体どうする心算なんだ?
 このままでは、向こうに有利になるだけで…

「もういいよ、『ゼルダ』。」
 あらかた周りを破壊した後で、オオミミが言った。
「行くよ!天さん!!」
 オオミミは天の手を取ると、後ろに向かって走り出す。

「ちょっ、乱暴な事しないでよ!」
 オオミミに引っ張られるように駆け出す天。
 馬鹿な、オオミミ。
 敵がすぐ後ろに居るというのに、無防備に背中を見せて逃亡するだと!?

「馬鹿め、逃げられると思ってか!!」
 後ろからマジレスマンが叫ぶ。
 駄目だ。
 オオミミ一人ならともかく、天を連れた状態ではすぐに追いつかれてしまう。

「『メタルスラッ』…
 …何いぃ!?」
 その時、マジレスマンが驚きの声を上げた。
 何だ。
 何が起こったと…

「!!!!!」
 僕は振り返ってみて、初めてオオミミの狙いを理解した。
 大きくなり過ぎた鉄屑人形が、通路に引っかかって動けなくなっている。

 そうか。
 僕達の勝利条件は『ここから生きて脱出する事』。
 『必ずしもあいつに勝つ必要は無い』んだった。
 三十六計逃げるに如かず。
 これも立派な戦術のうちだ。
 やっぱり君は凄い奴だよ、オオミミ…!

「な…糞…!
 待てーーーーー!!!」
 悲鳴のように叫ぶマジレスマン。
 勿論、待てと言われて待つような間抜けはいない。

 頭の中まで筋肉の馬鹿を後ろ目に、
 僕達はさっさとその場から離れるのであった。

184ブック:2004/05/03(月) 15:05



 僕達は甲板目指して走り続けていた。
 あのマジレスマンも、スタンドを解除して追いかけて来ている筈だ。
 もたもたしている暇は無い。

「大丈夫?」
 オオミミが息を切らし始めた天に尋ねた。
「馬鹿にしないでよ。
 これ位で疲れる程ヤワじゃないわ!」
 負けず嫌いなのか、健気にも天は言い返す。

「分かった。それじゃあ少し、スピード上げるよ。」
 オオミミはそんな彼女の強がりにも気づかず、足を速めた。
「ちょっ、冗談でしょ!?」
 呆れたように呟く天。
 様ぁ見ろ。
 いい気味だ。

「…!三月うさぎ!!」
 と、横の通路から三月うさぎが合流して来た。

「…?そこの女は何だ?」
 怪訝そうにオオミミ尋ねる三月うさぎ。
「ごめん、今それ所じゃないんだ。
 早くここから脱出しよう!」
 オオミミが説明を後回しにして、三月うさぎに答える。

「全く…
 船に厄介事を持ち込むなと、お前は何回言われれば…」
 しかめっ面をしながら苦言を漏らす三月うさぎ。
 僕も、彼の意見には賛成だ。

「…こちら三月うさぎ。今から帰還する。
 急襲用迫撃射出錨(アサルトアンカー)を打ち込んでくれ。」
 マントから無線機を取り出し、三月うさぎがそう言った。
 無線機から、高崎美和さんの「了解」という声が聞こえてくる。
 高崎美和さんとは僕達の船のオペレーターで、
 和服の似合う綺麗な大和撫子だ。

「俺はその女の事は知らんぞ、オオミミ。」
 三月うさぎが短く告げる。
「…うん、分かってる。」
 オオミミが俯きながらそう答えた。



 扉を乱暴に開け放ち、僕達は甲板へと飛び出す。
 激しい雨が、オオミミ達の体をしたたか打ちつけた。

「あ、手前、三月うさぎ!!」
 全身血塗れのニラ茶猫が、僕達に気づいて声を上げた。
 周りには、夥しい数の兵士が倒れている。
 流石はニラ茶猫。
 一人でこれだけの人数を片付けるとは。

「言い争いをしている場合じゃない。
 早くここから脱出するぞ。」
 三月うさぎはそんなニラ茶猫を軽く流した。

『急襲用迫撃射出錨(アサルトアンカー)、発射します。』
 その無線機からの高崎美和さんの声より少し遅れて、
 甲板に巨大な錨が打ち込まれた。
 皆が、急いでそれに掴まる。

「…?そういやオオミミ、その女は誰だ?」
 ニラ茶猫が今気づいたのか、オオミミに質問した。
「え〜と、その、詳しくは後で話すよ。」
 言葉を濁すオオミミ。
 しかし本当に、このじゃじゃ馬娘をどう説明すればいいのやら。

「居たぞ!逃がすな!!」
 マジレスマンが甲板に出てくる。
 ヤバイ、もう追いつかれたか。

「急襲用迫撃射出錨(アサルトアンカー)、回収急げ!」
 三月うさぎが無線に向かって話す。
 同時に、錨が物凄い速さで巻き上げられていった。

「撃てーーーーーーー!!!」
 マジレスマンの声と共に、僕達に向かって自動小銃が発射される。

「『ストライダー』!」
 しかし、その銃弾は全て三月うさぎのマントに吸い込まれた。

「ははははは!あ〜ばよ〜、とっつぁ〜〜ん!」
 ニラ茶猫が勝ち誇ったように大笑いをする。
 錨はそうしている間にも僕達の船へと巻き上げられ、
 マジレスマン達の姿は見る見る遠ざかっていった。

