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スタンドスレ小説スレッド

33:2003/11/09(日) 10:31

「〜モナーの夏〜  9月17日・その2」


「女、何の用だ…?」
吸血鬼は静かに口を開く。
「愚かな事を聞く…貴様を葬るためだ」
リナーは鋭く言った。
殺気が強くなった。
足が震える。
一刻も早く、ここから立ち去りたい。
リナーは平気なのだろうか。
吸血鬼は、口の端を歪ませた。笑っているのだ。
「まったく愉快な夜だ。見知らぬマドモアゼルが、吸血鬼である私を土に還すと言う…」
「…土に還しはしない」
リナーは吸血鬼の言葉を遮った。
「この極東の地の土になる事すら許さん。貴様が還るのは、土ではなく塵だ」
やめろ。
それ以上、ヤツを挑発するな…
リナーを諌めようにも、声が出ない。

「非常に面白い…貴様の血も、我が糧にしてくれるゥゥ!!」
吸血鬼が、獣じみたスピードでリナーに飛び掛った。
だが、リナーが銃を抜く方が早い。
「そんなオモチャが、この私に通用するとでも…!」
銃声。
吸血鬼は吹き飛んで、塀に激突する。
「GYAAA!! これはァァァ! 『波紋』だとォォォ!!」
吸血鬼は悲鳴を上げながら転げ回った。
シュゥゥ…という音。
その胸の銃創から、肉体が蒸発しているのだ。
「私の武器は全て法儀式済みだ。貴様ら不浄の肉体に、『波紋』と同じ衝撃を与える…」
リナーは、吸血鬼にゆっくりと歩み寄った。
まずい! まだ、そいつは…!!
「確かにその銃は脅威だ… だが! 接近すればァァ…!!」
吸血鬼は、倒れた状態からバク転して起き上がった。
そして…
「SYAAAAAA!!この売女がァァ!!」
吸血鬼は一直線にリナーに飛びかかった。
リナーは懐から右腕を出した。
4本のバヨネットが指の間に挟まれている。まるで、爪のように。
その瞬間の、恐ろしいまでのプレッシャー。
俺は理解した。
さっきから感じていた人間離れした殺気は、全てリナーのものだ。
リナーは高く跳んだ。
吸血鬼など比較にならないほど、美しい身のこなし。
そのまま吸血鬼の頭を踏みつけた。
「ぐォォ!!」
吸血鬼の体が、うつぶせに地面に叩きつけられる。
「なぜ、ただの人間が…」
起き上がろうとした吸血鬼の首に、4本のバヨネットが横一列に突き刺さる。
「GUOAAAAA!!」
「接近すれば…何だ?」
リナーは言った。
殺気というより、憎悪。
そう、さっきから俺の足をすくませているのは、リナーの吸血鬼に対する憎悪。


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