185ブック:2004/05/03(月) 15:06



     ・     ・     ・



「よっしゃ!上出来だ!!
 野郎共、引き上げるぞ!!
 カウガール、船を出せ!!」
 サカーナが乗組員達に大声で告げる。

「全速前進、出発しま〜す!」
 テンガロンハットを被った、カウガールと呼ばれた女性が、
 舵を思い切り回した。

「…敵船、私達の追撃を開始してきました。」
 高崎美和がディスプレイを見ながら話す。

「何ぃ!?
 上等だ、砲撃準備!!」
 サカーナが口元を吊り上げる。

「後部砲撃室から準備が整ったとの連絡が入りました。
 いつでも行けます。」
 高崎美和がサカーナの方を向いた。

「よお〜し、上出来だ。
 撃てーーーーーーー!!!」
 そのサカーナの声と同時に、サカーナ達の乗る船『フリーバード』の
 後部に備え付けられていた大砲が火を吹いた。
 しかし…

「…命中。ですが、敵艦はビクともしていないみたいです。」
 高崎美和が冷静に告げる。
「だから言ったんですよー!
 この船の装備で小型戦艦と闘うなんて無茶だって!!」
 カウガールがなじるようにサカーナに言う。

「うるせー!
 しゃあねぇ、尻まくって逃げるぞ!!
 スピード上げろ!!」
 サカーナが困ったような顔で仕方なしに命令を下す。

『無茶言うな親方!
 こっちはもうエンジン室が大火事になりそうだぜ!!』
 エンジン室からそういった内部通信が入ってくる。

「…だ、そうです。
 どうするんですか?
 サカーナ船長。
 あなたの蛮勇のおかげで私達まで道連れですね。」
 高島美和が責めるような視線をサカーナにぶつけた。

「て…敵船攻撃開始…!
 このままでは打ち落とされ…きゃあああ!!!」
 轟音と衝撃が、サカーナの船を揺るがした。



     ・     ・     ・



「おいおいどうすんだ!?
 敵さんムキになって追いかけて来てんぞ!?」
 『フリーバード』に戻って来たニラ茶猫が、
 先程敵船からの砲撃で壁に開けられた穴を覗き込んだ。

「…ふむ。このままでは撃墜されてしまうな。」
 顔色一つ変えずに冷静に告げる三月うさぎ。

「どうしよう。このままじゃ…!」
 うろたえるオオミミ。

「…仕方無い。」
 と、三月うさぎが壁に取り付けられていた内部通信回線電話を取った。

「はい、こちらブリッジ。」
 電話口から高島美和の声がする。
「三月うさぎだ。
 この回線を後部砲撃室に繋げろ。
 ただしこの事は船長には伝えるな。」
 三月うさぎがそう電話口に向かって話した。
「了解。」
 短く答え、高島美和が後部砲撃室へと回線を繋ぐ。

「どうしました、三月うさぎさん!?
 いまこっちは手が放せない状況でして…」
 後部砲撃室の乗組員が慌しい様子で通信に出る。

「この前船長が買っていた『弾』がある筈だ。
 それを使え。」
 普段と変わらぬ声で話す三月うさぎ。

「ええ!?でも『あれ』は…」
 あからさまに不安そうな声になる乗組員。

「構わん。責任は俺が取る。」
 三月うさぎが大した事ではないかのように答えた。

「おい、三月うさぎ…」
 ニラ茶猫が三月うさぎに声をかける。
「何だ?この期に及んで金の心配でもするのか?」
 三月うさぎがニラ茶猫を見据える。

「いや、ありったけ敵さんにぶち込んでやれ、って付け足しておいてくれ。」
 ニラ茶猫が不敵な笑みを浮かべる。
「…ふん。珍しい事もあるものだ。
 貴様と意見が一致するとはな。」
 三月うさぎもそれを受けて愉快そうに微笑むのであった。

186ブック:2004/05/03(月) 15:06



     ・     ・     ・



 後部の大砲からの砲撃が、マジレスマン率いる戦艦の装甲に大穴を開けた。
「!!おい!!!
 まさか、あれは!?」
 サカーナがそれを見て顔色を変える。

「はい。恐らく船長が先日購入された、『爆裂徹甲弾』だと思われます。
 あの装甲にこれ程のダメージを与えるとは…
 流石に値段が張るだけはありますね。」
 冷静に分析する高島美和。

「馬鹿野朗!
 今すぐ止めさせろ!!
 あれ一発いくらすると思っているんだ!!?」
 顔を真っ青にしながらサカーナが取り乱す。

「およそ私達の一ヶ月の稼ぎの約半分だと思いますが、違いましたでしょうか。」
 高島美和はそんなサカーナを尻目に冷徹に告げた。

「分かってんなら止めろ!!
 今回の稼ぎをチャラにする気か!!」
 サカーナが後部砲撃室に連絡を入れようとする。
 しかし、回線からは「ツー」という音が虚しく響くのみだった。

「部砲撃室の回線は切断されているようです。
 連絡を取ろうとしても無駄ですよ?」
 高島美和がサカーナの方は見ずに口を開く。
 そうこうしている間にも、
 船の後方からは次々と爆裂徹甲弾が湯水のように吐き出される。

「わあ〜、凄い凄〜い!」
 手を叩きながら喜ぶカウガール。
 それとは対照的に、サカーナの顔色はどんどん悪くなる。

「やめろ!!
 馬鹿!!
 あんぽんたん!!
 やめろ!!
 阿呆!!
 お願いだから止めてくれ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
 サカーナはすでに半泣きだった。

「あ。私の記憶が確かならば、今のが最後の爆裂徹甲弾ですね。」
 高島美和がいつの間にか持っていたお茶を啜る。

「NOOOOOOOOOOOOOOOOOおおおオオオオオおおぉぉォォ!!!!!!」
 サカーナの絶叫が船内に響き渡った。



     TO BE CONTINUED…


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